18世紀英国。

18世紀ロンドン。外科医ダニエルの解剖教室からあるはずのない屍体が発見された。

第二次大戦下のドイツ。

降りしきる薔薇のはなびらで窒息することを夢見て、縊死した劇団員を描いた「薔薇忌」、水を汲んだ桶を覗きこむと、その人のために祈ってくれているなにものかが水に映るという「祷鬼」、現実のセックスでは不感症であるが、眠りの中で濃密な性の悦びを得られるという女を描い

ミステリと綺想の女王が紡ぎだす、禁忌と官能に満ちた世界 愛する男を慕って、女の黒髪が蠢きだす「文月の使者」、挿絵画家と若い人妻の戯れを濃密に映し出す「青火童女」、蛇屋に里子に出された少女の記憶を描く表題作他、密やかに紡がれる8編。

小説の女王・皆川博子が百年近くの歳月をかけ耽溺してきた、永遠に残したい本の数々。

異界と現し世を自在に行き交い、読者を迷宮へ誘う極上の語り。「結ぶ」―問答無用で縫われ、丸められていくからだ。

1789年7月14日、民衆がバスティーユ監獄を襲撃。パリで起きた争乱は、瞬く間にフランス全土へ広がった。

「庭は、寝がえりをうって、背をむけた。…庭にまで馬鹿にされるのは、いい気分ではない」(「風」)。

結合双生児として生まれたゲオルクとユリアンの波瀾に満ちた数奇な人生。

時は16世紀。スコットランドに生まれたアランは、17歳で戦士集団に加わり、アイルランドに渡る。

インパール戦線から帰還した男は、銃で妻と情夫を撃ち、出所後、小豆相場で成功。北の果ての海に程近い「司祭館」に住みつく。

――八時三〇分。

作家M・Mが常連の喫茶店の密やかな性戯を描いた「影を買う店」他、皆川博子、最大の「偏愛幻想/奇想」小説集、ついに刊行!

第一次世界大戦に敗れたドイツ。極端なインフレと共産主義との闘いで混迷するなか、退廃的な文化も爛熟を深めてゆく。

読まないほうがいい。虜になってしまうから……。

私の中に巣喰う狂気が、さまざまな夢を見させる―さらなる広がりと魅力を増した皆川博子の恐怖世界。

幼少期の追憶、舞台の魅力、『死の泉』と戦禍の中の子供たち、執筆の秘密―物語を愛し幻想の世界に遊ぶ小説の女王の随筆集、第三弾。

戦時中のミッションスクール。図書館の本の中にまぎれて、ひっそり置かれた美しいノート。

1934年、ドイツ。

ミステリ作家の卵であるアニーは、大叔母の住む村に招かれた。

1910年、ホームズとワトスンがクトゥルーの古き神々と初めて対決してから30年後。

湖から屍蝋が上がった―。小さなバーのママと常連客は、そのニュースに激しく動揺する(「水底の祭り」)。

遊女屋の愛娘ゆうと旅役者の福之助が結ばれて十年の歳月が流れ、関西を巡業して廻る一座に様々な苦難がふりかかる。

ネル・ワード博士の専門は生態学。断じて殺人ではない。

創作への想い、取材旅行記、敬愛する作家と影響を受けた物語のこと―小説の女王の偏愛と美学に満ちた精選随筆集。

『丘の屋敷』『ずっとお城で暮らしてる』など数々の名作を遺した鬼才シャーリイ・ジャクスン。

各務三郎が「ミステリマガジン」編集長時代を、皆川博子が少女時代の読書体験を、三谷幸喜が「作戦もの」の魅力を、法月綸太郎がアントニイ・バークリーの読み解きを、石上三登志がミステリの楽しみ方を、松岡和子が戯曲を翻訳する喜びを、和田誠が戦後のアメリカ文化を、はじ

単行本や文庫の解説・書評・推薦文など74篇を集成。小説の女王が読み解いた本を一望できる、随筆集にして至高のブックガイド。

あなたの「耳が」推理する。「音」が導く真相に驚愕する。

1915年、ドイツ。第一次世界大戦―。

本能寺の変より四年前。織田信長に叛旗を翻し有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起こる難事件に翻弄されていた。

救えるはずの事故で兄を亡くした青年・ハルオは、贖罪の気持ちから救助災害ドローンを製作するベンチャー企業に就職する。

13世紀、フランス。“天啓”を受けた羊飼いの少年・エティエンヌの下へ集った数多の少年少女。

林ちひろは、中学3年生。

恐竜と蟻が、現代人類社会と変わらぬ高度な文明を築き、地球を支配していたもう一つの白亜紀。

「馬の胎から産まれた少年」アディと、宮廷ユダヤ人の息子イシュア・コーヘン。

遺書さえものこさずに自殺してしまった姉が、いたずらに鉛筆で紙に書き散らしていた“クライン・キャット”という謎めいた文字。

『その女アレックス』で世界中を驚愕させた鬼才ルメートル、 まさに極上の心理サスペンス。 あの日、あの森で少年は死んだ。

売春宿で殺されたサミット関係者の男。テロを警戒する政府はポーに捜査を命じる。

臨床心理士のサイラスは、かつて異様な殺人現場で発見された少女と施設で邂逅する。

スペイン、ガリシア地方の小村。神秘的な岩の建造物ポルタレンの下で、心臓を抉り出された若い娘の死体が発見された。

悪名高い故ワイルドフェア判事の旧宅である緑樹館は〈悪魔のひじ〉に聳え立つ。

高校3年生になった牧薩次と可能キリコの2人。学業にそれぞれのクラブでの活動にと、青春を謳歌していた。

究極のゴシック・ミステリ作家が遺した、全ての短編を収録。

精神病院を舞台に儚く脆い世界を驚異の筆力で描いた長篇表題作、バレエの稽古場を舞台にした「巫の館」ほか蠱惑的な狂気へ誘う5篇。

13億円は私のもの? 気づけば大騒ぎの中心に! 売れないファッション・モデルとして貧乏生活を送るサト子。

頭の怪我によって恐怖を感じなくなり、連邦保安官を退任したベン。彼はかつての上司から行方不明の娘を捜索するよう依頼される。

日本のある富豪が発見したという「聖遺物」。

東海の強国駿河は、守護今川氏親の手で着々と覇道を進んでいた。

「疫病船」ほか、「獣舎のスキャット」「水底の祭り」など、単行本未収録作品4篇を含む恐怖ミステリ・全10篇。

一葉の写真、一枚の絵が呼びおこすひそやかな官能、秘密のかおり。言葉と映像―甘美で危険な交歓が紡ぐ作品集。

近いうちにこの切っ先が、私の手の内で何人かの血を吸うであろう……。

1959年ニューヨーク。 ハーレムにある中古家具店で働く アフリカ系アメリカ人のレイ・カーニー。