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自己紹介
昔は読書は好きだったのに、10年ほどご無沙汰していました。
最近、ジェームズロリンズのマギの聖骨、ユダの覚醒を読んでから読書熱が再発、今に至ります。

読書は自然科学系の一般書が多くて小説は少ないです。
ジャンルを問わず、日経サイエンスの記事が好きです。

小説をレヴューするというのは簡単そうで実は難しいことに、最近になってやっと気付いてきました。
客観的に公平にレビューするというのは不可能なんだということに気付いて、主観に頼ることにしました。ですからabsintheのレビューは自分の主観だけで書いていながら、いかにも客観的に見せるという卑怯な主張になっています。
信念としてかろうじて貫こうとしているのは、著者の政治姿勢や自然科学理解の誤りを小説への批判として行うのは止めようというものです。ホロコーストを賛美したり戦争を挑発しそうな内容があったとしてさえ、それ自体は批判しないよう心がけています。小説は内容が面白いか、その一点が大事だと思いますし、あまりに酷いものは、わざわざ批判しなくても商業路線からは阻害されるでしょうし。
でも……言うのは易かったのですがそれすらも公平にやるのは難しいことも分かってきました。やっぱり主観が勝手に減点してしまっていたと、後になって気づいたりすることも多々ありました。
傑作の続編というのも評価が難しいです。その小説自体には価値があるとは思うのに、傑作の続編という期待には応えていないという場合に、手が滑って減点してしまうのです。意識してやめようとは思っているのですが客観性を保つというのはこういうときも難しいです。
でも、自分が頑張った結果、だれかが良作に出会えたらと思うとそれもまた楽しみです。
ミステリが好きになったきっかけ
小学生のころに読んだ「シャーロックホームズ」の子供向け短編集が、最初だったと思います。ミステリーってすごいんだと、純粋に思いました。

次に好きになったのは、これもまた小学校の時に読みまくった刑事コロンボシリーズです。テレビドラマはあまり関心がなくて、図書館で借りてきたノヴェライズのものを片っ端から読みました。それから、友人から借りた赤川次郎の三毛猫ホームズシリーズでしょうか。

(恐らく中学生の頃?)テレビドラマで見たのですが「ナイル川殺人事件」「検察側の証人」は凄かったと思いました。ミステリーのネタがすごいだけでなく、人間というものの様々な側面を見せられた気がしました。
好きな作品の傾向
本格ミステリよりも、ミステリー要素のいっぱい詰まった冒険小説、SF、それからスパイものなどが好きです。
つまりはホラーやサスペンスの方が好きなのかもしれません。
SAS、プリンスマルコのような少し古い冒険シリーズが好きだったりします。(1970年代!)
逆に好きでないものはファンタジーですね。

一番好きな小説はドストエフスキーの「罪と罰」。これは最高のお勧め小説です。生涯最高かもしれません。ミステリーでもありますがドラマでもあります。

小説はドラマだと思っており、ドラマとしてつまらないものはなんとなく評価が下がっています。
ドラマとして面白いものというのは、主人公に選択しと行動の責任があるような話です。absintheにとって、主人公に行動の自由がない作品はたいてい面白くありません。ある選択をすることもできるがしないこともできる。自分が夢をかなえることをあきらめれば、妹の病気を治してあげられるなど、主人公に選ぶ余地があるシーンです。選択権がなかったら葛藤も起こりません。
「ソフィーの選択」では、ソフィーがドイツ人将校に娘か息子かどちらかを差し出せと言われます。差し出せば殺されてしまうのは解っています。選べないというというとそれなら子供二人とも焼却炉だと言われ、ソフィーは究極の選択をする羽目になります。想像するだけで恐ろしい話ですが、親の身になってみればむしろ選ぶ権利など最初からなくて、有無を言わさず連れて行かれた方が心の負担も小さかったろうとさえ思います。ドラマとは主人公の選択だと思っています。選べるから悩むのです。
アクションものが好きなabsintheではありますが、命令を受けて兵士として黙々と任務をこなす主人公にはあまり共感しません。主人公に選ぶ権利がないからです。宣伝文句にありがちな、時間リミットぎりぎり、逃げ場がない、という設定は好きではありません。どんな人物でも逃げるしかないからです。たまにそういうシーン出てくるだけなら、ピリリと辛子が利いて美味しいこともあるのですが、続くとうんざりします。
読んでる間、はらはらドキドキできても、主人公に他に選ぶ余地がなかった場合は、主人公がストーリーに動かされているという評価を与え、少し減点しています。

蘊蓄を垂れる小説は大好きで、情報が豊富だとそれだけで加点しますが、やっぱり面白いのは知識よりも主観です。明日は晴れる、という知識よりどういうときに明日は晴れるのかという物の見方の方がもっと面白いのです。
論語にこういうのがありました。「その男に魚を一匹与えればその男は1日安泰である。その男に魚の取り方を教えればその男は一生安泰である。」
魚が並んでいるようなお話よりも、魚の取り方が書いてある小説に感銘します。
オススメしたい作家や小説
★好きなミステリー作品
ドストエフスキー「罪と罰」
  これは最高のお勧め小説です。生涯最高かもしれません。ミステリーでもありますがドラマでもあります。
ウンベルトエーコ「薔薇の名前」
  歴史小説ですが、寓意に満ちた物語です。現在の学会という組織を、神秘の迷宮を守る万人のように描きます。

★好きなSF作品
JPホーガン「星を継ぐもの」
  SFなのに、ミステリー要素に通じるものがあります。しかも解き明かされる謎は人類の歴史。ある意味ではこれほど壮大なミステリーは無いでしょう。

★好きな冒険もの作品
ジャックヒギンズ「鷲は舞い降りた」
  オススメです。でも、ミステリー要素は無いです。強いて言うと作戦は成功するのかしないのか?

ジェラール・ド・ヴィリエ「SASシリーズ」
  オススメは特にしません。ミステリー要素も薄いです。特に個人的に主人公の破天荒が好きです。

★好きな作家
アイザック・アジモフ
  この作者の作品は、高校生時代に片っ端から読みました。また、科学エッセイも面白くこちらも読み漁りました。でも、今見ると科学エッセイの方はずいぶん誤りも見られます。

ジェームズ・ロリンズ
  荒唐無稽と現実に起こりそうの境界線上をノンストップで暴走する感覚が面白いです。

アーロン・エルキンズ
  ギデオンオリヴァーシリーズ。骨の探偵の物語です。骨に関する蘊蓄が面白いのです。でも、最近はなんだかマンネリ気味かな?

HPラヴクラフト
  ラヴクラフトといえばクトゥルーと思う人が多いでしょうが、クトゥルー神が出てこない科学系的な小説が好きです。
  同作家でもランドルフカーターの出てくるものはファンタジーみたいで好きではないです。

ジェラール・ド・ヴィリエ
  SASシリーズしか読んでないですが。

absintheは、科学者は探偵だと思っています。小さな証拠を積み重ねて真実を突き詰めていくからです。自然はそれ自体がミステリーだと思います。
★好きな自然科学ノンフィクション。

スティーブン・ピンカー「言語を生み出す本能」
  人間の言語の獲得とその能力の秘密です。
ジャレド・ダイアモンド「銃・病原菌・鉄」
  歴史の面白さを教えてくれます。大変に感動しました。
リチャードドーキンス「祖先の物語」
  人間がいまのようになった地球時間の歴史がわかります。

レビュー数
79
最近のレビュー
8pt

天使と悪魔の感想

  () 【ネタバレあり】

映画を先に見てしまい、あらすじは解っていました。それでも楽しいと言えるぐらいよい本だと思います。上中下の3巻からなって長大な気がしますが、字が大きくて行も少ないので、普通なら上下巻位のボリュームでしょう。一気に読んでしまいました。ローマの名所が次々に現れる観光ミステリー風ですが、ストーリーはスピード感のあるサスペンスで、息をつく暇もありません。何せ強力な爆発物が仕掛けられていて、主人公には時間が無いのです。主人公は必死に知恵を絞り、敵の次の手を推理します。主人公のラングドンはダヴィンチコードで有名な美術史の教授です。次の手を推理するのに教会の彫刻にまつわる歴史や史上の文献を紐解いていきます。アクションやミステリーでもありますが、面白いのは教会の彫刻や歴史上の文献からいろいろ推理を見蔵競る場面です。科学と宗教の現在の対立についての議論も本書の価値を高めている気がします。特に新味のある切り口とも深いとも思いませんが。本書の進行方向と主張や議論がうまく溶け合っています。シグマフォースシリーズなど、本書の影響を受けたのは言うまでもなく、こういった歴史×陰謀×サスペンスの新たな風を起こしました。有名になったのはダヴィンチコードの方が先ですが、書かれたのはこの天使と悪魔が先だったようです。歴史×陰謀×サスペンスというと、クライブカッスラーのダークピットのような冒険者的なイメージでしたが、新たな風を吹き込んだ重要な位置にある気がします。タイタニックを引き揚げろ クライブカッスラー 1976年古代ローマ船の航跡をたどれ クライブカッスラー 1988年インカの黄金を追え クライブカッスラー 1994年コロンブスの呪縛を解け クライブカッスラー 2000年天使と悪魔 ダンブラウン 2000年 ★本作はこういう流れの中で書かれたダヴィンチコード ダンブラウン 2003年ウバールの悪魔 ジェームズロリンズ 2004年マギの聖骨 ジェームズロリンズ 2005年----ところで、映画を先に見たのですがずいぶん前のことで細かいことは忘れていました。なんとなくですが、映画で見たのとストーリーが違っている気がします。小説の方がメッセージは鮮明に感じた気がします。

6pt

正義の雷鳴―第14空母戦闘群1の感想

  ()

absintheには面白かったです。印象では★9くらいでしょうか。スピード感とスリルは満点なのですが、アメリカ人が戦争を描くとどうしてもこうなってしまうという、良くも悪くもお手本のようになっています。北朝鮮が、いきなり米国軍艦を日本海の公海上で拿捕して、半島まで曳航してしまいます。時間が限られる中、空母戦闘群による絶望的な救出作戦が始まります。戦闘場面はかなりの迫力で、こういうのが好きな人ならそれだけでも読む価値ありだと思います。政治的思惑よりもより、戦闘場面の迫力に重きを置いた作品です。戦闘機はバンバン撃ち落とされるし、SEALSや海兵隊も登場して地上戦まで起こるサービスぶりです。1990年代の作品なので、F14トムキャットやA6イントルーダーが健在で、そういった航空機が敵と戦うので好きな人には堪らない逸品になるでしょう。absintheは、キースダグラスを読むのは初めてでした。古本屋で一揃いセットになっているのを衝動買いしてしまいましたが、幸運な拾いものでした。とても楽しい本作にも難はあります。やたらと登場人物が多いのに違いが書き分けられていないのも感情移入を阻害しています。一人の人物を追いかけるのが好きな人には向いていないでしょうね。(absintheにも少し苦痛でした。)主人公は戦闘機パイロットで、500ページの中で最初の200ページは主人公でした。しかし続く200ページで場面が地上戦になってからほとんど出てこなくなり、クライマックスの地上、空中の乱戦にもう一度登場しますが、せっかく親しみを持ち始めた人物がこうやって隠されると、そこで続きを読む手が止まってしまうのですよね。人物に深みはありません。殺すとはどういうことか悩み始めたり、自分の腕が信頼できなくなってパイロットを辞めようかとまで思う人物まで現れますが、一過性の堰熱のように治ってしまいます。これは、スピードとスリルを楽しむためのものであって、戦争とは何か深く考えさせようとしたものではないのでしょうね。民主党嫌いの作者が書いた共和党万歳のプロバガンダとも言えそうなのりで、吐くほどではないと思いますが戦争賛美に嫌悪感情を持つ人は閲覧注意ともいえます。軍事用語が苦手な人は避けた方がいいでしょう。巻末に用語辞典がついていますが、これを見なければ意味がわからない人では外国語を読むのと変わりません。全編軍事用語ばかりなのに文中の解説は最小限です。最後の方で北朝鮮の本当の思惑が明かされます。後で明かされることですが、作戦は最初にアメリカが考えていたよりもずっと危険な賭けだったのです。北朝鮮にとって、勝てるはずの無いはずだったアメリカを敵に回した挑発行為。その思惑は何だったのか?それが唯一のミステリー要素でしょうか。

8pt

SAS/ロンドンスパイ連合作戦の感想

  () 【ネタバレあり】

SASプリンスマルコシリーズを知らない方は、こちらを参考にどうぞ。http://osudame.com/novel/N22646本作でマルコはシルバーマンというロンドンの要人がモスクワに行くまでの間の警護を依頼されます。今回はボディーガードとなるわけですが、国際的なテロリストに命を狙われているためCIA、KGB、MI6までが手を組んで皆で一人を守ろうとするのです。こういった展開ではお約束ですが、異なるスパイ組織は当然のことながら仲良くはできません。足の引っ張り合いが起こります。しかも中には裏切り者もいてテロリストに情報を流しいる疑いも持たれます。頭脳明晰で数億ドルの商談をまとめまくる敏腕ビジネスマンのシルバーマンですが、女の扱いはへたくそで、一人のじゃじゃ馬に振り回され、マスクワ行きを遅らせているのはそれだけが理由という情けない状態にあります。本作はある意味シリーズの中では異色でマルコはあまり動きまわりません。格闘や銃による対決はあるのですがとても控えめです。今回は敵の攻めを防ぎきるのが仕事ですから。種馬マルコは今回も下半身が暴走します。シルバーマンが寝ている部屋のソファーで女子大生とXX……、しかもその同じ晩にシルバーマンが寝ている横でその愛人とXX……。仕掛けてくるのは相手なのだからしょうがないのですが、少し拙僧がないマルコです。★パメラ・ライス ニコラス・シルバーマンの愛人 座ったまま、パメラは、マルコを見つめながらストッキングに手の爪を這わせていた。自分の引き起こしている気まずい状態には気づいていないようだった。獣のような目をマルコに向けたまま、彼の魂を剥ぐかのように、長い髪を前に垂らしたまま手の動きを続けた。スーツのベストも前が開き、そこから、小さな胸がのぞいていた。マルコは、いかつい手、勝気で無愛想な物腰といった、男性的な雰囲気をところどころに感じさせるこの女性に、それでも不思議な魅力を感じていた。 ★ジーナ・サベット レバノン女 シルバーマンの愛人 女子大生 大柄で、褐色の肌をした、いかにも、地中海育ちといった女だった。それほど美しいとは言えないが、肉感的な丸顔、奇妙な形をした大きな黒のフェルトの帽子。黒いスカートは、歩くたびに、下腹部が覗けるほど、深く割れている。その上、女中のような手をしている。つまらない作品に分類しようとしましたが、ラストでうーんとなり評価が変わりました。使い振るされた手でだいたい読めてしまうのですがジーンとします。

6pt

すべての旗に背いて ロビン・モナークの感想

  ()

元CIA職員が正義の泥棒になったという感じです。主人公のロビンはロビンフッドにでも因んだのでしょうか?巻き上げたお金はこっそり貧しい人たちに……という設定がちょっと古めかしいというか、時代を一回りしてかえって新鮮というか、評価は簡単ではありません。私が何度か旅行したモルドヴァが出てくるので、それだけを理由に買って読んでみたのですが、思わぬ拾いものだった気もします。アクションは面白いです。盗みに入るシーン、誰かに見つかってごまかすシーンなどは読みごたえがありました。また、マフィアとかかわりになり、困難な盗みを強制されてしまうのですが、そういった設定も面白かったです。ラストはハリウッド的爽快な終わり方でころも好感が持てます。流行りの今風の小説らしく、場面転換は早く次々と新しい舞台に移ります。でも、各国の描写は何だか平たいです。これだとどこの国を描写してもあまり変わらないかもしれません。こういった所謂冒険ものは新しい主人公像を求めています。女に対して優しいか、潔癖か、だらしないか、風貌は優男かマッチョか、その他欠点は、特殊能力は……、考え付く限りの組み合わせが試されていて、新しい人物像がなかなか生み出せないのが現状です。特にハードボイルドタッチの場合は寡黙な男が多いので、どうしてもどこかの小説とキャラクタが被ることになります。義賊という設定はそれほど斬新とはいえませんが、最近は確かにそういうのが少なかったようにも思います。なんだか同じ主人公の今後の活躍には期待してみたいです。主人公像は、Jディーヴァーの追撃の森に出てきたハートを思い浮かべました。(本作の主人公ロビンの方がずっと純朴でかつ女に弱いですが。)現在はよほど変わった特徴を持たせないとなかなか記憶に残りにくいのです。どこぞの映画では足の代わりに機関銃をつけた女なども登場して、そこまでしなければ新味が出せないのか!と驚いたのを覚えています。作家も苦労することでしょうねぇ。義賊となったロビンモナークの今後の活躍に期待します。

7pt

デセプション・ポイントの感想

  () 【ネタバレあり】

歴史×ミステリーが好きだと言っておきながら、ダンブラウンは初めて読みました。「天使と悪魔」や「ダヴィンチコード」は既に映画で見てしまったのでそれ以外と思って探していたら、テーマも好みに合いそうな本作をこのサイトで見つけました。ダンブラウンは、もっと歴史蘊蓄を語るのが大好きといった思い込みをしていましたが、本作は期待とは違っていました。それでも科学空想+政治陰謀といったabsintheの大好きなジャンルでした。本作は、NASAが北極で科学上の大発見をしたけれども実は発見は捏造で、それは誰が何のために仕組んだのか?という流れで進みます。発見が捏造であるというのはネタバレではありません。冒頭の4ページで読者にばらされています。タイトル自体がデセプション(欺き)ですしね。NASAの存続を標榜する現職大統領とNASAの分割民営化を訴える上院議員の対立と、捏造を隠ぺいしようとする組織と暴こうとする主人公たちの対立が見ものになっています。最後には実は黒幕が……という大どんでん返しがあって仰天します。(absintheは、すっかり騙されました。少しズルイとは思いましたが。)そしてラストにもう一回ぎゃふんとさせられサービス満点です。まったく想像で根拠なしに、ダンブラウンという作家はもっと繊細で緻密なのかと思ってましたが、ケレン味たっぷり豪快で大胆な作風で、アクションも冒険ものに引けを取らないくらい面白かったです。ダンブラウンは、むしろジェームズロリンズやクライブカッスラーに近いのですね。absintheは大満足ですが、アクションより緻密な話が好きな人に向いていません。悪の陰謀組織と暴こうとする正義の人という単純な勧善懲悪はかろうじて避けています。しかし、賄賂の話や陰謀に加担する人々の描写はやっぱり紋切り型の感がぬぐえません。政治駆け引きに関する会話は、全体的に底が浅い印象を受けました。NASAをめぐっての討論でテンチがいう「NASAを全廃か存続かの2択で答えなさい」という問いかけは幼稚で、トンデモ論者に典型的によくあるパターンです。「お前、先生が死ねって言ったら死ぬのかよ。」みたいなレベルであまり知性が感じられません。こんな挑発に簡単に乗ってしまうセクストンも情けなく、NASAの諸問題を討論の時にはじめて考えたようにしか見えないのです。ある程度単純化しないとスピード感が損なわれるので致し方ないのですが、良くも悪くも底の深さよりスピードを優先した作品となっています。発見が捏造であることは既に読者に明かされているので、小説の冒頭から捏造が暴かれるまではだいたい先が読めてしまいます。途中で急展開してから俄然面白くなってきて退屈だったことなど忘れてしまいますが、それ以前に止めてしまう人もいるかもしれないと思うと残念です。absinthは読み終わるまで知らなかったのですが、本作も映画化されていたようで、確かに映画化しやすい話だなぁとは思いました。absintheはまだ未見です。

6pt

深海のYrrの感想

  () 【ネタバレあり】

どんな小説なのか表題からわからず、そういう意味でこういうナンセンスな表題はそれだけで面白いです。書店でチラリと見かけてどんな内容だろうと想像しながら手には取らず前を横切っていて、想像だけたくましくしていた本です。ストーリーは要約すると、大人しかった海洋生物たちが人類に対してまるで悪意を持ったかのように攻撃を始めるのですが、人類はなにが起こったのか理解できず、科学者を集めて究明と解決に乗り出すというものです。人類による環境破壊を攻撃と解釈した何者かがいるのかもしれません。ところで人類は情けなくも足並みがそろわず、国家間や役所間の壁に阻まれなかなか手を合わせることができません。その間にも次の災厄が……。といった話です。災厄の場面は、読みごたえがありました。環境問題あり、深海の謎の知性とのコンタクト有り、アイデアてんこ盛りです。しかも後半はアクションもあり、クライマックスには戦闘まで起こります。上中下の長大なストーリーですが最後までほぼ楽しく読めます。海洋生物の描写にはこだわりがあったようです。人類への攻撃に加担する様々な海洋生物は、その特徴や能力が生かされるのですが、へぇそんな生物もいるんだぁと本小説で初めて知った事実も多く、勉強にはなりました。同著者の作風は全般にそうですが、将来にも交わることのない様々な人物が現れては消えていきます。誰が主要人物なのか解らないうちは、新たな人物が登場するたびにまたかぁと思って手が止まってしまうのですよね。上巻が特に苦痛でした。でも上巻さえ抜けてしまえばあとで挫折することは無いと思います。全体は、明らかに詰め込みすぎで、テーマをそれぞれ別の小説にしたらそれぞれ良作になった予感もします。

7pt

SAS/ラオス黄金の三角地帯の感想

  ()

SASプリンスマルコシリーズを知らない方は、こちらを参考にどうぞ。http://osudame.com/novel/N22646プリンスマルコはCIAの協力者ですが、今回の相手はCIA内部です。世界の阿片の半分を生産すると言われるメコン川流域で麻薬組織と対決しますが、CIA内部に敵がいるのです。(ネタバレではないです、冒頭で読者に明かされます。)本作のマルコは、アクション控えめで足を棒にして証拠集めに奔走する探偵のような存在です。当時、1970年代のアジアがどんなだったか垣間見ることができます。今回の相手となるCIAの責任者チ・ヴィラールは私欲で動く悪人とは異なり、国家への忠誠心から嫌々ながら麻薬仕事に協力しているのです。対決には哀愁が伴います。調査の依頼人デヴィッド・ワイズは本作以外にも登場するCIAの大物で、ワイズの息子は同じ調査で命を落としています。マルコは1ドルで彼の依頼を引き受けました。任務の合間に協力者の少女のために結婚式の真似事までしてその両親を安心させようとするマルコ。目の前で死んだほとんど見ず知らずの協力者の亡骸にそっと花を手向けるマルコ。あそこも堅いが義理にも堅い男なのです。酔っ払いがシャンパンを開け損なってコルクを壊してしまうと「こうやって開けるんだ!」とばかりにボトルの首を吹っ飛ばすマルコ……さすがはフランス作家。マルコシリーズでは登場する女性が大事です。以下を参考にどうぞ。★ウボル タイ人少女  娘は小さな胸の線をくっきり見せる黒いシャツブラウスを着、少年のような腰、信じられないほどほっそりした胴回りで、人形を思わせた。分厚い唇、小さな鼻、非常に細い目、それらが官能的であると同時に、おびえたような感じにもしていた。 服を脱がしにかかると、シャツブラウスと黒ズボンの他には、黒いレースのごく小さなパンティしかつけていなかった。マルコはその見事な体に見とれた。小さな、引き締まった乳房、弓型に反った尻、肌はサテンのようにつやつやしている。★シンシア バーの女主人 最初、女神カリピュグスさえねたみそうな腰部へと続く、非の打ちどころのない、むしろ逞しいまでの曲線を描く長い脚が見えたきりだった。それらが、どぎつい緑色のパンタロンにぴったり包まれている。次いで、カウンター越しに体を伸ばして氷のかけらを取っていたその若い女は、体をまっすぐにしてドアの方を向いた。 ひどく長いまつげに陰影をつけられた、いかにも純真そうな青い大きな目に、マルコはショックを受けないわけにはいかなかった。

7pt
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SAS/チェックポイント・チャーリーの感想

  () 【ネタバレあり】

ソ連のミサイルの秘密を知る、かつてノーベル物理学賞まで受賞した老科学者を西側へ脱出させるお話です。その為に、マルコは何とかベルリンの壁を突破しなければならなくなります。今回も、敵も味方も多くの人が死にます。SASプリンスマルコのベルリンの壁脱出作戦のはじまりはじまり……ラスト、明かされる老科学者が話したソ連の秘密とは?SASプリンスマルコシリーズを知らない方は、こちらを参考にどうぞ。http://osudame.com/novel/N22646地元マフィアの地下室で繰り広げられる隠微なパーティーの描写が妖しさ全開です。例によって、XXもするし、痛そうな拷問シーン、アクションもあってケレン味たっぷり。本作も面白いですよ。ラストの銃撃戦は凄まじく、車が穴だらけの蜂の巣状態になる様が目に浮かぶような迫力です。本作には、シリーズで長くマルコとお付き合いするクリサンテムとアドラー伯爵夫人が登場します。本作に登場する美女★サマンタ・アドラー ドイツ女 武器商人 美女ですが峰不二子のような存在で、贅沢に目の無い女です。本作に限らずシリーズに何度か登場していて、そのたびにマルコの味方だったり敵だったりします。本作では敵でしょうか味方でしょうか?男性はこういう悪い美女というのが堪らなく魅力的に見えたりします。★ソルヴェイグ・メリカ フィンランド女 東ドイツに滞在している女子陸上強化コーチ ブルーの目をした健康そうな若いブロンド美人。マルコは、ウールのセーターに細部までくっきり浮き彫りにされた素晴らしい彼女の胸を、見つめないでいることができなかった。ソルヴェイグは、男性化した伝統的な陸上選手とはまるきり似ても似つかなかった。シュナップスが頬を薔薇色に染め、目の中には、きらきらと星が踊っていた。健康美あふれる陸上選手だそうです。美と健康の女神。……異性のアスリートにあこがれ、胸をときめかせた経験は誰だって一度ならずあると思います。きっと健康な子孫を残したい生物の本能に基づくのでしょう……【ロンドン五輪出場】世界各国の美人アスリート30人の画像まとめ http://matome.naver.jp/odai/2134396633034928501ベルリンの壁を誤解して東ドイツと西ドイツの境界線だったと思っている人が、若い人には割といるのですね。(スパイものが好きな人に、そんな人はいないでしょうが。)ベルリンは東ドイツのど真ん中にあって、ベルリンの東側と西側がそれぞれ東ベルリン、西ベルリンと呼ばれており、西ベルリンは西側諸国の飛び地でまさに陸の孤島となっているのですね。その西ベルリンをぐるっと囲むように建てられているのがベルリンの壁なのです。本作の題名、チェックポイントチャーリーはベルリンの壁を通り抜ける検問所の一つです。検問所を徒歩で通過しようとする緊張のシーンがダブるので、最近「寒い国から帰ってきたスパイ」を再読したついでにこちらも再読しました。

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『星を継ぐもの』シリーズ4作品 新版化月面で発見された5万年前の死体はどこからやってきたのか?ハードSFの巨匠ホーガン不朽の名作第12回星雲賞海外長編部門受賞作【創元SF文庫60周年記念新版】月面調査員が、真紅の宇宙服をまとった死体を発見し

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レジスタンスの英雄だった老富豪が、北フランスの館に親族を呼び寄せた矢先に不慮の死を遂げた。

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地位も名誉もある男たちの事故死。病院に入院している少女の不審死。

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1953年にアメリカのSF雑誌「ギャラクシー」に連載され、1954年に刊行された。