鵼の碑
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| これまで読んだ百鬼夜行シリーズの中で最悪の作品です。事件が起きず、独立した話が淡々と進んで、混乱してきます。 それもそのはず、鵺と言う様々な生物を継ぎ接ぎして出来ている化け物。 小説全体をその鵺に見立て、鵺を形造る生物を各章にあてて複数の人物の話を並列で進行させ、最後に纏める形になっているからです。 その形にこだわるあまり、とにかく読みにくい。誰が誰かわからなくなるし、細かな話など覚えていないまま次の章が始まる。 そして、最後にようやく出てきた京極堂の憑き物落としがあまりに超越的で、この短期間でなぜそんなことまでわかるのかと言いたくなるほど分かりすぎている。 いかにも現代左翼的な「反戦」「核反対」の著者のイデオロギーを随所に織り交ぜられるのも何だか引っかかる。 ましてやこれまでのシリーズを全く読んだことのない人には意味不明だと思うので、お勧めしません。 | ||||
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| 夢中になって読んだ頃、まだ私は高校生でした。もう結婚して子供を育てていますが、読んでいる数日間は「鵼」の世界の中に意識が浮遊していたようです。最後は私の憑き物も一緒に落ちました。 | ||||
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| 3つの点が下向きの三角形に配置されると人の脳は自然にそれを「顔」と認識するそうです。「シミュラクラ現象」と呼ばれています。 1つ1つの点はただの「点」でしかないのに、人はそこに何らかの関連を想像してしまうのです。 この小説を一言で言えば「シミュラクラ現象」に囚われた登場人物たちが、1つ1つの事件?と思しき出来事を「あーかも知れない。こーかも知れない。」という疑念に雁字搦めになって沼にはまってしまうものです。 思えばデビュー作「姑獲鳥の夏」から人間の認識がいかにあやふやなもので、その認識ボタンの掛け違いから「事件」や「謎」が生じ、それを憑き物落としの陰陽師である中禅寺が、蘊蓄たっぷりに「ほどく」のが、百鬼夜行シリーズの醍醐味でした。 しかし、ここにその爽快感は感じられません。終章の中禅寺がスーパーマン過ぎるのです。ある寺から依頼された古文書類を整理していただけの陰陽師が、一体いつどこでそんな裏付け捜査をしていたのか? 700頁過ぎまで、ゆらゆらと不穏な空気の中で進んでいた物語が、終章で一気呵成ターボ全開で理屈付けされていきます。彼の決め台詞「この世には不思議なことなど何もないのだよ。」正しくその通りの物語でした。 百鬼夜行シリーズに通底する「人間の認識のあやふやさ」を描いたと言えばその通り。しかし、何も起きていないし、何も無かったというオチには・・・。 今の京極先生の小説に「新本格ミステリー」を求めるのは魚屋でパンを求めるに近いのでしょう。ただゆらゆらと文章や言葉の選択に酩酊しながら、雰囲気を楽しむのが正解かも知れません。 | ||||
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| 舞台は昭和29年にはホームズシリーズの「バスカビル家の犬」も翻訳刊行されているし、作中でも夜光塗料について語られているので「猿が光ってた」と聞いたら何を塗ったの?って考えるし「石が燃えるなんて事はあり得ない」なんて騒ぐ程の事でもないのでは? チェレンコフ光なんてわざわざ持ち出す必要も全くありませんね。 巧妙な伏線もなく京極堂の「なんでそこまで知ってるの?」って解説で終わってしまって鼻緒だけが赤い装束を着る憑き物落しのクライマックス感も薄い。 姑獲鳥からのファンなので新作なら当然付き合いますが、残念ながらあの頃の様に夢中になれるシリーズではなくなってしまいました。 | ||||
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| 「不思議なものなど~」の決め台詞は作中一回の縛りではなかったか | ||||
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