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雲なす証言
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雲なす証言の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.00pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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「クリスティと同時代の、もうひとりのミステリの女王」として知られている作家の作品であるから当然真っ向勝負のフーダニットと思って読み始めたら、まったく勝手が違って、どう読むべきかしばらく混乱してしまいました。「伏線はどこに?証拠はどこに?」と血眼で捜しても、アンテナに引っかかってくるものがほとんどないのです。3/4ほど読み進んだところで、これはフーダニットではなく、ピーター卿の冒険の顛末を喜劇調で語る娯楽読み物なのだと気づきました。 そうとわかれば伏線捜しは放り出して、最後の法廷劇を気楽に楽しんで読了しました。 この小説には3人の女性が出てきますが、その境遇や性格がそれぞれ対照的に描かれ印象的でした。 恋人のためについた嘘で実の兄が殺人容疑を受けてしまい板挟みで苦しむメアリ(ピーター卿とも兄弟)、嫉妬深く暴力的な夫に脅えながら目立たないように生きる美貌の人妻、自由奔放で浪費家の娘。それぞれ最後は自分にとってめでたい結末を迎えるものの、その後の運命も気になります。 最初から死体で登場するキャスカート大尉はうち2人の女性と関係がありますが、最後に飽かされる壮絶な人生は、第1次世界大戦で激変した世界の影響をもろに受けたことが窺え、短いけれど心に深い感慨を残します。 本の帯に、「筆者(誰?)はヴァン・ダインの人と作品を想いました」とあり、読む前は意味不明でした。最近ヴァン・ダインはその評伝が邦訳されたことから真の姿が知られ始めましたが、第1次大戦による価値観の激変に翻弄され、作品にはそれが濃厚に出ているという意味で、確かにキャスカート大尉のプロフィルと重なり合うところが多い気がします。 とにかくこの作品でセイヤーズのイメージは大きく変わりました。まだストックがたくさんあるので、これからは肩の力を抜いて笑いながら読み続けられましょう。 | ||||
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