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マレー鉄道の謎



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【この小説が収録されている参考書籍】
マレー鉄道の謎 (講談社ノベルス)
マレー鉄道の謎 (講談社文庫)

マレー鉄道の謎の評価: 3.69/5点 レビュー 32件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.69pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全10件 1~10 1/1ページ
No.10:
(3pt)

推理小説としては楽しめる!マレーシアを知るためとしたらダメ笑

マレーシアというと多くの日本人にとってはあまり馴染みがないとはないのではと思います。南国くらいしかイメージがなく、ひどい人だとシンガポールやフィリピンなどとゴッチャになっている方も見かけます。ロングステイ先としては近年日本では有名になってきましたが、やはり印象が薄いですね。

 私は多少縁があり、他の方よりはよく知っているつもりなのですが、題名にマレーシアに関連するものがあるとついつい反応してしまいます。ということで本作を図書館で発見し、読んでみた次第です。

 そもそも本作は推理小説のなかでも新本格と呼ばれる部類の作品とのこと。ありていに解釈させて頂くと、ずばり謎解きを楽しむ部類の小説だと思います。その点で言えば、なかなか面白かったです。売れない推理作家の有栖川有栖が、犯罪心理学者の火村を連れだって旅行先のマレーシアはキャメロン・ハイランドで密室殺人事件に遭遇する。さらに事件を追ううちに起こる連続殺人事件と、これらの背後で起こっていた過去の事件が徐々に明らかに。滞在期間が限られる中で火村と有栖川がこれを見事に解決する、といったものでした。

 本作に特色を求めるとするならば、未知なる国マレーシアの情報をより理解しやすい形で吸収できることが挙げられます。
 よくあるマレーシアの紹介ですとペトロナスタワー(都庁のような二本立てビル。日本のハザマがその一部を竣工)とかKLIA(故黒川紀章氏が設計)が来ます。7割以上はこんな感じ。ところが本作はより玄人好み。マレー鉄道(タイから陸路でマレーシア・シンガポールへと接続)、イポー(首都クアラルンプールから車で2時間ほどの小都市。ホワイトコーヒーやチキンライス、もやしが有名)、さらには紅茶や野菜の産地として有名なキャメロン・ハイランドなどが出てきます。このあたりは知らない人にはへーという学びになるでしょうし、知っている人はそうそう、という反応かもしれません。
 また、ジム・トンプソンのことが触れられている点も陰謀論が好きな私としては評価が高いところです。彼はCIA(の前身)のエージェントであったものの、戦後タイでシルクを商い、財をなしました。ところが、休暇で訪れたマレーシアのキャメロン・ハイランドで忽然と姿を消し、以来消息不明です。当時森に潜んでいた共産ゲリラに殺害されたという説をよく聞きます。

 他方、ちょっと不満な点もありました。ムスリムと華僑文化の理解です。先ずネーミング。本作中で殺害されるワンフー・ビン・リムと妹のシャリファ。彼らの父が酒飲み医者のドクターリム。このリム(林?)は広東系のよくある名前なのですが、Bin~(~の息子)のネーミングは基本ムスリムだけです。ついでに言えばシャリファというのもムスリムの女性の名前。この一家がムスリムだとすればお父さんが戒律を平気で犯すという家庭になり、ある意味(物語と言えども)マレーシアのムスリムを侮辱しちゃっているような記述になりますし(大っぴらに酒を飲むムスリムはいません)、この一家が普通の中華系だとするとネーミングからして理解が不十分という事になります。
 厳しいこと言うなよ、そういうこと言っていると面白さが半減するじゃん、とか言われそうですが、そうです笑 ごめんなさい。ただ、知っている人にとっては結構基本的な事でもあり、読む気がそがれてしまう可能性があります。

・・・

 ということで、文化的背景を無視して推理小説として純然と読めば楽しめます。他方、マレーシアに関連したものを読みたいので読もうというのであれば、マレーシアを殆ど知らない、あるいはあまり知らないという方にはお勧めできません。妙な誤解をする可能性があります。ある程度知っている方には、本作が誤謬を含むことを前提に楽しく読んでもらえればと思います。
マレー鉄道の謎 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:マレー鉄道の謎 (講談社文庫)より
4062750775
No.9:
(3pt)

トリックに無理があったかな

ちょっと、ストーリーに無理があるかな。
有栖川先生の本にしては、読むの時間がかかってしまいました。
でも、火村、アリスのやりとりは面白くて楽しかった。
マレー鉄道の謎 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:マレー鉄道の謎 (講談社文庫)より
4062750775
No.8:
(3pt)

異国情緒はステキだけど、強引にまとめた印象

各国シリーズなので、てっきり短編集かと思ったら長編でした。それにしても分厚いです(笑)。有栖川氏自身が書いておられるところによると、最初にマレーシアに取材旅行に行き、それから4年半後に完成したそうですが、その4年半の間ずっと書いていたわけではなく、まず最初の案がまとまらなくて四苦八苦していたそうです。けれど書き始めたら、実際の執筆日数42日という今までで一番の驚異的な早さだったとか。

他のレビューアさんも書いておられましたが、せっかくマレーシア舞台なのに、登場するのがほとんど日本人というのがもったいない気がしました。小説内のアリスさんが英語が苦手なように、もしかして作者ご自身も外国語や外国人のメンタリティがいまひとつよくわかっていない方で描きにくかったのでしょうか。細かいことですがどうしてもひとつ最後まで引っかかってしまったのは、現地人の名前です。イスラム教徒のマレー人という設定なのに、名前がリム(林)やワンフー(王府?)と明らかに中国系華僑の名前。マレー人でこの名前はありえないです。
火村が仕事の都合でどうしても2日後に日本に戻らないといけない、それまでになんとか起こった殺人事件を解決したいということで、時間切れが迫っているのに、また別の殺人事件が起きてしまい・・という緊迫感の中、ぎりぎり犯人を突きとめる様子が描かれています。ただ、いろんな面でやや強引にまとめてしまった感ありで、人物造形、動機、殺人の状況など、ちょっと苦しい気が。
さすがに現地取材してきただけあって、キャメロンハイランドの描写にリアリティがあり、茶畑や高原の様子が目に見えるようです。また、作者お得意の鉄道ネタもあってタイからマレーシアを走る長距離列車も登場するのが楽しいです。ちょっとした海外旅行気分になれます。
マレー鉄道の謎 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:マレー鉄道の謎 (講談社文庫)より
4062750775
No.7:
(3pt)

薄味

最初の密室殺人以降トリックはなく、500ページの長編であることを考慮すると、
ミステリとしてかなり物足りない
登場人物はやや個性が薄く、海外を舞台にしたミステリなのに登場人物が日本人ばかりというのも
なんともいえない
そこまでつまらないというわけでもないが、そこまでパッとしない作品かもしれない
マレー鉄道の謎 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:マレー鉄道の謎 (講談社文庫)より
4062750775
No.6:
(3pt)

推理作家協会賞受賞作にしてはイマイチ。

本書は日本推理作家協会賞受賞作で、期待して読んだが、正直イマイチであった。
短編もののトリックをずるずる引き延ばして長編にしたような作品で、作者の文章は「読ませる」文章なので冗長とは思わないし、面白くないとは言わないが、受賞作としては期待はずれである。
この作品で著者に受賞させるのなら、なんで3つの「読者への挑戦状」を差し挟んだ著者の最高傑作『双頭の悪魔』で受賞させなかったのかと、推理作家協会に文句を言いたい。
著者の作品なら他にも、アリバイ崩しと「アリバイ講義」の名編『マジックミラー』もあるし、火村シリーズに限っても『46番目の密室』や『スウェーデン館の謎』の方がずっと上出来である。
むろん、推理作家協会賞は、対象年度の作品の中で最も優れた作品に授与するものであって、著者の最上作品に授与するものでないことぐらい承知しているが、それにしても他の候補作が「不作揃い」で本書がその年度で一番マシだったというだけのことなら、いっそのこと「受賞該当作品なし」にすれば良かったのにと思う。
それは歌野晶午の『葉桜の季節に君を想うということ』を読んだときにも感じたことだし、未読だが恩田陸の『ユージニア』もあまり評判は芳しくない(だから読もうと思わない)ことを見ても、受賞レベルを低くすることは推理小説界全体の質の低下につながるということを、関係者は強く肝に銘じるべきである。
マレー鉄道の謎 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:マレー鉄道の謎 (講談社文庫)より
4062750775
No.5:
(3pt)

普段、推理小説を読まない僕にとっては。

 文庫で500ページを越える文章量だが、内100ページは物語の前段として人物紹介や熱帯の情景描写、火村と有栖川の「悪」を巡る哲学的会話、等に充てられている。その後は殺人事件の展開を追うために、情景描写が殆ど無くなる。この割り切った構成には、取材旅行をして4年半後に書き出したという編集者泣かせの事情があるのかもしれない。もっと全体的に熱帯や高原の描写が散りばめられるには、執筆時に手持ちの素材や体感・記憶が少なかったのだろう。
 その他、気になったのは以下の点。
-1. 雄と雌、男と女を巡る哲学的会話が中盤結構なボリュームで挿入される。でも、それは結局犯人探しのオチには全く関係ない。ここで話されていることは結構面白かったし、登場人物達の人間関係にも絡められたはずなので、もっと練り込んでほしかった。逆に、オチに絡めないなら不要だったかも。
-2. 全体的に人物・心理描写が浅い。特に女性。まあ、トリックと犯人探しのストーリーを見せるための「古典的本格派」の推理小説に、そこまで内面描写を期待するのは筋違いなのかもしれないが、犯人の禍々しさは書けてた気がするので、残念。
-3. ジム・トンプソン失踪事件に絡めたかったのだと思うが、なぜ最後に犯人が失踪できる状況を火村が許したのかが、良く分からない。
 以上、「推理小説に文学を求めるなよ」とファンに怒られそうなイチャモンだとは僕も思う。文句ばっかり書きましたが、作者の古典派王道「本格派推理小説」への愛は十分伝わりました。
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4062750775
No.4:
(3pt)

聞き取れない!

 2002年のノベルズの文庫化。
 国名シリーズは苦しい作品が多い。本書も、「これがマレー鉄道かよ!」と突っ込みたくなる部分が。
 まあ、文章は安定しているし、トリックも捨てたものではない。ファンの人には安心して読める一冊だろう。
 今回はマレーシアが舞台ということで、関係者との会話も英語が中心になる。しかし、(登場人物の方の)有栖川氏は英語が得手でない。そのため会話中に「××××(聞き取り不能)」というのがしばしば出てくる。斬新な手法だった。こういうトリックもありなのか!
マレー鉄道の謎 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:マレー鉄道の謎 (講談社文庫)より
4062750775
No.3:
(3pt)

できのいいパズル

推理小説は、なぜ殺したのかという動機を重視した作品と、誰がどうやって殺したのかというロジックを重視した作品の二種類におおまかに分類されます。どちらか片方にウェイトをおきつつも、この二つの要素が高いレベルで混ざり合うことが、良質のミステリー成立の条件ではないでしょうか。必要以上に動機にウェイトをおくとテレビの2時間サスペンスのようにお涙頂戴の陳腐な作品になりますし、逆にロジックを重視しすぎると文章を手段にしたただのパズルに堕してしまいます。その意味で、今まで一貫してロジックを重視していた有栖川さんらしく、この作品のロジックも冴え渡っています。さすがに、ロジック重視の代表選手であるエラリー・クイーンの向こうを張って国名シリーズを刊行している面目躍如というところでしょうか。しかし、動機、および人物描写についてはイマイチと言わざるをえません。まず、謎解き部分のロジックの面白さに比べると、なぜ殺人を犯したのかという理由がありきたりで必然性が弱い気がします。さらに、主役である火村とアリスの会話が探偵と道化回しというパターンに固定化されてしまい、それが物語をつまらないものにしています。やはり人気シリーズゆえの宿命なのか、このシリーズはマンネリ化への道を踏み出しているようにすら思えます。今はやりの動機にあまり重きをおかない推理小説が好きな方にとっては、この作品は本当に面白い作品でしょう。しかし、私の目にはできのいいパズル以上のものには見えません。
マレー鉄道の謎 (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:マレー鉄道の謎 (講談社文庫)より
4062750775
No.2:
(3pt)

国名シリーズ!

そろそろ火村シリーズに代表作と呼ばれるものを・・・と思って書かれた長編小説。有栖川氏のロジックはいつもとても素晴らしい。けれどこの作品にはところどころ、首を傾げたくなるような箇所があるのも事実。代表作、と呼ばれるには今ひとつ、何かが足りないと思う。とはいえ、人気の高いシリーズものなのでキャラクターに思い入れのある方は面白く読める作品だと思う。本格の中の本格を求める人はちょっと物足りないかも?
マレー鉄道の謎 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:マレー鉄道の謎 (講談社ノベルス)より
4061820273
No.1:
(3pt)

待ちました!!

待って待って待って、待ち続けて、ついに出ました。「マレー鉄道」アリスと火村の学生時代の友人を訪ねて、彼らは今回、マレーシアに旅立ちます。マレーシアの雰囲気が味わえるし、彼らの学生時代のエピソードも出てくるので、それはそれで楽しいです。が、ミステリ的にはどうかなあって思います。熱帯特有のスコールで痕跡が瞬く間に消えてしまうと言う、不利な状況下で起きた、一応、密室殺人ですけど、ちょっとトリックが物足りない感じですね。でも、ま、だからといって、つまらないわけでは決してなく、最後まで楽しんで読めると思いますよ。
マレー鉄道の謎 (講談社ノベルス)Amazon書評・レビュー:マレー鉄道の謎 (講談社ノベルス)より
4061820273

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