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テニスコートの謎



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テニスコートの謎の評価: 3.67/5点 レビュー 24件。 Eランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.67pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全9件 1~9 1/1ページ
No.9:
(3pt)

持続力に欠けるJDC 1939年作 翻訳2014年

厚木の大旦那の翻訳が出た時(1982年)に読んで、印象が良くなかったのですが、新訳で再読してみると結構面白い話。被害者をちゃんと描き込んでるのが良いですね。でも冒頭はもっと小説的にスリリングになる(想いを寄せる美人が、好きでもない小生意気な若造と結婚しようとする)のに、そこには興味のないアンチノヴェリストJDCです。小ネタは効いていて中盤までは非常に良いのですが最重要容疑者の態度が変で、いつもの通り2回目の犯行はやっつけ仕事。そして大ネタは「はぁ」という感じ。p322のタイムラインを冒頭の記述と照らし合わせると完全にアンフェア。手がかりは色々あったよ、と作者が主張しても、効果が薄い伏線では解決のカタルシスは得られません。思いつきばかり先行して詰めを怠るJDCの悪い面ですね…
では恒例の歌のコーナーです。
p138 <鎮まれ、暴れ馬>ジーパーズ クリーパーズ: Jeepers Creepers 映画Going Places(1938年12月公開)が初出。
p228 彼はらくらくと空を漂う/空中ブランコの勇気ある若者/…: The Daring Young Man on the Flying Trapeze 原曲は1867英国ミュージックホール発祥、Walter O’Keefeが一部改変してヒット。映画「或る夜の出来事」(1934)でも歌われた。ここに出てくる歌詞はO’Keefe版。ところでp269「でも つれない彼女/おれはしがない空中ブランコ乗り…」(But I never could please her one quarter so well/As the man on the flying trapeze!) 厚木訳「しかし彼女はテコでもなびかなかった/空中ブランコの上の人のように」はどちらも間違いで、俺は空中ブランコの男と比べると全然あの娘を喜ばせられなかった、という意味だと思います。
p265 ウィリアム テル 序曲: むしろローンレンジャーのテーマとして有名かも。ラジオドラマは1933年から。
銃は45口径リヴォルヴァー(間違いなくSAA)と正体不明の22口径が登場。
テニスコートの殺人【新訳版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:テニスコートの殺人【新訳版】 (創元推理文庫)より
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No.8:
(3pt)

読ませるストーリー・・・だが解決編は?

専売特許の怪奇・オカルト趣向を封印しオーソドックスな現代劇として書かれた点や、ひたすら「足跡」テーマに拘った点は、カーター・ディクスン名義の「白い僧院の殺人」と似ている。
総じて、小説としては(最後の3章を除けば)本書の方が出来がいいが、トリックや謎解きのレベルとしては「白い僧院」には格段に劣る。

巻末の解説にもあるとおり、本来「足跡のない」殺人という典型的な不可能状況を示すはずの現場を、ヒューとブレンダのおしどりコンビが余計な細工をしたばっかりに、表面上は「足跡のある」殺人に転化してしまった、というヒネリの効いた謎の提示がすこぶる面白い。
物語は主にこの二人の視点で進むので、偽装工作がばれないかハラハラのサスペンスフルな展開となり、この辺のカーのストーリー・テリングは巧いなあと感心させられる。これには三角和代氏のこなれた新訳も一役買っている。冒頭のハーレクイン風のラブ・アフェアの描写も、なかなかスマートに訳していて好ましい。
というわけで、17章あたりまでは非常にいい感じで読めた。

なので、それ以降(解決篇)の出来栄えの酷さゆえ、そのギャップと脱力が大きい。
かなり破天荒なメイントリックのハウダニットは、他の作家だったら「ありえね〜!」のバカ・トリックだろうが、そこはカーのこと、カーだから許せる範囲だ(?)。が、二番目の殺人はトリックらしいトリックもなく、カーとしてはレベルが低すぎる。
それよりも、トリックにしろ意外な犯人にしろ、探偵役のフェル博士がこじれた謎を解きほぐして解決にもっていくというものではなく、偶然にも決定的な証拠が最後に(文字どおり)明るみに出て、否応もなく解決させられるというものだから、これでは「探偵」小説の意味がなかろう。

カー自身がのちに、二番目の殺人は入れずに中編として完結させればよかった、と後悔したようだが、私としては、むしろフェル博士の推理部分を(こじつけでもいいから)もっと膨らませて、前述のごとく「フェル博士がこじれた謎を解きほぐして解決する」常道パターンにうまくもっていけば、かなりの傑作になったと思う。非常に残念な一作である。

なお、原題は THE PROBREM OF THE WIRE CAGE で、テニスコートを囲む金網のことだから、ちょっとメイントリックを想起させるところがある(といっても、絶対に推理できないはずだが)。
テニスコートの殺人【新訳版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:テニスコートの殺人【新訳版】 (創元推理文庫)より
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No.7:
(3pt)

オカルティズム無き異色作

原題The Problem of the Wire Cage(1939年刊行) 
『テニスコートの謎』として流布していた作品の新訳版。
カーの特色であるオカルティズムの要素が排除され、その代わりに作中人物たちの愛憎のもつれ、とりわけ女性心理がカーとしては克明に描かれた異色作であり、登場人物たちの関係性が物語に緊張感を与えている。
テニスコートにおける殺人のトリックは前提条件に少々無理があっても豪快で面白い。しかし第二の殺人に至る顛末はいささか強引に思われ、全体の構成を歪で不自然にしているのは残念。第一の殺人のみのプロットで短編か中篇として書かれたならば、さぞ傑作に成りえたと思われる。(カー自身も長編にしたのは失敗だったと述懐している)
しかし読後異様な印象を残す犯人の造形は見事で、カー作品中でも屈指の名犯人(変な言い方だが)といえる存在だ。
怪奇趣味が無い為、カーのミステリ作法がやや反則気味の叙述技巧の冴えも含め、より如実に見て取れるという意味でカー愛好家には興味深い作品だが、カー並びにクラシックミステリの初心者はまず代表作(『火刑法廷』『三つの棺』『黒死荘の殺人』など)を先んじて読まれることをお勧めする。
テニスコートの殺人【新訳版】 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:テニスコートの殺人【新訳版】 (創元推理文庫)より
4488118372
No.6:
(3pt)

テニスコートを舞台にするとは

伝統あるウィンブルドン大会を見てもテニスが英国人の生活に溶け込んでいるのは想像できる。そのテニスコートを殺人の舞台にするのだからカーも人が悪い。
いわゆる"雪の上の足跡もの"(本作では雪は出て来ないが)で、コートの上で被害者が倒れているが、発見者(犯人ではない)と被害者の足跡の他には痕跡が残っていないというもの。カーの不可能犯罪に掛ける執念には頭が下がる。解決を読んでバカバカしいと言うなかれ、カーはチャント途中でデータを出しているのである。その出し方のさりげなさがカーの技巧である。
カーの不可能犯罪への執念と突拍子もないアイデアが楽しめる快作。
テニスコートの謎 (創元推理文庫 M カ 1-22)Amazon書評・レビュー:テニスコートの謎 (創元推理文庫 M カ 1-22)より
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No.5:
(3pt)

テニスコートを舞台にするとは

伝統あるウィンブルドン大会を見てもテニスが英国人の生活に溶け込んでいるのは想像できる。そのテニスコートを殺人の舞台にするのだからカーも人が悪い。

いわゆる"雪の上の足跡もの"(本作では雪は出て来ないが)で、コートの上で被害者が倒れているが、発見者(犯人ではない)と被害者の足跡の他には痕跡が残っていないというもの。カーの不可能犯罪に掛ける執念には頭が下がる。解決を読んでバカバカしいと言うなかれ、カーはチャント途中でデータを出しているのである。その出し方のさりげなさがカーの技巧である。

カーの不可能犯罪への執念と突拍子もないアイデアが楽しめる快作。
テニスコートの謎 (1982年) (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:テニスコートの謎 (1982年) (創元推理文庫)より
B000J7PWKC
No.4:
(3pt)

足跡のない殺人

カーが何度も書いているテーマ「足跡のない殺人」ものの一つです。被害者と第一発見者以外の足跡は現場に残されておらず第一発見者は絶対に犯人であり得ないシチュエーションは傑作「白い僧院」と共通するものがありますこちらの作品はトリックのアイディアそのものは良いのですが話が小粒でちょっとくいたり無さが残ります元々は中編だったものを出版者の要望で長篇にしたことに原因があるようですが・・カーの「足跡のない殺人」ものとしては他に長篇「月明かりの闇」や短編・ラジオドラマ等で見受けられます
テニスコートの謎 (創元推理文庫 M カ 1-22)Amazon書評・レビュー:テニスコートの謎 (創元推理文庫 M カ 1-22)より
4488118194
No.3:
(3pt)

足跡のない殺人

カーが何度も書いているテーマ
「足跡のない殺人」ものの一つです。
被害者と第一発見者以外の足跡は現場に残されておらず
第一発見者は絶対に犯人であり得ないシチュエーションは
傑作「白い僧院」と共通するものがあります
こちらの作品はトリックのアイディアそのものは良いのですが
話が小粒でちょっとくいたり無さが残ります
元々は中編だったものを出版者の要望で長篇にしたことに
原因があるようですが・・
カーの「足跡のない殺人」ものとしては他に
長篇「月明かりの闇」や短編・ラジオドラマ等で見受けられます
テニスコートの謎 (1982年) (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:テニスコートの謎 (1982年) (創元推理文庫)より
B000J7PWKC
No.2:
(3pt)

足跡トリックの元祖

 いわゆる「足跡テーマ」の作品、カーター・ディクスン名義の「白い僧院の殺人」と対をなす作品と言って良いだろう。雨上がりのテニスコートには、被害者と第一発見者の足跡が残るだけ、犯人はどのように立ち去ったのか。後に同様のテーマの作品が多数登場し、本作の偉大さを改めて知らしめていると言えるのかもしれない。
テニスコートの謎 (創元推理文庫 M カ 1-22)Amazon書評・レビュー:テニスコートの謎 (創元推理文庫 M カ 1-22)より
4488118194
No.1:
(3pt)

足跡トリックの元祖

いわゆる「足跡テーマ」の作品、カーター・ディクスン名義の「白い僧院の殺人」と対をなす作品と言って良いだろう。雨上がりのテニスコートには、被害者と第一発見者の足跡が残るだけ、犯人はどのように立ち去ったのか。後に同様のテーマの作品が多数登場し、本作の偉大さを改めて知らしめていると言えるのかもしれない。
テニスコートの謎 (1982年) (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:テニスコートの謎 (1982年) (創元推理文庫)より
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