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オランダ靴の謎
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【この小説が収録されている参考書籍】
オランダ靴の謎の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.47pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全60件 1~20 1/3ページ
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本作は「ギリシャ棺」「エジプト十字架」とならび、クイーンの国名シリーズ中の傑作とされてきた。確かに綿密に作り込まれたパズル・ミステリであり、かなり楽しめる作品となっている。お決まりの「読者への挑戦状」が用意されており、しっかり読み込めば真犯人を指摘することは可能かもしれないが、物語構成上、犯行動機を指摘するのが難しいだろう。また、様々な物的証拠から導き出される推論が少し断定的すぎるようにも思われ、どうしても古い時代のミステリ感が残る。よって個人的評価としては3.5★というところ。 | ||||
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192✕年1月、〈オランダ記念病院〉で起きた殺人事件の現場に居合わせ、「誰が犯人か」「犯人は、いかにして殺人をおこなったか」を推理していく作家エラリー。犯人を絞り込んでいく彼の推理の道筋が鮮やかで、惚れ惚れさせられました。 読むほどに、ぐいぐいのめり込んでいったミステリ。時代を超えても全く古びない面白さだなあと。 訳文がまた見事で、とても読みやすかったですね。 法月綸太郎さんの巻末解説「犯人当てロジック小説の理想形」も素晴らしく、読みごたえがありました。 ひとつ「??」と思ったのは、巻頭の【登場人物】表が二つあったこと。あとの表には、〈ジューナ‥‥‥クイーン家の召使〉が載ってなかったり、人物の紹介文章が同一でなかったりと、謎のダブル【登場人物】表の掲載でした。 | ||||
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犯人の残したズックの『タン』、『べろ』と呼ばれる部位が織り込まれてつま先で上に折り曲がったまま履かれていた。翻訳では上品に舌革となっているが、ズックだからねえ。革じゃない。 だいたいここで犯人は特に足の小さい男、又は女性って絞られる。医療用テープでとめた靴紐とかね。 エラリーが何度も靴が決め手だと言ってるので初っ端からだいたい予想がつく。 わかってしまうと何でもないトリックなんだけど、そうじゃないかなあと読み進みつつ、結局最後の一行で犯人とその共犯者の関係がやっと明かされる。その二人の関係が読者にはわからないからフェアじゃないとも言える。もうちょっと最後で一捻り盛り上がりが欲しかったかも。 でも、今までの3冊の中では一番面白い。 | ||||
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いいなあ、本当にいいなあ。子どもの頃何十年か前、小さな本屋でこの創元版の本と出会った感動は、今でも決して忘れません。今の装丁と違って風格のあるモダンな装丁でした。どうしてあの頃の装丁に戻らないんでしょうか。失礼ですが、某社の装丁では、あの感動はうまれなかったとおもいます。中学でなんだか訳がわからないままに、最後までよみました。創元のあの装丁がなかったら、あんな感動はなかったと思います。歳を取るまで忘れられない感動を与えてくれた、装丁と中身に本当に感謝したいと思います。 | ||||
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昔からDutch shoeオランダ靴て何?の疑問はオランダ記念病院での殺人事件の遺留品の靴!って前作Roman Hatと同じノリで、聊か拍子抜け。しかし、前作よりは事件の構成が練られているし、推理に力が入っていて力作だ。チャレンジが載っていて、ここまででもう犯人が分かるはずとか謎解きミステリーらしい。昔の作品らしく動機面があっさりとしている。最後の謎解きが勿体つけすぎ!で待たされ疲れるので星1減。でも傑作だ。 | ||||
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あくまでも推理ファンとしての個人的な意見ですが、読者に情報を提示して、ともに推理していくプロセスはまあまあ楽しめたけど、途中で犯人がわかってしまい、ドキドキさせる感じがあまり味わえなかった。逆に言うと、最後の詰めがやや甘かったと感じました。これが歴史に名を残すほどの名作なのかなとさえ思いました。 | ||||
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国名シリーズ第三作にして、エラリー・クイーンに作家専業となる決意をさせたベストセラーの出世作。読んでみて納得のいく、教科書的な名作であった。 ネタバレは避けるが、個人的には全く疑ってもみない意外な犯人だった。エラリーがこの犯人を割り出すまでの推理が理路整然と明かされ、なるほど、これが純粋に論理的な推理なのかと感心。そういう意味で教科書的と言わせてもらった。 | ||||
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14歳の頃、中学卒業式後の春休みに、入学予定の高校の野球部の練習に体験参加(今だったらアウト?)していた私は右上腕骨を疲労複雑骨折、そのまま入院。入学式も出られず。骨が何分割かに縦に裂けた状態でしたので、ベッドから重しを付けた滑車で腕を常に引っ張った状態の方が手術より安全に治癒する、との医師の判断から3週間寝たきりの状態に。退院後も腹から上をアメフトの防具のようなギプスで固められるという始末。で、その寝たきりの間はひたすら推理小説三昧。叔母が寝たまま文庫本を読める装置(当時は最先端でした)を購入してくれ、時間だけはたっぷりありましたので、1日1冊ヘペースで。まるでヴァン・ダインのエピソードのようですが、そこまで大物ではありません。それまでドイルのホームズ物は読破していましたが、3週間でクイーン全部、ダイン2冊(グリーン家・僧正)、チェスタトン3冊で退院、となりました。その後も本格好きの推理小説ファンは続けていますが、やはりクイーンは強烈な印象で、当時はエジプト十字架かオランダ靴、若しくはYが好みでしたが、当時の創元推理文庫はまだ実家に揃えてあるものの、30年以上読み返すことはありませんでした。 5年程前から、状態の良い中古があれば購入し、時間をみつけて再読を始めました。今では1冊読了に半年かかります。まだレーン最後とエジプト十字架、フランス白粉、オランダ靴(入院中に詠んだものではありませんがカーの煙草入れも)しか終わっていませんが、年齢を重ねてか、読後感も随分変わってきたような自分自身がそこにいます。エジプト十字架は「現在ではどだい無理な話だろ」と感じるのは当然(それを言っちゃあいけませんが、どうしても)として、途中の新興宗教と終盤の自動車で延々犯人を追いかける場面がどうにもまだるっこしい。「瓶」には改めて感じ入りましたが。一方、オランダ靴。きちんと読者に手がかりが与えられている証拠であって、改めて作者のフェア・プレイ精神に感服こそすれ何ら否定すべきものではないのでしょうが、丁寧に読み進めていくと殺人直後の捜査段階で犯人、分かりますね。逆にフランス白粉。こんなに完成度が高かったのかと。当時はもっと平坦に読み進めていったような記憶でしたが。いやいや、国名シリーズ1、2を争う質ではないかと。まあ、最終的にはギリシャ棺を読んでから判断したいと思います。 | ||||
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確かに読者にも解けるようになっている。が、だからなんだというのが本書を読んだ時の感想だった。 強い感動を与える物語が展開されるわけではなく、犯人は誰か? という謎を解くことにほぼ全てのページが費やされる。 ただ、著者の目的がそもそも読者に謎を解いてもらうことなのだからそれは当たり前で、こき下ろすつもりはない。犯人当てミステリとして高い水準にあることは間違いない。 よって、探偵によって明かされる隠された真実に衝撃を受けたい人よりも、きちんと謎に取り組み犯人当てゲームに挑戦したい人にオススメ。大人向けのなぞなぞの本と思って買うと後悔はないかと。 犯人当てミステリというジャンルにしぼらず、一冊の小説として☆4ということで。 | ||||
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クイーンの作品の中でも傑出したとの評判を裏切らないだけの翻訳力であろう。読ませる。しかし、なぜ読ませるかは、巻末の法月綸太郎氏の解説が詳らかにしている。このようなすぐれた解説を読むことができて、2度おいしい気分を味わうことができる。 | ||||
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オランダ記念病院の所有者である大富豪ドールン夫人は怪我のため重症となり急遽手術を受けることになったが担当医のジャニー博士が手術台の上でドールン夫人を見ると既に針金で絞殺されていた。博士の助手であるプライス看護婦によれば手術直前にジャニー博士が控室で昏睡状態のドールン夫人に何か細工をしていたということだったが、ジャニー博士はその時間に謎の人物スワンソンと自室で話し合っていたという。犯人はジャニー博士に変装して犯行を行ったらしく病院の電話室で手術着や靴が見つかる。警察はスワンソンが何者であるかを詰問するがジャニー博士は頑として証言を拒否する。苛立つクイーン警視はジャニー博士の逮捕を新聞発表させてスワンソンをおびき出させようとするが、ちょうどその時に第2の殺人が起こってしまう… ホームズやポワロといった従来のミステリーでは帰納推理によって事件を解決する。つまり、まず真相に対して仮説を立て、それが証拠や手掛かりの全てをうまく説明できればその仮説が正しいとするものであった。一方、クイーンの作品は演繹推理である。つまり、得られた証拠や手掛かりを出発点として、そこから犯人の条件を絞り込んでいき最後に特定の一人にまで絞り込めれば解決となる。 本書はそのような演繹推理が本格的に展開されていくという点で一般に評価が高く学生時代に最初に読んだ時は非常に感銘を受けたが、今回再読してみるとそれほどの印象は無かった。 (以下ネタバレあり) まずは全体的に冗長である。全体の2/3あたりでも進展がなく同じことを何度も繰り返してページを稼いでいる印象がある。登場人物にも魅力が無い。エラリーのもったいぶったキザなセリフや態度、クイーン警視の狭量さ、肥満のヘンドリックの無能ぶり、老女サラ・フラーの狂信的で奇矯なふるまい、特殊合金の研究に没頭する天才科学者ニーゼル、ギャングの親分カダーイ、気性の激しい女医ペンニーニ博士(ただし実際にはごく普通という印象だったが)など、個性的な人物が登場するが現実感が乏しく何か映像化して客受けを狙ってでもいるかのようなわざとらしさを感じる。エラリーとの会話も機械的であり相手の性格や心理が浮かび上がってくるような深みが無い。またエラリーやクイーン警視は相手の発言を途中でさえぎるシーンが目立ち、その自意識過剰さは読んでいて失望してしまった。 天才科学者ニーゼルとエラリーの対決シーンは読み応えがあったが、第2の殺人後のニーゼルの依頼内容が天才とは程遠い凡庸な感じがありこちらもガッカリしてしまった。 第2の殺人後の後半(残り1/3)からは緊密さやサスペンスがあり一気に読めた。真相も盲点を突くものであり見事であるが、この内容であれば長編ではなく中編か短編でもよかったのではとも思う。解決にいたる推理の論理性に関しても別の解釈は十分可能と思われるため今一つ納得がいかない。特に、証拠品の靴と手術着が本当に犯行に使われたものかどうかの吟味が不十分と思われる。例えば、事件当日に全く別の人が全く別の目的のために残していった可能性は否定できていないと思う。 | ||||
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今まで読んだ推理小説の中で「フーダニット」の点では1番でした。 しかし完全にフェアということで犯人の意外性はあまりなく、まあそうだよな、という感じ。 話としての展開もすごく面白みがあるわけでもなく、やはりX、Y、エジプトなどには劣りますね。 ミステリ初心者にはあまりお勧めしませんが、クイーン好きには最高の一冊でしょう。 | ||||
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クイーンの作品はローマ帽子、フランス白粉、Y~Zの悲劇、犯罪カレンダーを読みましたがそれらの中で群を抜いて出来がよく感じます(Zの悲劇も同じく出来が良いです) デビュー作であるローマ帽子では犯人の行きと帰りの服装があやふや、劇の空き時間について未記述など粗が目立ちましたがそれからフランス白粉、オランダ靴と徐々にクイーンの作風をはっきり形にしています 作者が推理に必要な駒をすべて出し切っているので推理小説に慣れた人だと完璧とは言えないがほぼはっきりと解ける難易度だと思います 重大な情報を与えずラストにどんでん返しや予想外の犯人というオチではなく、読者にフェアに挑戦し話は堅実に収め読者は推理の余韻に浸れ、「こういう本が読みたかったんだよ」と強く思いました あとがきによれば後の国名シリーズ含め犯人当ての面では最高傑作と書いてあったのでこれと同じ感動が得られないのかと思い少しさびしく感じます | ||||
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国名シリーズは、「エジプト十字架の謎」に続いて、二作目に本作を読みました。論理に論理を重ねて事実にたどり着くエラリーの推理は読み応えがある。犯人の残した靴と着衣という二つの証拠から犯人像に迫っていくエラリーの推論、私は犯人こそ見抜けなかったが、ほぼ同じ結論に達した。エジプト十字架のアクロバティックな推論はため息が出るくらい見事だっただけに、作品としてはやや劣るように思う。もう一つ、登場人物が多すぎる、もう少し整理した方がスッキリする。その点で星一つ減点しました。 | ||||
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国名シリーズの3冊目。前の2冊よりバランス良かったです。全2作も普通に面白かったですが、犯人の意外性(まぁ読んでいるうちに絞られてはきますが・・・)は、あったんじゃないかな、と思いました。面白いのには変わりありません。 | ||||
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本作品の特徴は、「人の心の機微」や「犯行動機」など、「刺身のツマ」程度の重要性しか持たず、唯一の証拠品である、一足のオランダ靴から、 論理的整合性に基づく、推理により、人物の絞り込みを行い、最後には、唯一の真相に辿り着く点にある。 シャーロック・ホームズも仰天し、いけ好かないヴァン・ダインも太鼓判を押さざるを得ない、「ヴァン・ダインの二十則」を全て満たした完璧な作品であり、 「読者への挑戦状」が届いた時点で、全ての読者が、真相を導き出しているという、フェア・プレイの見本のような作品でもある。 これから推理小説の門を叩こうという方に、絶対の自信を持ってお勧めする次第である。 | ||||
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本格推理小説にはルールがあるというのが持論である。単純に書くと、論理(ロジック)とトリックに基礎があり、探偵がその推理を最後まで明かさないというのもそうである。 そういった意味では、本作も本格推理小説のルールに基本的に従ったものである。 例えば、最初の殺人の証拠として残された靴や服。第二の殺人では、死体の状態などなど。これらの証拠は、決定的な物証ではないが(現在の科学捜査なら決定的な証拠となりえる可能性はある)、エラリーの論理的な推理によって犯人を特定する前提になっており、その推理過程こそ、醍醐味だろう。だいたい、決定的な物証があればエラリーは不要である。物証を積み上げて犯人を特定するといった小説を読みたい人は、そういった小説を読めばいいだけである。 30年以上前に読んだことがあり、犯人を含め細かいことは忘れていたものの、第一の殺人による証拠の解釈について記憶があったため、犯人については途中で分かった(思い出した)。ただ、それだけにゆとりを持って読むことができ、ある意味『Yの悲劇』との類似を強く感じた(法月綸太郎は「解説」で、本作のドールン家と『Yの悲劇』のハッター家、『生者と死者と』のポッツ一族との類似を指摘している)。それは、老女が一族を支配するということだけでなく、ある証拠が極めて大きな意味を持つと言うことでもある。 | ||||
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GOODGOODGOODGOODGOODGOODGOODGOOD | ||||
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近代設備を誇る病院でその出資者にあたる女性が殺され・・・というお話。 瀬戸川猛資氏が生前、本格ミステリの条件として、1・発端の謎、2・中段のサスペンス、3・結末の意外性、4・謎解きの論理性と喝破してましたが、この作品ではそれら全てをクリアして、更には小説としても何十年も前に発表されたにもかかわらず全く古びていないところは驚異的ですらあります。前二作も傑作でしたが、今作はそれらも越えてこの時点での本格ミステリの最高峰だったとさえ思います。特に最後にクィーンが謎解きをしていくところでは、すがすがしささえ感じました、連続殺人を扱った小説であるにもかかわらず。故に本格ミステリとしも傑作ですが、小説としても十分傑作だと思いました。 読者への挑戦も人によっては傲慢で傲岸不遜、大胆不敵に思われるかもしれませんが、私的には読者の存在を認める=読者の理性や明晰な思考や合理性で解ける謎ですよと、読者に敬意を払った謙虚さの裏返しに思えましたが、どうでしょうか。 ともあれ、これから推理小説を書こうという人、読もうという人はマストの小説。 蛇足ですが、新版を買わせといて新訳も買わせる版元の見識を疑います。それと、国名シリーズの新訳と平行してドルリー・レーン4部作の新訳もお願いしたいところです。あと、序文を書いているJ・J・マックという人は実在の人物なんですかね? | ||||
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推理小説の世界三大巨匠のひとり、エラリー・クイーンがデビュー作を含め、1920年代から、1930年代にかけて発表した「国名シリーズ」。 ミステリ好きなら知らない人はいない、このシリーズの新訳の角川文庫版。 シリーズ第3作目の本作品は、これまでと同様、大都会、ニューヨークを舞台にしながら、「クローズドサークル」的な舞台として、第1作の「大劇場」、第2作の「巨大デパート」に引き続き、「オランダ記念病院」なる「大病院」での殺人事件を描いています。 昭和の時代に学生だった私は、当時としては、当然のごとく、「ミステリ事始め」は、エラリー・クイーンでしたが、国名シリーズについては、全作品読破はしておらず、本作品は未読でした。 今回、読むにあたり、調べてみると、いわゆる「犯人あて小説」としては、かなり好評であるということが分かりました。 奇抜なトリックやどんでん返しはないけれど、「読者への挑戦状」が示すように、解決へのヒントが事前に読者に提示され、解決編を読むと、そのロジックについては、納得させられます。 整合性の出来栄えは、他のミステリ作品を読んで、気軽に「この作品は本格だ」などという言葉が使えないほど、精緻に構築されたものです。 このシリーズ、心憎いのは、第1作が「帽子」、第2作が「白粉」、そして第3作の本作品が「靴」と、作品の重要な手がかりになる小道具が、はっきりと題名に示されているにも関わらず、恐らくほとんどの読者が、そこから正確な犯人を導き出すことができないように、物語が組まれているところでしょう。 だから、このシリーズに触発された後続の作家が跡を絶たず、著者に敬意を表した作品が現在も生まれ続けているのではないでしょうか。 そして、私がオススメなのは、この角川文庫版の「巻末解説」の充実度です。 しっかりと、エラリー・クイーン研究を行っている方の筆によるもので、読後、これを読むと、「大変に参考になった」と◎になることは、請合いです。 (ただ、私は、紙の本を読んだのですが、キンドル本では、このシリーズは巻末解説が省略されているようですので、要注意。角川文庫版の本シリーズの真価は、詳細な巻末解説にあると思えるのですが…) | ||||
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