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さらば愛しき女よ



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さらば愛しき女よの評価: 7.25/10点 レビュー 4件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.25pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全4件 1~4 1/1ページ
No.4:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

スティーブ・スカラ

個人的には、原形の短編「女で試せ」の方が訳文、結末ともに好みですが
名作であることは間違いありません。

壬生
0T87GBOB
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

2作目でようやくハマってきた

相変わらず難解で読みにくかった。しかし前作とは違う翻訳者のを取ったからなのか、私自身がチャンドラーに少し慣れたのか、前作よりはスラスラと読むことができた。ストーリとしてもこちらの方が好みだった。
決着があまりにスムースだったのが残念に思う。今作はあらゆる登場人物がマーロウに対して異常なまでの協力をしている。簡単にことが運ぶので、緊張感の欠如はあった。銃を撃ったことはないようだし。

この世界観に少しずつハマってきたようだ。独特で冷ややかなユーモアは癖になる。主人公であるフィリップ・マーロウが特別なのではなく、脇役も彼と同じような口の聞き方をする。皆が皆そうなのでツッコミたくなるが、これはもうチャンドラーの世界に誘われたのだろう。

陰気な私は地球を回さない
L1K3MG03
No.2:
(4pt)

雰囲気だけ

あまりストーリーとしては面白くありませんでした。

わたろう
0BCEGGR4
No.1:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(10pt)

大男の純情と美女のしたたかさと

チャンドラー長編2作目にして不朽の傑作。
私がこの作品と出逢ったことの最大の不幸は先に『長いお別れ』を読んでしまったことにある。もしあの頃の私がフィリップ・マーロウの人生の歩みに少しでも配慮しておけば、そんな愚行は起こさなかったに違いない。あれ以来、私は新しい作者の作品に着手する時は愚直なまでに原書刊行順に執着するようになった。
そんなわけでチャンドラー作品の中で「永遠の№2」が私の中で付せられるようになってしまったのだが、全編を覆うペシミズムはなんとも云いようがないほど胸に染みていく。上質のブランデーが1滴も無駄に出来ないように、本書もまた一言一句無駄に出来ない上質の文章だ。

マーロウが出逢ったのは身の丈6フィート5インチ(約195センチ)はあろうかという大男。大鹿マロイと名乗ったその男は8年前に殺人罪を犯して刑務所に入っていた。そして出所して早々かつて愛した女ヴェルマを捜していた。マロイはヴェルマを求め、黒人街の賭博場に入るがそこでまたも殺人を犯してしまう。マーロウは否応なくマロイの女ヴェルマを捜すことを手伝うことに。またマーロウは盗まれた翡翠の首飾りを買い戻すために護衛役として雇われる。しかし取引の場所でマーロウは頭を殴られ、気絶する。意識を取り戻すとそこには依頼人の死体が横たわっていた。

事件はいつもの如く、簡単と思われた事件で殺人に巻き込まれ、それがもう一方の事件と関係があることが解り、結末へという道筋を辿るのだが、この作品が他の作品と一線を画しているのはとにかく大鹿マロイの愚かなまでの純真に尽きる。昔の愛を信じ、かつての恋人を人を殺してまで探し求める彼は手負いの鹿ならぬ熊のようだ。そして往々にしてこういう物語は悲劇で閉じられるのがセオリーで、本書も例外ではない。 悪女に騙された馬鹿な大男の話と云えば、それまでだが、そんな単純に括れないと抗う気持ちが残る。
本書でもマーロウは損な役回りだ。特にヴェルマの捜索は無料で引き受けてしまう。だが彼は自分の信条のために生きているから仕方がない。自分に関わった人間に納得の行く折り合いをつけたい、それだけのために自ら危険を冒す。

本書の原形となった短編は「トライ・ザ・ガール(女を試せ)」だが、チャンドラーはそれ以後も大男をマーロウの道連れにした短編を書いているから、よっぽどこの設定が気に入ったのだろう。そしてそのどれもが面白く、そして哀しい。
そしてマーロウのトリビュートアンソロジーである『フィリップ・マーロウの事件』でも他の作家が大鹿マロイを思わせる大男とマーロウを組ませた作品を著している。つまり本書はアメリカの作家の間でもかなり評価が高く、また好まれている作品となっている。
あとなぜだか判らないが、忘れらないシーンとして警察署のビルを上っていくのをマーロウが気づくところがある。この虫はやがて18階の事件を担当する捜査官の机まで来ている事にマーロウは気づく。このシーンがやけに印象に残っている。その理由は未だに解らない。

本作の感想はいつになく饒舌になってしまった。そうさせる魅力が本書には確かに、ある。


Tetchy
WHOKS60S

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