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Tetchy さんのレビュー一覧
Tetchyさんのページへレビュー数1426件
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外伝においても物語の属性としては派手な演出が繰り出される“動”のラインハルト編、気のおけない仲間たちのエピソードを描く“静”のヤン編という風に明確に色分けされているのが興味深い。
特に今回は同盟軍史上の英雄ブルース・アッシュビーの死の真相を探る隠密行動を強いられるというテーマで歴史の暗部を明らかにしていくこととなるのだが、それが必ずしもドキドキハラハラの演出で繰り広げられるのではなく、やる気の無いヤンのマイペースぶりで淡々と物語は進行していく。途中捕虜収容所へ着任させられ、脱走事件などが起きるものの、物語はあくまで起伏がない。 しかし、これが約40年間捕虜だったというケーフェンヒラーという人物を際立たせる効果を確実に上げている。大往生で亡くなるシーンが殊更に静謐さを湛えているのはこの淡々とした演出の御蔭であろう。 現時点においてこれが『銀英伝』シリーズの最終巻である。作者としてはまだ語り尽くせぬ思いは確実にあると思うが、それは時間が解決する事。 本統に最後なのか、それとも新たなる伝説が紡ぎ出されるのか、じっくりと待つこととしよう。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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正直な話、SFでこれをやるかという驚嘆がまず最初だった。本編はユリアンがイゼルローンに移住してからヤン艦隊が初出動するまでの約4ヶ月間を日記形式で綴っているのだが、問題はそこ。
よくもまあ、これほど多種多様な内容を描いた物だと感心する。しかも所謂我々が住む日常的空間を想定した小説ならば作家という職業上、4ヶ月分の日記を考えるのはつまり自分の日常生活と照らし合わせて使えるものをピックアップしていけばよいのだが、これをSFでやるとなると世界観が作者の頭で描いた仮想空間であるため、迂闊な事を書いてしまうと矛盾や決してありえない事が生じ、収拾つかなくなると思われる。 しかし、そこを危なげなく処理している辺り、見事としか云いようがない。確かに各登場人物とのやり取り、日常生活のエピソードなどはSFとは関係ない部分も案外あったが、やはりイゼルローンからハイネセンへ捕虜を運ぶエピソードを物語の核に持ってきて、作者はいささかも恐れず、真っ向から勝負してきている。また膨大な登場人物が登場する本シリーズにおいて実はほとんど名のみでしか紹介されていない人物、特にリンツ、イワン・コーネフなどは如何に人間くさい人物かも記されていて、物語、いや彼らに深みが増した。 しかし、本作はいつもの10星よりもランクを下げて8ツ星とする。理由は本書にも書かれているが、物語の構成上、ユリアンの1人称叙述であるのはともかくとして、ユリアンの妄信的なまでのヤン崇拝の様がちょっとくどかった。 作者としては彼の親愛の度合いを伝えたかったのと、ヤンとユリアンの絆の強さを示したかったという意図があったのだろうが、ちょっと食傷気味。 |
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今度のクーンツは人間が野獣に変身するというモチーフを用いたSFホラー物。しかし、内容は意外に浅かった。
人物設定はいつものようにタフな主人公―FBI捜査官というベタな設定―に強い意志を持った女性―お決まりのように美人である―。それに加わるのが生命力豊かな少女と片手のみが動くという半身麻痺のヴェトナム退役軍人―この2人は設定としてはいいのだが、なぜか色付かない―で、彼らが力を合わせ、野獣の町となりゆくムーンライト・コーヴを救う話だが、物語があまりにも当たり前の方向に進んでいくのが面白くなく、しかもこれだけ当たり前に進むのに、680ページもの分量が必要なのか疑問。 ローマンという転換者の中にヒーローを設けたのは設定としては良かったが、なぜか魅力が無い。恐らく死ぬ間際まで負け犬根性が残っていたからだろう。もう少し工夫が欲しかったな。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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セイヤーズは凄い!
本統に現代のミステリに通じるセンス・オヴ・ワンダーがある。 今回も例によって発端の事件は地味。いや料理屋で隣り合わせた医師が非難にあった事件にもなっていないある老嬢の死から始まる。こんな、事件にもなっていない1人の死を解こうとする無益な探偵活動から始まり、終わってみれば3人の死者と1人の殺人未遂で終わるという派手な結末となった。 ピーター卿が単純な自然死の真相を暴こうとする動機。「この世には犯罪で殺されるよりも普通に亡くなる人の方が多い。だが普通に死んだ者達の中にも殺された人がいるかもしれない。それはただ単純に発覚しなかっただけで完璧な犯罪だったんじゃなかろうか。6人殺した毒殺魔が7人目を殺した時に捕まるのも、6人目までの手際が良くて発覚しなかっただけなんだ」という趣旨の台詞を述べる。おもわず頷いた。 最終的にはかなり凄惨な事件だった。読むのに苦労したが苦労して読んだ甲斐が大いにあった。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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奥付の日付を見ると「平成五年十二月十日 初版発行」とある。この年限り行われた「角川ミステリコンペ」に出展された文庫書下ろしで装丁も当時のものであり、かなり貴重な一冊である。
古書的趣味はそれぐらいにして内容であるが、これが実に折原らしい。事実上のデビュー作である『倒錯のロンド』の系統に連なる作家志望の主人公が織り成す虚実入り混じった叙述ミステリで、本作も縦横無尽に現実と虚構との間を練り歩く。 前半は若手美人作家南野はるかを中心にしたドタバタミステリだが後半は彼女の存在を架空の者としながらも現実の者と肯定するメタミステリの様相を呈していく。 ▼以下、ネタバレ感想 |
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クーンツにしては、という云い方は失礼かもしれないが、複雑なプロットの物語でかなり読むのも苦労をした。タイムトラベル物の一つなのだが、とにかく複雑な構成。パラドックスに関してかなりの時間を費やして考察を行った節があるのだが、最後の敵クライトマンがクリーゲルのチャーチルとヒトラーに対して行った工作が成功した後にも存在していたのは何故?などという疑問もある。
先に読んだ『奇妙な道』にアイデアは似ていると思う。特に防戦に失敗して主人公が死亡した後に、別の手段でやり直しが効くところは正にそっくりだ―まあ『奇妙な道』の方は何度も何度も繰り返され、アンフェアな印象があったのだが―。 しかし、いつものクーンツ作品と違い、事件解決後の後日談があるのも珍しい。ここまでするのならもう一つサプライズがあっても良かったかなとも思ったが。しかしローラの半生を丹念に描くところなんかはシドニー・シェルダンの小説を読んでいるかの如くで、特に『ゲームの達人』が発表された年とこの作品が発表された年とを比較してみるのもまた一興だろう。 |
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今回の天藤作品も粒揃いの傑作ばかりで、嬉しくなる。今回は特に構成に凝った作品が多かったような印象が強いのだが、振り返ってみると実際に構成が凝っていたのは中編の「日曜日は殺しの日」と「死神はコーナーに待つ」のみだった。ということは如何に印象が強かったかという証左になるわけだ。
特にこの2編は所謂倒叙物の体を成しており、大体犯行の目星がついているのだが、それを約100ページ強を費やして何を書くのだろうと思いきや、自明の理だと思われていた事件が他人が探るに連れ、全く予想外の証言や真相が出没し、正に頭の中を揺さぶられる感覚がした。著者の企みは正にそこにあり、読者にストーリーのあるべき方向を示唆させ、先入観を抱かせることで真相を覆い隠してしまう、この効果が物凄かった。 また他の作品も非常によく、ちょっと狙いが浅かったかなと思わせる表題作はともかくとして、今流行の “日常の謎”ものである「父子像」やミステリアスな結末の「背面の悪魔」、ストレートな「女子校生事件」、実に深い余韻を残す「三枚の千円札」など今見てもすぐに内容が思い出せるものばかり。 一番良かったのは、人間の厭らしい部分を描いても後期の長編群のように嫌味な印象を全然感じなかったこと。どこか人間を観る目に以前よりも優しさが感じられ、読後非常に爽やかだった。 天藤作品も残るはあと一冊。う~ん、読みたいやら、読みたくないやら。 |
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プロットは及第点だろう。登山中の事故で瀕死の重傷を負って自信を喪失した登山家がある事件を切っ掛けに困難に立ち向かいその自信を取り戻していくというストーリーに加え、連続殺人鬼、事故の際に身につけた千里眼の能力など、クーンツの味付けが溢れているし、殺人鬼が1人ではなく、2人が同一の犯行を行うというアイデアも秀逸だろう。
さらにマンハッタンのビルを山に見立て、垂直降下するアイデアも主人公の設定と見事に呼応し、素晴らしい。 しかし、どこか響かない。 名作『ウィスパーズ』や『邪教集団トワイライトの襲撃』に見られる何処か神経を泡立たさせる何かがないのだ。有りか無しかといえば有りだが、文庫で十分だというのも事実だ。 |
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初めの方は読んでも読んでも全然頭に入らず、どうにもこうにもつまらないという感じだったが、後半辺りから何かしら事件の実態が見え始めたせいか、グイグイと惹き寄せられた。
黄金期の作家のデビュー作らしく、事件は至ってシンプルで、或る冴えない建築家の風呂場に見知らぬ死体が紛れ込んで、それがどうも行方不明になった富豪のものらしいがどうも違うらしいというのが大筋。一見何の変哲もない設定のように思えたがこれが実に練り上げられた設定だった。死体を殺人事件の被害者と見せかけることなく、処理する方法としてこんな方法もあるのかとそのロジックに感心した。 本来ならば七ツ星なんだろうが、このシーン(ネタバレ参照)で惚れた。単なる貴族探偵じゃないぞ、ピーター卿は! ▼以下、ネタバレ感想 |
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本作は天藤版リーガル・ミステリ集とでも云おうか、9編中5編が法廷を舞台にしたミステリでそのどれもが傑作。
設定から結末まで一貫してユニークな「公平について」はもとより、中篇の表題作の何とも云えない爽快感。天藤真はシンプルな題名によくダブル・ミーニングを持たせるが本作もそれ。それがさらに効果を上げている。 そして「赤い鴉」、「或る殺人」の哀愁漂う結末。ドイルの短編「五十年後」や島田の『奇想、天を動かす』などに見られる膨大な人生の喪失感を思わせる深い作品となっている。特に後者は当時似たような事件があったのだろうか、行間から作者の肉体労働者に対する社会からの蔑視に対する怒りが沸々と湧き出てくるようだ。 意外だったのは最後のショートショート2編。これもまた佳作といえる小品だろう。しかしこういった人情法廷物が天藤のテイストと非常にマッチしているとは新しい発見であった。 まだあるのだろうか?ある事を切に願う。 |
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セイヤーズ初体験である。
本作は当初 “シャーロック・ホームズのライヴァルたち”と銘打った東京創元社の企画物の1つで独自で編んだ短編集であったらしい。それが長年に渡って繰り広げられ、そして今も継続中のセイヤーズ完訳の第一歩となるとは不思議なものである。 正直な感想を云えば、驚きました。島田荘司氏が本格の定義として提唱している「冒頭の怪奇的・幻想的な謎、そして後半の論理的解明」を正に実践しており、こんな本格が過去、西洋にあったのかと再認識させられた次第。ドッペルゲンガーに悪霊憑き、そして首のない馬車とゴシック風味満載である。色々読みこなした現代においてはそれらの結末は想像の範疇で瞠目させられるものではないにしろ、これほどのものがまだあったことが素直に嬉しい。 読書期間中、第1子誕生と忙しいこともあり、睡魔に負けてほとんど憶えていない短編もあるが、全体的に好印象だった。 |
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ラインハルトがまだミューゼル姓だった頃の、まだヤンが一介の大佐で本領を発揮する1年前の頃の話であるため、ごく初期に出演した面々がいくつか顔を見せ、こんな人物だったのかと想像を膨らまさせてくれる。
また後に中心人物の1人として活躍するロイエンタール、ミッテンマイヤーは勿論のこと、ビッテンフェルトやケンプ、そしてケスラーと錚々たる面々も現れ、非常に心をくすぐられる。 今回の中心はやはりシェーンコップと帝国軍に寝返った元上司リューネブルクとの関係にあるだろう。特にシェーンコップが若く、ヴァンフリート4=2星で図らずも軍の指揮を執るエピソードなど興味深い。こういった本編で語られなかった各登場人物の外枠の挿話、また知られざる登場人物間の相関関係を補完する事で物語としての深化を行い、正に外伝の長所を余す所なく利用している作者の手際に賞賛を贈る。 また本編では設定上語ることの出来なかったラインハルトとキルヒアイスとの関係が如何に深く、強いものであるかを説くのもこの外伝の本当の意義の1つであろう。 今回惜しまれるのはリューネブルクが何故斜に構えて人に接するかという理由付けが成されなかったこと。作者の狙いはリューネブルクと他の登場人物とを絡ませることで仄めかそうとしたのだろうが、成功しているようには思えない。寧ろ最終章の初めにエリザベートが兄を殺害するに至った経緯をケスラーがラインハルトに説明する節においてリューネブルクについても触れておれば性格付けの効果も大きかっただろう。非常に勿体無い(このエピソードで第6章のリューネブルクが妻に向ける台詞の意味が全く変わってしまうのが見事であるだけに本当に惜しい)。 |
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前作『奇妙な道』とは打って変わってこちらは純粋な短編集。クーンツ得意のモダン・ホラーからファンタジー、幻想小説とその趣向は様々。
全7作の内、最も印象的だったのは最初の「フン族のアッチラ女王」と表題作。特に前者は植物のような宇宙生命体の侵略物語がどう題名に結びつくのかが興味深く、その趣向に1本取られた感じだ(結局、内容的には大したことはないのだが)。後者は家に現れる地下への階段というモチーフが秀逸。つまりこれこそが主人公の心の闇の深さのメタファーとなっており、人の悪意の底知れなさを仄めかして終わるラストも良い。 その他特殊な両手を備えた男の哀しみを描く「オリーの手」、実験で知能を備えた鼠の恐怖を描いた「罠」、異世界から来た熊の私立探偵とその異世界と現世との比較が面白い「ブルーノ」など前述のようにヴァラエティに富んでいるがずば抜けた物がないのも確か。最終巻の『嵐の夜』に期待。 |
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天藤作品を連続して読む前は、『遠きに目ありて』、『大誘拐』、『鈍い球音』しか読んでないがため、それらに共通する宮部みゆき氏を髣髴させる温かみを彼の作品の特徴だと思っていた。しかし、『善人たちの夜』、『わが師はサタン』までの長編を読破するにあたり、意外にも人間の持つ欲望の意地汚さ、卑しさ、小賢しさを全面に表出させ、女性を凌辱する話も多いことに気付かされた。その傾向は『死角に消えた殺人者』あたりから顕著に見られるようになった。ここに作者の転機があるように思う。
なぜこんな話をするかというとこの短編集がどうもその時代あたりに書かれた片鱗を覗かせるのだ。その特色が表題作の「われら殺人者」から見られる。文庫の裏表紙にかかれた梗概からは天藤お得意の見知らぬ者達が力を合わせ、目的を成すといった奇妙なチームワーク物のように思えたが、意外や意外、何とも泥臭く、後味の悪い結末だった。 最後の2編、「崖下の家」、「悪徳の果て」はもう人間の最も厭らしい部分を見せ付けるような結末で正直、今でも震えが来る。いや、今にして思えばジュブナイル物だろう「幻の呼ぶ声」も結構児童向けにしてはシビアな内容であるから、ここからかもしれない。 結構次作を読むのが怖かったりする。 |
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前作の時にも述べたが、天藤真氏は短編になるとミステリというより小噺のような体裁を取るようだ。「共謀者」、「目撃者」、「重ねて四つ」、「三匹の虻」などがまさにそれ。
「目撃者」は完璧犯罪がある落とし穴から崩れ去るというプロットなのだが、最後の犯人の台詞はやはり小噺だろう。 表題作は天藤の長編作品の特色である複数の主人公が事件解決のチームを形成し、事を成す形を採っており、ページ数も結構ある。前回にもあったジュヴナイル・ミステリ「白い火のゆくえ」がまたもやこの短編集の中では秀作だった。誤植切手を巡る大人・子供入り混じっての迷走や最後の意外な犯人―しかも後味が結構ビターで少年少女には大人への洗礼になるかも―と内容も豊富。 ただそれでも全般を通して「これは!!」というものには出逢えなかった。次作に期待。 |
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久々の、本当に久々のレナードである。『ラム・パンチ』以来だから4~5年ぶりか。そしてやはりレナードは面白かった。
とにかく登場人物が洒落ている。活きている。どんどん引きずり込まれる。フォーリーのクールさは映画版のジョージ・クルーニーぴったりだし、キャレンの凛々しさは確かにジェニファー・ロペスだなぁ。本作ではフォーリーは50前、キャレンはどうやら白人という設定みたいだがこのキャスティングは素晴らしいと改めて思った次第。 まあ、観ていない映画の話はこれくらいにして、とにかく車のトランクの中に銀行強盗と女連邦官が一緒に閉じ込められるというワン・アイデアがこれほど面白く働くとは思わなかった。水と油の職業の者同士が恋に落ちるというパターンは山ほどあるが、これほど奇抜でしかも説得力のあるシチュエーションは初めて。ここから織りなされるそれぞれの思いの道行きが大人のムードを醸し出しながらも初々しさを持ち、そして再び出会った時に爆発的な化学反応を起こす、このストーリー・テリングはやはり超一流。スラングを多用し、また地の分に台詞を同化させたレナード・タッチもふんだんに織込まれ酔い痴れました。 ただ2人の恋の盛り上がり方に比べ、結末がドライで呆気なく幕引きになるのが残念。 あとやっぱり『ゲット・ショーティー』の奇跡的な構成が記憶に残っているのでそれを超えられるほどのものがなかったのも物足りなかった。 ともあれ、レナード作品の翻訳再開は非常に嬉しいし、どんどん読みたい。どうか作品紹介が今後も続きますように。 |
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どうしてこんなにもごくフツーのミステリが創元推理文庫で出るのか、それこそがミステリだ。
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上手いなぁ!たまにはハードボイルド物も書けばいいのに・・・。センスあるよ~!
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