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マッチマッチ さんのレビュー一覧
マッチマッチさんのページへレビュー数328件
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お馴染みの伊達・堀内シリーズ第4弾というところですね。
文庫版が発行されるのを待って、読んでみました。 いつものごとく、安心して楽しめる定番の娯楽小説です。 元大阪府警。ヤメ刑事の2人のコンビが今回シノギとして狙うのが、密輸された行方不明の金塊。 半グレ集団やヤクザと対峙しながら、金塊を追いかける。 この間のやり取りは、もうシリーズ4冊目となってマンネリ化しているのだが、それが分かっていてもハラハラドキドキで楽しめる。 2人の会話も面白いし、旨そうな食い物の話題や伊達の鬼嫁のエピソードは、いつものように良い味だ。 事件の詳細は控えるが、数年前に福岡であった金塊強奪事件の裏事情も垣間見れる。 さて、読み終えて気になったのは、少し陰が見えてきた堀内の言動。妙に刑事時代を思い出し、懐かしむ。 当方読んでいて、最後に堀内が死んでしまうのではないかと想像しながら読んでいた。 実際は、最後はすべて一件落着。ハッピーエンドで終わったわけであるが、もし第5弾があるのなら、そちらで片方が亡くなり、このシリーズが終わりになるのではないかと想像する。 著者の黒川氏もそれなりの高齢である。解説の最後には、黒川氏は75歳の今でも執筆意欲に衰えが無いと書かれていたが、当方はシリーズを終わらせる布石を第4弾で打ったものと感じた。 恐らくノー天気なキャラの誠やんがチンピラに刺されて死ぬのであろう。そして、堀内が杖を突きながら静かに二人のコンビを懐かしむのであろう。 数年後の第5弾の発行を楽しみに待ちたい。 |
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オリジナル版の文庫本を手にしました。
表紙画の血走った眼(マナコ)。 芸能人くずれのエセ催眠術師。 雷鳴とともに女性の甲高い笑い声。 「ワ!タ!シ!ハ!ユ!ウ!コ!ウ!テ!キ!ナ!ウ!チ!ュ!ジ!ン!デ!ス!」という奇声。 「ワタシハ、ファティマ第七星雲ノ、アンドリア、デス。・・・」 まさにこの後、なにか不可解なことが起こりそうな気配です。 いやー、この辺りでかなり期待感が高まりましたね。 おっと、この小説、当たりかも?! 映画化されたらしく、これから、どんな奇想天外な展開が待っているのか?! もちろん、当方この小説の事、映画化されたということ位しか知りません。 ワクワクしながら読み進めました。 ということで、読後の結論ですが、正直ハズレでした。 この後は、単なる催眠術と催眠療法との違いであったり、精神疾患や多重人格についての執筆当時の知見が語られるだけ。 特に稚拙なのが、警察捜査と第三者のカウンセラーの関わり。 この嵯峨という第三者が、なぜに横領事件捜査に関与できるのか。あまりにも非現実的。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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著者作初読み。
200ページ少々の小品ではあるが、軽くはなく読みごたえがある。 「涙香岬」・「書道」というのが鍵となり、文学的な雰囲気を醸し出し、味わいがある。期待を持って読み進めることができた。 では期待の結果はどうであったかというと、思っていたよりエンタメ感も高く、ミステリー要素も多い。「裏表紙には桜木ノアールの原点ともいうべき作品」と記載されているが、ノアール感はほとんど感じない。小ぶりにまとまったサスペンス小説という所であった。 夏紀の出生の秘密などの結末は、殆ど予想された通りで、特段大きな驚きは無いが、気になったのは川田親子の最後の有り様。 特に息子川田隆一の描き方。悪に徹しきれない中途半端さが、上手く描ききれていない。年に2回50万ほどの金を30年もの間、無名で弁護士に預託する。そんな良心を持った男が、平気で人を始末しようとする。なにか、釈然としない。 どうなんだろう。もう少し、ちぐはぐにならないよう捌けなったのだろうか・・・ 前半から終盤に至るまでの雰囲気がよかったこともあり、ラストの三流サスペンスドラマのようなドタバタ感は、やや安っぽく感じてしまった。 母夏江と娘夏紀。そして、ひょんなことから彼らに絡んでしまった元校長の父徳一と息子優作。北海道釧路地方の自然と風土を背景に、この2つの親子の人間模様をもう少し掘り下げ描いていれば、より品の良い作品に仕上がったのではないだろうか。 |
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桐野夏生氏の初期作。
女性版ハードボイルド小説という触れ込みである。 読んでみたが、まあこれは面白いし、読み易い。悪くはない。 特に主人公の女性探偵村野ミロ、この娘のキャラがいい。 いいと言っても、ハードでないところがいい。固ゆででない半熟・未熟なゆで加減いい。 そういうちょっとよれよれの探偵というのが、この小説の重要ポイント。 そして、このちょっとだらしない素人っぽい女性探偵が、失踪したAV女優を追いかけるというお話。 ミステリー感もあり、なかなか失踪女優の正体がつかめないストーリーも楽しめる。 さらに90年代のアダルト業界、歌舞伎町の風俗等、が多く扱われていて、社会派的な一面も見られる。 しかし、もっとも楽しめたのは、女性の描き方。ミロだけでなく、依頼人で活動家の渡辺房江。依頼人の支援者で著名な料理研究家である八田牧子。この辺りが華を添える。 桐野氏の作品はさほど多くを呼んだわけではないが、さすが女流作家だけあって、女性を描かせたらその生態・心理の描写が妙にリアルで面白いですね。 そこそこのオチも準備されており、素直に楽しめるお話です。 ある程度、ボリュームもあり、十分にアマゾン評点4点は与えられるでしょう。 |
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シンプルに面白かったです。
いよいよ太平洋戦争勃発か!というギリギリの状態の頃の米国と日本を舞台にしたお話。 ハッキリ申しまして、これはもう飛び切りのエンタメ娯楽アクション小説ですね。 当時の日系人の米国での扱い、日本軍の南京虐殺、アイヌ差別、朝鮮人徴用、混血偏見、軍国主義・・等々社会派的要素が散りばめられてはいますが、これは正直グリコのおまけの景品みたいなもの。 欲しいのはグリコのキャラメルであり、これが本命で美味しいのです。 米国から派遣された日系人スパイ賢一郎。訳ありで殺し屋家業を営む。 こやつが日本海軍の動向を調べ、憲兵に追われながらも択捉島までたどり着き、ハワイ真珠湾奇襲の情報を本国に伝送するというストーリー。 まさにスパイ小説です。 主人公の日系人スパイ以外の脇役も、それぞれいい味を出しています。 米国人スパイ養成女性教官キャスリン、朝鮮人スパイ金森、クルル人アイヌの宣造、憲兵脇田、ロシア人ハーフのゆき、この辺りがストーリーにいいアクセントとなって楽しめます。 史実ではハワイ真珠湾攻撃は大成功で終わり、それは明白なのです。 なのに、なぜかハラハラドキドキ、スピード感よくサクサクと読める。 正直、大衆娯楽小説はこれでいいと思います。 アマゾン評価の5点は十分でしょう。 よって、サイト評価9点としました。 |
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当サイトSランクの未読本を読んでみようと、手にした1冊。
当サイト評価Ave8.70。アマゾン評価Ave3.55。 かなりの差が見られる。 それこそ、本書の特徴を如実に示している。 いわゆるミステリー好きが多いこのサイトでは、評価が高く、多様な趣向の読み手が多いアマゾンサイトでは、中庸点。 まさに読者層を選ぶ1冊であった。 当方にとって、まず登場人物の名前が読みにくくて覚えづらい。 最初に主な登場人物の名前と続柄等が書かれてはあるが、なぜだかなかなか頭に入らない。 さらに登場地の地名や事件現場の建物名、建物の構造・位置関係などが全く整理できない。 それに、この事件に関係があるのかないのか良く分からない中で、ミステリー作家が多く出てきて、これまた混乱の一因。 当方、深くは考えず、まずは筋書きだけを読みきることに専念して、読み終えた。 二転三転ありで、面白くはあったが、なかなか難しい本であったなと、そういう感想を持った。 これは、本当のところは、二度読み必須なんであろう。恐らく概略を知った上で、二度目をじっくり落ち着いて読むと、筆者が落とし込んだ餌が次々と点と線で繋がり、謎解きのミステリーを楽しむ醍醐味が得られると思う。そういう類の本だと思う。 しかし、当方にはちょっと無理っぽいかもしれない。 とは言え、読後のこの微妙なホラー感。この味は面白い。すべての解答を与えず、読み手に不可解な消化不良感を残す。 それが謎解きとは別の本書の本当のところの醍醐味である、そういう気がした。 ということで、当方の評価はアマゾン評価の3.5点。すなわち当サイト評価7点とした。 |
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2023年の第36回山本周五郎賞かつ第169回直木三十五賞作品である。
なぜこれまで手にしなかったのかというと、時代小説という触れ込み。 正直、苦手なんです。外国ミステリーと時代物ミステリーは、いま一つ読みづらい。 ということで、避けてきたわけですが、最近当サイトのレビューで10点という高得点。 このサイトでは、なかなかお目にかからない高評価が眼に留まりました。 そこで、お気に入りに登録しておいて、最近読んだというのが、ことの真相です。 久し振りにこれは大当たりですね。なかなか、よく出来ている。 それに、時代小説ではあるが、全く気にならない。楽々と読めます。 場所は江戸の町の芝居小屋が立つ木挽町。雪の降る1月の夜に、ある見目麗しき若者によって仇討ちがなされます。 そして、この仇討ちの様相が、町の関係者から語られるわけだが、この語りが面白い。 関係者は5人。その全ての語りが独白である。独白が長々と続くので、少々退屈に思いそうだが、実際はそうならない。引き込まれる。 それぞれの独白が人情味に溢れ、なかなか奥深いし、それぞれにストーリーがある。5話の短編のようでもある。 そして、5人の関係者が、仇討ち現場近くの芝居小屋にかかわる人物。 芝居の紹介をする呼び込み屋。芝居の殺陣(タテ)の指導者。芝居衣装の裁縫職人兼女形。小道具職人夫婦。芝居の筋書き作家。という役割。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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読み易いことはこの上もない。まるで軽いコミック本のような小説であった。
こいつが怪しいじゃんと思った人物が、まさにそのものずばりであったのは笑える。 また、何となく怪しい手術室。ということは、いかにも違法臓器移植がバレバレ。 それにラストの復讐殺人。スーパースターのようなお手並みと逃亡劇。 軽さとスピード感と雰囲気だけのお気軽小説という評価で、☆2つ(アマゾン評価) |
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なぜこの書籍を手にしたのだろうか?
かなりライトな小説です。 中高生向きって言ったら、中高生に失礼か(笑) とにかく軽く流したい方とか、ミステリー初心者にはお手頃でしょう。 いわゆる刑事コロンボ、古畑任三郎シリーズタイプの倒叙ミステリー。 もうガチガチの絵に描いたような倒叙です。捻りも何もない(笑) 読んで分かったこと。福家警部補というのはシリーズもので、全5シリーズ。本作はその4作目。 基本、すべてが短編集です。なお、本作は2編の短編から構成。 刑事コロンボ役は、福家警部補という女性刑事。 「メガネをかけたチョイとおっちょこちょいタイプの女子」という設定で描かれていますが、その実態は、スーパーマン的な運動神経を持つしつこめで有能な刑事ということです。 なお、ミステリー小説としての感想ですが、短編1作目「未完の頂上」。こちらは、Nシステムの言及無しがダメポイント。Nシステムを確認すれば、ナンバーと運転手が撮影されているので、このトリックは成立しない。 2作目「幸福の代償」。犯人を落とすポイント。犯人に冷静さを失わせて失言を待つ。これは、面白く無い。最後まで冷静に証拠を積み上げ落とし込む。これが倒叙の醍醐味。がっかり。 というところがマイナス評価であった。 |
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現在の食の問題に関して書かれた社会派小説。
社会派ミステリーとまではいかない。著者からの啓発・啓蒙小説という立ち位置か。告発までは行かないであろう。 そういう意味では、かつて大きな話題となった有吉佐和子氏の「複合汚染」に似たようなスタンス。でも、決してルポではなく娯楽小説である。 食の問題の中身については、2010年頃の作品なので、現在では、世間的にほぼ知られた内容ではある。ただし、当時著者が相当情報を収集し、取材・調査された様子がうかがえる。当時の意欲作である。 また、単なる食の問題だけに的を絞っているわけではなく、食品加工場における外国人労働者、技能実習生の問題についても、ある程度丁寧に記述されている。 500ページほどあるが、上記のようなスタンスではあっても読みにくくはなく、サラっと読んでしまう。読み易い。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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「ジェンダー・クライム」直訳すると、男女にかかわる犯罪ということですか。
本書は、昨今のジェンダー問題を扱った社会派警察ミステリーである。 著者のあとがきによると、『永遠の仔』を書いた20数年前の当時では書けなかったジェンダーにまつわる様々な課題を今回本書で届けた、ということらしい。 数年前に起こった集団レイプ事件。これをベースに、さまざまな出来事が発生する。殺人・虐待・DV・家出・・・さらにはセクハラまで。どれもにジェンダーが関わっている。 また、日常生活におけるジェンダー格差。男女間の意識差。性差に関する文化の習熟度。こうした話題までも散りばめられ、まさに多種多彩である。悪く言えば総花的か。 結局それも、あとがきに書かれていたように著者が最も意図したかった事であろう。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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これは「社会派」を正面に据えた、もうガチガチの社会派小説である。
この方の作品、「幻夏」・「犯罪者クリミナル」・「天上の葦」と読んだけど、社会派ではあるがエンタメ感も強く、すこぶる面白い。当方の評価も全て高い。 それを期して読むと、前半から中盤までは少々しんどい。 この作者のことを知らずに、初めて本書を手にした方は、途中で投げ出すかもしれない。 でも勉強のつもりでしっかり読み進めると、後半は俄然面白くなる。著者の本領発揮という所か。 本作は、非正規雇用に関わる労働問題、組合活動、労働法制、さらにこれらに共謀罪を絡めた超問題作。テーマは重いし、こうした問題に無関心な若い方や右タイプの方は、端から手にしないであろう。 初出は地方紙とある。令和3年から約何2年間年に渡って連載されていたとのこと。 ということは、あやふやなことは書けない。参考文献を見てみると、膨大な数。相当調べてから書かれたようである。 正面切って上記の問題を扱っているので、どうしても説明がくどくなる。くどいから、読むのがしんどいというわけだ。 社会派小説には、主たる登場人物がいてそれらの行動・人間性が徹底的に掘り下げられ、その結果その背後に潜む社会問題が浮かび上がってくる、というタイプの社会派がある。 しかし、本書はそうではない。前述のテーマが主役で、このテーマを扱うために登場人物たちが行動し葛藤し生き抜いていく。このタイプだ。 後者のタイプだったが故、読む人にとってこのテーマが鼻につき敬遠してしまうこともあるだろうし、本来読んで欲しい人たちの手に渡らない可能性も高い。もったいないことだ。 惜しむべきは、このテーマを前者のタイプで描いて欲しかった。そして、4人の若い非正規雇用者をよりリアルに描き出してもらいたかった。 そうすれば、労働問題を扱った不朽の名作と評価されていたかも知れない。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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「この作品は史実に基づくフィクションです。」
最後にこう記されていた。 その通りなんだろう。 著者が望むべき理想像として、史実に基づきつつ「ゴッホ」と「ゴーギャン」の関係を創作したのであろう。 ミステリー感は殆ど感じられなく、淡々と物語が進行した。 この本を手にしたのは、著者作の「楽園のカンヴァス」の印象が非常に強かったからである。 当時の読後評価は8ポイント。それには遠く及ばなかった。 ただ、理想の像を描いたからこそ、読後感は悪くはなかった。 それを良しとして、中庸点の5ポイントとした。 |
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かなり面白かった。
総ページ数500P超。ハードカバーで少々厚い。 冒頭に登場人物の一覧が出ている。 なんと、総人数は40人を超えているではないか。 こりゃ、読むのに難儀しそうだなと恨めしく思った。 ところがである。読み始めると何のことはない。 主要人物は僅か3名。 犯人箱崎、追いかける大阪府警刑事玉川(玉さん)と舘野(たーやん) あとはざっくり頭に入れておけば問題ない。 大変分かり易い。 しかも心情描写や情景描写は極めて少なく、各場面での会話で物語の大半は進行する。 故により分かり易く読み易い。 あっと言う間に読み終え、楽しむことが出来た。 登場人物のキャラ。 箱崎は極悪人なのか。正義の一面も被っているのか。 この扱いが絶妙に上手い。 仕事ぶりも冷静沈着。まるでTVの必殺シリーズに出ていた仕事人「中村主水」のような切れ味である。 「そう、おれはシリアルキラーじゃない。サイコパスでもない。犬や猫を殺したことはないし、庭に・・・」 興味を引く独白である。 立て続けに3名もの殺人。犯行の動機が気になる。純粋に金(カネ)?それとも? 追いかける刑事2人組。 黒川氏の著書はさほど多くは読んでいないが、「悪果」シリーズの堀内・伊達のような雰囲気である。2人の漫才のような掛け合いが面白い。 食事の支払いのコイントス。美味しそうな名物料理の紹介。 「堀内・伊達シリーズ」の二番煎じのようだが、軽妙でノリが良い。 しかし、捜査の過程は前述シリーズより、緻密で細かい。リアルである。 また、情報屋・道具屋・金塊ブローカーなど怪しげな業種の輩の登場は、興味深いアクセントとなりストーリーに花を添える。上記3名のキャラとこやつらとのやり取り、駆け引きは絶妙で、生々しくかつ可笑しい。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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ストーリーは2つの物語が交互に進行する。
時間軸が同じかどうかは分からない。 一つは記憶を失った若い男女の二人が、怪しそうな中年男性とともに記憶を手繰り寄せていこうとするお話。何らかの裏に隠された不穏な事件を想像させる。 もう一つは、カウンセラー的仕事をしているシングルマザーの女性が、失踪した相談人の女子高生を見つけ出そうとするお話。 本書は著者の初期作で、600ページを超える長編サスペンスミステリーである。 いずれこの2つの物語が、どこかで絡みあい収斂していくであろうことが予見されるが、中盤近くまでなかなか正体が見えない。 怪しそうな中年男性の正体は? 物語の所々に出てくる「レベル」という用語。 これは何なのか?「レベル」がどういう事象の段階を意味しているのか? タイトルにも付けられているように、本書の肝となる重要なキーワードであろうことは推測されるが、、、 本書の読みどころは、まさにこの2つのお話の関係といくつかの疑問を推測することである。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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サイト内を流していると、表題の書籍が眼に留まった。
A評価ではないか!しかも、著者は知っている。 かつて「噂」という著者作を読み、高評価を付けた記憶がある。 あのラストの衝撃を思い出し、期待大で読み進めた。もちろん事前情報なしで。 それでその結論だが、なんと「噂」とは全く正反対の純然たる非ミステリ小説であった。 読み始めてすぐに気づく。これってミステリー本じゃないねって。 「若年性アルツハイマー」を扱った夫婦愛、家族愛を伝える切ないストーリーである。 でも、どんどん引きこまれる。当方のような年齢になると、他人ごとではありません。 主人公は、50才で発症した広告代理店営業部長の佐伯。 彼の家族構成は妻と結婚式を控えた一人娘の三人。 物語は主人公の一人称でラストまで語られます。 50才と言えばまさに働き盛り。 その主人公の記憶が少しづつ失われる過程と、揺れ動く心情がリアルに描かれ、ある意味怖いです。下手なホラー小説は笑って流せるが、こちらは正真正銘の怖さ、自分自身の将来と重ね合わせてしまいます。でも著者は、この怖さを軽妙洒脱に笑いを交えて描いていきます。 ミステリー本ではないのだが、主人公やその妻は、最後にどのようなエンディングを迎えるのだろうかと、気になって引きこまれます。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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