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共喰い
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共喰いの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.19pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全192件 161~180 9/10ページ
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受賞後のインタビューで「もらって当然」と豪語した田中氏の作品。どれほどのものかと期待と不安が入り混じりながら掲載紙の文藝春秋を手に取った。結論から言うと、芥川賞受賞作は毎回読んでいるがさほど大した作品ではない。父が主人公の恋人を犯してしまった後あたりはスリリングな描写が光るが、作品全体としてはコアになるモチーフが象徴的に立ち上がっておらず、ディデールのここかしこに広げようとして広がり切らない描写が眼につく。それは本作の長さ--(文藝紙の制約と言ってもいい)--では表現しきれないためだろう。著者はもっと長い作品を書くべき資質なのだ。選評で宮本輝氏が「何物かの鬱屈した怒りのマグマの依って来る根をもっと具体的にしなければ、肝心なところから腰が引けていることになるのではないか」と受賞に最後まで反対したとある。石原慎太郎氏だが、--(石原氏の政治的姿勢やその傲慢さには辟易するが)--作品の批評眼は客観的かつ正確だ。氏はこのような選評をのこしている。「田中氏の資質は長編にまとめた方が重みがますと思われる。」かつ受賞後のテレビコメントでも「芥川賞レベルまでは達していない」とあった。僕もお二人の意見に賛同する。しかし、20歳前後から書き始めかなり研鑚を積んできたらしいが、20年近く経てこのレベルでは才能の程度はおのずと見えている気がする。だが、せっかく受賞したのだからぜひ長編にトライしてみてほしい。 | ||||
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受賞会見の発言を見て本を読んでみたいと思ったひとりです。 読んだ感想について 「川の悪臭が文字から臭ってくる初体験をした」です。 この本の中で繊細な部分の表現を読んで 記者会見の田中さんの、本質の中の田中さんを読んだように 思います。 賛否両論さまざまな意見が書き込まれているというのは とても良いと思います。 その場を与えてくれた田中さんに感謝します。 読むかどうか迷っているのなら 読まれた方がよろしいのではないでしょうか。 | ||||
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なんとなく最近読んだ水上勉を思い出す作品でした。モチーフや文体は全く違いますが、土地への土着性と生育環境の類似性といったきわめて個人的なところから文学世界を成立させて作家自らを切り売りしている、これをまさに純文学とでも言えばよいのでしょう。その意味では、記者会見でのシニカルな物言いのスタンスとは真逆の、筆者自身に正面から向き合ったのであろう非常に真面目な作品でしてた。 個人的には幼少時から親しみのある広島弁と文中のことばが近いこともあり、いろいろ少年時代や祖父祖母を思い返させてくれました。万人受けする作品ではないと思いますが、誰かにとっては必要な作品です。他の作品も読みたいと思います。 | ||||
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下・下・下の引き篭もり妖怪の空想本?ストーリーは単純、情景描写だけがうだうだと長き文言を偏執的に並べてるだけのくだらない本でありました。母が田中氏の芥川賞受賞インタビューを見て、「石原都知事に喧嘩売っちゃって面白い人だね、読みたいからネットで買っといて!」って言うものだから購入しました。旅先での時間つぶしにと考え、先に私が読んだのですが、年間20冊程度のにわか読書家には芥川賞の評価基準自体に不審不満を強く感じただけでした。母には「読む価値無いよ!」とご注進しました。 | ||||
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田中慎弥「共食い」を読了。テーマといい、内容といい、これまでの日本文学のフォーマットにのっとった作品です。性や暴力から人間性をあぶりだし、そして地方の土着的な思考を織り交ぜています。 このようなテーマなのに、読後は荒んだ気持ちにならず、逆に清清しい気持ちになります。それが作者の力量なのでしょう。不思議です。理由の一つに登場する女性に悪い人がいない、というのがあるのでしょう。 そして何より、文章が読みやすいのです。いい作家さんです。鷺の記述なんかは感動しました。 男読者の感想ですが、そういった点が「清清しさ」の源泉であるように思えました。 いい作品です。祝芥川賞。 | ||||
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芥川賞受賞ということで、かつて読んだ作者の『切れた鎖』いらいの鑑賞。あの頃の難解な文体そのままに、格段に読みやすくなっていて、この作者のたゆまぬ向上心にまずは脱帽するばかり。そして、内容もさらに深化され濃密な絵画的世界に圧倒されました。いつの時代も男は女を虐げることで、この社会を造り出している、それでも女は戦うことを止めない。それはやはり子供のため、例えその子供にも暴力の芽があろうとも。そんな力強いメッセージが、僕の心に響きました。高校卒業から小説を書くことしかしてこなかった、そんな作者を支え続けてくれた母への深い感謝も行間に満ちています。納得の芥川賞受賞作でした。 | ||||
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記者会見で著者のことを知りました。 興味本位で手に取ったのは確かです。 でも暗くてドロドロした話が好きな私はハマってしまいました。 文章が難しいのでスラスラは読めませんでしたが面白かったです。 | ||||
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モノクロで映画化すると宮本輝の「泥の河」みたいになりそうな。 性描写がキツいのが今時風。 臭い迄伝わりそうな情景描写は純文学的でやたら丁寧,というか古風。 登場人物の中で肝になる父ちゃんは正直子供が主人公の本にはよく出てくる類のキャラだが印象弱く,義手の母ちゃんに比べて描写も薄いのでタイトルにあるテーマの暗い深さが強く伝わって来ない。ページ数からみて展開が読めてしまうから個人的にはもっと長編で心臓バクバクになる位とことん迄煮詰めて欲しかった。まぁこの文章で長いのは辛いかもだけど。 人の業を描いた作品でも軽いタッチでスラスラ読める「苦役列車」と文章は対照的だが業の深さがリアルで怖いのは「苦役」の方では。 描写のくどさが賞につながったのならちょっと残念。 個人的にはもう一編の「第3紀層の魚」の方が響いた。 | ||||
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しつこい描写に読み始めはうんざりしたけれど、読むうちに著者の優しさを感じた。 女の人に優しい人なんだろうか。 女の人に暴力をふるう話なのに、女の人を大切に描いている。 仁子さんの強さと愛が好き。 『第三紀層の魚』は、それぞれの静かな心の動きが『共食い』の強烈さを中和させてくれた。 | ||||
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読解力がない自分に唖然としながらレビューさせていただきます。 細やかな描写や、生臭さを感じさせる文章は、読者にとって、好き嫌いがハッキリわかれそうです。 が、私はそのどちらにも行けません。 生々しい表現や思春期に芽生える葛藤など、えげつないほどのエグさを感じました。 そして、このラストが母性からくるものであるのなら、短絡的だと思います。(私の頭が短絡的なのでしょうが…) もう、ただただ、おぼえたてのオナニーを思いきり見せ付けられた…そんな感じです。 もう一度、読み返せば、感じかたが違ってくるのでしょうが、作中で頻繁に出てくる気色の悪い鰻は、暫く見たくないです。 多少のグロさや、やるせない気持ちにも、持ちこたえられ、それらを昇華できるかたにしかお薦めできません。 | ||||
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「共喰い」のレビューです。 会話文の訛りがキツかったり、情景描写が難解だったりと読書をあまりしない人にはオススメ出来ない作品でした。 去年の芥川賞受賞作品「苦役列車」「きことわ」は初心者でも読める作品であっただけに、それとは対照的といえるでしょう。 頑張って5分の4ほど読んでしまえば、あとは一気。面白かったと言える作品になる思います。 この小説は、主人公・遠馬の心情を徹底的に追い求めている作品ですが、そんな中にもその他の登場人物の心情も垣間見れ、 物語全体を俯瞰できるところに面白みがあると感じました。暗いストーリー展開でもラストは温かく?締められ、 読み手のことを深く考えられた小説であることは間違いないでしょう。 70ページ程度の短い作品でありますが読み応えバッチリの重く、温かい作品です。 これから読む人はちょっと力入れて読み始めてください。 >読書時間:1時間強程度 | ||||
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他者に対する父親のふるまいが許せない。父の血が流れる自分を許せない。というそぶりをするが実は自己愛の塊の主人公。 家庭はもとから崩壊し、家庭の体を成していない。 しかし、集落の祭りには参加し、共同体の一人として役割を果たしてはいる。 よくわからない。 でも、何か文学的な感じはする。ストーリーに起伏もある。中途半端な感じがまた煮えきらなくていい。 何より、細かい描写がいちいちうまくて気取っている。文章を書くのが本当に好きな人だね。 「アパートの女の目は異常なほど澄んでいた。」の後、 「夢に見たこともない別な人生が通り過ぎてゆくのを眺めているに違いなかった。」なんて、ちょっくら思いつかないもん。 こういう会心の一撃風の文がいくつもある。 一部の選考委員はこういう技巧を嫌いかもしれないけど、こんなに一所懸命自分の文章を磨いて温めて愛撫している人には、やはり賞をあげてよかった。 | ||||
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自らが持っているもの以上のものは、生み出せない あの席で見せた生身の繊細さを評価したい 【狂気】ってものは、まだまだこんなもんじゃないぜ コトバあそびの域を越えて、テーマだのタブーなんかそっちのけで、もっと狂って、化けてくれ | ||||
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話題の人になった著者ということで読んでみました。 昭和の片田舎のドロドロ感がよく出た小説。 宮本輝さんの「泥の川」とか水上勉さんの「猿籠の牡丹」 なんかをちょっと思い出してしまいました。 文章も凝っていて日本文学の王道系ってところです。 新鮮味はありませんが、今後も地方の雰囲気を伝える 純文学作家として大成してほしいなと思いました。 | ||||
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嗚呼、俺も年とったんだな〜というのが第一印象。 俺もあの頃だったら、この本を読みふけったかも知れないな、と。 だから今言えることは、でもあまりにもグロかったら、引くかも知れないということ。 でもあの頃の俺だったら物足りなさを感じてしまうでしょう、きっと。 親子関係の感情の満ち引き。芽生えてくる青春期の男の欲望と女の羞恥。 そして青年の成長。 家族や知人、友人関係で思い悩む者たちが丁寧に刻み込まれているのと思います。 ただやはり年とって欲望が萎んでいく自分を感じてしまい、 何ともやるせなさを感じさせて頂いた一冊でした。 | ||||
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あの会見を見て面白半分で買ったのですが、今は読んでよかったと強く思います。 私は普段、自分にとって読みやすい文体の作家さんの本を何冊か読む程度しか読書をしないので、正直最初はとっつきにくく、内容がなかなか頭に入らないのを無理矢理読み進める感じでした。 途中でリタイアしそうでしたが、後半からは内容も文章も急展開。ここからは一気に読んでしまいました。 正直、私には一回読んだだけでは100%は理解できず、自分の解釈が正しいのかも分かりません。だからこそ、自分なりに理解できるまで何回も読みたいと思えたのです。 また、この物語の暗さがよく伝わりました。描写が細かくて繊細だなと感じました。 | ||||
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作者の田中慎弥さんの会見を見て、どんな文章を書く人なんだろう、と興味がわき、早速購入しました。 正直なところ、読んでいて辛くなりました。性欲と暴力をコントロールできないどうしようもない父親、それでもそばにいる女性たち・・そしてその父親からうけつぐ血に翻弄される主人公。どうしようもないけれど、それが人生なのだ、前を向いて歩いていかなければいけないのも人間だ・・・と感じました。 田中さんが自室の中であらゆる人物像と格闘した上で、誕生させた登場人物たち。 ご自身の生れた下関が舞台のようですが、独特の匂いを感じます。壮絶なラストです が、これも現実なんだ、という妙にすがすがしい読後感でした。田中さんの他の作品も早速読んでみたくなりました。 | ||||
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滑らかで、流れるような文章で、冒頭からぐっとひきこまれました。 だけど、一昔前の文学作品のような文体でとっつきにくく、 自分の読書能力では、つっかえつっかえやっと読み終わった感じ。 だからこそ、また読み返したくなる。 この方の書かれる文章は、衝動的で暴力的な雰囲気の内容とは対照的に、 とてもやさしく、繊細だなぁと思います。 | ||||
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思春期の頃の親や異性や自分に対する葛藤やうまく処理できない感情がズブズブ伝わってきた。ヘドロの臭いや酸い匂いがまとわりつく。純文学を味わうとはこういうことなんだと、鈍りつつあった嗅覚を取り戻した気分。男とか女とか関係なく、必死に生きている人なら誰もが共感できると思う。 リアリティを感じられなくてつまらないと批判する人は、想像力がなく、サクサク読める簡単なエンタメものだけを小説だと勘違いしているからでは? | ||||
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芥川賞の受賞会見が物議をかもした田中氏が、一体、どんな小説を書くのだろうかと、興味津々で 読んでみた。 舞台は、昭和のおわりの「川辺」という貧しい海辺の田舎町。下水道の整備が進む前で、家々の汚 水が川に流れ込むため、夏場は激しいにおいを発するという場面設定である。主人公は、遠馬とい う人物。彼の父親は、異常なまでの性欲を持ちセックスの時に相手を殴るという性癖を持つ。遠馬 自らの血に流れる「性(さが)」や「業」を下敷きにしながら、重苦しく暗いトーンで物語は展開し ていく。 やはり、小説としての質は高いのだと思う。奔流のような勢いを持つ人間の本能的欲望に抗うこと の困難さがよく表現されているし、「赤犬」や「蝸牛」などの動きを隠喩的に使いながら、微妙な 心理の揺れを巧妙に描き出している。一方、性的な描写や表現が、かなり直截的だと感じるし、 「共喰い」とのタイトルも、かなりエグいなという印象も受けた。 読後感は、やるせない思いに包まれた中に、ごくわずかな救いがあるのか、という感じ。個人的な 好みで言えば、あまり好きとは言えないが、こうした飾らない人間の原存在といったものに迫ろう との意欲的な試みは、文学としての価値があるのだとも思う。 | ||||
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