長いお別れ

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評判

長いお別れの評価:

4.36/5点 レビュー 290件。 A ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.36pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全547件 21〜40 2/28ページ
No.527
(1pt)

チャンドラーにgood-bye

長年海外ミステリーが苦手なのは訳者が悪いと思ってた
一人称単数で書かれたハードボイルドが好きなのでその昔清水訳で読み始め断念
村上春樹ならいけるかとハードカバーで買って断念
最近ユッシ・エーズラ・オールスンの特捜部Qシリーズを読んだらえらい面白い
ピエール・ルメートルのカミーユ警部シリーズも面白い
エイドリアン・マッキンティもネレ・ノイハウスも面白い
これはもう海外ミステリー慣れしたんじゃないかと村上訳文庫で再挑戦
なんとか読了したけど全く面白くない
マーロウが金髪女について蘊蓄垂れだした時点でゴミ箱に投げ込みたくなる(というか今までは投げ込んでた)
どうやらチャンドラーの文体が私に合わないらしい
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.526
(4pt)

贔屓の引き倒し

清水俊二さんの訳は、たしかに原文の全てをそのまま訳しているわけではありませんが、その例示を『九月の暁』に求めるのは如何なものか
村上春樹さんの訳の『ロング・グッドバイ』は2007年にハードカバーが出て、2009年に軽装版、2010年9月に文庫本が出ていますが文章は少しずつ直されています、多分増刷の度に細かく直されているのでしょう。
言われているのは29章の事でしょうか、私が持っている軽装版初版では、
「着ていたローブの前が開かれた。その下はまったくの裸だった。九月の暁のごとく遮るものもなかったが、その露わな眺めには九月の暁ほどのはにかみの色はなかった。」とご指摘の様な『 』印で明示はされていません。

おそらく、2010年10月発行の松原元信さんの『3冊の「ロング・グッドバイ」を読む―レイモンド・チャンドラー、清水俊二、村上春樹―』の指摘を受けて修正したものと思われます。
清水俊二さんは1988年5月22日に亡くなられているので、自身では直しようがありません。
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.525
(4pt)

確かに格好いいが

ハードボイルドと言えばチャンドラーと思い、初めてチャンドラー作品を読みました。想像していたハードボイルドより、何だか横溝正史の金田一っぽさを感じました。

個人的には映画のアンタッチャブルとか、ダーティーハリーみたいなハードボイルドを想像していました。ですが、主人公は思ったより受け身で判然とせず、回りくどい印象を受けました。単に自分の性格的なものや理解力の問題かもしれませんが。

自分はこれを読んでいて、横溝正史の金田一探偵が浮かびました。マーロウは金田一よりダンディで言うことも格好いいですけど、何だかんだ流れに流されているだけで、事件をどうこうと言うより、事件が綺麗さっぱり更地になる直前に突然カッコつけ始める感覚を受けてしまいました。

言葉や社会も今から考えればかなり古いので、その点で馴染めないと感じてしまうこともありました。

あと、チャンドラー作品が初めてなので余計にそう感じたのかもしれませんが、台詞が恐ろしく長いところがちょいちょいあります。一人の人間が会話の中で話す量としてはかなりの長さだと思い、そこは驚きました。

探偵物ですが事件とか推理云々ではなく、マーロウさんのやり方を見て「これは格好いい!」と思えるかどうかを試される作品だと思いました。
長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1)) Amazon書評・レビュー: 長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1))より
4150704511
No.524
(4pt)

確かに格好いいが

ハードボイルドと言えばチャンドラーと思い、初めてチャンドラー作品を読みました。想像していたハードボイルドより、何だか横溝正史の金田一っぽさを感じました。

個人的には映画のアンタッチャブルとか、ダーティーハリーみたいなハードボイルドを想像していました。ですが、主人公は思ったより受け身で判然とせず、回りくどい印象を受けました。単に自分の性格的なものや理解力の問題かもしれませんが。

自分はこれを読んでいて、横溝正史の金田一探偵が浮かびました。マーロウは金田一よりダンディで言うことも格好いいですけど、何だかんだ流れに流されているだけで、事件をどうこうと言うより、事件が綺麗さっぱり更地になる直前に突然カッコつけ始める感覚を受けてしまいました。

言葉や社会も今から考えればかなり古いので、その点で馴染めないと感じてしまうこともありました。

あと、チャンドラー作品が初めてなので余計にそう感じたのかもしれませんが、台詞が恐ろしく長いところがちょいちょいあります。一人の人間が会話の中で話す量としてはかなりの長さだと思い、そこは驚きました。

探偵物ですが事件とか推理云々ではなく、マーロウさんのやり方を見て「これは格好いい!」と思えるかどうかを試される作品だと思いました。
長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集) Amazon書評・レビュー: 長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集)より
4150002606
No.523
(4pt)

確かに格好いいが

ハードボイルドと言えばチャンドラーと思い、初めてチャンドラー作品を読みました。想像していたハードボイルドより、何だか横溝正史の金田一っぽさを感じました。

個人的には映画のアンタッチャブルとか、ダーティーハリーみたいなハードボイルドを想像していました。ですが、主人公は思ったより受け身で判然とせず、回りくどい印象を受けました。単に自分の性格的なものや理解力の問題かもしれませんが。

自分はこれを読んでいて、横溝正史の金田一探偵が浮かびました。マーロウは金田一よりダンディで言うことも格好いいですけど、何だかんだ流れに流されているだけで、事件をどうこうと言うより、事件が綺麗さっぱり更地になる直前に突然カッコつけ始める感覚を受けてしまいました。

言葉や社会も今から考えればかなり古いので、その点で馴染めないと感じてしまうこともありました。

あと、チャンドラー作品が初めてなので余計にそう感じたのかもしれませんが、台詞が恐ろしく長いところがちょいちょいあります。一人の人間が会話の中で話す量としてはかなりの長さだと思い、そこは驚きました。

探偵物ですが事件とか推理云々ではなく、マーロウさんのやり方を見て「これは格好いい!」と思えるかどうかを試される作品だと思いました。
長いお別れ (1958年) (世界探偵小説全集) Amazon書評・レビュー: 長いお別れ (1958年) (世界探偵小説全集)より
B000JATSCW
No.522
(5pt)

村上春樹訳は大変読み易い!

冒頭部分について、清水訳と村上訳を読み比べ、直訳風の前者清水訳を読み易いと考えて清水訳を購入し読み終えた。読書中、訳文からも分かる明らかな誤訳も含めて意味の取り難いところや情景の想起し難いところがいくつもあり、気になった。
 清水訳を読み終えた直後に村上訳を読み始めたところ、驚くほどスムーズで自然に読み進むことができている。翻訳の分かりづらさが一切ない。素晴らしい。まだ途中だが、村上訳を読むべきかを迷っている方々に伝えたい。
ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection) Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection)より
4152090103
No.521
(5pt)

村上春樹訳は大変読み易い!

冒頭部分について、清水訳と村上訳を読み比べ、直訳風の前者清水訳を読み易いと考えて清水訳を購入し読み終えた。読書中、訳文からも分かる明らかな誤訳も含めて意味の取り難いところや情景の想起し難いところがいくつもあり、気になった。
 清水訳を読み終えた直後に村上訳を読み始めたところ、驚くほどスムーズで自然に読み進むことができている。翻訳の分かりづらさが一切ない。素晴らしい。まだ途中だが、村上訳を読むべきかを迷っている方々に伝えたい。
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.520
(3pt)

ミステリというよりハードボイルド

【ミステリというよりハードボイルド】
ハードボイルド風のミステリというよりハードボイルド小説という印象を受けた。ダンディな男性の友情と愛を描いていて全体的に渋さを感じた。クリスティのようなキャッチーなキャラは出ないし、館シリーズのようなコテコテのミステリというわけではないので、それらが好きな人、ミステリが読みたい人には合わないと思う。もう少し年齢を重ねてから読めばもっと楽しめたかもしれない。

【評価】
オススメ度3
読みやすさ2
意外性  3
長い別れ (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 長い別れ (創元推理文庫)より
4488131077
No.519
(1pt)

表紙カバーが

表紙カバーが無数のカビのように汚れていました。新品を購入したはずですが残念です。
ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection) Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection)より
4152090103
No.518
(1pt)

表紙カバーが

表紙カバーが無数のカビのように汚れていました。新品を購入したはずですが残念です。
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.517
(2pt)

漢マーロウ、ついに金持ちばばあ相手にやり逃げに性交する

不幸なことに丁寧に仕込まれた伏線に気付いて大筋がわかってしまった
ただそれは、半世紀以上も前に作られてすりきれるまで模倣されてしまって
模倣作の海をだいぶ泳いできたせいで、作者は、ちゃんと読者にフェアなミステリを提供していたから、読み取れたということだ。作者は、そうなるように書いた。
半世紀以上前のアメリカでアル中やデメロールの被害がこんなにあったのか
今回のマーロウは、ずいぶんマチズモにとらわれていて、こわもて相手に執拗にからみあげている
この時代の客は、そういうマッチョな男を求めていたのかな
いまだともっと、柔らかな物腰の櫻井ボイスの、このシリーズでいうところのカマ野郎主人公になるのかなって、それがまさに村上春樹の小説じゃねーか あれは、村上春樹版フィリップマーロウだったのか
やれやれ系ハードボイルドがここから生まれたのか
ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection) Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection)より
4152090103
No.516
(2pt)

漢マーロウ、ついに金持ちばばあ相手にやり逃げに性交する

不幸なことに丁寧に仕込まれた伏線に気付いて大筋がわかってしまった
ただそれは、半世紀以上も前に作られてすりきれるまで模倣されてしまって
模倣作の海をだいぶ泳いできたせいで、作者は、ちゃんと読者にフェアなミステリを提供していたから、読み取れたということだ。作者は、そうなるように書いた。
半世紀以上前のアメリカでアル中やデメロールの被害がこんなにあったのか
今回のマーロウは、ずいぶんマチズモにとらわれていて、こわもて相手に執拗にからみあげている
この時代の客は、そういうマッチョな男を求めていたのかな
いまだともっと、柔らかな物腰の櫻井ボイスの、このシリーズでいうところのカマ野郎主人公になるのかなって、それがまさに村上春樹の小説じゃねーか あれは、村上春樹版フィリップマーロウだったのか
やれやれ系ハードボイルドがここから生まれたのか
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.515
(4pt)

今までで1番読みやすい訳

分かりやすさ
田口訳>村上訳≧清水訳
ハードボイルドさ
清水訳>田口訳>村上訳
こんな感じでしょうか。清水訳・村上訳で首を捻った箇所が色々腑に落ちました。ただ、ハードボイルド小説を読んでいるという気分になれるのはやはり清水訳に一歩譲ります。
長い別れ (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 長い別れ (創元推理文庫)より
4488131077
No.514
(5pt)

面白かった。

最初は冗長に感じたが、後半は優れた展開で堪能出来た。ドストエフスキーの長編が、そうであるように。
ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection) Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイ (Raymond Chandler Collection)より
4152090103
No.513
(5pt)

面白かった。

最初は冗長に感じたが、後半は優れた展開で堪能出来た。ドストエフスキーの長編が、そうであるように。
ロング・グッドバイ Amazon書評・レビュー: ロング・グッドバイより
4152088001
No.512
(5pt)

最新リマスター版の如く

内容は今更言うまでもなくミステリ史に、いやアメリカ文学史上の金字塔のような名作。
昭和の翻訳ミステリらしい生硬な文体だが、たまらなく甘美な叙情を漂わせた清水俊二のポケミス版、愛するチャンドラーを訳す悦びに満ちた村上春樹翻訳。それら先達の訳業に比べて、今回の田口俊樹版は最もニュートラルで平易な読みやすい文章となっている。
音楽に於けるリマスター版のように、偉大な名作に相応しく読者は折に触れて好みのヴァージョンを手にすることが出来る。慶賀の至りに他ならない。
長い別れ (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 長い別れ (創元推理文庫)より
4488131077
No.511
(5pt)

王道

漢です。
噛みしめて読み返してます。
訳が異なるとまた新鮮です
長い別れ (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 長い別れ (創元推理文庫)より
4488131077
No.510
(5pt)

傑作は決して錆びることがない

エドワード・ホッパーの<Nighthawks>をカバー。田口俊樹堂々の新訳で読むことのできるチャンドラーの最高傑作。ううむ、何という贅沢なのだろう。

 ぼくがこの作品を清水俊二訳で読んだのは、一体何十年前なのだろうか。マイPCにレビューが残っていないということは、冒険小説フォーラムでレビューを発表するようになる前だから、パソコン通信以前のアナログ時代だろう。ハードボイルド読者になったのは、きっと二十代。私的には登山全盛時代。山の中でニューヨークやロスの私立探偵の物語を読んでいた。例えば大雪山系クヮウンナイ川をザイルや草鞋で遡行しながら、夜にはテントの中、酒を飲みながらヘッドランプでミッキー・スピレインを読んでいたことは今でも覚えている。

 少なくともPCやパソコン通信に参加したのは30代だ。チャンドラーのフィリップ・マーローも、ハメットのサム・スペイドも、亜流と言われたスピレインのマイク・ハマーなど、全作読んでいるはずだが、ぼくの読書ノートにはほとんど読後文章の類いが残されていない。

 それなのに、心の中に彼ら個性的な私立探偵たちはぼくの人生を通じて生きているような気がする。とりわけマーローは、ハードボイルドというジャンルの代名詞として。マーローに語らせる一人称文体は、磨き上げられたその成果として歴史に刻まれて然るべき存在だろう。文体こそが、ハードボイルドなのだから。

 ぼくの世代では、ネオ・ハードボイルドと言う言葉もよく使われていた。その中で一番のめり込んだのは、ローレンス・ブロックのアル中探偵マット・スカダーだろう。そこでこちらが一方的に親しく感じてやまなかったのが、田口俊樹という翻訳家である。記録によれば、現在までに田口訳作品を66作読んでいる。そして今日家に届いた新作が奇しくも田口訳、今日から67作目にとりかかろうとしているわけだ。

 その田口俊樹という翻訳家が書いた『日々翻訳ざんげ エンタメ翻訳この四十年』の読書会は昨春、コロナ下によりZoomで行われた。それにより北海道の僻村からも参加することができたのは幸運だった。田口先生とPCを通して動画での会話もできて嬉しかった。

 そしてとうとうこの≪『長い別れ』新訳刊行記念トークイベント(全国翻訳ミステリー読書会YouTubeライブ)≫にも、視聴者として無言参加。田口氏の柔らかく、楽しく、人間味たっぷりの翻訳裏話を聴くことができたのだ。感激ったら、ないよね。

 さて本作。4/28発行。ライブイベントは6/12であった。

 本来、一度読んだ本(清水俊二訳『長いお別れ』)を再読する時間はあまり取りたくない主義のぼくなので、本書についても翻訳者がたとえ村上春樹に変わっても(村上訳では『ロング・グッドバイ』)あまり関心がなかったのだが(ちなみに、村上訳作品は結構読んでいるのですよ)、田口先生のこのネットライブでの入れ込み度、そして本気度、この翻訳家がこの再々訳に取り組んだ経緯・意気込みなどをお聞きして俄然ふつふつと好奇心が湧いてきてしまったのだ。

 というわけで遅まきながら本書を取り寄せ、過去既読のストーリーに再度取り組んだのだ。なるほど、本作、チャンドラーの世界だが、いつもの田口訳の伝でやはりとても読みやすい。忘れていたディテールを追うにつれ、本書が少しも古びていない名作であるということもしみじみとわかる。

 半世紀以上前の作品なのに人間は、その頃も今も少しも変わらない。悲しく、愚かであり、情と非情をやむなく使い分けたり、損得勘定だけでは動けないくらいにものわかりが悪かったり、譲れないものを持ち合わせてしまっているために、自分自身が厄介ごとに巻き込まれたりする動物なのだ、そうでない軽々しい生き方は人間の屑みたいな存在になることを容認するか、人間であることをやめても構わないという後ろ向きの愚かな存在だ、云々。そんなことをぼくはマーローの言葉から勝手に読み解いているようだ。

 映画版も記憶に強く残る。大好きなエリオット・グールド主演、大好きなロバート・アルトマン監督の『ロング・グッドバイ』で1970年代に物語を移し替えたものだが(既にこの時代すら古いのだが)、年代ばかりではなく原作から大幅に転換し、探偵像そのものも変更した自由度の高い映画なので、こちらはアルトマン作品という別物として楽しみたい。何と言ったって『M☆A☆S☆H』の監督なのだ。自由にさせておいた方がよい人である。

 閑話休題。本作だが、さすがに詳細は忘れても、ラストシーンは覚えている。当然ネタばれモードでの再読となるが、やはり清水訳と異なるのは、現代の人間が、70年前の作品を訳していることによるからだろう。語り口のこなれ方を感じる。それが本書の魅力だと言ってよいと思う。

 僕の子供時代は、映画館へ入ると大抵、洋画の字幕は清水俊二だった。自分が俊司なので、親しみやすい名前なのだ。だからそれなりに清水訳にも思い入れはある。字幕と小説は違うと思うけれど。

 しかし、2022年現在の言葉で、それもこれまでもスカダーのシリーズを訳してきた筋金入りのハードボイルド作品の翻訳家によるものとなると、文章の流れは流石にスムースで、頭に入りやすい。それが本書の最もよいところだし、若い世代にもこの古い作品を読んで頂きたいなと思う。この文章なら読めるんじゃないか。この私立探偵をカッコいいなあと思えるのではないか。

 そもそも何故いろいろな方がチャンドラーを訳したいと思うのか。それを考えると、チャンドラーの良さもわかる。一人称文体、そのものがフィリップ・マーローという人物なのだ。会話も文体ともに、へらず口とメタファーに満ちている。説明文に入り込まない一人称ならではの、世界への批判や挑戦とアイロニー。文体こそが命と言ってよい。それがハードボイルドであり、それがチャンドラーだろう。

 本書では、日本語化された新訳での作品をストレートに楽しむことができる。また70年という時間を経てなお錆びることのない、人間と人間の間に起こる発火現象、せめぎ合い、駆け引き、情の繋がり、孤高の志といったものを伺読み取ることができる。ハードボイルドの手本となるのが頷ける教本のような一作だ。未読の方にも既読の方にも、変わらないもの、人間の起こす悲喜劇、卑しい街に生きるからこそ、しがみつくべき手綱のような誇りを、最後には味わって頂ければと思う。

 傑作は決して錆びることがない。半世紀後の未来では半世紀後の言葉でまた誰かがこの作品を新しく訳すことになるのかもしれないが、それはまた別の話である。
長い別れ (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 長い別れ (創元推理文庫)より
4488131077
No.509
(3pt)

新訳の意義はあるが、村上訳、清水訳には及ばない

本書はレイモンド・ソーントン・チャンドラーの第6長編"The Long Goodbye”の新訳版である。
 大昔に清水俊二訳で最初に触れて以来、村上春樹訳、そして田口俊樹訳と合わせて4回目となるが、スカダーものでハードボイルド・ミステリ翻訳者として評価を高めた田口氏の訳だけあって、たしかにスルッと分かりやすく読めた。村上春樹によるチャンドラーの新訳は全部読んでいるのだが、なぜか期待ほどの読後感ではなかった記憶があり、印象を確かめようと思って、せっかくなので続けて15年ぶりに村上訳「ロング・グッドバイ」を読んでみた。
結論としては、たしかに田口氏の訳は読みやすかったが、村上春樹訳、そしてチャンドラーを日本に定着させた清水訳に比べて、翻訳文体の格調やチャンドラーらしさという点で及ばない、というのが私の印象である。
たしかに、田口氏はハードボイルド翻訳に強く、私自身もローレンス・ブロックの「八百万の死にざま」や「聖なる酒場の挽歌」で読みやすい田口流ハードボイルド節を堪能したし、ミステリ翻訳者らしく本書のプロットも(無いに等しい小説だがw)わかりやすく、だからこそ読後感がスッキリしていたのだと思う。
 ところがその後、村上訳を読むと、村上氏が「ロング・グッドバイ」巻末の解説「訳者あとがき」で、「本当に意味での魂の交流の物語であり、人と人との自発的な相互理解の物語であり、人の抱く美しい幻想と、それがいやおうなくもたらすことになる深い幻滅の物語」(チャンドラー著、村上春樹訳「ロング・グッドバイ」(早川書房)「訳者あとがき準古典小説としての『ロング・グッドバイ』」P.554より引用)と記しているように、正に現代文学の頂点の一つに昇華するような、ミステリ小説という狭い枠を超えた読み物として、あらためて心に印象付けられた。もしかしたらそれは、田口訳によってプロットや語り口がミステリ小説らしく整理されたからこそ、再読して味わえたのかもしれないが。しかし、両翻訳を比較すると、今回の新訳は村上訳に比べて、翻訳を通じてとは言え、印象としてチャンドラーらしさが伝わってこなかった。そもそも、プロットを読ませる(味わう)小説ではないので、チャンドラーらしさ、いわゆる「チャンドラーの文章はあらゆる意味合いにおいてきわめて個人的なものであり、オリジナルなものであり、ほかの誰にもまねすることのできない種類のものだった」(チャンドラー著、村上訳、前掲書P.536より引用)とチャンドラーの文体の本質を喝破した村上氏のあとがきを体現した、翻訳言葉としての日本語の使い方も品格の高い村上訳に比べると、本新訳はよくできたハードボイルド小説の翻訳書に留まっている(そもそも、プロットを読ませる(味わう)小説ではないので)、というのがあらためて翻訳文体を比較しての感想である。
 あと一点、言及すべきは、巻末の解説についてである。本書「長い別れ」の巻末には、「訳者あとがき」と書評家による「解説」があるが、解説の冒頭がいきなり、「田口俊樹がレイモンド・チャンドラーを翻訳する。素晴らしいことである。」(本書P.584より引用)となっている。まあ、ミステリ・マニアからすると、"The Long Goodbye”の新訳で気になるのは翻訳者であろうし、また前述の通り本書には訳者あとがきがあって、田口氏がけっこう、解説の領域まで踏み込んで記しているので重なりも多く、冒頭からこうぶち上げたいのはわからないではないが、そもそも本書のターゲットはミステリ・マニアだけでなく(マニアならぶち上げなくても翻訳家の田口氏は知っているだろうけど)、初見・初読で創元推理文庫の本書を手に取るマニアでない一般読者もあろうと思うが、いきなり訳者の名前から解説を始められても戸惑ってしまうのではなかろうか。海外文学の名作だったら、各出版社から文体の異なる翻訳が出版されるのは当たり前なので、海外文学の名作に比肩する(あるいは入れられる)本書であれば、ミステリ初学者でもわかるような解説の構成にするべきと思料する。本書の解説はまさに、マニアックなミステリサークルの内輪受けと言わざるを得ない。同じ創元推理文庫の新訳の解説でも、ベンスン殺人事件(日暮雅道訳)の戸川安宣氏の解説は、「本書はS・S・ヴァン・ダインのデビュー長編・・・(中略)・・・の最新訳である。」(ヴァン・ダイン著、日暮雅道訳「ベンスン殺人事件」(東京創元社)P.385 戸川安宣「ファイロ・ヴァンス登場」より引用)と冒頭にあり、その後も、「ファイロ・ヴァンスの横顔」「ヴァン・ダイン作品の特徴」、、、と章立てして初学者でもわかりやすいように説明されており、せっかくマニアに限らず多くの読者を呼び込める本書なのだから、私自身はこうしたスタイルの解説が望ましいと思う。
 なお、解説の構成が散漫だとか、自己陶酔型の筆致や文体が好みに合わないとかあるが、それは個人の主観なので多くを語らないとして、一つ読んでいて看過できなかったのが、本書P.598 6行目「村上訳の特徴を一口に言えば中立的であることだろう。・・・(中略)・・・文句なしに及第点の翻訳と言うことができるだろう。」
「及第」の由来は、昔の中国で、科挙の試験に合格すると大きな屋敷で働くことに手が届く、とうことであり、よって、試験や審査に合格するという意味である。「及第点」は及第に必要な点ということであり、それもギリギリ届くというニュアンスなので、あまりいい評価ではないという、上位者(審査官)が下位者(受験者)に向かって使う言葉である。無論、翻訳(書)に資格や合格点がある訳ではないし、作家、翻訳者、評論家(書評家)は対等の立場だと思うので、村上春樹でなくても、訳者に対し「及第点」という言葉は失礼だと思う(文句なしに及第点とか日本語がよくわからないw)。私は点数をつけるなと言っているのではなく、評論家は良くないと思えば星2つとか、60点とかつけるのはおかしくないと思うが、この言葉を使うのは評論家としては失格だろう。
 私はハルキストではないし、この書評家の言葉によって、世界のムラカミの評価が落ちるとはこれっぽっちも思わないが、こうした言葉をそのまま世に出してしまう編集者、そして出版社の見識を疑わざるを得ない。出版不況の中大変だと思うが、評論家・書評家の育成も出版社の使命なので、短編ミステリ・シリーズの発刊などチャレンジしている東京創元社には不況に負けず、ミステリ業界のレベルアップに向けて頑張っていただきたい。
ちなみに、本書と異なり、早川書房の「ロング・グッドバイ」の村上春樹氏による訳者あとがき「準古典小説としての『ロング・グッドバイ』は、チャンドラーへの愛情に満ちつつ冷静な筆致と質の高い日本語で書かれた、この文章だけでもお金を払う価値のある巻末解説となっており、必読である。
 本書の評価だが、これだけの名作なら読者の選択肢を広げる意味で良いと思うので、新訳の意義としては十分あると思うし、田口訳のミステリ翻訳書のとしての読みやすさは高く評価できるので、星4つと言いたいが、解説で星1つ減点して3つとしたい。初読の人には、清水訳か村上訳をおすすめする。
長い別れ (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 長い別れ (創元推理文庫)より
4488131077
No.508
(5pt)

さよならをいうのはわずかのあいだ死ぬことだ。

1953年に刊行されたレイモンド・チャンドラーの長編六作目である。
アメリカ推理小説作家クラブで1955年の最優秀長編にも推薦されており、チャンドラーの作品の中でも代表的傑作との呼び声も高い本作は、一番ページ数の多い著作でもあり、読み応えも十分。そして匠の技をじっくりと味わえることは非常の悦びだ。

たまたまテリー・レノックスという片頬に傷を持った酔っぱらいと出会った私立探偵 フィリップ・マーロウは、なぜか嫌いになれない、そしてどこか危なっかしさを感じさせるレノックスに対し、無償の親切心を度々表す。
そして二人は、夕方の落ち着きのある時間帯のバーで、頻繁にギムレットを酌み交わす仲になっていた。
結婚生活と自分自身に対して自暴気味な態度を見せるレノックスはいう。
「アルコールは恋愛のようなもんだね。最初のキスには魔力がある。二度目はずっとしたくなる。三度目はもう感激がない。それからは女の服を脱がすだけだ」
或る日の早朝、レノックスは不意にマーロウの自宅を訪ねてくる。その手には拳銃があった。
またマーロウにトラブルが舞い込んできたのだった。

じっくりとした文体、比喩の巧さ、会話のセンスの妙味、切れ味鋭い語り口、クールなキメ具合、その筆力は成熟の域に達している。
また、登場人物も数多いが上滑りしておらず、それぞれが魅力的だ。
これは、マーロウの第一人称で進む語り口こそ従来通りであるものの、これまでの作品に比べてみると、対峙する人物たちの心情までマーロウが汲み取って述べているからこそ、それぞれのキャラが存分に立っているのだと思う。
マーロウも本作中において既に42歳である。彼自身のキャラクターも熟味を増しているのだ。

この稼業の人間にはよくあるように暗い路地で往生しても、悲しがる人間は一人もいない、とうそぶくマーロウ。
数々の登場人物たちとのやりとりも争いも、ロマンスめいた出来事も彼にとっては一抹の泡のようだ。
いつだって物語の終わりには、マーロウは独りに還る。
「ただ、警官だけはべつだった。警官にさよならをいう方法はいまだに発見されていない」
長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1)) Amazon書評・レビュー: 長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1))より
4150704511