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スタイルズ荘の怪事件
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【この小説が収録されている参考書籍】
スタイルズ荘の怪事件の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.03pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全80件 41~60 3/4ページ
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良い作品だよと聞いて気になっていました。実際に読んでみるとかなり読み入ってしまうほどですごいと思いました。 | ||||
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アガサ・クリスティの処女作品であり、エルキュール・ポアロ初登場ミステリということで読んでおくことに越したことはないけど、話はなかなか複雑怪奇でこんぐらがっている。 一読で、読者が真犯人を指摘することは、まあ、無理・・・・そこまでアガサがこの一作に込めた入れ込みようは凄い!っていうことなんだろう。 相当前に他の翻訳で読んだことがある。 その後、何度か映像化されたドラマを観て、さらに本書に戻ってくるという読み方がお奨めかも・・・・・・ | ||||
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最初に、私が読んだのは随分昔(中学生の頃)で田村隆一氏が翻訳されていた版なので、翻訳作品としてのコメントは差し控え、あくまでもミステリー作品としてのレビューとします。 本作は名探偵エルキュール・ポアロの初登場する作品であるばかりか、アガサ・クリスティのデビュー作でもあります。 1920年に発表されていますが、執筆時は1916年であり、まさに第一次世界大戦のまっただ中です。 そのため、途中に戦争中だからこその必然のような部分も出て来ます。 また、何しろ、エルキュール・ポアロがイギリスに存在すること自体が、第一次世界大戦の所為なのですからね。 この時代背景を理解しておく事は作品理解には大変重要でしょう。 物語は初期作品におけるポアロの相棒、ヘイスティングスの一人称で語られ、ストーリーは近年のミステリーでは考えられないくらい、非常にシンプルに流れます。 この時代以前の怪奇小説じみたミステリーとは一線を画し、この時代以降の派手な謎を解くような抑揚の大きなミステリーとも違い、ミステリー小説として必要な諸要素のみをきっちり詰め込んだ極めてマジメなつくりの作品です。 映画などにもなっている、クリスティの後の代表作を先に読まれた方は、「あれ?クリスティってこんなにシンプルだっけ?」と思ってしまうかもしれません。 しかし、シンプルではあるのですが、クリスティがヘイスティングスに、物語を整理しつつ、必要最小限に引っ掻き回す役割を命じているからなのか、ポアロがもったいぶった言動で随所に伏線を張ってくれるためなのか、最後まで退屈はしません。 そして最後の謎解きにおいて、各所の伏線が一つに繋がり、大きく盛り上がりつつ、我々の期待に答えるエンディングを迎えます。 この作品以降、クリスティは何十ものミステリー作品を残すのですが、やはりその原点として大きな役割を担った作品であると断言できますので、クリスティのファンはもちろん、ミステリーを語る方は必ず読んでおくべきでしょう。 しかし、クリスティの作品を読んだ事の無い方は、まずはストーリーがより劇的に流れる諸作品を読んでクリスティの凄さを感じてから、少し落ち着いた時点でこのシンプルな作品を読む事をお勧めします。 沢山ありすぎてしぼれませんが、「そして誰もいなくなった」「オリエント急行の殺人」「パディントン発4時50分」「ナイルに死す」「ゼロ時間へ」「無実はさいなむ」「終わりなき夜に生れつく」などはお勧めです。 ただし、ポアロやマープルなどのシリーズ物は順番に読みたいという方は、「オリエント〜」(ポアロ)と「パディントン〜」(マープル)は避けて、それ以外のノンシリーズ物をお読みになると良いでしょう。 最後に書く事でも無いのですが。 本作ではヘイスティングスによる一人称スタイルを採る事によって成功しているとも言えますが、私はポアロ物においては、あまりこのスタイルは好きではありません。 クリスティとしては彼の思考を経由させる事で、読者の思考をあちこちに振り回して楽しませよう、あるいは楽しもうとしているのでしょうが、彼女のポアロ作品はこのスタイル以外の作品の方が全体的にキレが良いように思えます。 多分に好みもあるのでしょうが。 | ||||
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そういえば1920年に、この作品でデビューしたクリスティ様です。大人の小説(字ばっかり)の読み始めがクリスティ様(作品は「そして誰も…」)だったので、感慨深いですね。のちハヤカワっ子になったので新潮文庫のミステリからは遠ざかりましたが、結構昔は探偵小説やスパイ小説やスリラーに力を入れてた文庫です。もう30年以上も前に読んだきりなので、内容はほとんど覚えてませんが、デビュー時のポアロの描写は印象に残っています。 | ||||
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アガサシリーズのなかで面白いものの5指に入るものと思います。 | ||||
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大変綺麗な状態でしたが、残念ながら小口部分の汚れがありました。 | ||||
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アガサ・クリスティーさんの本が読みたく、今回購入したのですが…本の状態がとても良くないです シミやシワ、ではなく、とにかく日焼けがひどい 2012年2月15日13刷なのに、古本屋さんの本よりひどい状態 これ、新書ですよね…? amazon( (株)ブックマーケティング(旧one for all))で、古本で購入した「そして誰もいなくなった」の2002年9月30日93刷のほうが日焼けが目立たない状態でした。 amazonはどうやって本の管理をしているのでしょう… 他の種類の本ですが、何冊かamazonで購入はしていましたが、ここまで本の状態がひどいのは初めてです 同じ本をお買い求めの方は、他のお店で購入することをオススメします たまたま私に悪い状態の本が当たってしまっただけかもしれませんが('・ω・`) | ||||
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改めてポアロシリーズをしっかり読んでみようと思い、この作品を購入。 ポアロが探偵として活躍する記念すべき第1作です。 本格ミステリですから、丁寧に伏線を拾っていけば答えにたどり着くはず・・・なわけないですね。一流のミステリですから。 この人が犯人??と思う人が二転三転、読みながら翻弄されるのが楽しかったです。 特に裁判の場面が面白かったですね。 逮捕、起訴までされたのだから、本当に犯人なのか? いや、真犯人が別にいることをポアロが突き止めるのか? とはいえ、この時点ではポアロの真意すらわからない・・・ まだ再会したばかりなので、ポアロとヘイスティングズのやりとりは ”やわらかい”感じですが、今後はどんどん”小憎たらしい”名探偵になっていくんでしょうね。 謎だらけの展開は、最後まで飽きさせず 一気読み必至の名作です。 | ||||
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クリスティー・フェアの帯で、新訳が出ていた事に遅まきながら気がつきました。 以前の、英国・大戦当時のライフスタイルを、ろくに説明もせずにそのまま日本語訳にしていた頃のものと違って、 現代・日本で、とても読みやすくなったと思います。その分、やや、ミステリアスな要素が減ったかな。そこは寂しい。 ------------------------ 昨今、ミステリーは成立しにくいですね。現代は、犯人の痕跡を、科学的に完全に排除する事がとても困難。 事件現場のセキュリティーもハードル高いし、家屋内どころか、街中、駅、主要道路に監視カメラが稼働していて、 携帯電話のGPSで、居場所も特定できるし、電話もメールも手紙も発信を辿れるし、車の移動も解析されてしまう。 普通の「犯人」が事件を成立させるのは、とても難しい。なんとも、味気ない世の中になったものです。 ------------------------ その点、昔は良かった。指紋を残しても、血液や毛髪が残っても、検出できなかったし、毒薬の入手も簡単だった。 携帯電話も監視カメラも無かったから、アリバイ工作も簡単だった。 犯人はやりやすかったし、計画性が無くてもなんとかなった。 だから、純粋ミステリーを楽しむなら、やっぱり古典ですね。トリックや動機を丁寧に追いかける楽しみがあります。 ------------------------ 私は、時に、どこか、ひやっと鋭利な冷たさを感じさせるミス・マープルより、 愛嬌があって、弱き者、傷ついた者、友人や時には犯人にも、暖かい思い遣りをかけるポアロ氏の方が好きですね。 ------------------------ 昔、全巻読んでいるのですが、さて、どこまで新刊を辿りましょうか。 でも、「カーテン」だけは、読めないかな。 | ||||
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このシリーズを集めている友人にプレゼントしたらよろこばれました! | ||||
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アガサ・クリスティの処女作。彼女はこの作品を書き上げ、いくつかの出版社に原稿を送ったらしいが、次々につきかえされ、最後にボドリー・ヘッド社が出版を承諾したとか。 典型的謎解きミステリーであるこの『スタイルズ荘の怪事件』には名探偵ポアロが登場する。ポアロが田舎屋敷スタイルズ荘で起きた女主人のエミリー・イングルソープ殺人事件の犯人を捜し当てるという設定である。こなごなに砕けたコーヒーカップ、遺言書の燃え滓など証拠品ともくされる品々が発見される。エミリーが毒殺された部屋では、椅子がひっくりかえっていたし、床のカーペットには蝋がおちていた。そして、彼女は殺される直前に部屋で言い争っていたことを聞かれている。被害者はどのようにして殺害されたのか? 犯人の動機は何だったのか? 登場するのは、女主人の夫、アルフレッド・イングルソープ、彼女の義理の息子ジョン・カヴァンディッシュとその妻メアリ・カヴァンディッシュ、ジョンの弟ローレンス、エミリーの友人でメアリと相性の悪いエヴリン・ハワード、エミリーの旧友の娘で薬剤師のシンシア・マードックなど。みなそれぞれに怪しい。ポアロとその友人である「わたし(ヘイスティング)」は丁々発止で、現場検証をしたり、検死にたちあったり、インタビューを試みたり、推理をしたり、公判に出席したり。 犯人像も二転三転、読者はおおいにとまどう。ポアロはまことに神出鬼没、推理も常人には及ばないユニークな発想で、ここは読者を楽しませてくれる。 | ||||
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怪しそうな人が真犯人っていうオーソドックスな推理小説 後のクリスティの傑作と比べると見劣りする しかし、初めて登場したベルギー人の変人探偵がすばらしい ちょっと間抜けなワトソン役であるヘイスティングもいい味を出している 面白い推理小説を読みたい人にはお勧めすべきものではないが、クリスティの処女作であるだけでも読む価値有り | ||||
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既にポワロものを10冊程度読んでしまってからのデビュー作『スタイルズ荘』ということで、「代表作よりは質的に大分落ちるのかなあ・・」とちょっと心配しておりましたが、何の何の流石はクリスティ女史!!私が海外ミステリーは『ホームズ』『ポワロ』位しか読まないから新鮮さを感じるだけかもしれませんが、よく練られた緻密な構成だと思いましたし、犯人もばっちり意外な人物で、ラストでしっかりと度肝を抜かれました!(笑)既に基本的なクリスティ・スタイルが確立されている、秀逸なデビュー作だと感嘆いたしました。 私の愛する友・ヘイスティングス(まだ中尉で30歳とかヤング〜!)も彼らしく活躍し、この頃から既にこういう癒し系な感じなんだなあと嬉しく読むことが出来ました。彼がいなかったらこの作品からどの位の<笑い>が失われることか!疑惑と嘘が飛び交う容疑者だらけの殺伐とした空気の中、あけすけ・素直・正直で友情を重んじる性格(ポワロが信用するのも頷ける)で絶対に計画殺人なんか出来ず、あまつさえ薄幸の佳人とのロマンスなんか期待しちゃう罪のない彼の存在にしばし心を預けられるのは有難いです。名探偵の相棒としては、ワトソンよりも個性があると思いますしすごく好きです。共感しやすく、読者を安心させてくれる平凡で良識ある(こういう人たちが世の中を支えてくれているのです)一般人キャラクターだということもありますが、彼には<直感>という、友人ポワロの助けとなり、同時に読者を混乱させるオイシイ特殊能力もありますしね(笑)! 喋り方やアクション等、ポワロ、ヘイスティングス共にややキャラクターが固まりきっていない印象の場面も見受けられましたが、これもデビュー作の醍醐味でしょう。 ポワロシリーズ最後の作品『カーテン』(私は我慢しきれず、先に入手したこっちを本書より前に読んでしまいました・・)との符合もとても気が利いていて、いたずらっぽくウィンクするクリスティの顔が見えるようでした。 ともあれ他のレヴュアーさんも書いておられますが、できるならば『ポワロ』シリーズは本書を初めに読むことをお勧めします。 | ||||
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私が初めて本格的に読んだミステリー小説であり、アガサ・クリスティの作品です。デビュー作でもあります。 読んだ直後は、「ミステリーってこんなにおもしろいんだ!」って感じで一気にミステリーへの関心が高まり、同時にアガサ・クリスティのファンになってました。アガサ・クリスティの作品での代表的な登場人物の一人、ポアロも登場する作品なので、アガサ・クリスティの作品を初めて読む人は非常に入りやすい作品であると思います。 他のアガサ・クリスティの作品も魅力的な物がたくさんあるので、ぜひレビュー等を参考にしつつ読んで欲しいのですが、ネタバレ的な物もあったりするので、勘の鋭い方は注意して読んで下さい。 | ||||
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ジェフリー・ディーヴァーは、文句なく面白い。ローレンス・ブロックの短編傑作集も秀逸。 しかし、最近我が国に紹介され各種ミステリ・コンテストの上位ランキングに位置付けられた 作品の当たり外れの多さに食傷気味です−もちろん個人の感想ですが。 この際「河をのぼれ」と思い立ち、アガサ・クリスティー作品の源流部に辿り着きました。 本作の「スタイルズ荘の怪事件」はもちろん「そして誰もいなくなった」「アクロイド殺し」と面白い。 女史のデビュー作、名探偵ポワロの初登場、ミステリの古典的名作など、この作品の位置付けや意義は 他のレビューアー記載のとおりです。 これまでクリスティー作品とは縁遠く、恥ずかしながら40代にしてはじめて読みましたが、読んで良かったと思います。 遅きに失することはありません。はずかしがらずに、わたしのようなミステリファンは読んでおくべきと思います。 ところで、新訳ハヤカワ文庫のクリスティー文庫シリーズのカバー写真は素敵で大好きですが、 今作の場合は“アンティークなかんぬき”だったのではないでしょうか? | ||||
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本書は作者のデビュー作だが、同時期のライバルたちのデビュー作、例えばヴァン・ダインの「ベンスン殺人事件」とかエラリー・クイーンの「ローマ帽子の謎」などがそれぞれ大評判だったことに比べると地味というか、あまりその評判を聞くことかない。 では、本書がそれらに劣る作品なのかというと、そうではない。本書は論理の筋がしっかり通った作品で、意外性もなかなかのもの。 思うに、クリスティーは、論理的な推理作品を書くのが少し早すぎたのではないか、読者がまだそれについていけなかっただけではないか、それがヴァン・ダインやクイーンのデビューとの違いではないかと私は思う。 なお、ポアロは床を這いずり回ったりするのは警察の仕事で、自分は灰色の脳細胞で推理すると決まり文句のように語っているが、本書では床を這いずり回っている。まだ、作者自身のポアロ像がしっかり定まっていなかったのかも知れない。 | ||||
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私は数ある推理小説中に登場する名探偵の中でもとくにアガサ・クリスティー女史の描くエルキュール・ポアロが好きである この「風変わりでダンディーな小男」、「灰色の脳細胞」ことエルキュール・ポアロが初お目見えしたのが本作の最も注目すべき点である 裏を返すとこの後に描かれていく作品と比べるとあくまでもトリックという点においては良くいえば正統派、少々辛辣にいえば凡庸という評価が妥当なように思う しかしながらトリック以外の描写、とくに犯人以外の人物たちの不作為のミスリード、各人物の個性・心理描写については秀逸といえる 推理小説というとどうしてもトリックの新奇性に帰結してしまいがちだが、本書はそれ以外の部分が各個人の行動原理に根差した合理性をもって描かれており、その意味で本書、ひいては著者の作品は色褪せることなくコナン・ドイルと並び称される名声を併せ持って推理小説の古典として今でも、そしてこれからも読まれ続けるのだろう 著者の世に出た処女作としても、そして何よりも名探偵・ポアロ初登場という記念碑的作品としてもおすすめしたい作品である もっとももう既に多くの方に読まれているに違いないが・・・ | ||||
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3年ぶりに、スタイルズ荘を読みました。 今度は、楽しく読めました。 アガサクリスティの小説は、 イギリスの文化を理解していないと、 なかなか想像できませんでした。 イギリスにおけるコーヒーとココアと紅茶の位置づけがよくわかっていませんでした。 また、ポアロものは、ベルギー人ということで、イギリスにおけるベルギー人の扱い、 イギリスにおける外国人に対する態度など、想像ができませんでした。 映像作品で、具体的に見ることができて、 ポアロの台詞、態度が想像できるようになりました。 文字を読んでいくと、映像が浮き上がってくるので、 話の筋に集中することができるようになりました。 | ||||
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オリジナルは1920年リリース。冒頭のクリスティーの孫、マシュー・プリチャードの説明によればクリスティーが小説を書き始めたきっかけはインフルエンザだったらしい。彼女の最初のミステリ『スタイルズ荘』は4〜5つの出版社からはボツになり、ボドリー・ヘッド社が出版を承諾したことで世に出ることとなる。一つの出版社の読破力が歴史を作った瞬間である。 この作品は第一次世界大戦中に病院の薬局で働いた経験がベースになっている。そして結末は超化学的である。ぼくの知るこの手の作品ではヴァン・ダインの『カシノ殺人事件』や最近では東野圭吾氏のガリレオ・シリーズがこの種類にカテゴライズされるだろう。ミステリに化学を持ち込むことの善し悪しよりも、むしろその後のクリスティーの『意外性の追求』のような後に続く作品群のことが頭に浮かぶ。彼女は正に『今』起こりうるミステリを書きたかったのだと思える。 処女作でありながら人物描写の劇を観ているような見事さや、心の機微をつく洒脱な会話が全編に流れ実に見事である。クリスティーは初めから完成していた、と確信する傑作だ。 | ||||
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『スタイルズ荘の怪事件』は、ポアロが初登場する記念すべき第一作。これからポアロシリーズに浸ろうと目論んでいる方には、本作から読むことをお薦めします。 第二作目の『ゴルフ場殺人事件』の冒頭から数ページ目辺りに、こんな会話が出てきます。 「じゃ、おもしろいわね?あたし、犯罪が大好きなのよ。ミステリ映画はかかしたことがないわ。殺人事件なんかがあったら、あたし、新聞をはなさなくてよ」 「じゃ、”スタイルズ荘の怪事件”をおぼえていますか」と私はたずねてみた。 「ええと、あれは――おばあさんが毒殺された事件じゃなくて?たしかエセックスのあたりで?」 私はうなずいた。 こんな風に書かれてしまうと、『スタイルズ荘』から先に読まないわけにはいかなくなりませんか。 ミステリー小説としては、他作品と比べるとやや落ちるかもしれませんが(他が凄すぎるので)、私はとても楽しく読むことができました。なぜなら、クリスティーの作品は、ミステリーである以前に一つの小説として素晴らしいものだからです。探偵とともに推理する楽しみだけでなく、登場人物の描写、会話、上品な英国の雰囲気こそ味わうべきではないでしょうか。 | ||||
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