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マッチマッチ さんのレビュー一覧
マッチマッチさんのページへレビュー数67件
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サイト内を流していると、表題の書籍が眼に留まった。
A評価ではないか!しかも、著者は知っている。 かつて「噂」という著者作を読み、高評価を付けた記憶がある。 あのラストの衝撃を思い出し、期待大で読み進めた。もちろん事前情報なしで。 それでその結論だが、なんと「噂」とは全く正反対の純然たる非ミステリ小説であった。 読み始めてすぐに気づく。これってミステリー本じゃないねって。 「若年性アルツハイマー」を扱った夫婦愛、家族愛を伝える切ないストーリーである。 でも、どんどん引きこまれる。当方のような年齢になると、他人ごとではありません。 主人公は、50才で発症した広告代理店営業部長の佐伯。 彼の家族構成は妻と結婚式を控えた一人娘の三人。 物語は主人公の一人称でラストまで語られます。 50才と言えばまさに働き盛り。 その主人公の記憶が少しづつ失われる過程と、揺れ動く心情がリアルに描かれ、ある意味怖いです。下手なホラー小説は笑って流せるが、こちらは正真正銘の怖さ、自分自身の将来と重ね合わせてしまいます。でも著者は、この怖さを軽妙洒脱に笑いを交えて描いていきます。 ミステリー本ではないのだが、主人公やその妻は、最後にどのようなエンディングを迎えるのだろうかと、気になって引きこまれます。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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この著者さんの作品は、かなり前に「ワイルド・ソウル」を読んだきりである。
かなり面白かった印象があるが、当時の当方の評価は9点を付けていた。 最近、直木賞を受賞されたのを思い出し、そのこともあり、この方のデビュー作である本冊を手にした。 本冊は、サントリーミステリー大賞受賞作であるとのこと。期待は大きい。 さて、読み終わっての感想であるが、なかなか素敵で面白い作品である。 少年の何とも言えない切なさがいいですね。とは言っても、読後感は悪くはない。清々しくて爽快である。 また、この小説のタイトルがいい!ラストにその正体が説明される。 一番鶏を利用した「東京」と「サイゴン」の対比、とってもオシャレです。 処女作でこのレベルの作品。相当な技量の持ち主の方なんでしょうね。 ウイキを調べてみると、2000年にサントリーミステリー大賞で、その23年後、直木賞ですか。 ここ10年は、歴史小説がメインになっているようなので、それ以前の小説、手にしたくなりました。 それほど、評価が高かったと思います。 ただし、「ワイルド・ソウル」を9点にしていたので、流石にあのレベルの壮大さには遠く及ばなかったの、マイナス1点の8点にしました。 いやあ、しかし、本当に読み易く、軽快で面白かったですよ。 |
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イヤミスの女王と称される湊氏のデビュー2作目の作品である。
著者の作品は本作で、4冊目[絶唱(5P)→リバース(5P)→贖罪(7P)→本作(?P)]。 著者独特のその作風は、そのまま。 人の負の心理・行動を、軽いノリで軽妙に描く。だから、イヤミスとは言え、さほど重すぎることはない。 それどころか却って、人のバカさ加減が滑稽に見えて笑いを誘う。 よって本書は、気負わず暇つぶし程度で気楽に読み、楽しめばよい。 ラストのオチも「自業自得」・「因果応報」と割り切って、笑い飛ばしましょう。 さて本書の焦点は、2人の女子高生の心理の対比であろう。 序盤はその2人の目線がどちらの目線なのか、とても分かりづらい。慣れるまで少々時間が掛かった。 しかし、後半は分かりやすく、テンポよく展開する。 ミステリー風の伏線もキチンと漏れなく回収される。もちろんその分、伏線回収はいかにも都合良い。しかしその都合良さも、この小説のライトさで考えると、違和感はない。 それで本書の評価であるが、単なるイヤミス的内容ではなく、2人の少女の友情も味わえ、当方にとっては読後感もさほど悪くはなかった。 これまでの3作の最高点7点越えの8点としたい。 |
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第1部 2004年 前林市(「東京から新幹線と在来線で2時間弱の北関東にある」と、第2部本文中で紹介されている架空の市らしい)で起こったある少年の事故死に関する内容。
第2部 2019年 東京都新宿区で起こった若い女性の殺人事件と容疑者の失踪に関する内容。 ミステリーとしての本書の読みどころは、2つの事件がどう絡んで、最後のオチに繋がるのかという点にあると思う。 そして、この小説のもう一つの読みどころは、少年とその母、容疑者とその母、そして容疑者の妻とその母、その関係性と両者間の心情を扱ったところです。 特に少年と容疑者のそれぞれの母親の心情は、母親の愛情が持つ負の側面をうまく描いていると思います。まさに異様な母子愛ですね。 感想ですが、なかなか面白かったです。読み易く、ストーリーがどう展開するのか気になり、あっと言う間に読み終えました。 ミステリー面としては、一体全体どこで両事件が結びつくのか、ラスト近くまで判然とせず、もしかすると両事件を結ぶことなく、母親の異様な愛を扱っただけの小説家かと危惧した位です。 でもキチンと解答は与えられていました。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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一作目の「殺人鬼フジコの衝動」を読んだのが2022年の冬。
ちょうど二年後に本作に辿り着いたことになる。シンプルに面白かったです。 二年前に書いた一作目の自身の感想を読んでみると、「ちょいと難しいが、後味の残る癖になりそうな小説」という風にコメントしている。 それを踏まえて本作を振り返ると、一作目の「…衝動」が問題集。本作である「…真実」がその解説集ということか。 解説集ということもあって、本作は前作より内容が分かり易い。前作を読んでいなくても、ストーリーとしては成立している。 また、読み手の心身が健全で体力も充実している時に読めば、ギャグとして笑い飛ばせるが、心身不調で衰弱してるときに読めば、深くて暗い淵に引き込まれようなイヤミス感も前作同様しっかり残されている。 とはいえ、ミステリー小説として、事件本体のディテールを冷静に眺めてみると、非現実的でぐちゃぐちゃ。「これはないでしょう(笑)」という感じのB級感ツッコミどころ満載。 しかし、これをツッコんでも始まらない。ご愛敬でいいと思います。本作はサイコ感と不穏な雰囲気を楽しむためにあると思います。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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著名な大作である。入手する機会があったので手にした。読んだのは新潮文庫の文庫版(上・下)である。
とにかく読み応え十分。特に上巻は面白い。 著者のあとがきに書かれている「…無理な事件を設定しておいて、それに現実性をあたえる営為の苦しさは、よく出来上がれば楽しいが、なかなかうまくゆかないのが常だから…」とその苦労を書いている。 まさにこの小説の本質はそこにある。戦後から昭和30年初頭にかけての日本の地方の貧困。舞台となった北海道積丹半島・青森県下北半島・京都北部の舞鶴や丹波山地。その僻地ににある寒村・僻村。そこで生活する人々。なかなかリアルである。 Wikiで調べてみると、何度も映像化されている。主要登場人物の俳優陣もなかなかの顔触れ。確かに映像化にはもってこいのストーリーだと思う。 1965年(映画) 1968年(TV) 1978年(TV) 1988年(TV) 1990年(TV) 杉戸八重 :左幸子 :中村玉緒 :太地喜和子 :藤真利子 :若村麻由美 樽見京一郎:三國連太郎 :高橋幸治 :高橋悦史 :山﨑努 :萩原健一 弓坂刑事 :伴淳三郎 :宇野重吉 :金内喜久夫 :若山富三郎 :仲代達矢 ▼以下、ネタバレ感想 |
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マル暴担コンビ、堀内と伊達シリーズの3作目。
また読んじゃった(笑) 相も変わらずの3匹目のなんとか、という作品。 でも分かっていても面白い。止められないお手軽の娯楽作品。 当方、きっと4作目の「熔果」もいずれ読むんだろうね。まだ文庫は出ていないようだから、出たら読みましょう。 まあしかし、3作目になるともう完璧にヤクザみたいになっちゃったね、お二人。 でも元は刑事。ハチャメチャに悪を懲らしめる。痛快で面白い。 上手くいきすぎて最後のオチが少々ハラハラしたけれど、まあまあ無難な不時着で一安心。 伊達もあの程度の傷なら、堀やんと次のシノギを見つけることだろう。 解説はハードボイルドなんて書いてあったが、これはエンタメだよね。 息抜きに持って来いです。 |
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奥田氏の初期作。3作目。
味付けは2作目の「最悪」と同じ。犯人探しのミステリーではなく、展開を楽しむエンタメ系の小説。 でも決して楽しんで読める小説では無く、読み手によっては、そのエンディングも含めて、イライラ感やストレスが溜まる小説だったかもしれない。 しかし、当方、こういう流れ好きですね。奥田作品は、伊良部ドクターのギャグ系より、こっちの人間模様系の長編が面白いと思う。 世相を皮肉るちょっとした社会現象、脇役の何気ない癖や行動。こういった描写が、小説に妙にアクセントを付けてくれ、時には笑わせる。 当方、文庫本新装版で読みましたが、上下で800ページ強、あっという間に読み終えました。 メインの登場人物は、主婦・恭子と刑事・久野。 でも、主役は恭子だろう。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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いかにも、この都合よい筋書き。
旦那に瓜二つの中国人⁈ お金持ちで認知症気味のおばあちゃん⁈ そして、いくらDV旦那って言っても、普通、殺す前に警察への相談だろ⁈ でもこれらの重要なピースが無いと、この小説の筋書きは成立しない。 だから、いくら本書がご都合主義って言っても、これらのピースは必然であり、かつ善なのである。 よって、都合よく善なるピースを組み込まれて書かれた本書は、すこぶる面白い。 特にラスト数ページのスリル感は、満点ですね。 無事逃げ切れるのか、それともラスト1行に悲劇が待ち構えているのか、このドキドキ感はこの小説の醍醐味です。 お見事です。 ではなぜにアマゾン評価の5点。当サイト評価9・10点にならないかというと、やっぱり善なるピースが、余りにも都合良すぎ、また事件が安直すぎるあるからである。 でもそこを無視して読めば、面白く一気読みでしょう。よって、アマゾン評価4点の当サイト評価8点にした。 |
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私の好きな所謂「警察ミステリー小説」。その王道のような作品。
祖父・父・子の親子三代に渡る警察官の物語。 まさに「警官の血」タイトルそのものです。 上下2巻で、読み応え十分ですね。しっかり楽しめました。 祖父清二、父民雄、子和也、それぞれに独立したストーリーが描かれているが、鍵となるのが駐在員だった祖父清二の謎の転落死。 この謎が未解決のまま物語は父、子と進んでいく。 読者は、それぞれの警官のストーリーを楽しみながら、この転落死の謎を解くための伏線を見つけるという別の楽しみを得ることが出来る。 そういう面で、この小説はダブルの相乗効果で、秀逸の面白さがあった。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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読み終わって分かったこと。
この作品、第67回江戸川乱歩賞作品らしい。うーん、なるほど。 本冊の最後に、選考経過と5名の選考委員の選評が記載されていた。 元々のタイトルは「センパーファイ …常に忠誠を…」。確かにこのタイトルではピーンと来ないし、読み終わった後に「何故、このタイトル⁈」と疑問符が付いてしまう。 刊行時の改題されたタイトルは、この「北緯43度のコールドケース」なのだが、正直当方、読後、この意味が分からなかった。 それで調べてみると、「コールドケース」というのは「未解決事件」という意味があるんですね!納得です。やっと腑に落ちました。 そして、読後にこの5名の選評を読んだのですが、共通する弱点「序盤の書き方の不親切さ、順番が不整理、体裁が整えられていない、時系列等の拙さ、読みにくい、小説が下手」との辛辣な意見が書かれていました。 しかし、それでもこの作品が受賞したということは、当然、その問題点は修正出来ることであり、その弱点を上回るほど内容が秀でていたからでしょう。 それを踏まえての当方の感想なんですが、問題点を修正されて刊行された本書、結構面白かったです。 北海道警の未解決誘拐事件を扱った警察ミステリー小説なのですが、登場人物が十分に肉付けされていて、厚みがあります。 道警内部の抗争、未解決誘拐事件、天狗岳事件、これらが絡み合って物語が進行します。 そして、主人公の女性警察官が捜査資料漏洩の生贄になりそうな辺りから、グーンと面白さアップです。 逆に言うとこの辺りがピークかもしれませんね。 この小説は、事件の真相を明らかにしていくミステリ―小説としての面白さより、登場人物の生い立ち・背景・人間関係のデティールを楽しむ小説だと思います。 事件の顛末としては、ツッコミどころ満載です。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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350ページ程の中編だけどコンパクトに仕上がっており、十分に楽しめました。
これは著者のデビュー作ですか。デビュー作がこのレベルだと、当時相当期待されていたのでは? 自身の過去のレビューを調べてみると、この方の作品を結構な冊数読んでました。そして、最近読んだ「赤い砂」以外は評価も高い。8点と9点ばっかりですね。この方の作風は私の嗜好にピッタリはまっているのかもしれません。 主人公の元刑事尾木には、いずれ本物の虹を見つけそこを渡って欲しいな、と思わせるどこかホッコリするような小説でした。気軽にあっという間に読み終えます。お勧めします。 |
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真面目な戦争小説です。
ちょっとタイトルが安っぽく、少年向け漫画のタイトルの様だけど、しっかり骨太に書かれています。 後書きの解説を読むと、どうも著者のデビュー長編作らしい。 参考文献も多数明示されており、第二次世界大戦の独ソ戦について、入念に勉強されたことが伺える。 そのことが、本書の細部にリアリティー感を与え、戦争の苛酷さ卑劣さを読者に明白に晒してくれた。次回作を期待させる新人作家さんだと思う。 やむなき事情からスパイナーとなった一少女が成長していく一種の冒険小説なので、驚くような展開があったり、ミステリックなオチがあるわけではありませんが、スピード感もあり、あっという間に読み終えることが出来ます。ただし、ワクワクするような面白さを一面に挙げたエンタメ小説ではないので、それは期待しない方が良い。それも加味して良品です。 最後にこの小説を読みながら、今ウクライナで起こっている惨状に深い憂いを感じています。人類というのは、常に同じ過ちを犯すものなんですね。 |
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