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翳ある墓標



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翳ある墓標の評価: 4.00/5点 レビュー 7件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全2件 1~2 1/1ページ
No.2:
(3pt)

このミステリーには致命的な欠陥がある【ややネタバレ】

「あとがき」で著者は次のように述べる。「克明な読み方をすれば、本格物の面白さの神髄にふれることになり、推理小説の楽しさがわかって、鮎川哲也の次作を待ちこがれるはずだ。」大した自信である。この小説が発表された1960年には、翻訳物の推理小説の筋をまともに追えない読者が多かったのだろうか。
 私にはこの小説の決定的な欠点が分かっているのだが、書き方が難しい。幾分ネタバレになる。

 主人公の杉田はトップ屋である。週刊誌や新聞の編集室に属さずに、記事をそれらに売り込むことを生業にする人である。現在のフリージャーナリストに近いのだろうが、杉田はトップ屋のグループに所属しているから、フリージャーナリストとは異なる。(そのグループが会社組織かどうかは分からない。)
 小説の冒頭で、主人公の杉田と、同じグループに所属する高森映子が、キャバレのホステスのひふみのインタビューをしたあと、別れる。翌日(12月2日)、ひふみの死体が伊豆で発見される。警察はひふみが自殺したものと見るが、映子は他殺に違いないと考えて、取材をはじめる。ところが、その映子は12月16日に会社に来たきり、その後連絡がない。やがて映子の死体が名古屋の廃屋で見つかる。杉田は映子を殺した犯人を捕まえるために、捜査をはじめる。

 当初はひふみの殺人犯を見つけることがこの小説の主筋であると、読者は思う(だろう)が、ひふみの死亡は自動車事故であることがじきに分かり、そこから、欠陥のある自動車を多数、欠陥があることを知った上で売った人間を見つけることが杉田の目的になる。その人間が映子を殺したに違いないと彼は考える。杉田はその人物を突き止めるのだが、その人物には映子殺しに関して鉄壁のアリバイがあった。そこで、犯人と睨んだ人物を警察に捕まえさせるために、杉田はそのアリバイを崩そうとする。
 この小説は、この本の5頁から始まって334頁で終わる。犯人が特定されるのは217頁辺りである。つまり100頁以上アリバイ崩しに費やされることになり、アリバイ崩しこそがこのミステリーの眼目なのだ。だから、ややネタバレですけど勘弁してください。

 プロットに問題はない。問題は、犯人は中古車会社の一セールスマンであるということである。セールスマン自身が中古車を仕入れるわけではない。中古車販売会社が中古車を仕入れた場合、必ず点検して整備をする。ブレーキの効きが悪い状態の車をセールスマンに売らせるわけがないのだ。ブレーキの効きが悪いのなら、原因を突き止めて、オイルホースなり、オイルリザーバーなり、ブレーキシューなりを交換することで、問題を解決することができる。それほど金額がかさむものものではない。かかった金額は売値に反映させればよいのである。この小説にはほかに走行中にハンドルが効かなくなったという例と、前輪の片方が外れたという例が紹介されている。これらもそれほど費用がかかることなく、あるいは部品の交換なしに修理できるものだ。(この中古車販売会社の社長はまともな人物で、人をだますようなことはしないということになっている。)だから、ミステリーとしてのプロットに問題はないが、話の前提が間違っているのだ。ひょっとすると、著者は自動車や中古車販売についての十分な知識がなかったのかも知れない。
翳ある墓標 (光文社文庫)Amazon書評・レビュー:翳ある墓標 (光文社文庫)より
4334768768
No.1:
(3pt)

鮎川哲也の長編小説久しぶりに読みました。

まあ・・それなりに楽しめました。また探して読みたい思います。
翳ある墓標―昭和ミステリ秘宝 (扶桑社文庫)Amazon書評・レビュー:翳ある墓標―昭和ミステリ秘宝 (扶桑社文庫)より
4594034047

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