(短編集)

怪奇探偵小説集2



※タグの編集はログイン後行えます

【この小説が収録されている参考書籍】
オスダメ平均点

8.00pt (10max) / 1件

8.00pt (10max) / 1件

Amazon平均点

4.00pt ( 5max) / 1件

みんなの オススメpt
  自由に投票してください!!
1pt
サイト内ランク []B
ミステリ成分 []
  この作品はミステリ?
  自由に投票してください!!

0.00pt

38.00pt

0.00pt

61.00pt

←非ミステリ

ミステリ→

↑現実的

↓幻想的

初公開日(参考)1984年07月
分類

短編集

閲覧回数1,717回
お気に入りにされた回数0
読書済みに登録された回数3

■このページのURL

■報告関係
※気になる点がありましたらお知らせください。

怪奇探偵小説集〈2〉 (ハルキ文庫)

1998年06月01日 怪奇探偵小説集〈2〉 (ハルキ文庫)

「何者であろう、テントの近くの丘の上で、子供のような人影が、月を背にして踊っていた」―虐待され軽蔑され酷使される弱者の復讐劇を幻想美あふれる筆致で描く、江戸川乱歩の「踊る一寸法師」をはじめ、甲賀三郎、角田喜久雄、橘外男らによる、日本探偵小説界に咲いた異形の花の世界。名アンソロジスト・鮎川哲也が贈る、怪奇と幻想の16篇―。(「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

怪奇探偵小説集2の総合評価:8.00/10点レビュー 2件。Bランク


■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)

皮肉な結末と理解できないことの怖さ

前作はエログロ趣味の作品が多かったような印象があり、正直、途中で辟易したが、今回はその傾向は減じられており、「皮肉な結末」ものとでも云おうか、ちょっとしたスパイスを加えたものが多かった。収められた作品について傾向別に以下に述べていこう。

第1集によく見られたエログロ趣味・フリーク趣味の作品は今作品集では乱歩の「踊る一寸法師」、「赤い首の絵」ぐらいしかなかった。
前者を読むのは2回目だが、乱歩はやはり乱歩であるという認識を強くした次第。後者は剥ぎ取った顔を使って整形した女の執念を描いた作品で、ちょっと趣味じゃなかった。

皮肉な結末とでも云うべき一捻り加えた結末を備えた作品は「悪戯」、「決闘」、「魔像」の3作。
ポーの「黒猫」のオマージュとも云うべき「悪戯」、最後に泥沼の略奪愛劇が一大詐欺事件に変わる「決闘」、最後はありきたりだが、個展に必要な最後の写真のおぞましさが怖くていい「魔像」。これらはどれも出来はよく、好感が持てた。「決闘」は怪奇小説ではないかも?

幻想味が強く、観念的な趣向の作品は「幻のメリーゴーランド」、「壁の中の男」、「喉」、「蛞蝓妄想譜」。
この中では「壁の中の男」が今になってみると怖く感じる。かつての自分の恋人と同棲した親友を祝福するために最後の命の灯火を全て投じ、自分でデザインした家をプレゼントするがそれが恋人の気持ちを引き戻すことになり、嫉妬に狂う親友は恋人を殺してしまうという話だが、この建築家の体育会系の爽やかな口調、竹を割ったような性格が後に及ぼす悲劇から考えると、それと感じさせない悪意が秘められているようであとでゾクッとした。このカテゴリーでは他に比べると一番レベルが低いように思い、他の3作品は語るに及ばざるといった感じ。

純然たる怪異譚は「底無沼」、「葦」、「逗子物語」。
この中では短編集の末尾を飾る「逗子物語」が秀逸。趣向で云えば使い古された幽霊譚であるが、文章が格段に素晴らしいため、描写に寒気を感じさせる力があり、読んでいる最中に背筋が寒くなった。しかし、もっとも優れているのは最後の最後で幽霊に救いの手が差し伸べられるところ。逃げるように逗子を発つ主人公に付き纏う子供の幽霊。それに対し、あんな優しい言葉をかけるとは。本当にいい意味で裏切られ、胸を熱くした。また淡々とした文体が雨中の出来事を語る「底無沼」もいい。「葦」は素人が書いたような敬体と常体が入り混じった文章に最初は嫌悪を示したが、ありきたりながらも最後では少し感動した。結構このカテゴリーはレベルが高かった。

最後は奇妙な味とでも云うべき作品。「恋人を喰べる話」、「父を失う話」、「霧の夜」、「眠り男羅次郎」の4編。
「恋人を喰べる話」はまた人喰ものかと思ったがさにあらず、殺した恋人を埋めた庭から生えた無花果の実を恋人の血肉として食する、観念的だがストレートではないところに好感が持てた。「霧の夜」は昔小さい頃に読んだ怖い話に似ている。「眠り男羅次郎」は羅次郎という男が常人とは違うスピードの世界で生きているという設定が特殊。このアイデアから誰にも見えない衆人環視の中での殺人事件を描いた。

そして本作品集でもっとも怖かったのが「父を失う話」。文字通り突然父がいなくなる話なのだが、わずか7ページで繰り広げられるある日の出来事。その内容はネタバレにて。

こう並べてみると第1集に比べ、格段にヴァラエティに富んでいるのが判る。しかもレベルも高いものがそろっており、粒ぞろいといってもいいだろう。
あと残るは第3集のみ。さてどんな物語を読ませてくれるのだろうか。


▼以下、ネタバレ感想

※ネタバレの感想はログイン後閲覧できます。[]ログインはこちら

Tetchy
WHOKS60S
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.1:
(4pt)

怪奇な探偵小説の時代

1976年に出た単行本の文庫化。
 江戸川乱歩「踊る一寸法師」、甲賀三郎「悪魔」、角田喜久雄「底無沼」、水谷準「恋人を喰べる話」、渡辺温「父を失う話」、城戸シュナイダー「決闘」、阿部徳蔵「奇術師幻想図」、光石介太郎「霧の夜」、蘭郁二郎「魔像」、横溝正史「面」、渡辺啓助「壁の中の男」、井上幻「喉」、登史草兵「葦」、弘田喬太郎「眠り男羅次郎」、潮寒二「蛞蝓妄想譚」が収められている。
 いずれも戦前に書かれた幻想味と怪奇色の強い短篇ミステリである。こういうのが盛んに書かれた時期というのがあったのだ。
 出来不出来はあるが、どれも異様な味わいで面白い。印象に残ったのは、まず弘田喬太郎「眠り男羅次郎」。なんともいいようのない得体の知れなさだ。それから、水谷準「恋人を喰べる話」。意外にロマンチックな話だが、アイデアの異常さが凄い。城戸シュナイダー「決闘」は、普通に意外な結末。
のちにハルキ文庫としても復刊されている。
怪奇探偵小説集〈2〉 (ハルキ文庫)Amazon書評・レビュー:怪奇探偵小説集〈2〉 (ハルキ文庫)より
4894564122



その他、Amazon書評・レビューが 1件あります。
Amazon書評・レビューを見る     


スポンサードリンク