レビュー一覧
absinthe さんのレビュー一覧
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小説の詳細ページを閲覧すると、ここに履歴が表示されます。最近閲覧した小説詳細ページへ簡単に戻る事が出来ます。
体裁は少々複雑で、主人公はバスカヴィルのウィリアムと見習修道士メルクのアドソの二人なのですが、ラテン語で書かれたアドソの手記を「私」が現代に訳したものという形で書かれています。修道院で連続殺人事件が起こり、二人が解決していくというミステリー作品です。
歴史ものが嫌いな人には苦痛もあるかもしれません。当時の宗教論争や修道会や教会の名前がこれでもかと出てきます。しかしながら、テーマの求心力がとても強いので細部を読み飛ばしてもついていけなくなることはまずありません。amazonのレビューを見ると、バチカンと教会の関係、当時の歴史的勢力図など頭に入って無いと読めないかのように解説する人もいますが、それほどではありません。ちなみにabsintheはそういった解説に書かれていた内容は全然知りませんでした。
そういう意味で、知識をひけらかしたいという動機見え見えな、うんちくを列挙してばかりで内容の無い凡百の小説とはずいぶん異なっています。
登場人物が多くて覚えるのも大変ですが、読みにくい感じはせず最後まで一気に読めました。「罪と罰」や「星を継ぐもの」と並んでミステリーでは私の生涯ベストに入ります。
著者のウンベルト・エーコは記号論の大家で哲学者です。哲学の中で重大なテーマに、テキストとは何かという論争があります。ウンベルトエーコの生涯の研究テーマだったようで、本書でもその問いかけが随所に見られています。
この哲学上の問題を知っているとより楽しく読めるのです。テーマは哲学ネタや神学論争ばかりでもなく、知識の迷宮と化した現代の大学の在り方や学問の在り方への批判なども見られ、読めば読むほどその奥深さに驚かされます。教会の様子が現代社会の暗喩にもなっているのです。
ここまで読むと、教養の押し売り小説のようにも見えてしまうのですが、押し付けがましくはありません。ページをめくるたびに、厚みのある教養と知識が読者に襲いかかってきますが、若手の教師にありそうな「ここに板書した範囲は来週までに暗記して来い!」みたいなのりはなく、優しい老教授が「覚えられるだけ覚えてきなさい。あまり無理せんでな。」といってくれるような印象です。師弟の師にあたるウィリアムの設定が、人間として丸くなっているからだと思います。彼は若いころは熱血漢だったのに理想に燃えすぎることや偏狭さがどれだけ恐ろしいかを知って、考えを改めてきた者として書かれています。異端審問の恐ろしさを語る彼のセリフにそれが現れています。
absintheが何度か再読した少ない小説のひとつです。私の脳力では残念ながら魅力をうまく紹介しきれません。私に読み切れなかった奥深いテーマがまだまだたくさん眠っていそうです。absintheは偶然に、本書を読む少し前に筒井康隆の「文学部唯野教授」を読んでいたので記号論のテーマにピンときました。記号論やテクストとは何か?というテーマをご存じない方は、「文学部唯野教授」を先に読んでおくことをお勧めします。こちらも楽に読めて勉強になる作品です。他に「ウンベルトエーコの読みと深読み」「ウンベルトエーコの文体練習」など読んでおくとさらに楽しさ倍増と思います。
また、同著者ウンベルトエーコの「フーコーの振り子」もまた楽しい作品で、こちらも記号論といいますか、言及と解釈の問題を扱っています。
▼以下、ネタバレ感想