夜蜘蛛
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例によって「父と子」「戦争」といったテーマで書かれた作品。たしか芥川賞受賞第一作だった気がする。 田中文学のうちでも、夜蜘蛛は筋を楽しめる小説だと思う。つまり「週末の葬儀」や「第三紀層の魚」といった作品(これらも良作だが)とはちょっと違った読み方、楽しみ方ができる。実際、息子にとって絶対的な存在である父親の、徐々に衰えていく様が凄まじかった。特に、これはネタバレになるかもしれないが、父親の切断された片足が赤ん坊向けの棺に入れられてて燃やされた場面、ここでは鳥肌が立ち、しばらく読むのを止めてしまった。 ともかくこれは佳作であり、田中作品の入門としてはちょうどいいのではとも思った。 | ||||
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気持ちが良く、すらすらと読める純文学の王道だと思いました。今の時代にこのような文体で表現出来る作家は、田中さんの他いないのでは?などと思える作品です。ハラハラドキドキする物語では無いにしろ、表現の豊かな描写 文章には、毎冊安心して読める事が、素晴らしく思います。 | ||||
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どこがどう、と説明出来ないのだが、田中慎弥氏の作品は、読み終わった後、何故か涙がでる。自分にとっては、琴線に触れる作品。 | ||||
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「夜蜘蛛」は、著者がとりあげ続ける父と子という題材を、読者を引き込む持ち前の文章で編み継ぐんだ田中慎弥ファンを納得させる一品である。 現役日本人小説家の作品を、私は長い間読むことがなかった。何か読みたいという気持ちから、話題の本を書店で見てきたが、残念ながら最初の数行で失望するということが続いた。一つの小説に魅せられると、その著者の小説すべてを読みたくなるのは当然であり、私もかつて酒見賢一氏の作品をそのように読んだことがあった。 田中慎弥氏の「共喰い」は、芥川賞受賞のテレビ映像と書名が印象に残っていたので(注目発言を私は知らなかった)、休日の空いた時間に書店で1ページ目を確認した上で購入しましたが、迫力ある文章で見事に人間達を描いており、私は即刻魅せられてしまいました。そして発行されている6冊の文庫小説を立て続けに読んで、この最新刊の「夜蜘蛛」に行き着いたわけです。 評価4としたのは、私個人としては他も含めオール5なのですが、田中慎弥氏の作品はやはり万人向けではない、という評価がなされるのではないかという気持ちからです。すぐれた小説というものに万人向けなどあるはずがないと私も考えます。ドストエフスキーの小説と同様、私には比類ない作品群ですが、まったく受け入れない人達が少なからず存在するのではないか。逆に評価5のお一人がコメントされているように「ますますファンになりました」という著者ファンも数多くいるのではないでしょうか。 ましてや、この作品に登場するような父と子の関係を自らも経験した読者にとっては(まったく同じではないが、その一断面と重なる葛藤を経験した読者は少なくないはずです)、二重の感慨が胸にこみあげてくるに違いないと思われます。私もそのような読者の一人でありました。 田中慎弥氏の新たな長編小説の一刻も早い発行を期待しつつ、「夜蜘蛛」の評を終わりたいと思います。 | ||||
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物語は、新聞に作家が、自殺についてのエッセーを書いたがために、興味を持ったというある男(A氏)から、編集部経由で面会を求められ、会うもうまく話せず後日、手紙が送られる。 この手紙には主に、男(A氏)の明治生まれという親父のことが自殺するまで書かれていた。 こういった手紙形式は漱石の『心』ですでに書かれており、読めばこの『夜蜘蛛』が『心』のオマージュか、剽○作と言えるかもしれない。 戦時中、親父は戦場で死んだふりをして生き延びたという。その情景を子供の私(A氏)がのちに聴かされ、「ある一言」を言い放つ。 忠臣蔵、乃木大将の殉死、天皇陛下の崩御、戦争、日本高齢化問題、介護社会などをネタに描いているものの、読後感はどれも中途半端で、消化不良、文中P138にもある「なんの深い意味も込めず、ただ勝手に頭の中で話と話、戦争と戦争を結びつけただけ」のような単純なレポート小説になっている。もう一歩、文章芸術としての深みが感じられない。介護福祉について取材でもした記述もないのはレポート以下とも言えるのだが(文中の「老人施設」は「老健施設」が正しい)。 親父の遺書には、自殺するのは子供の私(A氏)が言い放った「ある一言」とある。が、私(A氏)は親父の自殺は「理解不能の行為」P140とし、戦時中、子供の私(A氏)が壕だか押入れで見た蜘蛛を殺さなかったためだ、ともいう。(「親に似た夜蜘蛛」て、どんな蜘蛛? ) そして、「本人(A氏)の気づかぬ真実を発見」してもらいたいと、作家に手紙を送りつけるのである。 『夜蜘蛛』の親父の自殺は、漱石の『心』のKよりは謎めいてなく、単に、私(A氏)やその妻、そして娘と(A氏)の姉が、親父に冷たく厄介払いにしたのが原因のように思えるのは、私だけであろうか? 息子(A氏)が言い放った「ある一言」は、単に自殺への理由付けに過ぎない。もちろん、親父の天皇観へ関連付けもできぬではないが、如何せん、この筆力不足ではそこまで至るには少し無理があるように思う。 戦争とは? 乃木大将とは? 天皇陛下とは? これを読者にでなく、筆者自身がまず向き合い書かずして、一体何を書こうというのだろう? そういう意味では、この『夜蜘蛛』は個人的にはつまらなかった。 しかしエッセーを読んだくらいで、こんな長ったらしい手紙を作家に送りつけてくるとは、なんと迷惑な人(A氏)であろう。 | ||||
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