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マークスの山



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マークスの山の評価: 3.77/5点 レビュー 271件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.77pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全271件 181~200 10/14ページ
No.91:
(5pt)

後半にかけてヒートアップ

前半何度か挫折しそうになったが、後半にかけてしびれる。刑事の硬派かつ深い信条と葛藤をとことん描写しきる、作者の描写力にはいつもの事ながら感服。マークスがいったい何かなんてどうでもよく、ただひたすらストーリーを追うのが快感。
マークスの山(上) 講談社文庫Amazon書評・レビュー:マークスの山(上) 講談社文庫より
4062734915
No.90:
(5pt)

後半にかけてヒートアップ

前半何度か挫折しそうになったが、後半にかけてしびれる。刑事の硬派かつ深い信条と葛藤をとことん描写しきる、作者の描写力にはいつもの事ながら感服。マークスがいったい何かなんてどうでもよく、ただひたすらストーリーを追うのが快感。
マークスの山〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:マークスの山〈上〉 (新潮文庫)より
4101347190
No.89:
(1pt)

世間の評価とは違うのですが

とにかく、偶然に偶然が重なってやっと成立している話。しかも、あってないような動機で殺人が行われている。警察の内部を描いたといわれているけど、単にいがみあっているだけとしか感じられない。
マークスの山(上) 講談社文庫Amazon書評・レビュー:マークスの山(上) 講談社文庫より
4062734915
No.88:
(1pt)

世間の評価とは違うのですが

とにかく、偶然に偶然が重なってやっと成立している話。
しかも、あってないような動機で殺人が行われている。
警察の内部を描いたといわれているけど、単にいがみあっているだけとしか感じられない。
マークスの山〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:マークスの山〈上〉 (新潮文庫)より
4101347190
No.87:
(4pt)

うねりのある小説

難点は、警察(警視庁)側の登場人物が多すぎて分かりにくいこと、副主人公の精神異常の少年の描き方です。犯人である彼が事件を起こした理由が今ひとつ納得できなかったこと(何かの伏線になっているのかと思ったらそうではなかった点)、ラストへ繋がる行動の動機付けが曖昧なままで終わってしまったのが残念です。また、個人的に、警察側の各人にあだ名がついていてついていけなかったです。森→蘭丸なんていう感覚はちょっと...苦手です。逆に素晴らしいと思ったのは、社会・組織の描き方と、その中でもがきながらも必死に生きていく人々の姿です。三権分立といいながら暗い部分で繋がっている巨大な裏社会、主人公合田の属する警察という上下縦横がんじがらめの組織、その綱を断ち切ることもできず、その中で葛藤しつつ精一杯生きていく姿に共感を得る人も多いと思います。さらに、私はMARKSたちの生き方にも共感を持ちました。変かもしれませんが、彼らの生き方には妙に納得できるものがあります。弱さを露呈してしまわないように、繕って「精一杯」生きている姿、にです。また、ネタ晴らしになってしまいますが、学生運動の頃が土台となっている点も興味深く読みました。三億円事件も学生運動の取締りのため公安がでっちあげた事件という説もあるそうですから、この小説のような隠蔽は実際にも起こっていたのかもしれません。最後に、物語のテーマとなる北岳の姿。山に登る人を近くに何人も知っていますが、なぜ登り続けるのか少し見えた気がしました。ミステリーとしてはありきたり、しかしそれを超えて感動的な大きな物語でした。
マークスの山(上) 講談社文庫Amazon書評・レビュー:マークスの山(上) 講談社文庫より
4062734915
No.86:
(4pt)

うねりのある小説

難点は、警察(警視庁)側の登場人物が多すぎて分かりにくいこと、副主人公の精神異常の少年の描き方です。犯人である彼が事件を起こした理由が今ひとつ納得できなかったこと(何かの伏線になっているのかと思ったらそうではなかった点)、ラストへ繋がる行動の動機付けが曖昧なままで終わってしまったのが残念です。
また、個人的に、警察側の各人にあだ名がついていてついていけなかったです。森→蘭丸なんていう感覚はちょっと...苦手です。逆に素晴らしいと思ったのは、社会・組織の描き方と、その中でもがきながらも必死に生きていく人々の姿です。
三権分立といいながら暗い部分で繋がっている巨大な裏社会、主人公合田の属する警察という上下縦横がんじがらめの組織、その綱を断ち切ることもできず、その中で葛藤しつつ精一杯生きていく姿に共感を得る人も多いと思います。
さらに、私はMARKSたちの生き方にも共感を持ちました。変かもしれませんが、彼らの生き方には妙に納得できるものがあります。弱さを露呈してしまわないように、繕って「精一杯」生きている姿、にです。
また、ネタ晴らしになってしまいますが、学生運動の頃が土台となっている点も興味深く読みました。三億円事件も学生運動の取締りのため公安がでっちあげた事件という説もあるそうですから、この小説のような隠蔽は実際にも起こっていたのかもしれません。
最後に、物語のテーマとなる北岳の姿。山に登る人を近くに何人も知っていますが、なぜ登り続けるのか少し見えた気がしました。
ミステリーとしてはありきたり、しかしそれを超えて感動的な大きな物語でした。
マークスの山〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:マークスの山〈上〉 (新潮文庫)より
4101347190
No.85:
(5pt)

読者を圧倒する緻密な構成のミステリ

圧倒的な筆力と緻密な構成力にただただ圧倒される。連続殺人事件。殺されたのは、元暴力団組員、二人目は検察庁の検事。2つのストーリーがうねるように絡み合いながらすすんでゆく。マークスと自称する青年のストーリー。過去の因縁から脳に障害持ち、重度の健忘症と聡明な別人格が交互に表出するという複雑な人格を持つ。このマークスという特異な犯人像とあわせ、彼に寄り添う年上の看護婦真知子の造形も印象的。2つめは本作の中心となる、警視庁捜査一課の合田刑事の視点で描かれるストーリー。本庁対所轄、本庁内の捜査係間にあるせめぎあい、組織内の軋轢、秘密主義、縄張り争い、上層部からの圧力・・。昼夜・休日のない捜査に明け暮れるのは正義感なのか。暗い情熱と一種の諦観を抱える合田をはじめ、刑事たちの一人一人をじっくり描きこまれながら、警察という特異な組織社会を描いて行く。だんだんと姿を現す暗い影・・・。マークスが脅迫する人脈、彼らは財官に影響を持ち、警察人脈、検察人脈と、影に陽に捜査陣に圧力をかけ、一方でマークスを襲わせる・・・。単なる警察小説とは言えず、一方で警察小説という観点でも類を見ない完成度。
マークスの山(上) 講談社文庫Amazon書評・レビュー:マークスの山(上) 講談社文庫より
4062734915
No.84:
(5pt)

読者を圧倒する緻密な構成のミステリ

圧倒的な筆力と緻密な構成力にただただ圧倒される。連続殺人事件。殺されたのは、元暴力団組員、二人目は検察庁の検事。
2つのストーリーがうねるように絡み合いながらすすんでゆく。
マークスと自称する青年のストーリー。過去の因縁から脳に障害持ち、重度の健忘症と聡明な別人格が交互に表出するという複雑な人格を持つ。このマークスという特異な犯人像とあわせ、彼に寄り添う年上の看護婦真知子の造形も印象的。
2つめは本作の中心となる、警視庁捜査一課の合田刑事の視点で描かれるストーリー。本庁対所轄、本庁内の捜査係間にあるせめぎあい、組織内の軋轢、秘密主義、縄張り争い、上層部からの圧力・・。昼夜・休日のない捜査に明け暮れるのは正義感なのか。暗い情熱と一種の諦観を抱える合田をはじめ、刑事たちの一人一人をじっくり描きこまれながら、警察という特異な組織社会を描いて行く。
だんだんと姿を現す暗い影・・・。マークスが脅迫する人脈、彼らは財官に影響を持ち、警察人脈、検察人脈と、影に陽に捜査陣に圧力をかけ、一方でマークスを襲わせる・・・。
単なる警察小説とは言えず、一方で警察小説という観点でも類を見ない完成度。
マークスの山〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:マークスの山〈上〉 (新潮文庫)より
4101347190
No.83:
(5pt)

700ページの「登山」.

行間に豪雪が吹き荒れている。結果はあらかじめ解っていても、読み進めていく目線の一歩先は漆黒の闇、どんな落とし穴が、衝撃が訪れるか知れた事ではない。荒れ狂う山を登り進む事、それはある意味では人生にも似ている。時には逃げたくなっても、目を逸らさず前に進まなければ希望は無いし、いかなる苦境に直面したとしても仲間を見捨てて自分だけ先へ進んではいけない。悪行は知らず知らず、業として山そのものに蓄積し、いつかその人間を冥府へと引きずり込む。物事の発端となる「マークス」の起こした事件のスケールが小さいと言う人がいる。別に嫌味ではなく、当たり前だろう、と思う。問題は事件そのものではなく、事件によって不気味に捻じ曲がり幾重にも張り巡らされた濃霧で隠匿された関係者達の人生にあるのだから。それは主人公・合田やその仲間達に関しても同様だ。単なるミステリの範疇を越えた、登場人物達の”生き様”にこそこの作品のテーマはある。そうでなければ、全編にわたる緻密な取材力と強靭な筆力に支えられたリアリズム描写の説明がつかないだろう。ただの推理小説なら確かに文庫にして合計700ページ強は長すぎるが、これだけ多くの人々の人生を描き出すには、むしろ短すぎるぐらいだ。長い人生の上でのほんの小さな失敗、見過ごしが、やがて取り返しのつかぬ災厄となって襲いかかる、悲劇。だけど、そうした人生の因業に頬を凍りつかせながら、我武者羅に到達した「山」の頂に、この世のものとは思えぬ程に美しい太陽の輝きが見えたなら・・・・・・。言うことはないやね。
マークスの山(下) 講談社文庫Amazon書評・レビュー:マークスの山(下) 講談社文庫より
4062734923
No.82:
(5pt)

700ページの「登山」.

行間に豪雪が吹き荒れている。結果はあらかじめ解っていても、読み進めていく目線の
一歩先は漆黒の闇、どんな落とし穴が、衝撃が訪れるか知れた事ではない。
荒れ狂う山を登り進む事、それはある意味では人生にも似ている。
時には逃げたくなっても、目を逸らさず前に進まなければ希望は無いし、
いかなる苦境に直面したとしても仲間を見捨てて自分だけ先へ進んではいけない。
悪行は知らず知らず、業として山そのものに蓄積し、いつかその人間を冥府へと引きずり込む。

物事の発端となる「マークス」の起こした事件のスケールが小さいと言う人がいる。
別に嫌味ではなく、当たり前だろう、と思う。問題は事件そのものではなく、事件によって
不気味に捻じ曲がり幾重にも張り巡らされた濃霧で隠匿された関係者達の人生にあるのだから。
それは主人公・合田やその仲間達に関しても同様だ。
単なるミステリの範疇を越えた、登場人物達の”生き様”にこそこの作品のテーマはある。
そうでなければ、全編にわたる緻密な取材力と強靭な筆力に支えられたリアリズム描写の説明がつかないだろう。
ただの推理小説なら確かに文庫にして合計700ページ強は長すぎるが、
これだけ多くの人々の人生を描き出すには、むしろ短すぎるぐらいだ。

長い人生の上でのほんの小さな失敗、見過ごしが、やがて取り返しのつかぬ災厄となって襲いかかる、悲劇。
だけど、そうした人生の因業に頬を凍りつかせながら、我武者羅に到達した「山」の頂に、
この世のものとは思えぬ程に美しい太陽の輝きが見えたなら・・・・・・。

言うことはないやね。
マークスの山〈下〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:マークスの山〈下〉 (新潮文庫)より
4101347204
No.81:
(5pt)

圧倒的な読後感

 まず、高村薫の作品は初めて読んだ、ということを正直に告白します。読書歴は長い方ですが、ミステリ系の作品はなかなか手にとることが少なくて、と申し開きもしておきます。 しかしこの作品は、月並みな表現でしか言えませんが、凄いの一言でした。文庫で読んだのですが、古本で入手した上巻を読み始めたら、そのぴんと張り詰めた緊張感、スリリングさに手が離せなくなり、ついには食事中も右でハシを使いながら左手で本を読み続ける破目になりました。 多くの方がこの本の素晴らしさについて述べておられますので、私ごときが付け加えることもないのですが、とりあえず私は上巻を読み終えるやいなや外に飛び出し、あたかもマークスがさまようかのごとく本屋を次々と訪ねあるき、小さな本屋でやっと新品の下巻を見つけてひったくるように買って帰った次第です。 読後感の圧倒さ。今年読んだ本の中でもっとも素晴らしい、と10年以上の遅ればせながらですが、感服いたしました。かなり文字や文学を読みつけた方でないとすらすら読むのは難しいかもしれませんが、未読の方にはぜひお勧めいたします。
マークスの山(上) 講談社文庫Amazon書評・レビュー:マークスの山(上) 講談社文庫より
4062734915
No.80:
(5pt)

圧倒的な読後感

まず、高村薫の作品は初めて読んだ、ということを正直に告白します。読書歴は長い方ですが、ミステリ系の作品はなかなか手にとることが少なくて、と申し開きもしておきます。 しかしこの作品は、月並みな表現でしか言えませんが、凄いの一言でした。文庫で読んだのですが、古本で入手した上巻を読み始めたら、そのぴんと張り詰めた緊張感、スリリングさに手が離せなくなり、ついには食事中も右でハシを使いながら左手で本を読み続ける破目になりました。 多くの方がこの本の素晴らしさについて述べておられますので、私ごときが付け加えることもないのですが、とりあえず私は上巻を読み終えるやいなや外に飛び出し、あたかもマークスがさまようかのごとく本屋を次々と訪ねあるき、小さな本屋でやっと新品の下巻を見つけてひったくるように買って帰った次第です。 読後感の圧倒さ。今年読んだ本の中でもっとも素晴らしい、と10年以上の遅ればせながらですが、感服いたしました。かなり文字や文学を読みつけた方でないとすらすら読むのは難しいかもしれませんが、未読の方にはぜひお勧めいたします。
マークスの山〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:マークスの山〈上〉 (新潮文庫)より
4101347190
No.79:
(4pt)

「ミステリ」としては不満だが

登場人物が多く、専門用語が多く、犯人は最初からわかる。殺された人々を巡る謎はあるものの、それもある程度早いうちから読める。が、それでも主人公・合田を中心とした現場刑事の中の対立、上司・組織との反発、縄張り争い・・・そういった警察組織の中の葛藤などを楽しむべき作品だと思う。正直、純粋な「ミステリ」と見たら平凡・・・というか、不満が残る。警察を舞台にした人間ドラマと考えた方が良いと思う。もっとも、著者は、改訂を繰り返すとして有名なので、私自身、別の版を読むと印象が代わる可能性はあるのだが・・・。
マークスの山(上) 講談社文庫Amazon書評・レビュー:マークスの山(上) 講談社文庫より
4062734915
No.78:
(4pt)

「ミステリ」としては不満だが

登場人物が多く、専門用語が多く、犯人は最初からわかる。殺された人々を巡る謎はあるものの、それもある程度早いうちから読める。が、それでも主人公・合田を中心とした現場刑事の中の対立、上司・組織との反発、縄張り争い・・・そういった警察組織の中の葛藤などを楽しむべき作品だと思う。正直、純粋な「ミステリ」と見たら平凡・・・というか、不満が残る。警察を舞台にした人間ドラマと考えた方が良いと思う。もっとも、著者は、改訂を繰り返すとして有名なので、私自身、別の版を読むと印象が代わる可能性はあるのだが・・・。
マークスの山〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:マークスの山〈上〉 (新潮文庫)より
4101347190
No.77:
(4pt)

「ミステリ」としては不満が残るが・・・

登場人物が多く、専門用語が多く、犯人は最初からわかる。殺された人々を巡る謎はあるものの、それもある程度早いうちから読める。が、それでも主人公・合田を中心とした現場刑事の中の対立、上司・組織との反発、縄張り争い・・・そういった警察組織の中の葛藤などを楽しむべき作品だと思う。正直、純粋な「ミステリ」と見たら平凡・・・というか、不満が残る。警察を舞台にした人間ドラマと考えた方が良いと思う。もっとも、著者は、改訂を繰り返すとして有名なので、私自身、別の版を読むと印象が代わる可能性はあるのだが・・・。
マークスの山〈下〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:マークスの山〈下〉 (新潮文庫)より
4101347204
No.76:
(1pt)

何が面白いのか分からない

何が面白いのか分かりませんでした。読み終わってもどうもすっきりしない。刑事がいっぱい出てくるけど、キャラがいまいち立っていない気がします。
マークスの山(下) 講談社文庫Amazon書評・レビュー:マークスの山(下) 講談社文庫より
4062734923
No.75:
(1pt)

何が面白いのか分からない

何が面白いのか分かりませんでした。読み終わってもどうもすっきりしない。刑事がいっぱい出てくるけど、キャラがいまいち立っていない気がします。
マークスの山〈下〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:マークスの山〈下〉 (新潮文庫)より
4101347204
No.74:
(5pt)

警察小説の決定版

おもしろい
これ以上の警察小説は読前・読後に出会っていない。
合田の不安定な精神状態に他人事ながら「お前、すっぱり辞めたほうがいいんじゃないの?」と思いましたが、恐らく実直で忠誠心たっぷりに仕事をしている大人なんて、そういないハズだ。マークスの山と冠されてますが、マークスはあんまり関係ない。主人公はあくまで合田雄一郎。(個人的にはペコさんの剛直さが好きだけど)
本書のカバーに山に向かって手をかざす男の手がありますが、あれはマークスのものではなく、マークスを背景の山に見立てた合田の手ですよね、多分。
読後にそう思った。
マークスの山 (ハヤカワ・ミステリワールド)Amazon書評・レビュー:マークスの山 (ハヤカワ・ミステリワールド)より
4152035536
No.73:
(2pt)

全面改稿の功罪

改稿前初読の時は、作者の描く世界観が人間の不条理のリアリティーに充ちていて非常に瑞々しかった。総ての人物に共感ができて、ある種の説得力があったと言える。ただ、全面改稿に及んだ段階で、何故か中心が当たり障りのない人間関係に終始してしまい…ストーリーが萎んでいる感じがする。具体的には「加納」と「合田」と言う二人の関係の在り様が、説明的にクローズアップされ過ぎていて、緊張感に乏しい。時代の移り変わりが関係するのか、官僚世界での人間関係の面白さ、マークスに関わる心の病の描写が、新鮮味を喪っているのが面映い。
マークスの山 (ハヤカワ・ミステリワールド)Amazon書評・レビュー:マークスの山 (ハヤカワ・ミステリワールド)より
4152035536
No.72:
(4pt)

ハードカバー版もどうぞ

文庫版とハードカバー版、両方読む事をおすすめします。私はハードカバー版を読んだのですが、最後は号泣してしまいました。登場人物も非常に魅力的で、男性を描くのが大変うまく、のめりこめます。ストーリーの難を上げると、犯人の動機がいまいちしっくりこない事です。精神障害があるという設定はかまわないのですが、絶対に殺人をしなければならない切迫した理由を付け足して欲しかったです。松本清張先生などが好きな方は納得されないかも。文庫版ではかなり修正・加筆がされていますが、特にラストシーンはハードカバー版の方が良いのではないのかなと思いました。ミステリーというより小説。もしどちらかしかお読みにならないのならハードカバー版を推します。全体的には水準の高い作品なので一度手に取ってみてはいかがでしょう。
マークスの山(上) 講談社文庫Amazon書評・レビュー:マークスの山(上) 講談社文庫より
4062734915

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