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大鴉の啼く冬



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【この小説が収録されている参考書籍】
大鴉の啼く冬 (創元推理文庫)

大鴉の啼く冬の評価: 4.17/5点 レビュー 23件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.17pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全23件 1~20 1/2ページ
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No.23:
(5pt)

一番好きかもしれません。

ペレスさんと登場人物のからみや、生活する街の様子や自然描写にバランスよくまとまりがある話の進み方をしているので読みやすかったです。もともと後の方から読み始めたため、順番をバラバラに読んでしまったためかもしれませんが。
大鴉の啼く冬 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:大鴉の啼く冬 (創元推理文庫)より
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No.22:
(5pt)

幼き衝動か・・

閉鎖社会に蔓延する同調圧力、それに抗う人間の衝動は、恐怖となって社会に降りかかる。歪んだ国際社会が生み出す、抗う人間の衝動は、益々匿名化し、蔓延していくだろう・・。
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No.21:
(5pt)

やっぱり私はこういうオールドファッションのミステリーが好き!

もう8年ほど前になるが、私はヨハン・テオリンというスウェーデンのミステリー作家の〈エーランド島4部作〉を読んだ。
 この作品を読んでいるときの私は本当に幸せな時間を過ごさせてもらった。
 さながら中学生の時、アガサ・クリスティやエラリー・クイーンなどの海外ミステリーを読んでいた時に味わった醍醐味を思い出す時間だった。
 
 さて、今回ふとしたことで知ることになったこのアン・クリーヴスというイギリスの作家の〈シェトランド四重奏〉と名付けられた4部作は、島の四季を描いた4部作であることや、洒落た邦題がつけられていることなどから、その時と同じような期待を抱かせずにはおかない。
 この2つのシリーズは、エーランド島の方が書き出しは少し早いが、ほぼ同時期に書かれている。
 本書の巻末の解説(川出正樹氏)に書かれているように、ミステリー作品にとって、人口が少ない島を舞台に据えるのは、閉ざされた社会(クローズドサークル)が設定しやすく謎解きと相性が良いという理由があるらしいので作家にとっても魅力があるのだろう。

 本書は、4人の登場人物ががキーマンになって物語は進んでいく。
 ミステリー的にも、非常に疑わしい人物を効果的に随所に配置して読者を翻弄し、刺激的な人間ドラマを盛り込んでエンタメ感も演出し、定石通り犯人は最初から登場させているし、しかも犯人の意外性もたっぷりという極めて王道のミステリーであったといえる。
 ひとつだけ不満を言えば、動機の複雑さかな。
 納得できたような、できなかったような。
 真実を知った母親の気持ちはいかばかりか。
 おそらく、この母親は何が娘にそんな罪を犯させたか理解することもできないだろう。

 という訳で、結局、私はこのようなオールドファッションなミステリーが大好きなのだということが今回よくわかった。
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No.20:
(4pt)

捜査に入る前の人間関係の洗い出しでストーリーが動くのが遅いのを我慢すれば

なんでも日本のミステリ界では数年来「北欧ミステリ」と言うのが人気のジャンルのようですね。北欧ミステリとは、スウェーデン、フィンランド、ノルウェー、デンマーク、アイスランドの主に5か国が舞台となるミステリー作品のことを言います。最近だとアイスランドを舞台にした「湿地」が有名になりましたね。

私たちが北欧と聞くと、福祉が充実しているとか子供の教育では世界でも定評があるだとかを想像します。しかし実際のところは、高福祉の代償として現役世代へ非常に重い税負担が強いられていたり、移民問題が重くのしかかり移民への排斥が問題視されているといった負の側面も少なくありません。豊かな自然や高福祉などの明るい部分とともに、それら負の側面も併せ持っているところに北欧ミステリの人気の秘密があると言えそうです。

そんな北欧を舞台とした本作の舞台となるのは、アイルランドとノルウェーの中間地点くらいの海洋に位置する孤島です。孤島が舞台と言うと、クリスティの「そして誰もいなくなった」を始め有名な作品がたくさんありますが、本作がそれらと異なるのは、シェットランド諸島という実際に存在する場所を舞台にしているところです。この島にはシェトランド・シープドッグという犬がいるそうですが、私を始め日本人でなじみのある人はまずいないと思います。

大晦日の夜、長年の間家に閉じこもり、来ない訪問者を待つ孤独な追い出し者のマグナス・テイト老人を2人の女子高生が訪問するところから始まります。翌朝、2人の女子高生のうちの1人の遺体が近くで発見されることになりました。シェトランドでは数年前にもカトリオナという別の少女少女が疾走する事件が起きています。その過去の事件の容疑者でもあったマグナスは、当然今回の殺人でも皆から疑われることになります。噂やゴシップで非難されることとなったマグナス。状況証拠に基づいてマグナスを逮捕した島の警部のジミー・ペレスですが、彼は別の未知の殺人者を示す手がかりを見つけ、誰もが行きたがらないシェットランド諸島の過去に深く迫る捜査の迷路に入っていくというのがストーリーのあらすじです。プロットの中には様々な紆余曲折が盛り込まれており、最後まで犯人はなかなか本性を現しません。

「シェットランドでは、風がないときは衝撃的だった。人々は耳を絞め、何が欠けているのか疑問に思った」
「巨大なクルーズ船が港に滑り込み、建物の上にそびえ立って座っていることもあった。1時間の間、彼らの乗客は町を占拠した」
こういった風景の描写を見ると、シェットランドに行ってみたくなるものもありますが、本書のあとがきによると、シェットランド諸島にはクルーズ船でアイルランドから14時間もかかるそうで、まさに現代の絶海の孤島ですね。まぁ、日本でも北欧でも、隔絶された地域というのはたいてい住人同士の血縁・人間関係が濃く、お互い知り合い同士である場合が往々にしてあります。人口2万人くらいの隔絶された島が舞台となるシェトランド諸島も例外ではなく、ペレス警部は容疑者の洗い出しを始めるにもまずドロドロした人間関係を丹念に解きほぐすところから始めるところが本書の特筆すべきところといえそうです。そのせいか、最初の内はローカルな人間関係の事情の説明が主で、とにかくまともにストーリが動き出すのがかなり後の方になるため、読む人を選びそうな感じの一冊です。
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No.19:
(5pt)

北の果ての大地に生きる人々のリアルな人物描写

堪能しました。四人の人物の視点から描かれた北の島の人々の描写が素晴らしい。人物によって表現の仕方、使用語彙が変わるところも凄いと思いました。

ミスリードされて、出てくる人出てくる人全て疑って、「誰が犯人でも平凡な結末では?」と思い始めたりしましたが、それでも驚きの結末は私が単純なのか、それとも作者が凄いのか。

ずっと犯人とされていた知恵遅れの老人が、もう既に亡くなって久しい母親の言いつけを愚直なまでに守ろうとする姿は切ないものがありました。

他の作品も読んでみたくなりました。
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No.18:
(3pt)

退屈だけど、面白くないわけじゃない

全編に漂う暗いムード。希望って言葉知ってますかと尋ねたくなるようなそこに住む住民たち。遅々として進まぬ捜査、退屈な展開。マイナス要素ばかりなのにこれが不思議と面白いんですよ。筆力かな?
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No.17:
(2pt)

退屈で時間の無駄遣いなミステリー

2作目以降を読もうという気にはならなかった。
ヨハン・テオリンのエーランド島四部作の方が断然面白い。
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No.16:
(5pt)

また新しい魅力に出会いました。

一人で勝手に北欧4カ国ミステリー制覇なんて意気込んで、その面白さにはまっています。今回はイギリスの作家ですが、舞台はノルウェーに近いシェトランド島。街の雰囲気も物語の重苦しさも北欧ミステリーに似ていて、また新しい魅力に出会いました。中心にはペレス警部がいますが、場面ごとに視点が変わり、それぞれの人物の思いで物語が進んでいきます。その心理の掘り下げ方、表現の仕方が上手で、悲しく怖ろしい結末までのめり込んで読んでしまいました。マグナムや残された人々がこれからどうやって生きていくのか、想像するのも辛いですね。
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No.15:
(5pt)

CHIKO

AXNミステリーで「シェットランド」特集でも観ましたが、海外旅行をしている感じで楽しい読書でした。
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No.14:
(5pt)

数年後の再読ですが、やはり良い作品です

先日、このシェットランド四重奏+5作目を読み終え、現在の時点で出版されているアン・クリーヴスのシェットランドものは全部読了しました。何年にも渡って読み続けていると、その作品の世界が頭に入ってしまい、登場人物に思い入れができて、まるで本当に彼らがシェットランドの地で暮らしているかのような錯覚をおぼえます。1作目のこの作品を読んだのはもうかなり前で、内容がうろ覚えだったので再読してみました。

最初の作品だったからか、ラストに近いクライマックスには、世界中から観光客が集まってくるという冬の火祭アップ・ヘリー・アーの夜が使われていて、サービス精神も旺盛です。個性的な登場人物、意外な犯人、筋の通った納得のいく展開など、シェットランドの冬をバックに適度な緊張感が作中ずっと持続し、とてもおもしろく読み終えることができました。また、主人公であるペレス警部とフランはこういうふうにして出会ったのだったと、これから先の展開を考えると(ネタばれしてしまうので、書けないですが・・)感慨深いものがありました。「ああ、おもしろかった」だけで終わってしまうのではない再読に耐える作品だと認識を新たにしました。

あとがきを読めば、作者のアン・クリーヴスはイングランド人ですが、シェットランド群島の中でも離島であるフェア島の野鳥観測所でコックとして働き、そこで出会った監督官のクリーヴス氏と結婚、その後は夫婦2人しか住民がいない小さな島で赴任生活を送ったりしたそうです。実際にこのあたりの土地で生活経験があったわけです。そして、シリーズを読み進んでいけばわかりますが、3作目「野兎を悼む冬」に登場する、やはりイングランドからやってきた女性コックや、野鳥センターの所長と結婚している女性生物学者などは、クリーヴスの実際の経験と生活から出てきたキャラクターだったのだと知りました。

シリーズの文庫本表紙になっている油絵のようなきれいなイラストが作品の雰囲気にぴったりです。また、タイトルの日本語訳も「Raven Black」→「黒いワタリガラス」→「大鴉の啼く冬」、「White Night」→「白夜」→「白夜に惑う夏」、「Red Bones」→「赤い骨」→「野兎を悼む春」、「Blue Lightning」→「青い雷」→「青雷の光る秋」、「Dead Water」→「死の水」→「水の葬送」など、文学的でとてもうまく付けられていると思います。ミステリとしても人間ドラマとしても大変すぐれた作品です。最新作はすでに英国で出版されていますので、次の翻訳が待たれます。
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No.13:
(1pt)

好き/嫌い のはっきり分かれる作品では?

本書の説明内容に書かれているほど緻密な伏線と大胆なトリック。とは思わなかった。緻密な伏線・・・退屈な引き伸ばしのように考えてしまった。この本の内容は「海外刑事ドラマ」にでもすれば退屈もなく興味深く見れたかも。つまり推理小説としてはわたしにとって駄作です。
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No.12:
(5pt)

連続殺人の全く新しい小説

斬新な連続殺人の小説です。
 あまり色々書くとネタバレになってしまうので、書けませんが、あっと驚きました。もう、ラストを誰かにしゃべりたくてしゃべりたくて、仕方が無くなる話です。
 「連続殺人」なので・・・、以下自粛。
 連続殺人ミステリーが好きな人は、絶対に読んでほしい一冊です。
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No.11:
(5pt)

冬枯れた英国も、また一興

冬枯れた英国のイメージをそのまま引き継ぐ作品です。きちっと書き込まれた登場人物達とつつましくも濃厚な離島の生活が、心に沁み渡ります。短いセンテンスなので、原書で読まれてもいいかもしれません。魅力的なシェトランド島を、この四季シリーズで堪能しましょう。
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No.10:
(2pt)

敢えて言う、退屈だった

CWA最優秀長編賞受賞作。期待は大きかった。しかし、すっかり裏切られた。最後まで退屈な話だった。
舞台はシェトランド島。少女が殺害され、雪原で発見される。顔見知りばかりの小さな町。誰が彼女を殺害したのか。
とてもオーソドックスな犯人探しの推理小説。
でも、登場人物たちの人生の悩みや、家族の問題が長々と描写が続くわりには、彼らに共感を感じることも、そして舞台である島にも全く魅力を感じることができなかった。ごくごくありきたりの登場人物とストーリーだ。
最後に犯人がわかり、動機などが解明されても、ふ〜ん、という感じで、サプライズもなければこちらの心に響くものもなかった。

それと、これは読書する上で大きな問題だと思うのだが、相変わらず創元推理文庫は字が小さい。その上、他社のものと比べて、驚くほど印刷の色が薄い。とても、とても読みにくい。なんとかしてください。
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No.9:
(5pt)

読み応えあり!

まったく予想が付かない結末で、最後の最後まで犯人がわかりませんでした。しかし、分かってみると納得の行く展開でした。シェトランドの自然描写も人物の心理描写もなかなか良く書けていて、だれることなく最後まで惹きこまれて読み終えました。さすがCWA受賞作だけのことはあるなと思います。ミステリーファン必読の一冊です。・・・ミステリー大好きおばさん
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No.8:
(4pt)

人の心に棲む悪魔(ネタばれ注意)

CWA最優秀長編賞受賞作。がっちりした構成と目の前にありありと浮かんでくるそれぞれの登場人物の個性。そして三人称多視点という珍しい語り。ほとんどの証拠は読者の前に提示されており、あとはほんのちょっとの推理ではなく常識!があれば、意外な真犯人にたどり着ける。でもやっぱり暗いんだよねー。一気に読めたのに、そして最後に真犯人が明らかになったのに、何か今ひとつすっきりしないのは、最近のジェットコースターストーリーに毒されたせいなのかなー。
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No.7:
(4pt)

寒い冬の読書には最適な一冊かも

イギリス最北の地、シェトランド島。大晦日の夜、一人暮らしの老人の家を訪問した二人の少女。4日後の朝、一人が絞殺死体で発見された。誰が、何のために彼女の命を奪ったのか?地元の警部ペレスは地道な捜査の末、真実をつかむ。

四人の視点で描かれるこの小説。伏線が実にていねいに敷かれていることに、読後気付かされました。
著者は20年以上のキャリアの持ち主だそうで、これから他の作品の翻訳にも期待したいです。
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No.6:
(5pt)

多視点叙述に潜む巧緻な罠に御用心。

2006年度CWA(英国作家協会)最優秀長編賞受賞作で、イギリスのベテラン女流推理作家クリーヴスの日本初紹介作です。本書は冬のシェトランド島を舞台に、厳しい自然環境の中で不吉な大鴉を象徴的に配して、村の因習や余所者を巡る人間関係を丹念な筆致で描き上げた重厚な傑作です。
凍てつく元日の夜、パーティー帰りの2人の女子高生キャサリンとサリーが、母親に死に別れ独り暮らしの老人マグナスを訪ねる。老人は知的障害者で、数日後町へ出掛けたバスの帰りに偶然キャサリンと出遭い、再び家に招く。翌朝キャサリンは雪原で赤いマフラーで絞め殺された姿で見つかる。地元の警部ペレスは捜査を開始し、偏見を捨てなければと思いつつも、8年前に起こった少女失踪事件の時も疑われた老人マグナスに疑惑の目を向ける。島外から応援に来たテイラー警部と協力して捜査に当るペレスが決め手を欠く内に、偶然失踪した少女の遺体が見つかり、やがて少女のリボンを持っていた為にマグナスは逮捕される。事件は解決したかに見えたが、村の祭り〈アップ・ヘリー・アー〉の夜に新たに少女が姿を消す・・・。
本書の最大の特質は、四人の何処かに悩みを抱える登場人物、母の過去の思い出に捕えられる老人マグナス、殺されたキャサリンの親友で学校と恋に悩むサリー、富豪と結婚しながら夫の浮気の為に離婚して一人娘を育てるフラン、親の暮らす島の農業を継ごうか迷っているペレス警部、のそれぞれの視点で交互に語られている点です。ペレス警部は粘り強い捜査で、村のあらゆる人間関係を解きほぐしますが推理力で解決するには至らず、結局決め手はマグナスへの尋問結果でした。この真相に至るテクニックは、往年の女王クリスティー女史を彷彿させる非常に巧緻な騙しで、予測し難いでしょう。哀れみを誘う結末と犯人に向けたペレス警部の優しさが深く心に染み入ります。
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No.5:
(3pt)

英国最北端、シェトランドに生きる人々の懊悩と感慨

英国におけるミステリーの頂点、「CWA(英国推理作家協会)賞」の’06年度、ダンカン・ローリー・ダガー(ゴールド・ダガーから名称変更した最優秀長編賞)受賞作である。

ロンドンから北へはるか960キロ。イングランド本島からさらに北に位置する英国最北端のシェトランド諸島。その本島で新年早々殺人事件が起こる。
スペイン人の血を引くペレス警部が緻密な捜査を始める。
なにしろ顔見知りばかりの小さな町で、誰が、何のために女子高生を殺害したのか。
捜査で浮かびあがったのは、8年前の少女失踪事件との関連と知的障害のある容疑者の老人の存在だった。さらに、その失踪した少女の死体が見つかるに及んで、老人はイングランド本島から来た捜査陣に逮捕されてしまう。
それでもペレス警部の地を這うような捜査の結果、一月の最終火曜日におこなわれるヴァイキングの火祭り<アップ・ヘリー・アー>の夜に、新たな事件が起こり、それをきっかけにしたかのように哀しい結末が明らかになる。

本書は、謎解きの興味もさることながら、ミステリーの形を借りて、英国最北端の地に生きる人々の、懊悩と感慨を描いており、それが読むものの心を動かすのである。
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No.4:
(5pt)

安楽椅子探偵の元祖的存在

安楽椅子探偵の元祖のひとりとして語られることの多い、隅の老人を主人公にした短編集です。実際には安楽椅子には座っていなかったり、座ってばかりおらず自ら検視審問に出かけたりと、「安楽椅子探偵じゃないんじゃない?」という声もありますが、本シリーズがそれまでになかった探偵像を打ち出したことは確かでしょう。探偵自らが語り手であるという作風を発明したことだけでも、この作品群は推理小説史に特別な地位を占めていると思います。

探偵自身が語り手であるということは、どうしても話の信憑性に対して眉につばをつけたくなってしまうのですが、そのあたりの胡散臭さが逆に本シリーズの魅力になっているし、最終作へ向けての心理的な伏線としても機能しているように感じました。
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