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月世界小説
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月世界小説の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.89pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
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Amazonで購入させていただきました。 はじめに、ぼくはSFはあまり読んだことがないSF初心者であることをお断りしておきます。 SF初心者でも十二分に楽しめる小説、これが牧野修(まきの・おさむ)さんの『月世界小説』です(はじめぼくは、タイトルを「つきせかいしょうせつ」だと思っていましたが、実際のところ、「げつせかいしょうせつ」と読むようです)。 村上春樹さんは、ジョージ・オーウェルの『1984年』の向こうを張った『1Q84』で、その後の世界の分岐点を1984年と考えて物語世界を構築しました。 この『月世界小説』は1975年(あるいは1945年)をその分岐点と考えて物語っているようです。 物語は2014年現在からはじまります。 主人公の菱屋修介(ひしや・しゅうすけ)は、ゲイの小説家です。 菱屋くんは友人で出版社勤務の石塚啓太(いしづか・けいた)のことが好きです(つまり、菱屋くんはゲイです)。 菱屋くんは石塚くんに誘われてとプライド・パレード(LGBTQの祭典)を見学しに来ています。 そのとき、天使たちがラッパを吹き鳴らして登場し、「地に住める者どもは禍害なるかな、禍害なるかな、禍害なるかな、尚ほかに三人の御使いの吹かんとする喇叭の聲あるに因りてなり」(p.19)と人間たちに告げ、辺りは阿鼻叫喚の地獄絵図となります。 そこから世界は1975年に巻き戻され、「1975 世界n+1」の世界と「世界n-1」のメタ世界ーー時には「1958-1975 世界n+1」の世界ーーへと行きつ戻りつします。 そして最終的には人類対神の闘いへと発展します。人類の武器は「物語ること」です。物語ることによって、語られたものが現実化する、まさに「物を語る」ということです。 人間は神に勝てるのか、勝てるとしたらどうやって、という本書のさわりの部分は実際に読んで確かめてください。 ささやかだけれど確かなことは以下の引用に示されています。 「「それで、どっちが勝ったのかね」子供のように不安な顔でジョンが訊ねると、ケートは優しく彼の頭を撫でる。/「まだ勝敗は決まっていないのですよ。でもね、こうしてあなたが幸せになる物語が語られることもまた、人類のささやかな勝利なんですよ。一匹の蝶が羽ばたくことが大きな竜巻を引き起こすように、この勝利はやがて人類とその物語の大きな勝利へと繋がる、のかもしれませんね」」(p.423) アウトサイダー・アートの巨匠ヘンリー・ダガーや日猶同祖論や言語的ジェノサイドやバタフライ効果、『聖書』やミルトンの『失楽園』、そして主要なモチーフとして日本語の言霊思想などいろいろなギミックが散りばめられています。 ぼくはそうしたもののなかに伏流しているものとして、大本教の出口王仁三郎の思想や水村美苗さんの『日本語が亡びるとき』(筑摩書房、2008)がある気がしますが、どうでしょうか。 SFを読んだことがない人でも楽しめること請け合いです。 オススメです。 | ||||
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文字通り(?)言葉を武器に戦うのかっこよすぎる。 小説が好きならきっと一度は空想したことがあるであろう、「自分の物語で戦う」を見事に描いていて、この作品中学生とかで出会ってたら絶対影響受けすぎて人生狂ってただろうな…。 映像が頭に浮かんでくるようでその想像すら本の中から出てくる腕に鷲掴みにされグシャグシャにされる快感。 ラストは普通に泣いてしまった。 | ||||
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主人公 菱屋修介が、破滅しようとする世界n(本来の2014年?)から「現実逃避」した先であるはずの彼の「妄想(と思われていた)=世界n-1」は、実は「太平洋戦争後に米国に支配されたままの1975年」=世界n+1で重要な役割を果たすとされる本「月世界小説」の中身である、という具合に、複数の「パラレルワールド」が交錯、互いに干渉しながら物語が進行します。 テーマがテーマなために「言葉遊び」的な要素も多く、「学園紛争」や「公安」といったキーワードのせいもあるかもしれませんが、全体的に押井守監督のアニメや漫画、あるいはつかこうへいなどの不条理(?)劇をイメージしながら読み進めていました。また、終盤に向かって、聖書をモチーフに「多彩な言語をもって神の意志に背いた人類」対神=「非言語的存在」の戦いが中心となるあたりからは、アニメ「エヴァンゲリオン」が連想されたことから、必然的に「訳が分からないエンディング」を危惧していました。しかし、これが意外と(?)「きちんと」物語は完結していて、それなりに納得して読み終えることが出来ました。 | ||||
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牧野修と神林長平は同じオリジナルから派生した異本(バリアント)なのではと思ってしまう。 片やフェアリイ星で雪風を駆りジャムとの戦いを幻視し、片や月でドラフトを駆り駱駝との戦いを幻視する。 共に言語での世界認識、及び、その先の真に現実(リアル)な世界の存在に言及している点が興味深い。 ドラフトの生々しいというか肉々しい描写が如何にも牧野らしくて面白い。 ちょっと抑えめな気もするのでもっと牧野っぽさを存分に発揮してくれていたらとも思う。 読者も含めた何重もの入れ子構造も面白い。 ところで山田正紀が解説を書いているが、かの「神狩り」に近いものもある。なるほど山田正紀も異本だったのか。 ということで神林や山田正紀等が好きな方には特にオススメ。何も知らずふと手に取ってももちろん楽しめると思う。 | ||||
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パラレルワールドを巡る冒険小説。 同性愛者である主人公は失われた恋人を求め、一方、主人公に関る運命を持った男もも、もう一人の主人公として様々なパラレルワールドで事象の核心に迫って行く。 それにしても塁の最終兵器としての姿は、下手な作家ならばリアルロボットものの方向へ行ってしまう事だろう。そう成らなかったのは、この作家ならではの事。 | ||||
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言語と多重世界が交錯する物語に翻弄される不思議な感覚。 惹き込まれた。 | ||||
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