背が高くて東大出
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書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点8.00pt |
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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
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今回の天藤作品も粒揃いの傑作ばかりで、嬉しくなる。今回は特に構成に凝った作品が多かったような印象が強いのだが、振り返ってみると実際に構成が凝っていたのは中編の「日曜日は殺しの日」と「死神はコーナーに待つ」のみだった。ということは如何に印象が強かったかという証左になるわけだ。 | ||||
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※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
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十篇の短編集。 表題作「背は高くて東大出」では、東大出のこの夫は、とんでもない人だ。 もっとも現在は、東大という肩書きが、万能とまでは言えなくなっているので、時代遅れの感は強い。 しかし、この作品の真価は、最終部分にもあり、その意外性を、存分に楽しむ事が出来る。 意外性という面では、「死神はコーナーに待つ」が、特に面白い。 殺人を扱う、この短い物語の中で、流れが二転三転し、惹き付けられて止まない。 中でも、私のイチオシは、「父子像」だ。 悪の道を想定させておいて、こんなに温かい結末。 今巻の全作品中、最も印象に残ったし、こんな温かい作品は、私は好きだ。 それぞれの作品の傾向は色々であるが、読み捨てられるものではなく、時を超えて魅力を放ち続ける。 全17巻の本シリーズは、長編短編を問わず、著者独自の世界を提供してくれる。 著者の短編も、なかなかのものだ。 | ||||
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「天藤真推理小説全集」の16巻。 1971-76年に発表された10本の中短篇が収録されている。 1971年の『鈍い球音』を手始めに、次々と長篇を発表しはじめた頃の作品。それ以前の、長篇の依頼がまったくないという不遇の時代を抜け、華々しい活動へと入っていく時期の中短編集である。 しかし、長篇に力を注ぎこんだせいか、本書収録の中短篇には駄作が多くなっている。アイディアもいまいちだし、ストーリーの練り込みも不充分、オチの意外性にも足りないものがある。扇情的な内容のものも多く、首を傾げてしまう。 とはいえ、天藤真らしい苦みと甘さの入り混じったようなラストシーンも。 | ||||
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ユーモアあふれる作風で知られる天藤さんですが、けっして明るいだけではない、ぞくりとするような人間心理も見事に切り取ってみせてくれます。表題作は、東大出のエリートと結婚した女性の告白という形をとっていますが、彼女を通じて描き出される「東大卒」はかなり戯画化された醜悪なものとなっていて、強い嫌悪感を抱かせます。どんどん精神的に切羽詰まっていく彼女が引き起こすスプラッタ劇が楽しいのですが、最後にちゃんとオチも用意されている辺りがさすが。個人的には「東大は出たけれど、なんてことない男」とするよりは、「東大出自体そもそも、なんてことないんだよ」とする方がきれいにまとまったのではと思うのですが、そこまでふっきれなかったのは自身「背が高くて東大出」だった天藤さんの思惑があるのでしょうか……。収録作の中では、ほのぼの情愛を感じさせてくれる「父子像」がイチ押し。 | ||||
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