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翳ある墓標



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翳ある墓標の評価: 4.00/5点 レビュー 7件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全5件 1~5 1/1ページ
No.5:
(4pt)

鮎川作品ならではの安定の面白さ

「風の証言」、「準急ながら」、「積木の塔」、「偽りの墳墓」、「憎悪の化石」に引き続き再読。

本作は非シリーズ物で、鬼貫警部や星影龍三は登場せず、「メトロ取材グループ」に所属するトップ屋の杉田が探偵役を務める。

警察官や新聞記者ではない杉田だが、愛する女性のために真相を必ず暴き出すという心情が原動力となっていて、何度か捜査が行き詰っても決して諦めない彼の姿勢に素直に感情移入できた。

シリーズ物ではなくても、手抜きというわけではなく、いつものとおり地道で論理的な捜査過程が楽しめる。

事件が終結した後のエピローグは感傷的ではあるが、くどさはなく、短いが余韻を引く締めくくりに好感が持てた。

なお、併せて収録されている短編「達也が嗤う」は、犯人当てミステリの古典的名作です。
翳ある墓標 (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:翳ある墓標 (光文社文庫)より
4334768768
No.4:
(4pt)

ノンシリーズの長編と翻訳短編をカップリング

鮎川氏のシリーズキャラクターが登場しない単発長編作品となっている。 アリバイ崩しと二転三転する展開がスリリングで、鮎川作品でも屈指のスピディーさを誇る作品である。 当初の思い描いていた事件構造が一変する展開となる。 オマケとして、鮎川氏が初期に海外の短編を翻訳した作品を収録。 こちらは海外のパルプ雑誌のハードボイルド短編であり、作者も有名でもないものばかりで、本格推理短編でも何でもなく、ありがちな海外のつまらないハードボイルド探偵もので、読んでも面白くはない。 図書館とかで借りた場合は 翳ある墓標だけ読んで、後の短編は読まなくてもかまわないだろう。
翳ある墓標―昭和ミステリ秘宝 (扶桑社文庫)Amazon書評・レビュー:翳ある墓標―昭和ミステリ秘宝 (扶桑社文庫)より
4594034047
No.3:
(5pt)

地味ながら読者の期待を裏切らない読み応えの長編&超絶技巧の名短編

「翳ある墓標」はシリーズ探偵ものではないが、しっかりとした構成で論理的推理を堪能できる佳品。「達也が嗤う」は犯人当て小説の最高峰ともいうべき技巧的作品で、何度読んでも見事な伏線の張り方、叙述の巧みさ、稚気溢れる仕掛けに唸ってしまう。
本格推理を愛するファンへの至福の贈り物です。お楽しみください!
翳ある墓標 (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:翳ある墓標 (光文社文庫)より
4334768768
No.2:
(4pt)

不遇の長編と超絶技巧の短編

『翳ある墓標』(初刊1962年)はシリーズ探偵である鬼貫警部も星影龍三も登場せず、傑作揃いの鮎川作品において地味な扱いを受け続ける不遇な長編。当初の構想が外的な事情により変更を強いられ、作者自身も通俗的な作品という評価を下していた為だろうか再刊の機会も他の長編に比べ格段に少ない。確かに発表当時流行していた社会派推理小説を意識したような要素が古めかしく感じる点と終盤の展開がやや唐突なのは残念だが、しかし鮎川哲也の本領発揮というべき読者へのフェアプレイ精神と秀逸なトリックメイカーぶりが堪能できるのは流石で、哀切でロマンティックな結末には著者の隠れた美点である叙情性が他の長編に比べて濃厚に感じられる。とはいえ鮎川作品のビギナーには『黒いトランク』(1956年)や『人それを情死と呼ぶ』(1961年)といった名作を先に手に取られる事をお勧めする。
併録の短編「達也は嗤う」(初出1956年)は掛け値無しの傑作短編。読者に挑戦し、翻弄する超絶技巧に唖然とする事間違い無しだ。出来れば予備知識を仕入れず虚心に読んで頂きたい。
翳ある墓標 (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:翳ある墓標 (光文社文庫)より
4334768768
No.1:
(5pt)

面白い!その一言!

戦後しばらく後の日本。主人公はトップ屋(週刊誌の記者)。取材したばかりのホステスが殺され、その死の真相を追うことにした主人公の同僚の女性記者も殺されてしまう。彼女が死んで初めて、お互いの想いに気がついた主人公は、2つの死の捜査を始める。この主人公の切ない気持ちが全体を貫いていて、読者は引き込まれてしまう。結構ボリュームはあるのに、無理なく手がかりが表れ、読者の頭をいたずらに悩ますこともなくストーリーが進み、事件もすっきり解決する。もちろん、犯人の意外性もある(カンのいい人は気づいてしまうかもしれないが、それでも動機の哀しさがいい)。本格というと、重いとか難解とかといったイメージがつきまとうが、本当の本格とは、この作品のように、カタルシスを得られるものだと思う。
翳ある墓標―昭和ミステリ秘宝 (扶桑社文庫)Amazon書評・レビュー:翳ある墓標―昭和ミステリ秘宝 (扶桑社文庫)より
4594034047

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