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フランス白粉の謎



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フランス白粉の謎の評価: 6.71/10点 レビュー 7件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.71pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

これはロジックとは言えないような……

国名シリーズ二作目。
そこそこ評価は高め(少なくとも一作目の『ローマ帽子の謎』よりは)の作品ですが、後のクイーンの傑作と呼ばれる作品を先に読んでいるためか、今作は正直納得できない部分や粗が目立ちました(他の人の感想を見てもそういう声が多いみたいですね)

麻薬組織や暗号云々は正直無駄に話を間延びさせただけな感がありました。

あとどうでもいいですが、私の読んだのはかなり古い訳版だったので、黒人が登場すると当たり前のように地の文で再三にわたり「黒ん坊」呼ばわりして、作中キャラも「黒ちゃん」とか呼んだり、黒人の口調だけ訛らせたり、差別意識を隠そうとしない(意識すらしていないが正しいか)のに苦笑しました。



▼以下、ネタバレ感想

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マリオネットK
UIU36MHZ
No.1:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(5pt)

色々ツッコミます!

国名シリーズ第2作。読了直後、正直戸惑っている。

今回、エラリー・クイーンがやりたかったのは最後の一行で犯人が判明する趣向だろう。したがって、50ページ強にも渡り、得られた手掛かりから推理した事件の経緯が延々と語られる。エラリーは「演繹に演繹を重ね」と述べているが、どちらかといえば「帰納法に帰納法を重ね」だろう。
というのも推理方法は散りばめられた数々の事実を基に、何が起こったのかを再現しているのであり、しかもそれが最後にクイーン警視が述べるように「法的証拠はな」く、「山勘があたった」だけなのだから。二つの関連する真実から新たな真実を生み出す演繹法とは全く違う方法だ。なぜなら演繹法によって得た真実には矛盾や例外が存在しないからだ。
つまりこれこそエラリーが演繹法で推理したわけでなく、帰納法及び消去法で推理した事の証左だ(ほとんど全ての本格推理小説は帰納法による真相解明になるのだと思うのだが)。

かてて加えて、捜査方法についても2,3つ疑問がある。
恐らくこれらは1930年当時アメリカの犯罪捜査において、まだそこまで科学が進歩していなかった、そんなに気にしていなかったことだろうと思う。

まず、現場に残された煙草の吸殻を見て、エラリーがその特徴的な銘柄から、所有者であるバーニスが現場にいたと示唆する点。
これは現在ならば、早計という物だろう。DNA鑑定はなかったにしろ、唾液から血液鑑定をして人物を特定するのがセオリーだ。この頃はまだ唾液からの血液鑑定方法は確立されていなかったのだろうか?そして推理は終始この銘柄と煙草の吸い方による違いについて語られ、決定的な証拠となる血液型については言及されない。

次に鑑識による指紋の調査において、現場にクイーン警視の指紋が残されていたというシーンだ。これは明らかにおかしいのでは?
指紋による人物の特定方法が確立されていたのならば、捜査官は自分の指紋を現場につけないよう手袋をするが常識である。これは犯罪を題材に扱いながら、クイーンが、実際の警察の捜査状況を全く知らなかったのではないだろうか?それともこれが当時は常識だった?

3番目は殺害場所の特定方法について。今回の被害者は致命傷である部位が、損傷したら多量の出血を伴うのに、現場には血痕がさほど残っていなかった事で、他の場所で殺されて、発見現場に遺棄されたことになっている。殺害現場として目星をつけたアパートに行くのだが、全くルミノール反応を使った捜査が行われないのだ。
この頃、まだルミノール液が発明されていなかったのか、それともクイーンが知らなかったのか、どちらなんだろう。結局エラリーは自らの推理で殺害現場を特定する事になる。

ほとんど苦言で終始した感想になってしまったがこれはエラリー・クイーンへの期待値が高い事によるためだ。特に1作目の鮮やかな推理に比べ、本作は殺人事件に加え、麻薬組織まで絡んでおり、風呂敷を広げすぎたような感じがする。
シンプルな感想といえば、最後の犯人に面食らい、いまだにクエスチョン・マークが拭えないということなんだけど。


▼以下、ネタバレ感想

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Tetchy
WHOKS60S

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