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マークスの山



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マークスの山の評価: 3.77/5点 レビュー 271件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.77pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全271件 61~80 4/14ページ
No.211:
(1pt)

読むのが苦痛

何とか上巻を読み終えたが、読書がこんなに辛いもんだと初めて知った。とにかく個人的に文体が私には全く合わない。
ほとんどページ半分くらいだらだらと無意味な説明、描写が続き、句読点が無意味なところで打たれている。
かと思えば長い文章の途中で前半と後半で主語が入れ替わっていたりして、何度か読み返さないと、あるいは何度も読み返しても意味がわからない。
私の頭が悪い所為とは思いますが、これほど支離滅裂な文体の小説にはついて行けません。著者は上辺の文体の重厚さはただの悪文に
しかならないことを理解していない。小説の文体はあくまで散文です。詩を目指しては読者には(というか私には)苦痛でしかありません。
 多分下巻は読まないと思いますが、この小説を読んで奥田英朗や東野圭吾、重松清や横山秀夫が如何に文章がうまいか
よくわかりました。
マークスの山(上) 講談社文庫Amazon書評・レビュー:マークスの山(上) 講談社文庫より
4062734915
No.210:
(3pt)

読者がかわいそう。もしくは被虐趣味ですか

もう20年くらい前になろうか、話題になっていたので、ハードカバーを定価で買った。小難しい文章が全然頭に入ってこない。なんだかんだで、ほったからしにしていたら、ホコリをかぶって汚くなり、捨ててしまった。

レディ・ジョーカーはグリコ森永を扱うというので、期待はしないが興味を持ち、古本100円を上下二冊を購入して読んだ。多少は面白いが、本物の事件の方が圧倒的に面白いし、本物に何らかの目の覚めるような光を当てるというようなこともない。そのただちょっと面白いだけを確認するために、あの苦行のような文章を読んだ。

私は不幸にして無為にテレビやつまらない映画をみたり漫画を読んだりする習慣があるので、当文庫をみかけて、また苦行のような文章をのぞいてみようという悪心がおこった。で、5、6年前に古本で購入。最初の方読んだら、なんかグロテスクでホモ行為みたいなのを読んで食欲減退。止まってしまった。

で、つい最近、やっとこ、この上巻の後半部分が私をとらえてくれた。多少なりとも面白く読めた。下巻に突入したらあっという間に200ページを読み終えていた。あの生硬な文章にもかかわらず漫画のように200ページ読めた。その後はフツーのペースだったが。

で、まあ最後まで読み通すことはできたが、やっぱ大方は苦行かな。読んでも得るものが少ないし。
これ読み通すなら百科事典でも読んでいた方がマシじゃないかな。
マークスの山(下) 講談社文庫Amazon書評・レビュー:マークスの山(下) 講談社文庫より
4062734923
No.209:
(5pt)

前半はひたすら我慢の読書でしたが

リビエラを撃て!で途中玉砕したので今度こその1冊でした。ともかく登場人物が多く整理が大変でした。できたら
登場人物の名を羅列してくれたらいいのにと思いつつ、重厚な文とまるで「格闘」でした。ただ面白い!ぐいぐいと引き込まれます。前半のちょっとしたエピソードが後半で大きな山になってきます。
あの時「同じ時に心中事件があり、殺人でない殺人があり、そしてたまたま遭遇した人物が罪もなく殺された」

それに関係する人間たちの偶然の重なりから悲劇が起こっていく・・としておきましょう。ただ殺されたやくざと
MARKS一派の関係も書いてほしかった。ここが説明不足。
マークスの山(上) 講談社文庫Amazon書評・レビュー:マークスの山(上) 講談社文庫より
4062734915
No.208:
(5pt)

前半頑張って読むと後半がぜん面白い!

高村薫氏のリビエラを撃て、で挫折してしまったので敗者復活で読んだ。この人の重圧感のある圧倒的な文章力と計算力に恐れ入りながら、ちょっとだけ、説明してほしいと思うことは結構ある。
やはり、登場人物の羅列も欲しいし・・・あと畠山と水沢との関係にもうひとつ突っ込みがほしい。そして後半の水沢の組からの狙撃に。
緻密すぎてちょっと解りにくいのは前半、だが最後の最後に脈絡がつく。2回目に読むとだんだん伏線が張られてきたのが解る。
しかしこんな力量がある人が女性とは・・・
マークスの山 (ハヤカワ・ミステリワールド)Amazon書評・レビュー:マークスの山 (ハヤカワ・ミステリワールド)より
4152035536
No.207:
(5pt)

盛り上がりが一気に後半に来る

一挙に読み終わった。最後の遺書で全部わかるというのはアガサ・クリスティの「10人のインディアン」クイーンの「Yの悲劇」に似ている.
警察ものでは「笑う警官」とか。
・・・(確かに似ている。犯罪にならない犯罪などのくだりや、文書を元に行ってきた犯罪。あくまで中心が警察。そして殺人者)
この本はラストにかけての盛り上がりがすばらしい。
ああ、全部複線があったのだとわかった。最初の岩田の殺人もわかった。
ただ少し欲張りすぎたかな。何回か読み返して「人名を覚える」のが大変だった。
できたら構成人物の名を最初に列挙してくれたら嬉しい。
しかし凄い。ひさびさに「どん!」とくる本にあたった。
重厚な文、見事な構成。いうまでも無い。昔のリビエラを撃てではこの重厚な文が難解すぎたが、今度はすんなりと
解った。

直木賞にふさわしい。そして女性が書いたのだろうかというくらいの重厚さと構成力。世の推理作家、宮部みゆきと高村薫に頼ってはいけませんぜ・・・

しかしこれは「純文学」だと思う。

うかうかしていると男性推理作家、宮部みゆきさんと高村薫さんに負けますよ・・・
マークスの山(下) 講談社文庫Amazon書評・レビュー:マークスの山(下) 講談社文庫より
4062734923
No.206:
(1pt)

ただ、疲れる

普通に書けば上下巻にはならないのでは?と思えるほどなお話です。下巻の途中で遂に挫折しました。「黄金を抱いて翔べ」も読みましたが、とにかく暗い!通勤途中や休日に読むには不適格な作家だと思いました。古本屋で100円だったので諦めもつきます。
マークスの山(上) 講談社文庫Amazon書評・レビュー:マークスの山(上) 講談社文庫より
4062734915
No.205:
(3pt)

動機がまったく分からない等、フラストレーションを感じる

これまでにレディ・ジョーカー〈上〉 (新潮文庫)、照柿〈上〉 (新潮文庫)、黄金を抱いて翔べ (新潮文庫)を文庫版で読み、文字数の多さを感じつつも、描写の緻密さに読み応えを感じた。本作も期待して読み終えたのだが、理解できないところが多く、フラストレーションが溜まり満足できなかった。
特に、犯人水沢が二重人格者だということは分かるが、なぜ残忍な殺人を犯したのかという動機がまったく分からない。また、もうひとつの人格が、自分のことをマークス(MARKS)と呼んでいるが、どうしてその名を知っているのかもよく分からない。浅野の遺書を読んだからとも思えるが、どうにもはっきりしない。
さらに、検察から警察上層部に圧力がかかり、現場の捜査を押さえ込んでいるという話になっているのだが、発端となった事件がそれほどの重大事件とは思えず、検察組織として隠し通さなければならないほど大層なものなのだろうかと感じた。
ネットで調べてみると、著者は文庫化する際に単行本の内容を大幅に修正したらしいということがわかり、この文庫版は不評のようである。「読むなら絶対に単行本を」と明言している方もいるようだ。ただ、今さら単行本を読み直す気にもならない。
レディ・ジョーカーや照柿の文庫版では、このような読後のフラストレーションを感じたことはなかったのだが、この文庫版は出来が悪いようで残念だ。
マークスの山(上) 講談社文庫Amazon書評・レビュー:マークスの山(上) 講談社文庫より
4062734915
No.204:
(5pt)

どろどろした人間たち

推理小説ではなく、サスペンス的な要素が強い小説です。なので,ひとつひとつ謎を解いていくよりも,不気味な犯人とそれと同じくらいの不気味な警察機構の雰囲気を味わう物語だろうと思います。昔、単行本で一度挑戦したのですが、私が高校生だったこともあり、全く面白さがわからず挫折した経験があります。やはり社会人にならなければ、この世界は理解できないのでしょうか。
 今回挑戦してみると、すぐにその厳しい人間構造の内容に引き込まれ、上下巻を3日で読了しました。ただ、最後まで読んだ方は感じたと思いますが、話に整合性がない部分もあって様々な矛盾点はあります。その矛盾点が、単行本の出版後に制作された中井貴一主演の同名映画にも反映しているように思えます(咥えてその映画は暴力シーンとセックスシーンを強調しすぎる感があってまた話をわからなくしてます。)。
 高村薫の小説群の魅力はその重厚な文章にあると思うので、推理小説とは違った雰囲気を味わえると思います。
マークスの山〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:マークスの山〈上〉 (新潮文庫)より
4101347190
No.203:
(5pt)

直木賞と思っていたら

これは単に推理小説とかではないと思います。
純文学とか直木賞とか云々は評価としてどうかと思いますが、これが直木賞?と思いました。
人間を人間社会を人生を描いたものだと思いました。
あとこれを描いたのが女性と知って2度驚きました。失礼ですが。
男社会の腹の探り合いは逆に勉強になりました。
更にここに出てくる女性(真知子)は男性が描く女性かと思いましたが違うんですね。
推理小説としても面白いと思いますが、もっと意味が深いものがあって日本にはすごい作家がいるんだと感動しました。
マークスの山(下) 講談社文庫Amazon書評・レビュー:マークスの山(下) 講談社文庫より
4062734923
No.202:
(5pt)

山岳小説だと思ったら警察小説だった

警察内部の葛藤が表されていて興味深かった。主人公は誰だろう?合田主任か?マークスか?彼も悲しい犯罪者だ。
マークスの山 (ハヤカワ・ミステリワールド)Amazon書評・レビュー:マークスの山 (ハヤカワ・ミステリワールド)より
4152035536
No.201:
(4pt)

高村作品初挑戦

高村先生の作品を読むのは初めてでした。レディージョーカーを読もうと思って、合田刑事シリーズの一作目に挑戦してみました。上下同時購入です。
マークスの山は以前にwowowでドラマ化されていたのを見ていたので大筋は知っていたのですが、ドラマでは随分変えられていたんですね。
警察小説は好きなので、割と苦はなく読み切れたのですが、たしかに長かった!
空いた時間にちょこちょこ読もうと思っていたのが、気付いたら睡眠時間削って読んでいました。
事件が動き出すと目が離せなくなります。
マークスの山(上) 講談社文庫Amazon書評・レビュー:マークスの山(上) 講談社文庫より
4062734915
No.200:
(5pt)

文庫版とは別作品?(少しネタバレ)

wowowでレディージョーカーを見て原作が読みたくなったので、どうせならと思い合田刑事シリーズを最初から読んでみることにしました。(マークスの山も以前にwowowでの放送を見て気に入っていたので)
普段私は本を読む時はほとんど文庫版で、読みたい作品があっても文庫化されるまで待つタイプなんですが、こちらの作者の先生は文庫化にあたり大幅に改稿をなさると聞き、迷った末にまず文庫版から読んでみました。
文庫版の方が読みやすいという評もあったので。
で、その結果どのくらい違うのかという興味がわき単行本の方も購入してみた次第です。感想としては、・・・・ホントに違う・・・。ま、別作品は言い過ぎかもしれませんが、近いものはあるのではないかと。個人的にはこちらの方が好きですが。
私が随分違うなぁとかんじたのは、主人公の合田刑事と七係の面々とのやりとりですか。文庫版ではあまり書かれていないので、なんだか合田刑事がひとりで捜査しているように感じたのですが、単行本では一応七係みんなで(←一致団結って訳ではないようですけど)捜査してるなって感じがしました。この違いだけでも作品全体の雰囲気がずいぶん変わると思います。ファンの方が単行本と文庫版の違いを全部チェックされているのもわかります。私もちょっと読み比べしてみたくなりました。(かなり根気はいるでしょうけど。)
軟派な動機なんですが合田刑事役の俳優さんが好きなので、そのイメージを浮かべながら読んでしまうと読み切るとこは苦にはなりませんでしたが、とても長い作品ですね。ちょっとの空き時間に読み進めるよりは、読書の為の時間をしっかりとって読むほうがお勧めかもしれません。
勧善懲悪の物語を期待して読むと100%消化不良になると思います。でもきっと現実ってこういうふうにすっきりしないものなんだろうなと思いました。
マークスの山 (ハヤカワ・ミステリワールド)Amazon書評・レビュー:マークスの山 (ハヤカワ・ミステリワールド)より
4152035536
No.199:
(5pt)

面白いけれど動機が一筋縄ではいかない

昔々読みました。一気に読みました。非常に感動しました。ただ動機に関しては僕にとってはこんなんでいいのかという気がしました。なるほどとは思えなかったですね。先日書庫のレイアウトを変えていた時に出てきたので久しぶりに(15年ぶりくらい)読み直しました。やっぱり動機には納得いきませんでした。他の推理小説を圧倒するずば抜けてレベルの高いミステリーだけに惜しいと思っております。というか惜しいという表現は間違いなのかも。僕の理解力が足りないのかもなあって思ったり。でもやっぱり違和感(物足りなさ?)が残ります。
一言で言えばあまりにも偶然な事柄がうまくつながりすぎということかな。まあ小説はある程度偶然が重なったレアケースの場合を描かれているものと考えておりますが、これはあまりにも・・・普通なら真相は絶対にわからないような気がして・・・。
個人的には精神疾患を患っている人物を犯人にするにはミステリーの禁じ手だと考えているのでまず初めにわかっていたら読まない。でもこれはそういうものでもなかった。推理小説でもないのですよねトリックとか全く対象外の話ですから。
読みにくいっていう評価もあるようですがそれは読み手の力不足だけの話でそうは感じない。僕にとっては不思議な本ですが名作には違いありません。一読をお薦めします。
マークスの山 (ハヤカワ・ミステリワールド)Amazon書評・レビュー:マークスの山 (ハヤカワ・ミステリワールド)より
4152035536
No.198:
(1pt)

この本はなんだろう・・・くらく、あやうし。

これが直木賞・・・これがベストセラー・・・どうなる日本語。
 知人に薦められ、今頃になって、初めて高村薫さんの作品を読みました(市内の図書館にあった単行本・75版です)。まず、内容云々以前に、日本語としての間違い・不適切があまりに多すぎて仰天しました。11ページで「もうやだ」と思ったのですが、感想を求められていたので我慢して最後まで読みました。読み終わって、「一体高村さんと言う方は日本で生まれ育った生粋の日本人なのだろうか?ありえない状況も多い。熱意に常識や教養が追いついていない独学の人なのだろうか?偏執狂的に細かい描写を延々と畳み掛けてくるかと思えば突然ろくな説明もなくスルーしてしまう穴のような箇所がある。このアンバランスさはもしや正気の人ですらないのでは・・・」とつい思ってしまったくらい、ある意味「物凄い」文章でした。これをマスコミはひたすら絶賛。政治家の言葉遣いには過敏に反応するのに、この「小説」の日本語の誤りにはしっかり口を閉ざしているのは何故なのでしょう。
 熟語や術語を最大限に駆使した、堅苦しく仰々しい文章は、言葉の間違いが多すぎるために、私は滑稽な印象をうけました。作者の記憶違いなのかブンガク的野心のせいなのか、慣用表現は微妙に形を変えて意味が通らなくなってしまっているものが散見され、繋がらない形容が無理に繋げられ、(狂人でないはずの)登場人物たちの会話や思いいれたっぷりの独白も、言葉のつながりが所々でちぐはぐなため、発言者の真意や思考の流れをはかりかねるものが多く、読んでいて釈然としません。また、10歳の少年が一酸化炭素を吸った直後に、真夜中から未明にかけて4時間以上も吹雪の山道を薄着で歩きとおしたり、そんな奇跡を成し遂げた後で「一酸化炭素中毒による昏睡」におちいったり、「稜線にガスがかかって」いるのに「前夜からの強風が続いて」いたり、逆光で真っ黒に見える人の額が光を受けて雪渓のように白く輝いたりといった、超常現象まがいの状況が描かれたりもしています。理科がよほど苦手な人なんでしょうか。というより、普通に生活していて身の回りの事故や自然現象などを正確に観察する力があればこういう書き方にはならないと思うのですが。緊急出動中の救急車が寄り道して心中死体を発見したりもします。こうした違和感は最初から最後までとどまるところを知りません。これを上梓した早川書房はこの本に「徹底した取材による細部の真実性」と解説をつけていますが、私はこの「小説」のどこにも真実性を感じることはできませんでした。(水溶きセメントを飲み込んだ青年に「解毒剤」をかけないでください。)もし高村さんが「徹底取材しました」とおっしゃるなら、私が思うのは、高村さんと言う人は勘違いの多い人なのだろう、ということです。「本格警察小説」と銘打たれてはありますが、私は間違っても、ここに書かれていることを読んで安直に「警察ってこうなんだ・・・」とは思わないようにしよう、それだけじゃなく、この作者の言っていることはなにひとつ鵜呑みにしないようにしよう、と心に誓いました。作者は「(私らは)一枚嘘のカードが出てくると、残りも全部嘘だと考えます」と合田刑事に言わせていますが、私も常日頃そう考えています。
 言葉の不適切さや状況のありえなさはひとまず全部棚上げにして、物語の流れだけを根気良く追ってみても、人の心情としても論理の筋道としても、流れが不自然ではないかという違和感が常に付きまといます。そもそも出だしの一家心中からしておかしい。子供を道連れにしようとしている親ですよ?子供が生き残ったらかわいそうとだ思うから道連れにするんでしょう?なのに、子供に睡眠薬も飲ませずに排ガスをひきこみますか?それを「どういう経緯であったのか」とさらりとごまかしてしまう作者。無駄に残虐な部分も気になる(何故岩田の子供は「胴体を真っ二つ」にされなければならないんですか?「急病であっけなく死んだ」だけだって親にしてみたら十分狂気に追い込まれる悲劇ですよ)。たぶん作者が一番「ノリノリで」書いていると思われる捜査員たちのあれこれも、警察や検察の不快な人々による不手際や手抜きの言い訳や責任転嫁、情報の隠蔽や功名争いや保身の泥仕合がこれでもかこれでもかと続き、一体お前たちは何のために仕事をしているんだ、と叫びたくなってしまう。唯一、合田が掲載予定記事の矛盾を指摘して記者からニュースソースを脅し取るくだりがかすかに「建設的な手ごたえ」のある痛快な箇所ですが、他はすべて後手後手で不発。まるでこちらの忍耐力の限界が試されているかのようでした。愛着どころか取り立てて好感の持てる人物さえ出てこず、読んでいる時は「どいつもこいつも」という呪詛しか浮かばず、イライラを極限まで募らせながら延々つき合ったあげく、クライマックスで「猟奇的恐喝殺人」の元ネタになった手紙を読んだ時には、内容のあまりのくだらなさ情けなさに、思わずばったりと倒れそうになりました。そして、誰一人として、何も報われることなく、救われもせずに終わるのです。それまで、事件の裏についてほとんど全てを察していながら友人の合田刑事に情報を小出しにちらつかせるだけだった加納検事が、合田に犯人の死を知らされて絶望の吐息をついた、という最後の偽善的言い草には殺意すら覚え、「ふざけるな!」と本をたたきつけたい気分になって、ああ、旧約聖書の神がソドムとゴモラを滅ぼしてしまった気持ちはこんなものであったのかもしれない、と思い、心が鎮まりました。そして、「所詮これは一人の人間の頭が紡ぎ出した妄想ではないか。そんなものに最後まで付き合って感情を乱される自分は、本当に愚かな暇人であることだなあ・・・」とつくづく思いました。また、はっきりと再確認したのは、私は読書に「現実の人生に向っていくための知恵と力(癒しと救いと愛)」を求めているのだ、ということです。虚構の世界でわざわざ「仮想苦労」しなくても、対処すべき問題は現実のフィールドにいくらでもあります。私は余興としての不幸や苦悩を求めるほど平和で退屈な日常を送っているわけではない。むしろ、そうした「仮想苦労」によって「アリバイ作り」をすることだけはやめよう、恵まれた環境から一歩も出る気がないくせにひと時虚構の中の苦悩にひたることで「なにもしない自分」の罪悪感をごまかしたりすることだけは慎まなくては、と思いました。
 とはいえ、私が問題にしたいのは、「この本は私にとっては到底いただけなかった」という事実ではありません。私は、この「小説」が誰でも知っている出版社から上梓され、誰でも知っている文芸賞をうけ、ベストセラーとなって人々の絶賛を博し、今もなお高い評価を得ているという事実が心底恐ろしいのです。その上、これを薦めてくれた知人によれば、様々な報道メディアが高村さんに「有識者」としての意見を求めているとか(私は震災以降テレビを見ていないので知らないのですが)。この国は大丈夫なんでしょうか。
 いえ、誰だって小説には好きなことを書いていいと思いますよ。自分の気の済むように何をどう書いてもいいんです。うまく書けた、と思えたときは見知らぬ人の反応が知りたくなるのは人情ですから、それを懸賞に応募したりもするでしょう。そこまではいいんです。でも、それが日本語として劣悪なものなら、良心と良識をそなえた出版社は、それを採用・上梓してはならないと思います。まして文学賞・文芸賞を与えるなど言語道断です。なぜなら、それによって、間違った言葉に「こういう使い方もあり」という市民権を与えてしまい、誤用を蔓延させてしまうからです。こういう事を言うと、今現在流通している日本語の中には、誤用が普及して定着してしまったものが少なからずあるとか、そもそも万葉時代の言葉と今の言葉は全く違うじゃないか、言葉は生きて流動しているものなのだから「正しい」という事にこだわるのがナンセンスなんだとか言う人が必ずいます。でも、基本的に、言葉の変化というものは、状況や心情をより正確に相手に伝えるための「新しい表現」を獲得することでもたらされてきたのであって、決して「誤用の蔓延」の連続だけが今の言葉を生み出したわけではないと思うのです。新しい表現を獲得しようとすることと、旧来大切にされて生き残ってきた言葉を誤用によって捻じ曲げることは、根本的に違います。出版の使命には、常に「美しい標準」を示すことによって、無言の規範として、誤用の蔓延に歯止めをかけ、私たちの文化を守り発展させることも含まれるのではないのですか?でも、本屋に行ってみれば、間違った言葉でつづられた本はまったくめずらしくありませんよね。「売れればそれが正義」という臭いでいっぱいです。これでは就学中の青少年がまともな日本語を使えなくなるのは当たり前です。いつの時代も「最近の若者」が日本語を崩壊させている張本人のように言われてしまいますが、私は、出版社の方がずっと罪が重いと思いますし、そう思い始めて久しいです。また、青少年に限らず、「正しい日本語を身につけていない大人」だって本は読みます。(実際、まともな日本語が使えない大人は老人も含めて少なくありません。)そういう、正誤の判断ができない(確立していない)人たちほど、「大きな出版社が出している本だから」「賞をとった本だから」「売れているから(みんながいいと言っているから)」良い本なのだ、と思い込んでしまう。誤ったものをあたかも正しいものであるかのように誤解してしまう。そして、その「ご立派な本」の中で行われている間違った言葉の使い方が、「ゲイジュツ的表現」として大手を振ってまかり通るようになってしまう。それが「売れる本」であればあるほど、日本語の崩壊速度にはさらに拍車がかかってしまうでしょう。間違いだらけの日本語でつづられた本になるために、一体どれほどの木々が死んでいるかと思うと、気が遠くなります。書きたい人には好きにさせればいい。でも、それを世に出すべきかどうかの判断には、大きな責任があると思います。書いたご本人に間違いの自覚がないのは当然として、一体、出版社をはじめとするマスコミの人々や、彼女を直木賞に推した人々は、この文章に含まれる、無数とも思える間違いや不適切表現、描かれる状況の物理的ありえなさや不整合の数々に、本当に気づかないのでしょうか?(だとしたら、義務教育なんてお笑い種ですね・・・)漢字だらけのいかつい文章なら「知的」だとでも?みじめで不幸な人間を、耐えられないほど暗く重く描けば「文学的」だとでも?ど素人じゃあるまいし、しっかりしてください。
マークスの山 (ハヤカワ・ミステリワールド)Amazon書評・レビュー:マークスの山 (ハヤカワ・ミステリワールド)より
4152035536
No.197:
(5pt)

ただならぬ雰囲気の進行

犯人はだいたい分かってしまうので、犯人探しよりは刑事たちのキャラの魅力や、各人の行動の絡まり合う同時空内の緊張した雰囲気にこそ読むべきところがある。
 犯人の多重人格的な行動と内面を描くとともに、刑事たちが徐々に事件の真相に迫っていくその時間の脅迫的進み具合がおもしろい。
 途中から犯人の存在感が薄れ、その代わりに持ってこられる、昔の学生仲間内での事件の真相もそんなにインパクトのあるものとは思えなかったが、重層的な世界把握の経過に面白さがある、と感じた。解説で秋山駿はバルザックなどの影響があると言っている。
マークスの山(上) 講談社文庫Amazon書評・レビュー:マークスの山(上) 講談社文庫より
4062734915
No.196:
(5pt)

面白かった

高村薫をはじめて読みました。大沢在昌が好きですが、文章の漢字が似ていて読みやすく楽しめました。
マークスの山(上) 講談社文庫Amazon書評・レビュー:マークスの山(上) 講談社文庫より
4062734915
No.195:
(5pt)

面白かった

上巻が面白かったので、続きを買いました。面白かったです。文章に好みはあるけど、私は好きです。
マークスの山(下) 講談社文庫Amazon書評・レビュー:マークスの山(下) 講談社文庫より
4062734923
No.194:
(1pt)

むむう・・・・

推理小説ではなく、広義のミステリー、サスペンスといった感じ。
心理描写は一人一人を深く掘り下げていく。
ただ、どうしても陰湿になりがちになってしまうのは、作者の世界観がそうだからなのか。
イメージ的に言うと、僕の好きな小説はアメリカタイプ。著者が描く小説はフランスタイプ。
合田シリーズ全編に言えることだが、ジメジメしすぎている。と僕は感じてしまう。
知人にいる警官や警察官僚とかけ離れているからだろうか。
しかし、エンターテインメントとしてみると、爽快感が足りない。
そう考えると、著者に「合田対犯人」1対1で描かれた小説を書いていただきたい。
果てしなく深い闇を抱えた小説を。
マークスの山(上) 講談社文庫Amazon書評・レビュー:マークスの山(上) 講談社文庫より
4062734915
No.193:
(1pt)

贅肉だらけ

ぬらぬらとしたマグマのような文章で、画面上の塵ばかり描いているような感じがします。
終わり方も何とも素っ気なく、人物描写も字面ばかりで書き分けのできない漫画家のようです。
著者が楽しみながら描いてたんだろうなぁという感じはしましたが、読み終わった後に感じるのはそれだけで、時間を無駄にした気分だけが残りました。
マークスの山(上) 講談社文庫Amazon書評・レビュー:マークスの山(上) 講談社文庫より
4062734915
No.192:
(3pt)

時間がかかる

ミステリーはとても好きなんですが、なんかすごく時間がかかりました。おもしろいのかおもしろくないのかよくわからぬまま、
読み進めていきました。
 でも、謎は深まるし、まあ合田刑事は魅力的だし、なんとかかんとか上は読み終わらせました。
 下巻でいろんな謎が解明されるのだろうと期待しながら・・・・
マークスの山(上) 講談社文庫Amazon書評・レビュー:マークスの山(上) 講談社文庫より
4062734915

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