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湖の男
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湖の男の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.30pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全22件 1~20 1/2ページ
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アイスランドの湖で発見された人骨を起因として語られる、1960年代の東欧諸国の共産主義に翻弄された時代背景が何とももの悲しい。国や地域によってはいまだに残っているが…。 その実情が上手に描かれているし、いい物語だったと思う。 訳者あとがきにある「為政者が都合の悪いことは伏せ―――」(P424末尾~)という柳沢さんの文章には大いに共感できる。実際、わが国でも戦前どころか戦後からいま現在に至っても思い当たることが多々ある。 柳沢由美子さんの翻訳は上手だけど、「だった」「した」等「た」で終わる文章が連続する箇所が繰り返しあり、何度も集中力をそがれた。過去形の『時制の一致』のルールに則した原文を忠実に訳しているのだろうけど、日本語文章としては流れの面で不適切だ。ここが唯一残念。 | ||||
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インドリダソンも4冊目になります。この作品も500頁弱ありますが、筆力で一気に読ませます。 レイキャビク郊外の湖で白骨化した死体が発見されます。最近起こった地震のため湖の水位が下がった影響で湖底に沈んでいたものが現れたのです。その骸骨にはロシア(ソ連)製の無線機らしき機械がロープで結びつけられていました。検死の結果、それは1970年以前に沈められた男性の骨であることがわかります。 物語は、レイキャビク警察のエーレンデュルらによる死体の身元捜査と冷戦時代に東独へ留学した男の独白とが並列に進行していきます。もちろん詳細を記すことはできないのですが、かつての東独の秘密警察(シュタージ)がひとつキーワードになっていて、その点で映画「善き人のためのソナタ」を思い出させます。北欧ミステリは社会的な問題を素材とする優れた作品が多いのですが、この小説もまたミステリと純文学の間にもはや垣根はないということを証明しているように思います。訳が読みやすく、翻訳者の柳沢由美子氏によるあとがきの解説もまたいいのです。 | ||||
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シリーズなので田舎の方ではなかなか難しいので、 Amazonで買えて助かってます 内容は少し暗いイメージですが、私は好きです にほんと違う風土なので、好き嫌いが出るかもしれません | ||||
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サクセスストーリーです。 | ||||
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このシリーズ、順番に読み、今回、ぐいぐい読みすずみ、感動しました。 既に買ってある厳寒の町、読むのが楽しみです。 北欧ものは面白いなぁ 日本語訳もすばらしかった。 | ||||
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「湿地」「緑衣の女」「声」に続いてのアーナルデュル作品の邦訳第4弾。 前3作、特に「緑衣の女」があまりにも素晴らしかったので、それらと比較してしまうとちょっと落ちるかなと感じた。 ただ、それでも重厚な物語は読みごたえがあり、良質な読書体験を味合わせてくれるという点では変わりはない。 ミステリー小説としての事件の謎は「湖の底で発見された古い白骨死体は誰なのか?」という1点のみ。 これは「緑衣の女」とよく似ている。 ミステリー小説の謎としては極めて単純なのだ。 しかし、その単純な謎をめぐって、登場人物の背景を深くあぶりだし、人間の背負う業を描き出す手法が実に見事。 今回は冷戦下のヨーロッパという特殊な時代下で事件は進展していく。 冷戦下でしか起こり得ない事件。 東ドイツでの相互監視というシステム下での疑心暗鬼、人間不信。 誰を信じていいのかわからない状況での若者たちの人間ドラマが実に面白かった。 アーナルデュルの作品は、事件の謎自体は単純なのだが、その事件に関わる人物たちの人生の描き方が毎回素晴らしい。 今回も堪能させてもらった。次回作が待ち遠しい作家である。 | ||||
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ほんの小さな事件から、時代をまたいだ物語となっていく点はシリーズ共通のところもありますが、本作は中でもその傾向が強く、犯人らしき人は当初から分かりながら、その背景にある物悲しい物語が並行して進んでいくところは、シリーズの中でも最も引き込まれる作品だと思います。 | ||||
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ヘニング・マンケルに似た雰囲気を感じるのは、翻訳者がどちらも柳沢由美子さんの名訳だからということだけではあるまい。マンケル同様、北欧を代表する作品に与えられるガラスの鍵賞を、しかも立て続けに二度受賞しているインドリダソン。そのエーレンデュル警部シリーズも、マンケルのヴァランダー・シリーズ同様に、主人公を捜査官として描くのみならず、生活を持ち、家族を持つ人間であり、その中で私的な懊悩や迷いや希望を抱え込んでいるのである。そこに単作としての事件の上をカバーする連続性持ったシリーズ小説としての魅力が感じられるのだ。 シリーズ探偵が、誰かとつきあったとか、別れたとか、子供ができたとか、飼い犬が家族に加わった、とか、そういった悩まぬ不動の強き探偵ではなく、読者に近い側の人間であり、読者同様の様々な家族や人間関係に関する悩み、体の不調、心の荒れる様と、それを悔やむ様子、等々。そうしたものをメイン・ストーリーに重ねることによって得られるリアルな重さ、物語の厚さ、体温のようなものが感じられ、作品は活き活きと我々の下に手繰り寄せられる、そんな気がする。 もちろん、読者と離れたところで、非現実的であれ、快適な小説を求めたい読者もいると思う。マンケルもインドリダソンも、どちらかと言えば、私生活では試練を与えられる警察官であり、個人の試練を解決できなくても事件を解決することはできる、という、少し不完全さを持ったキャラクターである。 さて本書を読むのが、わけあって先にハードカバーで読んだ『厳寒の街』の後になってしまった。本書は、アイスランドの過去の歴史のなかから現れた古い死体の発見がスタートラインとなる。枯渇した湖の底から、古い無線機を錘として使われた白骨死体が発見されたのだ。エーレンデュル警部の捜査が始まる。 一方で、米ソ冷戦時代のアイスランド、共産主義に憧れ東ドイツを訪れる若者たちの一団の物語がある人物によって挿入される。彼が誰なのかは読み進むまでわからない。しかし、冷戦の時代には、地理的に重要な情報戦略の要衝的にあった上、自国に戦力を一切持たないアイスランドの国には各国の出先機関が押し寄せ、軍事的にも重要な国とされていたのだそうである。 その時代、ソ連のコミュニズムに希望を求めた若き活動家たちの行動に本書は焦点を当てる。一方の現代では、エーレンデュル、シグルデュル=オーリ、エレンボルクという三人のレギュラー捜査陣が、それぞれにプライベートな悩みを抱えながらも、彼らなりの才気を発揮して湖で発見された白骨の正体に迫る。 アイスランドと東ドイツのライプツィヒの両舞台、両時代を往来しつつ物語は白骨死体の正体に近づいてゆく。ミステリ要素をしっかりと差し出しながら、進んでゆく過去の物語とカタストロフ、そして冷戦後の現代の捜査のコントラストを楽しみながら、超一級のストーリーテリングを楽しめる。極上の美酒と言ってよい、これは相当にハイ・クオリティな作品である。 | ||||
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沢山、書いてくださーい。日本のばあ様が、熱望してまーす。 | ||||
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このシリーズは全作読んでいるが、これは別格で良かった。 翻訳されたのが2017年と最近でありながら、実はその13年前に本国では出版されている。 このシリーズはたくさん続いているのだが残念ながら日本語訳はこの湖の男の次作である「厳寒の町」が最後になっている。これからも引き続き日本語訳が出版されることを希望する。 作中で捜査メンバーも自ら「アイスランドらしい単純な事件が自分たちには合っている。こんなソ連だのスパイだのが出てくる事件は手に余る。どうしょうもない」(大意で)そのような事を言っているが、正に。 今までのアイスランドをホームランドとした事件ではなく、ソ連や東ドイツ、ハンガリー等ヨーロッパ大陸も舞台になっている。 さらにその時代背景も動乱。 冷戦時代のスパイ小説や抑圧された民衆を題材にした小説は数多くあるが、アイスランド発でアイスランド人が主役で、かつここまでライプツヒ大学のその頃を徹底取材して書かれた物は価値が高いと思う。 エヴァ・リンドとエーレンデュルの行き違いは毎度のことであるが、なぜか今回は非常に胸が痛んだ。 ドイツのメルケルもライプツィヒ大学を出ているが、この作品の舞台となる東ドイツ時代である。 密告が当たり前の大学時代をどう過ごしていたのだろう。彼女の人格形成や政治観にこの東ドイツ時代が大きく影響しているようが気がしてならない。 | ||||
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アイスランドについては世界史でも地理でもほとんど習うことがない。地図で北極圏に近い小さな島国だとわかる程度である。 しかし、冷戦時代、この国には米軍基地が置かれ、アメリカの対ソ戦略上重要な場所であった。核廃絶に向けたレーガン・ゴルバチョフ会談がレイキャビクで行われたことを覚えている人もいるだろう。 小説は冒頭の干上がった湖の底で発遣された白骨から一挙に冷戦時代に遡り、アイスランドから旧東ドイツへの留学生グループの物語が並行して語られ、それが白骨をめぐる捜査と巧みに絡められて展開される。 翻訳もよく、小説それ自体で楽しめるが、できれば冷戦時代の東欧史をざっとでも概観した方が、小説を深く理解できると思う。 1950年代のハンガリー、60年代のチェコ、そして70年代のポーランドと続いた東欧社会主義国の民主化運動と弾圧の歴史なしに、あのベルリンの壁崩壊はなかった。 ただ、東欧民主化運動の求めたものは「人間の顔をした社会主義」だったが、冷戦崩壊後はソ連型の官僚社会主義への反動から一挙に資本主義化したのは歴史の皮肉というほかない。 (単行本レビューから転載) | ||||
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この作家の作品は、事件を解決するだけでなく、そうせざるを得なかった状況に迫り、人間性も追求するような内容です。温かみがあります。 | ||||
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エーレンデュルシリーズはハラハラドキドキの謎解きミステリーではなく、アイスランドでなければ成立しない社会背景、歴史背景が鍵を握る重厚なストーリーが魅力。 訳者あとがきによると、アイスランドはワシントンとモスクワを結ぶ最短直線経路の真下に位置していて、冷戦中はアメリカ軍がアイスランド全土に駐留していた。 登場人物の1人は、アイスランドの政治家はアメリカの操り人形で、アメリカの軍隊がアイスランドの土地を汚していると憤り、社会主義が理想の社会だと信じている。 沖縄基地を巡る問題と似ているところがある。 1作目のあとがきだったか定かでないが、著者が「その国のことを知るにはミステリー小説は優れたガイドブックだ」みたいなことを言っていて、その通りだと思う。 どうして刑事が料理ブックを出版するの?とツッコミを入れつつ、アイスランドではそんなに滑稽な設定ではないのかもしれないと無理やり納得。 ハードな話の中で唯一ホッとできる場面でもある。 読み応えは十分あるが、犯人に意外性がなく星1つマイナス。 | ||||
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勿論、東西冷戦を知っている世代です。 ①アイスランド人は、人口が少ない事もあり、同郷人がすぐ仲良くなり、お互いの事をベラベラ喋り過ぎてしまうので、スパイに向かないとの事。 ふむふむ。 ②現在のアイスランドのドイツ大使館員は、「誰が好き好んで、こんな最果ての地に赴任するの!」的なお言葉。 確かに、どこかSF的な風景を見に観光に行くのはいいけど、一年を通して天気が悪く寒い国に住みたくはないかも。 エーレンデュル捜査官シリーズは、アイスランドと言う国を知るにはよい本だと思います。 本作では、いけ好かないけど、何故か応援したくなるキャラのシグルデュル=オーリーが更に困難に巻き込まれ、しかも、ハングアウトで終わります。 シグルデュル=オーリー、頑張れ! | ||||
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「エーレンデュル」シリーズの第四作。個人的に、本シリーズを含む北欧系のミステリ作家の作品は謎解きが主体というよりは、時代・社会を映す鏡という印象を抱いているのだが、本作もその例に漏れない上に、扱っているテーマが重く、シリーズ中では一番読み応えがあった。 水位が下がった湖の底から数十年前に殺害されたと推定される男の人骨が発見されるという発端はミステリ的には平凡。当然、この被害者の身元特定と犯人捜しとが物語の軸となる。しかし、エーレンデュル達の捜査と並行して、犯人の独白・回想談がカットバックで挿入されるので、早々に被害者・犯人の素性(途中から犯人の名前まで)が読者に分かってしまうので、作者が謎解きを目指していない事は明白である。だから本作が詰まらないという訳ではなく、全く逆で、この事件が起きた背景・過程をジックリ描く事が狙いだったと思う。一言で言えば、本作のキーワードは「****」で、この「****」に翻弄された犯人達の苛酷な運命を描く事が作者の主眼であろう。私は「****」におけるアイスランドの位置付けを全く知らなかったので、意外性と監視社会の恐怖とを覚えた。「1984年」にも似た意匠である。 この他、第一作から描かれ続けるエーレンデュル父娘の確執(本作では息子も加わる)、多様な男女の愛の形の提示、自分が掛けた電話のタイミングによって妻子が自動車事故に巻き込まれてしまったという"偶然"を自己責任として苛めれ続ける男の話(完全に独立したエピソードだが印象に残る)、失踪した(と信じている)男を何十年も待つ女性の悲哀と子供の頃の家族登山中に弟を亡くした(実は失踪したと信じている)エーレンデュルの喪失感・責任感とを重層的に描く事によるエーレンデュルが失踪事件に拘る理由付け、といった多彩な話題を織り込んでおり、最早、ミステリというよりは形而上学的問題をも扱った文学作品とも言うべき傑作だと思った。 | ||||
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アイスランドの作家アーナルデュル・インドリダソンの小説の邦訳4作目「湖の男」。原題Kleifarvatn(クレイヴァルヴァトゥン)は首都レイキャビクの南に位置する湖。地質学的な原因で水位の下がったその湖底から男の白骨死体が発見され,主人公エーレンデュルらが捜査を進める。 日本のメディアでアイスランドが取り上げられるときは,氷河と火山と温泉とオーロラと地球の割れ目ぐらいだが,これまでの3作同様この小説にはそうしたものは一切出てこない。描かれるのはレイキャビクとその近郊および作中人物が青春を過ごした東ドイツのライプツィッヒでの出来事や人間模様である。 また,この作者の小説には幸福な人がほとんど出てこない。正義のヒーローもいない。惨めな人生の中である者は罪を犯し,それを追いつめる主人公たちもそれぞれにつらい事情を抱えている。登場人物たち一人ひとりの人物描写をおろそかにせず,それぞれのキャラクターが引きずる過去を説明的でなく描き出している。 作者インドリダソンは以前の作品でも登場人物の行動を社会的な大きな問題と絡めて描き,例えば「湿地」ではアイスランド全国民を対象とした遺伝子と家系のデータベースをこの小説で起きた悲劇的事件の一つの要因とした。今回の「湖の男」は東欧の社会主義の悲劇というさらに大きな問題を扱っている。過去の行方不明者の捜査によって1950年代に東ドイツに留学し現在老境を迎えている人たちが浮かび上がる。社会主義に希望を見いだした青年たちが現実の社会主義国家によってどのように裏切られ失意のうちに帰国し,その後の人生をどう過ごしたか…こうした事にもかなりのページが割かれる。 現実に存在した社会主義体制に対する告発は鋭いが,留学体験者の一人に資本主義国の福祉制度等に与えた社会主義の影響を語らせるなど,著者の目はあくまで公正である。 読みやすく速やかなストーリー展開が心地よい。これは勿論原作者の力量によるものだが,訳者の柳沢由実子氏の功績も大きいと思う。また,エーレンデュルが娘のエヴァ・リンドに毒づかれる場面など,“この日本語はどのようなアイスランド語に当てられたのだろうか” と想像してしまうほど登場人物や状況ごとに多彩な俗語が駆使されている。私たちがこの遠い国の物語に親しみを感じながら読み通すことができるのも翻訳者のこうした配慮のおかげだと思う。 なお,「訳者あとがき」に「社会主義と共産主義は厳密に区別されずに書かれている」が「原文通りに,統一せずに訳したことをお断りしておきたい」とされているが,これは賢明な判断だと思う。私の読んだ限りでは原作者はほぼ正確に「社会主義」と「共産主義」を使い分けているように思われた。 | ||||
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暗く陰鬱でありながら非常に味わいある文章でこのシリーズは読み終わるたび深い余韻に浸らせてくれます。とはいえ次作までの待ち時間を考えると寂しいんですけどね。 今回も素晴らしかったです。ミステリー自体としては直球というか犯人はだいたい予想はつきますし。 小説は事件の核となる冷戦時代と現在を交互に描くことで進んでいきます。 どちらの時代にも悲恋が出てきます。 行方不明になった恋人を忘れられずにいる女性の切なさについ思いを馳せてしまいます。若い頃から苦労が多かったことが伺える彼女の人生でその恋は掴みかけた唯一の幸せだったのではないでしょうか。 失踪した際に残されていた車についての話が出てきます。彼女は車は売ってしまったと答えます。理由はお金のためです。いつもお金が足りなかったから。切ない理由だと思いました。恋人の写真も持っていない彼女にとって車は恋人との幸せを形として残しておける象徴だったはずです。車を購入した時の彼女はとても幸せだったでしょう。これからの生活、将来への期待。それらの幸せが突然消えてしまう。 ほんの短いシーンですが胸にぐっと詰まるやりとりでした。 次の作品はいつごろ出るんでしょう?どんな作品なのか。楽しみにしています。 | ||||
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アーナルデュル・インドリダソンの小説を読むのは、『湿地』、『緑衣の女』に続いて3作目(エーレンデュルシリーズとしては4作目であるが)。『湿地』、『緑衣の女』には痛めつけられ、傷つけられる女性が出てきて読むのがつらかったが、その点では『湖の男』にはDVされる女性は出てこないので読みやすいとは言える。だがインドリダソンはなかなか簡単に読ませてくれない作家だ。やはり別な点で胸を締め付けられながら読んだ。 私はこの小説の大きな軸は「時」だと思う。ストーリーは干上がった湖の底で発見された白骨から始まる。壊れたソ連製の盗聴器が体に結びつけられていることから、自殺にしろ、他殺にしろ、三十年くらい前の事件であろうと思われる。日本でなら時効が成立して捜査は始まらずに終わってしまうかもしれない。だが、エーレンデュル捜査官は地道で丹念な捜査を始める。それはアイスランドには時効がないからでもあるが、彼自身が過去の傷を今もずっと抱えているせいでもある。また捜査の過程で三十年前の失踪事件に行きあたるが、失踪者を今もずっと待ち続けている女性がいる。ストーリーはまたある男の六十年代の東ドイツでの回想を語る。 この小説で描かれるのは過去と現在という時であり、日々の生活、家族の生活という時であり、年代であり、時代であり、歴史である。希望や夢や理想や信念が「時」の中で失望や、落胆や挫折や裏切りに変わっていく。「時」に翻弄される人々の姿をインドリダソンは詳細に描く。それを読むのはとてもつらい。だが、読み続けずにはいられない不思議な魅力がある。『湖の男』は推理小説でもあるが、すぐれた歴史小説でもある。読み終わって溜息をつくのが必至、その溜息が犯人が分かった満足から出るものか、あるいは「時」の残酷さに戦慄して出るものか、それは読者次第である。 | ||||
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お話の中に登場する東ドイツの相互密告システムにより人々が周りの人間に対し疑心暗鬼に陥るなど気持ち良く読めるお話しではなかった。 謎解き自体は以外にあっさりしていたなという印象です。 それよりも主人公の元に新たな親族が現れるなど、彼の子供や恋人などの人間関係がこの先どうなるのだろうということのほうが気になってしまいました。 | ||||
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「湿地」には及ばなかったが、まあまあ面白かった。 トーマスが拳銃で自殺する場面ですが、父親からもらった時には数個あった銃弾が一つしか残っていなかったのはなぜですか?。彼がそれまでに拳銃を使ったことを意味しているのかな、P273にも拳銃に触れた箇所があるんですが、何か意味があるのでしょうか? | ||||
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