あのとき、ふたりが世界のすべてになった―。ピアノの音に誘われて始まった女どうしの交流を描く表題作「愛の夢とか」。

“わたしたちは仲間です”―十四歳のある日、同級生からの苛めに耐える“僕”は、差出人不明の手紙を受け取る。

「真夜中は、なぜこんなにもきれいなんだろうと思う」。わたしは、人と言葉を交わしたりすることにさえ自信がもてない。

娘の緑子を連れて大阪から上京してきた、「わたし」の姉でありホステスの巻子。

大阪の下町で生まれ小説家を目指し上京した夏子。38歳の頃、自分の子どもに会いたいと思い始める。

人はいったい体のどこで考えているのか。

真夜中、解体されゆく家へ入りこんだわたしに、女たちの失われた時がやってくる。

十七歳の夏、親もとを出て「黄色い家」に集った少女たちは、生きていくためにカード犯罪の出し子というシノギに手を染める。

長谷川初実（ハツ）は、陸上部に所属する高校1年生。

東京の郊外で暮らす、しがないサラリーマン久保田輝之は、ある晩、人を殺めてしまう。

新米弁護士のライネンは、ある殺人犯の国選弁護人になった。だが、その男に殺されたのはライネンの親友の祖父だったと判明する。

夫も食べてもらえると喜ぶと思うんで――死んだ人間を食べる新たな葬式を描く表題作のほか、村田沙耶香自身がセレクトした、脳そのものを揺さぶる12篇。

17人の書き手が自らの「身体」と向き合って記す、生きるためのリレーエッセイ 私の身体はほんとうに私のもの? 私の身体はどんな視線にさらされ、どのように規定され、内面化されているのか。

休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。

婚約者・坂庭真実が忽然と姿を消した。 その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。

一生に一度だけ、死者との再会を叶えてくれるという「使者」。

クラスでは目立たない存在の結佳。

わたしたちの世代の最良の精神はどこにあるのか。日系アメリカ女性のレイ(玲)は、過去への旅に出る。

あの日、あんなことをしなければ…。心ならずも親友を裏切ってしまった中学生さくら。

幼い頃に母親を亡くし、父とも海外赴任を機に別れ、継母を選んだ優子。

５２ヘルツのクジラとは、他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く世界で一頭だけのクジラ。何も届かない、何も届けられない。

36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。

横浜で、ミッション系のお嬢様学校に通う、野々原茜(のの)と牧田はな。

私に命令できるのは、この世界で私ひとりだけ……。 私の名は、矢島大穴(ダイアナ)。

東京湾に浮かぶ月島。ぼくらは今日も自転車で、風よりも早くこの街を駆け抜ける。

とある街の、とある喫茶店の とある座席には不思議な都市伝説があった その席に座ると、望んだとおりの時間に戻れるという

同情は美しい? それとも卑しい? 優しくたって、美人だって、幸せになるのは一苦労。第6回大江健三郎賞受賞作。

あみ子は、少し風変わりな女の子。

一九七〇年の夏、海辺の街に帰省した“僕”は、友人の“鼠”とビールを飲み、介抱した女の子と親しくなって、退屈な時を送る。

「むらさきのスカートの女」と呼ばれる女性が気になって仕方のない〈わたし〉は、彼女と「ともだち」になるために、自分と同じ職場で彼女が働きだすよう誘導し……。

「愛してないから、こんなに自由になれるの」「それでも、お前と一緒にいたかったんだよ」。

クイズ番組の決勝で、僕の対戦相手は1文字も問題が読まれぬうちに回答し正解し、優勝を果たす。

愛したはずの夫は、まったくの別人であった。 「マチネの終わりに」から2年。

今から100年前、殺人は悪だった。10人産んだら、1人殺せる。

本屋大賞ノミネート作家、瀬尾まいこのデビュー直後から3年半の日常をつづるほのぼのエッセイ。

恩人の命令は、思いがけないものだった。 不当な理由で職場を解雇され、腹いせに罪を犯して逮捕された玲斗。

ぼくらを襲った事件はテレビのニュースよりもっとずっとどうしようもなくひどかった―。ある日、学校で起きた陰惨な事件。

京都が生んだ、やさしい奇跡。

前代未聞「二児同時誘拐」の真相に至る「虚実」の迷宮！真実を追求する記者、現実を描写する画家。

鷹島珊瑚は両親を看取り、帯広でのんびり暮らしていた。そんな折、東京の神田神保町で小さな古書店を営んでいた兄の滋郎が急逝。

林ちひろは、中学3年生。

受験を控えた私の元にやってきた家庭教師の「先生」。授業は週に2回。

直木賞作家の真骨頂! 笑って泣ける人間讃歌。

結婚して数年。自分たちには子どもができないようだと気づいた歯科受付の敦美。

コロナ禍による休校や緊急事態宣言、これまで誰も経験したことのない事態の中で大人たち以上に複雑な思いを抱える中高生たち。

年齢も境遇もさまざまな8人の女性たち。

雄町哲郎は京都の町中の地域病院で働く内科医である。

東京の片隅、小さな二階建ての一軒家。

三年前、ふと働くのが嫌になって仕事を辞め、毎日酒を飲んでぶらぶらしていたら妻が家を出て行った。

“本の町”読長町に住み、書物の蒐集家を曾祖父に持つ高校生の深冬。

極端に臆病な幼い有里の初恋の相手は、文房具屋で買った銀のステッキだった。

華やかでモテる女子高生・愛が惹かれた相手は、哀しい眼をした地味男子。

佐和子の家族はちょっとヘン。父を辞めると宣言した父、家出中なのに料理を届けに来る母、元天才児の兄。

「君は満洲という白紙の地図に、夢を書きこむ」日本からの密偵に帯同し、通訳として満洲に渡った細川。

恋愛ではない場所で、この飢餓感を冷静に処理することができたらいいのに。

「君はこれから世界でいちばんタフな15歳の少年になる」―15歳の誕生日がやってきたとき、僕は家を出て遠くの知らない街に行き、小さな図書館の片隅で暮らすようになった。