長いお別れ

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評判

長いお別れの評価:

4.36/5点 レビュー 290件。 A ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.36pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全547件 121〜140 7/28ページ
No.427
(3pt)

読ませるが、暴力シーンが多く、いかにもアメリカ的な推理小説

有名なミステリー小説なので、題名は知っていたが、読んだのは今回が初めてである。確かに読ませるし、最後のどんでん返し?なんかは面白いが、ホームズ物やポワロ物に比べると、人間の心の機微の描き方がやや浅薄な気がする。主人公のマーロウが何度も殴られるなど暴力シーンも多く、まあ、いかにもアメリカ的な推理小説だなあという感じがした。それと訳が、マーロウが喋っているのか、相手が喋っているのかよくわからない部分があり、ややとまどった。
長いお別れ (1958年) (世界探偵小説全集) Amazon書評・レビュー: 長いお別れ (1958年) (世界探偵小説全集)より
B000JATSCW
No.426
(1pt)

村上グッドバイ

このロング・グッドバイという作品、本当に訳者に恵まれていないなぁ。
村上春樹には期待したけれども、結果は以前の訳者の方がまだマシでした。

そもそも英語作品と日本語って相性が悪いと思うんです。逆も然りですが。
それは言語の作りの違い、特に日本語の特殊性にあると思います。

世界のほとんどの言語の作りは、
「私は 愛してる あなたを」
という作り。日本語は言うまでもなく
「私は あなたを 愛してる」
この差異が双方の翻訳に壁として存在しています。

加えて、英語独特の心理表現や言い回しの中には、どうしても日本語に訳せないものがあり、文学作品でそれは顕著に現れます。
なので、英文学の訳書は生理的に読みづらいものがあります。

これを回避するには、もう思い切り意訳するしかなくて、そこで翻訳者の真価が問われます。
有名どころでは、映画「カサブランカ」の、「君の瞳に乾杯」という台詞。
原文をほぼ留めないものすごい意訳ですが、場面の雰囲気に見事に寄り添う素晴らしい意訳です。
あの大御所、戸田奈津子さんも意訳の重要性について同じようなことを仰ってました。

さてではこの「村上訳」について一言で言うなら、「翻訳者のセンスはゼロ」と言わざるを得ないかと。
意訳する際の語彙力とか表現力とかに期待したのですが、残念、原文にこだわり過ぎたよくある読みにくい日本語になってしまいました。

まぁ、これは好き好みですが、私が元々村上春樹の作品にあまり語彙力だったり表現力だったりを感じてなくて、「ノーベル賞候補?何で?」と、大江健三郎状態なせいもありますが・・・。

昔、シドニー・シェルダンの「超訳」というレーベルがあって、出す作品みんな大ヒットしてたのを思い出します。
この「超訳」とは、意訳を駆使した日本語での読みやすさの徹底追求というもので、そこからくる読書感の良さが大ヒットの要因でした。
今から思うとシドニー・シェルダン作品自体は結構チープな作品でしたが・・・。

数々の翻訳者が挑んでは砕け散ってるこの作品。思い切って「超訳」に挑んでくれる猛者の登場を待っています。
ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection) Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection)より
4152090103
No.425
(5pt)

海外著者のハードボイルドは初めて読んだが面白い

大沢在昌など、日本の著者のハードボイルドばかり読んでいて、読むものが少なくなってきたので、食わず嫌いだった海外著者のハードボイルドを読んでみた。さすがに名著と言われているだけあり、とても面白かった。村上春樹の和訳も、違和感なく良い感じ。ハードボイルド好きなら気にいると思う。
ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection) Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection)より
4152090103
No.424
(5pt)

一人称の人物描写

合間を見つけながら時間をかけて完読。主人公のマーロウの視点で物語は進んでいくが、情景や人物描写のディテールが面白い。それはつまり、チャンドラーの観察眼がどれだけ優れていたかということだろう。過剰な演出や場面を省略しているにもかかわらず、人物の淡々とした動きだけでドラマを完成させている。
ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection) Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection)より
4152090103
No.423
(5pt)

うーん

やっぱこれはもともと名作ですしね。いいにきまってますよね。映画の方ももう一度作られるといいんだけどな。映画はラストがよくないですよね。ただ、原作にない猫の缶詰買いにゆくところはいいな。
ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection) Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection)より
4152090103
No.422
(1pt)

村上グッドバイ

このロング・グッドバイという作品、本当に訳者に恵まれていないなぁ。
村上春樹には期待したけれども、結果は以前の訳者の方がまだマシでした。

そもそも英語作品と日本語って相性が悪いと思うんです。逆も然りですが。
それは言語の作りの違い、特に日本語の特殊性にあると思います。

世界のほとんどの言語の作りは、
「私は 愛してる あなたを」
という作り。日本語は言うまでもなく
「私は あなたを 愛してる」
この差異が双方の翻訳に壁として存在しています。

加えて、英語独特の心理表現や言い回しの中には、どうしても日本語に訳せないものがあり、文学作品でそれは顕著に現れます。
なので、英文学の訳書は生理的に読みづらいものがあります。

これを回避するには、もう思い切り意訳するしかなくて、そこで翻訳者の真価が問われます。
有名どころでは、映画「カサブランカ」の、「君の瞳に乾杯」という台詞。
原文をほぼ留めないものすごい意訳ですが、場面の雰囲気に見事に寄り添う素晴らしい意訳です。
あの大御所、戸田奈津子さんも意訳の重要性について同じようなことを仰ってました。

さてではこの「村上訳」について一言で言うなら、「翻訳者のセンスはゼロ」と言わざるを得ないかと。
意訳する際の語彙力とか表現力とかに期待したのですが、残念、原文にこだわり過ぎたよくある読みにくい日本語になってしまいました。

まぁ、これは好き好みですが、私が元々村上春樹の作品にあまり語彙力だったり表現力だったりを感じてなくて、「ノーベル賞候補?何で?」と、大江健三郎状態なせいもありますが・・・。

昔、シドニー・シェルダンの「超訳」というレーベルがあって、出す作品みんな大ヒットしてたのを思い出します。
この「超訳」とは、意訳を駆使した日本語での読みやすさの徹底追求というもので、そこからくる読書感の良さが大ヒットの要因でした。
今から思うとシドニー・シェルダン作品自体は結構チープな作品でしたが・・・。

数々の翻訳者が挑んでは砕け散ってるこの作品。思い切って「超訳」に挑んでくれる猛者の登場を待っています。
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.421
(5pt)

海外著者のハードボイルドは初めて読んだが面白い

大沢在昌など、日本の著者のハードボイルドばかり読んでいて、読むものが少なくなってきたので、食わず嫌いだった海外著者のハードボイルドを読んでみた。さすがに名著と言われているだけあり、とても面白かった。村上春樹の和訳も、違和感なく良い感じ。ハードボイルド好きなら気にいると思う。
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.420
(5pt)

一人称の人物描写

合間を見つけながら時間をかけて完読。主人公のマーロウの視点で物語は進んでいくが、情景や人物描写のディテールが面白い。それはつまり、チャンドラーの観察眼がどれだけ優れていたかということだろう。過剰な演出や場面を省略しているにもかかわらず、人物の淡々とした動きだけでドラマを完成させている。
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.419
(5pt)

うーん

やっぱこれはもともと名作ですしね。いいにきまってますよね。映画の方ももう一度作られるといいんだけどな。映画はラストがよくないですよね。ただ、原作にない猫の缶詰買いにゆくところはいいな。
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.418
(5pt)

原書も並べて読んでみると

何年ぶりかで読み直してみることにしました。一回目と違い、じっくりと熟読です。すると小さな疑問が。

以下に本文(早川書房刊 単行本 p.9)から引用します。( ) 内は私の補足説明です。

 (ホテルの駐車場で酔いつぶれていた男を介抱していると、やってきた)白服(の駐車係)は私の顔を見てにやっと笑った。「お客さん、人がいいね。俺だったらそんなやつは道ばたに放り出してとっとと行っちまいますがね。(中略)このとおり弱肉強食の世界だ。ボクシングで言えば、人はなるたけクリンチに逃げて、いざというときのために力を蓄えておかなくちゃならんってこと」
「そうやってここまでのしあがったわけだ」と私は言った。
 相手はしばらくぽかんとした顔をしていたが、やがて腹を立て始めた。しかしそのときには私はすでに車を出していた。

…なぜ白服が怒ったのか?いまひとつ腑に落ちなくて原文を見てみました。

 The white coat grinned at me. ”Okay, sucker. If it was me, I'd just drop him in the gutter amd keep going. (中略) The way the competition is nowadays a guy has to save his strength to protect hisself in the clinches."
"I can see you've made a big success out of it," I said.
He looked puzzled and then he started to get mad, but by that time I was in the car and moving.

 こうして比べて見ると、実は「白服」がかなり無礼な口のきき方で、初対面の主人公に話しかけてきたことが判明します。 sucker とは suck (チュウチュウ吸う=しゃぶる) + er (~する人)、つまり、優しめに受け取れば「大人の体で中身は赤ん坊」ぐっと下品に取れば「☆ンコしゃぶり野郎」です。(昔、名作カルト映画 TWINKLE TWINKLE KILLER KANE のVHS版字幕で見た sucker の絶妙に上手な和訳が「おしゃぶり野郎」でした。実に腕のいい翻訳家です。)白服のひとこと目は「お客さん、~」ではなかったのです。原文のニュアンスでは「おい、青二才、~」ぐらいでしょうか。全く失礼な奴です。さらに彼の発言の中には himself を hisself と言っている部分が見受けられます。かなり教養に欠けているか、または、すごくワルぶって喋るチンピラ風な人物であることがここからうかがわれる仕掛けになっています。そんな無礼極まる奴に、なかばケンカを売られた具合になった主人公は、ハードボイルド(固ゆで hard-boiled 卵が、温泉タマゴと違って、ゆさぶってもビクともしないのと同様に、たとえ目の前で殺人が行われようとも、いかなる非常事態に直面しても動じない精神を備えている)ですから、冷静にやり返すのです。「まあ見たところ、あんたはその《クリンチ》とやらで、まんまとがっぽり成功を手にしただろうからね」つまり、酔っぱらいを介抱するふりをして、悪いやつは、そのすきにつけこんでふところからたんまり何かしらちょうだいするもんだ、あんたもそのクチだろう、と返した訳です。「白服」は、すぐにその皮肉を理解できなかったので、「しばらくぽかんとした顔をしていたが、やがて腹を立て始めた」ということだと、私は原文から読み取ります。
 このペースで500頁ちょっとを読み進めるとなると…気の遠くなる時間を要しますね。やはり、この先はサクサクと行く方がいいかもしれません。
ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection) Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection)より
4152090103
No.417
(1pt)

朗読者をなんとかしてくれ…。

話は最高に面白いが、早乙女太一氏の朗読が聞くに耐えない。
早乙女氏に直接文句を言いたいのではなく、彼を起用した側に苦言を呈したい。
餅は餅屋ということを意識して、
ちゃんとした朗読家やアナウンサー、声優を使うべき。
高校生の国語の朗読レベルを18時間も聞かされるのは拷問だ。
ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection) Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection)より
4152090103
No.416
(5pt)

面白かった

長いけれど引き込まれて読んでいるうちに終わります。
様々な要因がからみ合って、あっと思うようなところに向かいます。
こういう本が良い本なんでしょう。
村上氏の翻訳も楽しみました。
「はんちく」なんて言葉、良く思いつきますよね。
ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection) Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection)より
4152090103
No.415
(5pt)

原書も並べて読んでみると

何年ぶりかで読み直してみることにしました。一回目と違い、じっくりと熟読です。すると小さな疑問が。

以下に本文(早川書房刊 単行本 p.9)から引用します。( ) 内は私の補足説明です。

 (ホテルの駐車場で酔いつぶれていた男を介抱していると、やってきた)白服(の駐車係)は私の顔を見てにやっと笑った。「お客さん、人がいいね。俺だったらそんなやつは道ばたに放り出してとっとと行っちまいますがね。(中略)このとおり弱肉強食の世界だ。ボクシングで言えば、人はなるたけクリンチに逃げて、いざというときのために力を蓄えておかなくちゃならんってこと」
「そうやってここまでのしあがったわけだ」と私は言った。
 相手はしばらくぽかんとした顔をしていたが、やがて腹を立て始めた。しかしそのときには私はすでに車を出していた。

…なぜ白服が怒ったのか?いまひとつ腑に落ちなくて原文を見てみました。

 The white coat grinned at me. ”Okay, sucker. If it was me, I'd just drop him in the gutter amd keep going. (中略) The way the competition is nowadays a guy has to save his strength to protect hisself in the clinches."
"I can see you've made a big success out of it," I said.
He looked puzzled and then he started to get mad, but by that time I was in the car and moving.

 こうして比べて見ると、実は「白服」がかなり無礼な口のきき方で、初対面の主人公に話しかけてきたことが判明します。 sucker とは suck (チュウチュウ吸う=しゃぶる) + er (~する人)、つまり、優しめに受け取れば「大人の体で中身は赤ん坊」ぐっと下品に取れば「☆ンコしゃぶり野郎」です。(昔、名作カルト映画 TWINKLE TWINKLE KILLER KANE のVHS版字幕で見た sucker の絶妙に上手な和訳が「おしゃぶり野郎」でした。実に腕のいい翻訳家です。)白服のひとこと目は「お客さん、~」ではなかったのです。原文のニュアンスでは「おい、青二才、~」ぐらいでしょうか。全く失礼な奴です。さらに彼の発言の中には himself を hisself と言っている部分が見受けられます。かなり教養に欠けているか、または、すごくワルぶって喋るチンピラ風な人物であることがここからうかがわれる仕掛けになっています。そんな無礼極まる奴に、なかばケンカを売られた具合になった主人公は、ハードボイルド(固ゆで hard-boiled 卵が、温泉タマゴと違って、ゆさぶってもビクともしないのと同様に、たとえ目の前で殺人が行われようとも、いかなる非常事態に直面しても動じない精神を備えている)ですから、冷静にやり返すのです。「まあ見たところ、あんたはその《クリンチ》とやらで、まんまとがっぽり成功を手にしただろうからね」つまり、酔っぱらいを介抱するふりをして、悪いやつは、そのすきにつけこんでふところからたんまり何かしらちょうだいするもんだ、あんたもそのクチだろう、と返した訳です。「白服」は、すぐにその皮肉を理解できなかったので、「しばらくぽかんとした顔をしていたが、やがて腹を立て始めた」ということだと、私は原文から読み取ります。
 このペースで500頁ちょっとを読み進めるとなると…気の遠くなる時間を要しますね。やはり、この先はサクサクと行く方がいいかもしれません。
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.414
(1pt)

朗読者をなんとかしてくれ…。

話は最高に面白いが、早乙女太一氏の朗読が聞くに耐えない。
早乙女氏に直接文句を言いたいのではなく、彼を起用した側に苦言を呈したい。
餅は餅屋ということを意識して、
ちゃんとした朗読家やアナウンサー、声優を使うべき。
高校生の国語の朗読レベルを18時間も聞かされるのは拷問だ。
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.413
(5pt)

面白かった

長いけれど引き込まれて読んでいるうちに終わります。
様々な要因がからみ合って、あっと思うようなところに向かいます。
こういう本が良い本なんでしょう。
村上氏の翻訳も楽しみました。
「はんちく」なんて言葉、良く思いつきますよね。
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.412
(4pt)

男らしい、の一つの典型

ふとしたきっかけで知り合った男がいた。その男は妻殺害後自殺する(とされる)が、

主人公はこの男になぜか惹かれ、その経緯に疑問を抱き、力強く動いて、万事に立ち向かう。

その過程で、女を惹きつけるが、ジメジメした関係にはならず、後にひきづらない。

正義感あり勇気あり、でも、クールでドライな感じが、読者にウケるのだろう。

終わり方もよかった。その男のために奔走したのに、あっさりと終わりを迎えるというか、

ベタベタな再会を望まなかった。その執着しないところは、男として純粋にかっこいい。

女性的な男が増えている昨今、男らしさについて考えてみるのも一興だ。
長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1)) Amazon書評・レビュー: 長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1))より
4150704511
No.411
(5pt)

清水 俊二氏が一枚上手か

何年ぶりかで村上春樹訳を読み直してみることにしました。一回目と違い、じっくりと熟読です。すると小さな疑問が。

以下に本文(早川書房刊 単行本 p.9)から引用します。( ) 内は私の補足説明です。

 (ホテルの駐車場で酔いつぶれていた男を介抱していると、やってきた)白服(の駐車係)は私の顔を見てにやっと笑った。「お客さん、人がいいね。俺だったらそんなやつは道ばたに放り出してとっとと行っちまいますがね。(中略)このとおり弱肉強食の世界だ。ボクシングで言えば、人はなるたけクリンチに逃げて、いざというときのために力を蓄えておかなくちゃならんってこと」
「そうやってここまでのしあがったわけだ」と私は言った。
 相手はしばらくぽかんとした顔をしていたが、やがて腹を立て始めた。しかしそのときには私はすでに車を出していた。

…なぜ白服が怒ったのか?いまひとつ腑に落ちなくて原文を見てみました。

 The white coat grinned at me. ”Okay, sucker. If it was me, I'd just drop him in the gutter amd keep going. (中略) The way the competition is nowadays a guy has to save his strength to protect hisself in the clinches."
"I can see you've made a big success out of it," I said.
He looked puzzled and then he started to get mad, but by that time I was in the car and moving.

 こうして比べて見ると、実は「白服」がかなり無礼な口のきき方で、初対面の主人公に話しかけてきたことが判明します。 sucker とは suck (チュウチュウ吸う=しゃぶる) + er (~する人)、つまり、優しめに受け取れば「大人の体で中身は赤ん坊」ぐっと下品に取れば「☆ンコしゃぶり野郎」です。(昔、名作カルト映画 TWINKLE TWINKLE KILLER KANE のVHS版字幕で見た sucker の絶妙に上手な和訳が「おしゃぶり野郎」でした。実に腕のいい翻訳家です。)白服のひとこと目は「お客さん、~」ではなかったのです。原文のニュアンスでは「おい、青二才、~」ぐらいでしょうか。全く失礼な奴です。さらに彼の発言の中には himself を hisself と言っている部分が見受けられます。かなり教養に欠けているか、または、すごくワルぶって喋るチンピラ風な人物であることがここからうかがわれる仕掛けになっています。そんな無礼極まる奴に、なかばケンカを売られた具合になった主人公は、ハードボイルド(固ゆで hard-boiled 卵が、温泉タマゴと違って、ゆさぶってもビクともしないのと同様に、たとえ目の前で殺人が行われようとも、いかなる非常事態に直面しても動じない精神を備えている)ですから、冷静にやり返すのです。「まあ見たところ、あんたはその《クリンチ》とやらで、まんまとがっぽり成功を手にしただろうからね」つまり、酔っぱらいを介抱するふりをして、悪いやつは、そのすきにつけこんでふところからたんまり何かしらちょうだいするもんだ、あんたもそのクチだろう、と返した訳です。「白服」は、すぐにその皮肉を理解できなかったので、「しばらくぽかんとした顔をしていたが、やがて腹を立て始めた」ということだと、私は原文から読み取ります。

 このペースで500頁ちょっとを読み進めるとなると…気の遠くなる時間を要しますね。やはり、この先はサクサクと行く方がいいかもしれません。
長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1)) Amazon書評・レビュー: 長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1))より
4150704511
No.410
(4pt)

男らしい、の一つの典型

ふとしたきっかけで知り合った男がいた。その男は妻殺害後自殺する(とされる)が、

主人公はこの男になぜか惹かれ、その経緯に疑問を抱き、力強く動いて、万事に立ち向かう。

その過程で、女を惹きつけるが、ジメジメした関係にはならず、後にひきづらない。

正義感あり勇気あり、でも、クールでドライな感じが、読者にウケるのだろう。

終わり方もよかった。その男のために奔走したのに、あっさりと終わりを迎えるというか、

ベタベタな再会を望まなかった。その執着しないところは、男として純粋にかっこいい。

女性的な男が増えている昨今、男らしさについて考えてみるのも一興だ。
長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集) Amazon書評・レビュー: 長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集)より
4150002606
No.409
(5pt)

清水 俊二氏が一枚上手か

何年ぶりかで村上春樹訳を読み直してみることにしました。一回目と違い、じっくりと熟読です。すると小さな疑問が。

以下に本文(早川書房刊 単行本 p.9)から引用します。( ) 内は私の補足説明です。

 (ホテルの駐車場で酔いつぶれていた男を介抱していると、やってきた)白服(の駐車係)は私の顔を見てにやっと笑った。「お客さん、人がいいね。俺だったらそんなやつは道ばたに放り出してとっとと行っちまいますがね。(中略)このとおり弱肉強食の世界だ。ボクシングで言えば、人はなるたけクリンチに逃げて、いざというときのために力を蓄えておかなくちゃならんってこと」
「そうやってここまでのしあがったわけだ」と私は言った。
 相手はしばらくぽかんとした顔をしていたが、やがて腹を立て始めた。しかしそのときには私はすでに車を出していた。

…なぜ白服が怒ったのか?いまひとつ腑に落ちなくて原文を見てみました。

 The white coat grinned at me. ”Okay, sucker. If it was me, I'd just drop him in the gutter amd keep going. (中略) The way the competition is nowadays a guy has to save his strength to protect hisself in the clinches."
"I can see you've made a big success out of it," I said.
He looked puzzled and then he started to get mad, but by that time I was in the car and moving.

 こうして比べて見ると、実は「白服」がかなり無礼な口のきき方で、初対面の主人公に話しかけてきたことが判明します。 sucker とは suck (チュウチュウ吸う=しゃぶる) + er (~する人)、つまり、優しめに受け取れば「大人の体で中身は赤ん坊」ぐっと下品に取れば「☆ンコしゃぶり野郎」です。(昔、名作カルト映画 TWINKLE TWINKLE KILLER KANE のVHS版字幕で見た sucker の絶妙に上手な和訳が「おしゃぶり野郎」でした。実に腕のいい翻訳家です。)白服のひとこと目は「お客さん、~」ではなかったのです。原文のニュアンスでは「おい、青二才、~」ぐらいでしょうか。全く失礼な奴です。さらに彼の発言の中には himself を hisself と言っている部分が見受けられます。かなり教養に欠けているか、または、すごくワルぶって喋るチンピラ風な人物であることがここからうかがわれる仕掛けになっています。そんな無礼極まる奴に、なかばケンカを売られた具合になった主人公は、ハードボイルド(固ゆで hard-boiled 卵が、温泉タマゴと違って、ゆさぶってもビクともしないのと同様に、たとえ目の前で殺人が行われようとも、いかなる非常事態に直面しても動じない精神を備えている)ですから、冷静にやり返すのです。「まあ見たところ、あんたはその《クリンチ》とやらで、まんまとがっぽり成功を手にしただろうからね」つまり、酔っぱらいを介抱するふりをして、悪いやつは、そのすきにつけこんでふところからたんまり何かしらちょうだいするもんだ、あんたもそのクチだろう、と返した訳です。「白服」は、すぐにその皮肉を理解できなかったので、「しばらくぽかんとした顔をしていたが、やがて腹を立て始めた」ということだと、私は原文から読み取ります。

 このペースで500頁ちょっとを読み進めるとなると…気の遠くなる時間を要しますね。やはり、この先はサクサクと行く方がいいかもしれません。
長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集) Amazon書評・レビュー: 長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集)より
4150002606
No.408
(4pt)

男らしい、の一つの典型

ふとしたきっかけで知り合った男がいた。その男は妻殺害後自殺する(とされる)が、

主人公はこの男になぜか惹かれ、その経緯に疑問を抱き、力強く動いて、万事に立ち向かう。

その過程で、女を惹きつけるが、ジメジメした関係にはならず、後にひきづらない。

正義感あり勇気あり、でも、クールでドライな感じが、読者にウケるのだろう。

終わり方もよかった。その男のために奔走したのに、あっさりと終わりを迎えるというか、

ベタベタな再会を望まなかった。その執着しないところは、男として純粋にかっこいい。

女性的な男が増えている昨今、男らしさについて考えてみるのも一興だ。
長いお別れ (1958年) (世界探偵小説全集) Amazon書評・レビュー: 長いお別れ (1958年) (世界探偵小説全集)より
B000JATSCW