殺されたのは、わたし。生きているのも、わたし。

菅見は、同級生だった千夏からの親しげな留守電メッセージを交際中の実咲に聞かれた。

交通事故で意識障害となった従兄弟と入れ代わる「分身」、乳児取り違え事件が発端となる「渡された殺意」、結婚詐欺師に騙された女に出会う「婚約者」など、“もう一人の私”をキーワードに自分のアイデンティティを揺るがす恐怖を巧みなトリックで描く9篇―。

恵沢大理学部教授嘉島が殺害された。

ある朝目覚めると、大学生で「篠井有一」だった僕は、見知らぬ部屋で若い女になっていた。

市役所の戸籍係をしている夫と美人ではないが清楚で控えめな妻。

雪の山荘に閉じ込められた小説家の安斎を突如襲う、凶悪なスズメバチの群れ。安斎は山荘を生きて出られるのか。

日常のなかで、ふと感じる誰かの“まなざし”。

ペンション「春風」のオーナー・晶子のもとに、21年前のクリスマスイヴに起きた医者一家虐殺事件の復讐予告が。

名門女子校の式典の最中、演劇部による『そして誰もいなくなった』の舞台上で、服毒死する役の生徒が実際に死亡。

別れたつもりでいても、細い糸が繋がっている。

結婚の承諾を得るため千鶴の実家へ赴いた幸春は、千鶴の父・久信が前向性健忘という記憶障害に陥っていることを知らされる。

「飯田さん―いらっしゃいませんか?警察のものなんですけど」相手が『飯田さん』と呼びかけたことに、志穂はぎくりとした。

現世から冥界へ下っていく道を、古事記では“黄泉比良坂”と呼ぶ―。なだらかな坂を行く私に、登山姿の青年が声をかけてきた。

アキヤ・ヨーク病。中年期に発病して死に至るという遺伝病。

悪党・八神俊彦は自らの生き方を改めるため、骨髄ドナーとなり白血病患者の命を救おうとしていた。

神経内科の女医植田理歩は、大学院生富坂から研究協力を依頼された。富坂の恋人夏海を対象にした研究のテーマは、嗅覚障害。

フリーライター・倉橋渡の許に、父親からの電話が入った。妹の良美が車に撥ねられ、意識不明だという。

犯行時刻の記憶を失った死刑囚。その冤罪を晴らすべく、刑務官・南郷は、前科を背負った青年・三上と共に調査を始める。

「精神鑑定」に真っ向から挑む感動作! 「心神喪失」の通り魔犯に娘を殺された夫婦。

浪人生の高岡裕一は、奇妙な断崖の上で3人の男女に出会った。老ヤクザ、気弱な中年男、アンニュイな若い女。

「こーとろ、ことろどの子をことろ」。子とり鬼のわらべ歌と鬼女伝説が伝わる街・夜坂。

類人猿の言語能力を研究し、チンパンジーと人間を同列に扱うことを主張する学者・井手元。

自らが犯した不祥事で職を追われた元警官の佐伯修一は、今は埼玉の探偵事務所に籍を置いている。

6時間後の死を予言された美緒。他人の未来が見えるという青年・圭史の言葉は真実なのか。

遺産百億円―。跡取りのいないはずの老資産家が、かつてもうけた血のつながった子供の存在の可能性を明かし、捜しはじめた。

突然かかってきた一本の電話。亡くなった兄・直道が生前入信していた新興宗教について聞きたいという。

子どもへの性犯罪が起きるたびに、かつて同様の罪を犯した前歴者が殺される。

大正歌壇の寵児・苑田岳葉。二度の心中未遂事件で、二人の女を死に迫いやり、その情死行を歌に遺して自害した天才歌人。

美少女を殺害し、研ぎあげたハサミを首に突き立てる猟奇殺人犯「ハサミ男」。

大学の同窓会で七人の旧友が館に集まった。

「誘拐犯の娘が新聞社の記者に内定」。

北海道の最北端・宗谷岬に傾いて建つ館―通称「斜め屋敷」。

ぼくにとっては捜査はいつも苦しいものです―通り魔によって幼い娘を植物状態にされた夏目が選んだのは刑事の道だった。

瀬戸内の小島に、死体が次々と流れ着く。

末期ガンに冒された男が、病床で綴った手記を遺して生涯を終えた。そこには八年前、息子をさらわれた時の記憶が書かれていた。

雪に閉ざされた山荘に、UFO研究家、スターウォッチャー、売れっ子女性作家、癖の強い面々が集められた。

恋愛相手の相性を数値で選び出すGP(グラフィック・フェロモン)理論。

元刑事で一人娘が失踪中のD県警広報官・三上義信。

富豪の一人娘が、別荘で不審な事故死を遂げる。

村上和久は孫に腎臓を移植しようとするが、検査の結果、適さないことが分かる。

とてつもなく大きな橋を支える巨大コンクリートの塊の中に、国家機密とされるシェルタがあった。

荻原亮子は恋人の安東匠とともに彼の実家を訪れた。その旧家は二つの棟で卍形を構成する異形の館。

まだ見ぬ父親に会うため秋庭邸を訪れた一登は、そこで言語能力を持たない弟に出会う。

永遠の愛をつかみたいと男は願った―。東京の繁華街で次々と猟奇的殺人を重ねるサイコ・キラーが出現した。

1000年後の日本。豊かな自然に抱かれた集落、神栖66町には純粋無垢な子どもたちの歓声が響く。

昭和63年、広島。所轄署の捜査二課に配属された新人の日岡は、ヤクザとの癒着を噂される刑事・大上とコンビを組むことに。

湖畔に佇む別荘に8人の男女が集まった。 車で転落死した婚約者を偲ぶ会だったはずが、 そこに逃亡中の銀行強盗が侵入する。

耽美派小説の巨匠、重松時子が薬物死を遂げてから、四年。

「養父に身体を触られるのが、嫌で嫌でたまりません。

奥多摩の山村、媛首村。淡首様や首無の化物など、古くから怪異の伝承が色濃き地である。

脅迫電話に呼び出された医師とその娘婿が、白衣を着せられ、首に針金を巻きつけられた奇妙な姿で遺体となって発見された。

浅草十二階こと凌雲閣で幽霊が目撃された―。

大手広告代理店を辞め、「珠川食品」に再就職した佐倉凉平。

京都を舞台にした小説で熱狂的なファンを持つ藤原花奈女が死んだ。施錠された仕事場の遺骸は、華やかな朱の小袖に覆われていた。

十角形の奇妙な館が建つ孤島・角島を大学ミステリ研の七人が訪れた。