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Tetchy さんのレビュー一覧
Tetchyさんのページへレビュー数1433件
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ラインハルトがまだミューゼル姓だった頃の、まだヤンが一介の大佐で本領を発揮する1年前の頃の話であるため、ごく初期に出演した面々がいくつか顔を見せ、こんな人物だったのかと想像を膨らまさせてくれる。
また後に中心人物の1人として活躍するロイエンタール、ミッテンマイヤーは勿論のこと、ビッテンフェルトやケンプ、そしてケスラーと錚々たる面々も現れ、非常に心をくすぐられる。 今回の中心はやはりシェーンコップと帝国軍に寝返った元上司リューネブルクとの関係にあるだろう。特にシェーンコップが若く、ヴァンフリート4=2星で図らずも軍の指揮を執るエピソードなど興味深い。こういった本編で語られなかった各登場人物の外枠の挿話、また知られざる登場人物間の相関関係を補完する事で物語としての深化を行い、正に外伝の長所を余す所なく利用している作者の手際に賞賛を贈る。 また本編では設定上語ることの出来なかったラインハルトとキルヒアイスとの関係が如何に深く、強いものであるかを説くのもこの外伝の本当の意義の1つであろう。 今回惜しまれるのはリューネブルクが何故斜に構えて人に接するかという理由付けが成されなかったこと。作者の狙いはリューネブルクと他の登場人物とを絡ませることで仄めかそうとしたのだろうが、成功しているようには思えない。寧ろ最終章の初めにエリザベートが兄を殺害するに至った経緯をケスラーがラインハルトに説明する節においてリューネブルクについても触れておれば性格付けの効果も大きかっただろう。非常に勿体無い(このエピソードで第6章のリューネブルクが妻に向ける台詞の意味が全く変わってしまうのが見事であるだけに本当に惜しい)。 |
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前作『奇妙な道』とは打って変わってこちらは純粋な短編集。クーンツ得意のモダン・ホラーからファンタジー、幻想小説とその趣向は様々。
全7作の内、最も印象的だったのは最初の「フン族のアッチラ女王」と表題作。特に前者は植物のような宇宙生命体の侵略物語がどう題名に結びつくのかが興味深く、その趣向に1本取られた感じだ(結局、内容的には大したことはないのだが)。後者は家に現れる地下への階段というモチーフが秀逸。つまりこれこそが主人公の心の闇の深さのメタファーとなっており、人の悪意の底知れなさを仄めかして終わるラストも良い。 その他特殊な両手を備えた男の哀しみを描く「オリーの手」、実験で知能を備えた鼠の恐怖を描いた「罠」、異世界から来た熊の私立探偵とその異世界と現世との比較が面白い「ブルーノ」など前述のようにヴァラエティに富んでいるがずば抜けた物がないのも確か。最終巻の『嵐の夜』に期待。 |
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天藤作品を連続して読む前は、『遠きに目ありて』、『大誘拐』、『鈍い球音』しか読んでないがため、それらに共通する宮部みゆき氏を髣髴させる温かみを彼の作品の特徴だと思っていた。しかし、『善人たちの夜』、『わが師はサタン』までの長編を読破するにあたり、意外にも人間の持つ欲望の意地汚さ、卑しさ、小賢しさを全面に表出させ、女性を凌辱する話も多いことに気付かされた。その傾向は『死角に消えた殺人者』あたりから顕著に見られるようになった。ここに作者の転機があるように思う。
なぜこんな話をするかというとこの短編集がどうもその時代あたりに書かれた片鱗を覗かせるのだ。その特色が表題作の「われら殺人者」から見られる。文庫の裏表紙にかかれた梗概からは天藤お得意の見知らぬ者達が力を合わせ、目的を成すといった奇妙なチームワーク物のように思えたが、意外や意外、何とも泥臭く、後味の悪い結末だった。 最後の2編、「崖下の家」、「悪徳の果て」はもう人間の最も厭らしい部分を見せ付けるような結末で正直、今でも震えが来る。いや、今にして思えばジュブナイル物だろう「幻の呼ぶ声」も結構児童向けにしてはシビアな内容であるから、ここからかもしれない。 結構次作を読むのが怖かったりする。 |
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前作の時にも述べたが、天藤真氏は短編になるとミステリというより小噺のような体裁を取るようだ。「共謀者」、「目撃者」、「重ねて四つ」、「三匹の虻」などがまさにそれ。
「目撃者」は完璧犯罪がある落とし穴から崩れ去るというプロットなのだが、最後の犯人の台詞はやはり小噺だろう。 表題作は天藤の長編作品の特色である複数の主人公が事件解決のチームを形成し、事を成す形を採っており、ページ数も結構ある。前回にもあったジュヴナイル・ミステリ「白い火のゆくえ」がまたもやこの短編集の中では秀作だった。誤植切手を巡る大人・子供入り混じっての迷走や最後の意外な犯人―しかも後味が結構ビターで少年少女には大人への洗礼になるかも―と内容も豊富。 ただそれでも全般を通して「これは!!」というものには出逢えなかった。次作に期待。 |
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久々の、本当に久々のレナードである。『ラム・パンチ』以来だから4~5年ぶりか。そしてやはりレナードは面白かった。
とにかく登場人物が洒落ている。活きている。どんどん引きずり込まれる。フォーリーのクールさは映画版のジョージ・クルーニーぴったりだし、キャレンの凛々しさは確かにジェニファー・ロペスだなぁ。本作ではフォーリーは50前、キャレンはどうやら白人という設定みたいだがこのキャスティングは素晴らしいと改めて思った次第。 まあ、観ていない映画の話はこれくらいにして、とにかく車のトランクの中に銀行強盗と女連邦官が一緒に閉じ込められるというワン・アイデアがこれほど面白く働くとは思わなかった。水と油の職業の者同士が恋に落ちるというパターンは山ほどあるが、これほど奇抜でしかも説得力のあるシチュエーションは初めて。ここから織りなされるそれぞれの思いの道行きが大人のムードを醸し出しながらも初々しさを持ち、そして再び出会った時に爆発的な化学反応を起こす、このストーリー・テリングはやはり超一流。スラングを多用し、また地の分に台詞を同化させたレナード・タッチもふんだんに織込まれ酔い痴れました。 ただ2人の恋の盛り上がり方に比べ、結末がドライで呆気なく幕引きになるのが残念。 あとやっぱり『ゲット・ショーティー』の奇跡的な構成が記憶に残っているのでそれを超えられるほどのものがなかったのも物足りなかった。 ともあれ、レナード作品の翻訳再開は非常に嬉しいし、どんどん読みたい。どうか作品紹介が今後も続きますように。 |
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どうしてこんなにもごくフツーのミステリが創元推理文庫で出るのか、それこそがミステリだ。
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上手いなぁ!たまにはハードボイルド物も書けばいいのに・・・。センスあるよ~!
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ラストはこの上なく切ない。この胸に残る気持ちはちょっと長引きそうだ。
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トリックはすごかったけど内容はいまいちだな~。
主人公に魅力がないのもねぇ・・・。 |
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負けました。このような気持ちにさせられるなんて。
題名もいい。 |
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来た、来た、来たぁ~!シビレまくりのこの逸品!オイラはホンマに幸福者やぁ!も~、最高!
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ミステリー色はさほど濃くなかったが十分楽しめた。安心して読める作品。
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各短編のクオリティは低くないものの、突出したものがないと感じる。次回に期待します。
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良い!と云える佳作。相変らずのアイロニックな文体が躍動している。
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私はこれで笠井作品を読むのを断念しました。こういうゴシック調の作品はどうもダメですねぇ・・・。
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ショートショートはまあまあだったが、独り善がりで全体としては最悪。
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最後の三冊目にしてやっと通常の読物として満足できるものが揃い、ほっとした。
「革の漏斗」、「サノクス令夫人」以外はどれも標準点である。特に最後の「ブラジル猫」は友人を地下墓地に巧みに迷い込ませた「新しい地下墓地」のパターンを応用し、ひっくり返させ、更に夫人の振舞いにダブル・ミーニングを持たせてアクセントをつけている。 異形物の「大空の恐怖」、「青の洞窟の怪」は『ロスト・ワールド』の作者である面がよく出ており、物語作家ドイルの面目を保った感がある。 これでドイルの作品は最後になるが、全般的な感想を云えば、世評の高い『バスカービル家の犬』、『緋色の研究』や短編「まだらの紐」、「銀星号事件」などよりもあまり巷間の口に上らない『恐怖の谷』の方が読物としてレベル的にも断然面白かったのが非常に印象に残った。やはりホームズ譚は世の中に紹介されすぎなのだろう、世評高いものはもはや手垢が付きすぎた感があり、新鮮味に欠ける。 そしてまた『緋色の研究』や『四つの署名』、『恐怖の谷』に挿入される犯人判明後の挿話がすこぶる面白かったのも新たな発見であった。この挿話では文体から既に別人と化しており、本質的にこの作者が何を書きたかったのかをあからさまに示しているようだ。 最後に最も残念だったのが悪訳の多い事。日本語で読みたいのだよ、私は。21世紀でもあるし、改訳するのが潮時でしょう。 |
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雑誌に投稿して佳作入選を果たした表題作に代表されるように初期の短編においてはミステリ色よりもオチのついた小噺といった方が適切な作品が多い。「なんとなんと」、「鷹と鳶」、「夫婦悪日」などは正にそれで「犯罪講師」に至ってはコントですらある。
本格的なミステリと云えるのは「塔の家の三人の女」、「穴物語」、「誓いの週末(これは秀逸)」の三篇だけだろう。 「声は死と共に」は天藤作品らしからぬ暗い作品でなんとも後味が悪く、結末も歯切れが悪かった。 先に出版された『遠きに目ありて』レベルの秀作がないのはまだ油の乗り切る前の初期作品であるから仕方ないが、最後の「誓いの週末」にその片鱗が窺えるのが収穫だった(ある意味、これはチェスタトンだよなぁ!!)。 |
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天藤真がオカルト!?というミスマッチのせいか、読み始めはなかなかノレなかったが、アスタロトから南郷講師へ主人公グループの指導者が替わる辺りからなんとかテンポよく読み進められた次第。ストーリーはその後も二転三転し、なかなか先を読ませなかったのだが、最後は、意外というわけでもなく、こちらの思ったとおりの犯人に落ち着いた。
しかし、『善人たちの夜』の時もそうだったが、いまいち主人公には共感できなかった。こちらが天藤作品に求めているのが主人公達が孤軍奮闘する爽快感であるように位置付けられている事が大きいのだろう。無論それは『大誘拐』や『殺しへの招待』などの天藤真の代表作が備えているテイストに他ならないからだ。 だから最後の田のぬけぬけとした女たらしぶりなどは読書の興趣を殺がれるし、何とも味わいの悪い読後感が残る以外何物でもない。 しかも女性名義で発表した作品という割にはセックスに関する叙述が多く、ろくでもない人間が多く出てくるのも気になった。もしかしたら天藤作品というレーベルとは作者自身も違和感があったのかもしれない。 |
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以前から云っているが、数あるクーンツ作品を傑作・駄作で分類する時、ポイントになるのは物語に使われる超常現象に対し、登場人物や設定において、ある特別な区別をされた際に何故彼(彼女)は他のみんなと違うのかというのがはっきり明示されているか否かが挙げられる。前者は『ファントム』、『ウィスパーズ』、『雷鳴の館』等、後者は『殺人プログラミング』、『闇の殺戮』等である。勿論後者についても読者を全く飽きさせない展開でぐいぐい引っ張っていくがいかんせん理由付けの部分が弱いと興醒めで魅力はそこで半減してしまう。
さて今回はどうだったかというとまずは及第点。悪くない。 本書に収められた2作の内、本書のほとんどを占める表題作は父親の葬儀のため、数十年振りに戻った故郷でいきなり20年前にタイムスリップする、それは現在の自分の人生を運命付ける正に人生の岐路の時であった、主人公は自分の理想とする新たな人生を取り戻そうとするという男の再生譚。今回の私なりの焦点は何故主人公がいきなり20年前に戻ったのかというのは実は主眼ではなかった。これは物語の設定として違和感なく入り込めた。 では何かというと事ある毎に、特に主人公が失敗する場面からいきなりリセットされ、失敗する前に引き戻されるという設定。それが1度のみならず2度、3度と繰り返される辺りに不満があった。クーンツの作品は結局ハッピー・エンドで終わるというのが通説だが、これはいくらなんでも酷すぎると思った。 しかし作者はそこに何ともロマンティックな理由を設けており、正直思わず微笑んだ。こういう手を使う所が、何ともクーンツの人生を反映しているような気がして憎めない。 もう1作の短編「ハロウィーンの訪問者」は他愛のない話で恐らくこれは児童向けの説教小説だろう。怪物を出すあたり、クーンツらしいといえばそうだが。 今回は以上よりやや傑作よりだと思うが小説としては小粒であることは否めない。次に期待。 |
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