皆川博子随筆精華III 書物の森の思い出



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    初公開日(参考)2022年10月
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    皆川博子随筆精華III 書物の森の思い出

    2022年10月26日 皆川博子随筆精華III 書物の森の思い出

    幼少期の追憶、舞台の魅力、『死の泉』と戦禍の中の子供たち、執筆の秘密―物語を愛し幻想の世界に遊ぶ小説の女王の随筆集、第三弾。(「BOOK」データベースより)




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    No.2:
    (5pt)

    皆川さんって、健全な反共反ソ意識をもった作家だったんだ……。

    皆川博子氏(日下三蔵氏編)の『皆川博子随筆精華3 書物の森の思い出』(河出書房新社)を読んだ。

    (こんな内容)→幼少期の追憶、戦禍の子供たちと『死の泉』のこと、歌舞伎あれこれ、週間日記に、執筆の秘密――自伝エッセイ、身辺雑記連載など68の名品を収録した、小説の女王の随筆集、待望の第三弾。
    ----------------
    すでに『皆川博子随筆精華 書物の森を旅して』と『皆川博子随筆精華II 書物の森への招待』(同)も出ていて、これは三冊目。

    書名からして、書評をまとめたものと思ったが、書評以外のエッセイもかなり収録されている。医者だった父親のちょっとヘンな癖やら、古本屋のちょっとした「思い出」やら、作家となるまでの軌跡やらが断片的なエッセイで綴られてもいる。

    1930年生まれというから、1931年生まれの曽野綾子さんと並んで90歳を越える「長老作家」だ。戦争体験もそこそこある世代。終戦時(1945年)は15歳。8月15日以前は縁故疎開の田舎で学徒勤労動員。敗戦直後に東京に戻ったところ……。こんなバカがいたそうな?

    「元の女学校に復学した」「始業式が行われた」「そのとき、敗戦より大きなショックを受けた」
    「二人の教師が、[私は共産党員です]とでかでかと記した札を誇らしげに左側につけて、生徒たちの前に立ったのだ」

    「一人は私たちが三年の時就任した教師で、勤労動員中だから、授業は受けていなかった。我ら女学生がつけたあだ名はバカヒンだった(ヒンは馬の鳴き声です)。もうひとりは古くからいた国語の女教師であった」

    「戦争中はおくびにも出さず、愛国主義を鼓舞した教師たちが、突然、変貌したのだ」「戦前から戦中にかけて、共産党は非合法であった。敗戦と同時に、一大勢力となった。戦争より、敗戦より、教師の裏切りが鮮烈であった」

    「そうして新聞はいっせいに、[戦後民主主義]を謳い上げ、戦争した日本を糾弾するようになった。『命を大切にしましょう』昨日まで、身を鴻毛の軽きにおけ、命を惜しむな、と獅子吼していたのに」

    「日本のあらゆることが---礼儀作法も---、封建的と貶められるようになった」
    「白衣の勇士と称えられた傷病兵は、その白衣を着け街頭で物乞いをしなくてはならなくなった。電車では、募金箱を胸にさげた白衣の元兵士が車内に入り、喜捨を乞う。乗客は不機嫌に目をそらせた。国のために戦い、悲惨な姿で復員してきた将兵は、戦地で人殺しをした、と内地の人々から冷たい目を向けられた。彼らを思い、今痛哭する」

    「バカヒンは新設の商業という課目を担当し、簿記の付け方などを教えるようになったのだが、授業はそっちのけで、共産主義の礼賛ばかり述べ立て、デモへの参加を生徒に勧めた。学校の民主化のためにどうしたらよいと思うか書きなさい、と課題を出され、バカヒンの喜びそうなことを書いてみた」

    「『職員会議は生徒たちのことを討議するのですから、生徒も出席させるのが民主主義ではないでしょうか』提出した翌日、バカヒンは私を呼び止め、声をひそめ『たいそうよい』と、こそこそと褒めた。うしろめたいことをやっている仲間、というような囁き声だった。こっちは猛烈に腹が立っていた。大人が望むように、書いてやったのだ。小学生の時、決まり切った言葉で兵隊さんへの慰問文を書かされたように。今でも、思い出すと怒りが湧く」
    -------------------------------------
    こういったバカヒンたちは、ソ連が崩壊したりするとあわてて、赤旗編集局編の『ソ連共産党とたたかって30年』 (新日本出版社)なんて本を出す。1992年に刊行したのだが、当時、リアルタイムで一読したことがある。そのときすでに結党してから半世紀以上が経過していたのに、「戦ったのは30年だけかよ?」と思ったものだ。
    「嘘によらずには生きられない日本共産党」もさすがに結党以来、ソ連共産党とたたかっていたとは豪語できなかったんでしょうね?自己の出自を全面否定することになるから。コミンテルンの日本支部として生まれたのだから。それにしても「30年」。1963年の時点から「ソ連共産党とたたかっていた」といいたい?)。
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    ほかにも皆川さんはこんなことも書いている。

    「スターリンのソ連と赤軍の暴行には、私はいまだに憎しみと恐怖、怒りが消えない。ソ連が勝者連合軍の側であったためだろう、その暴戻を糾弾する声は、ナチスを責めるほど高くはなかった」

    「独ソ戦で、赤軍は凄まじい戦い方を国民にさせている。子供から老人まで戦場に駈り出した。武器が足りないので素手で行かせ、戦場で死傷者から調達させた。逃げようとすれば、背後に控えたソ連内務人民委員部に射殺される。
    武器のない兵たちは、火酒で酔っぱらって恐怖を麻痺させ、腕を組んで列を作り、ドイツ軍の機銃の前に進んだ。敵の弾丸を浪費させる人海戦術である。ソ連の膨大な人口が、このやり方を可能にした。武器不足のまま農民が戦場に送られたことのほんの一端は、去年公開された『スターリングラード』にも描かれているが、これはうんざりするほど甘ったるい結末をつけていた」
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    そのほか、子供の時(戦前)に愛読して懐かしい本として出てくる『パール街の少年たち』という本が目にとまった。1907年刊行のハンガリーを舞台にした小説だそうな。この本のことを日経新聞に書いた2000年時には(「少年と戦争」)、手に入らずコピーを図書館でとって再読したそうな。
    そして、少年と戦争について、さらにコジンスキーの『異端の鳥』(角川文庫)にも触れていた。おお、『異端の鳥』はこの前、映画化されたけど、皆川さんは見られただろうか?
    新訳も刊行されている。イェジー コシンスキ(との表記)で、 『ペインティッド・バード』 (松籟社)として。
    『パール街の少年たち』の新訳なども偕成社から2005年に出ているようだ。
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    ともあれ、皆川さんって、健全な反共反ソ意識をもった作家だったんだ……。
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    4309030653
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    (5pt)

    皆川博子のファンなら必見!

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