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対岸の彼女
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対岸の彼女の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.24pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全355件 261~280 14/18ページ
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小さな子供のいる主婦は地域社会に息苦しさを感じ、突破口を求めて働きに出ようとする。 自由気ままに暮らしているようで孤独から逃れられない女社長は、何故かいつも同世代の女性に救いを求めている。 二人芝居のように主人公二人の人生が1章ごと交互に語られてゆく。 そして、そんな二人の人生がある時点で交差する。 面白いのは、主婦については現在から過去へ遡り、女社長のことは過去から現在へと向かっていくことだ。 集団の中で自分の居場所をみつけること、また、そのなかで自我とどう折り合いをつけていくか− ここに書かれていることは、誰もが一度は経験していることだろう。 しかし、その的確さと鋭さは並ではない。しかも、完全に客観性を持っていると思えた。 作中に海や川が出てくるが、人間の持つ不安定さというのはまさに水のようで、人間関係を結ぶことはその水の上に舟を浮かべることに似ている。初めから諦めて岸から眺めるだけなのか、自ら舟を漕ぎ出すのか、問いかけている気がした。 | ||||
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女性は、立場によってカテゴライズされてしまう。 学生、独身、既婚子供あり、既婚子供なし、職あり、主婦・・・ その肩書きだけで、それぞれ偏見が浮かんでしまう。 それに対する皮肉の本なのだ。 そんな偏見を持つのは、相手の立場ではなく、自分の考えなのだ。 それをあたかも「だから独身の人は・・・」 「だから主婦は・・・」と相手のせいにして、 同年代同性なのに敵対してしまう。 結局、偏見で見た相手像は、自分で見方を変えるしかない。 女性の敵は女性、という言葉があるのがうなずける。 実は対岸なんかじゃないという皮肉。 現代をしなやかに切り取り描写する様は素晴らしい。 読後に爽やかな風が流れ、偏見が飛んでいったようにかんじたのは言いすぎでしょうか。 | ||||
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高校生でも主婦でも、抱える閉塞感の質は変わらない。そこには、自らが求めたわけではないフィックスされた関係が存在するから。高校生だったらそれはクラスメイトであり、主婦だったら(まあ最初は自分で選んだのかもしれないけど)夫だったり姑だったり母親仲間だったりする。職場にだって、もちろんそれはある。そして、フィックスされた関係の中では、皆が円滑にうまく立ち回れる訳ではない。誰かが犠牲になったり、生け贄になったり、つま弾きにされたり。そして、自分がその立場になることの恐怖から、つるんだり、陰口をたたいたり、無視したり。 そうした閉塞状況の突破口は、100人のクラスメイトではなく1人の友だちだ。高校生の葵は、「無視とかされても、ぜーんぜんこわくないの。そんなとこにあたしの大切なものはないし」なんてことをいう魅力的な女の子ナナコと友だちになる。それで、これが不思議なんだけど、そうした「出会い」って偶然っていうか理屈じゃないんだよね。意外に親友だと思ってる奴と、なんで知り合ったのか、どっちから声をかけたのか、どうして仲良くなったのか、なんてことは覚えちゃいない。でも、そうした「出会い」が人生の中でもほんとに稀なものであることは確かで、そうした友だちは決して交換可能な訳じゃない。 葵は理不尽な理由でナナコと別れるが、その後社会人になった10数年後の葵は、まるでナナコのような生き方をしている。そして、かつてナナコに憧れた葵のように、葵に憬れる主婦小夜子との新しい「出会い」がある。 「なぜ私たちは年齢を重ねるのか。生活に逃げこんでドアを閉めるためじゃない、また出会うためだ。出会うことを選ぶためだ。」という小夜子の言葉にこそ、いや、そこにしか人の「希望」ってないんじゃないかな。 | ||||
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角田さんの作品は初めて読みました。 ぴったり同年代のお話で、とても共感できました。 ただ学生時代、自分は友達関係でこんなに悩んでいただろうか?と考えると、のん気に、幸せに過ごしていたのだなぁと実感しました。 それともそれこそ上辺だけの友情だったのかも知れません。 自分でも感じていましたが、年齢と共に他人との関係はどんどん薄っぺらくなっています。 知り合ってもあまり深い所まで踏み込みたくないし、入って来て欲しくない。 でもこの本を読んで、今だからこそ築ける関係もあるし、他人と接する事を恐れてはいけないんだと感じました。 何となく元気が出ますよ。 30代の女性、特に主婦層にお勧めの作品です。 | ||||
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こういう物言い自体自分が男であることから来るとは思いますが、女性と会話していてよく思うのが、 「自分は男っぽい」 と思っている女性が多いこと。 男に言わせれば、そういう発想自体が女性っぽいのです。 いかにも女性的と思われがちな人の悪口・陰口を叩く様子、一緒に便所に行くのが当然で、属するグループとの価値観がズレたらいじめ…、逆に何処にも属さず、カラッとしてて、周りの評判等気にせずな強さ。 どっちも女性的だよね。 男にも通じる部分がかなりありますがね。 思春期らしい敏感な少女達の輝き、三十路を越した女達の生き様。どちらも派手なドラマは無いけれど、真摯に生きてて、壁があって、難しくて。 だから切実に突き刺さる。 過去と現在の配置が絶妙で、魅せ方としても高技術。 ウマイです。 | ||||
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女性心理が分かったなんて言いません。 現実と折り合いがつかず、人間関係に悩む女性の心の葛藤を、まるで心の水底を覗くような奥深さで描いている。いつ暗転するかもしれないオセロの駒のような人間関係。一番大切なものは何か?女性同士の友情は続くのか? 主人公は小夜子と葵の二人だが、現実の小夜子と葵の過去の話が平行しながら進行する。葵とナナコのストーリーは背中にヒヤリとするものを感じながら読んだ。淡く切ない友情とナナコの健気さが涙を誘う。 ただ、葵の現実と過去の人物像があまりにギャップがあり、成長による変化や人間の持つ二面性と解釈するにはあまりに隔たりがあり、作品の最後まで埋まっていないのが残念である。 ・・・信じるんだ。今、そうだ、たった今私は決めた。(本文より) どん底に突き落とされても、葵の心の中に希望が見えて救われる気がした。感動と余韻が残る作品で、男性にも是非お勧めである。 | ||||
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私も、「負け犬、勝ち犬」「専業主婦VSワーキングウーマン」といった、宣伝文句?につられて興味本位で読んだのですが、そんな底の浅い本ではなくて、とてもいい意味で裏切られました。女30代生き方に悩んでいる人にも悩んでいない人にも是非勧めたい本です。後半、主人公の女性が、ふと符号が合うように今まで悩んでいた一つ一つの疑問に答えを見つけて、葵との関係を再構築していくあたり、私にも腑に落ちる部分が多く、記憶にとどめるように何度も読み返しました。 | ||||
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女の友情がテーマになっています。 高校時代の友情、社会人の友情のそれぞれ2組を中心に物語が展開します。 女性なら学生時代味わったことのある悩み、友達グループ、連れトイレ、仲間はずれなど・・・その当時考えていたことと似ていて、結局みんな同じようなことで悩んでいたんだと思い、安心したのと同時に苦い気持ちを思い返します。 30代になると結婚や子供の有り無しで友達といった外的環境で友達が決まっている感は否めず、何か見えない呪縛が解けない感じがして、そういう意味では高校時代と変わってないのかもしれません。 でも、主人公の女性が自分は何が大切で何がしたいかという意識変革によって、悩み苦しんだ高校時代と30代となった今では、しなやかな女性に成長していて、勇気と共感を得ました。 自分の意識変革は非常に難しいですけど、この本を読むと女の友情は紙より薄くない!!と言いたいです。 | ||||
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人間関係の難しさは実は子供の頃から始まっていて 生まれて最初に人間関係の難しさ、疎ましさにぶち当たるのは学校だったりする。 そんな自分の体験した事やあの頃悩んでいた事、全て本に書いてあったようで 懐かしくもあり、切なく痛くもなりながら一気に読みました。 女同士の友情は難しい。 女の友情は大人になると環境の違いなどからなかなか成り立つには難しく優先順位も友達より大切な物がたくさん出来てしまう。 いじめられっ子でいつも一目を気にしてるような女子高生だった葵が大人になり、素敵な女性に成長していた所が凄く良かった。 葵とナナコの友情は美しく切なく、とてもリアルで素晴らしい本に出会いました。 この本に「勝ち犬負け犬」という表現はおかしく、似合わない。 | ||||
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人は人間関係に悩みながらもなぜ生きていくのかという、どの世代でも、どんな立場になっても付いてまわる疑問を丁寧に描き出した物語です。 やっぱり30代の女性にオススメの本だと思います! 女性の30代って、ある程度生き方が固まってきて、友だちとの付き合い方に悩みが出る時期です。母や妻としての責任、女性はこうあるべきという目に見えない圧力に、自分で心にブレーキを踏んでしまうことも多いものです。 でもこの本を読んで感じたのは、周囲との軋轢やわずらわしい人間関係の中で、自分にとって大切なものは何かを絶えず問い続け、自分はどう生きたいのかという意思を持つことこそが、どの世代でも、どんな立場になっても大切だということです。 自分が目に見えない何かに流されていると感じたときや、人との付き合いの中で自分を見失いそうなときに、大切なものを教えてくれる素敵な本だと思います。 | ||||
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作者の角田光代はこの作品で直木賞を受賞しただけあって、話自体も興味深く、一気に読んでしまいたいと思うほどの引き込まれるような内容だった。彼女の作品は、これで3作目だったのだけど(1.みどりの月、2.空中庭園)、この作品が映画になったものよりもいいと思った。テーマは女友達についてで、高校生からOL、そして母親になっていく人生のステージの中で、人との関わり合いがどのように変わり、そしてどのように人は人と関わっていかなければならないかということ。自分も人生のステージのある意味曲がり角におり、非常に興味深かった。 この作品の中にも作者のアジアでの放浪記が若干でてくる。本当に作者はアジアの暑い空気と独特のかったるい雰囲気が好きなんだなぁと思った。 | ||||
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性格も生活環境も違う女2人の間に真の友情は育つのか否か、ほんとうにありそうな話でかなりのボリュームにも関わらずあっという間に読めてしまった。 専業主婦VS仕事を持つ女と言ってしまえばそれまでなのかもしれないが、隣の芝生を羨ましく思いながらも、微妙な感情の交流と相容れることのできない 感情の闇もよく表現されている。タイトルは対極的な彼女たちを象徴するものなのだろうが、それもよく考えられている。この小説にはゆったりとした時間の流れと静かで暖かい陽だまりのような感情の流れがあると思う。異質なものでありながらそれがまったく相容れないものではないところに魅力があるのだろうか。最後は致命的な終わりかたでなくてよかった。女同士に友情は?成立します! | ||||
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友達関係に悩んでるような人にオススメの本。共感できるところもたくさんあった。高校のときは毎日のように遊んでいた友達と離れ離れになって、連絡もなくなって人とのつながりってそんなもんかなと思った。でも最後の小夜子と葵の女の友情ってのもなんかいいもんだなぁって読み終わったあと、友達を大切にしてこうって思えた。 | ||||
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高校時代のクラスの人間関係の煩わしさって、なんとなく卒業したら無縁になるののかなって思っていたけど、社会にでてもたいして変わらないものでした。実は高校時代に一番学ばなければならないのは、学問じゃなくてこの人間関係だったんじゃないかな、なんて考えて落ち込んでいたところに、この小説を読んだので、泣いてしまいました。生きることって、やれることを無心にやる、ただそれだけなんだなーって感じました。 | ||||
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~30代の主婦と女社長を描いた話ということもあり、ちょっと躊躇してましたが、男の僕にも何度も読みたくなる話でした。僕には不思議と主婦に感情移入して読み進むことができました。彼女が研修を受ける場面や、終盤の彼女の場面は何故か何度も読み返してしまいました。正確には元主婦ですね。トーンはこれまでの角田作品と違って、絶望的な気分じゃあ~~りません。その意味でも新しい読書体験となるでしょうね。~ | ||||
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女性ならではの心理描写。 女の人間関係ってめんどくさいのよね、ホント。 どうして?って思うけど。 そういうのが上手く表現されてて、共感した。 広く浅くの人間関係。 擬似友達。 親友。 嫁VS姑。 妻と夫。 色んな人間関係が詰まっている。 | ||||
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本書でいちばん心に残った言葉は帯の文である。「この帯が物語の展開をある程度予想させてくれると思った。とはいえ決して単調な話ではない。ページが進むにつれ物語の伏線が結びつき、登場人物が繋がっていく。微妙な心理変化を的確に捉え、読み手の感情移入を実にうまく誘っている。人はそれほど強くないし孤独である。そんな感情が、いつしか誰かを標的にし、自分を守る行動に移ってしまう。本書は普通の登場人物、どこにでもある舞台を使って、実に見事な物語を描き出している。僕らは壁にぶつかって悩むことが多々あるが、うまく言葉にできず悶々とすることが多い。しかし僕らに乏しいボキャブラリーを、著者は豊富に備えている。何か強い印象を与えるわけではないが、投げかける言葉がじわじわと迫ってくる。あぁ、そうだよな、と思うことを、これからもたくさん代弁してほしいと思う。 | ||||
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中学生以上の女性にぜひ読んで欲しい一作。できればその後30を過ぎて、もう一度読み返して欲しい作品。 「おとなになったら、友達を作るのは途端に難しくなる。(…)高校生のころはかんたんだった。(…)けれど私は思うのだ。あのころのような、全身で信じられる女友達を必要なのは、大人になった今なのに、と」 角田光代が腰巻に書くように、「友」が大きなテーマになっている。 上手に公園デビューできない母親、小夜子が、思い切って仕事を始めるところからこの物語は始まる。その仕事先の女性社長が抱える闇と、彼女が抱える闇と。それは、彼女達が高校生だった頃のある事件を通して、深く結びついていた。 「手をつなぎ屋上から飛び降りた二人の女子高生が、なぜそれきり会わなかったのか小夜子はふいに理解する。連絡しなかったのではない、子どもだからすぐに忘れてしまったのではない。葵ももうひとりの女の子も、こわかったのだ。同じものを見ていたはずの相手が、違う場所にいると知ることが」 二人の間に横たわる、幅広く深い川。その大きさに、人は時々とまどい、乗り越えることをあきらめる。しかしその川って何なのだろう。役職、職場、立場、家柄…。全てが違っても、大切な何かがつながっていれば、対岸の彼女ともやっていける。 一人で疲れた時、友達が欲しい時、昔の友達が懐かしい時、そんな時に読み返してみてください。 | ||||
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ごくごく平凡な主婦・小夜子。彼女が少しずつ成長していくところがいい。よく、女の社会は陰険で女の友情など無いなどという人もいるが、そうでもないと思う。この本はそこらへんをよく書いてくれていると思う。女の友情って、繊細に、きめ細かく、確かに存在するんだ。 | ||||
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女友達の本ということで楽しみに読みましたが、嫁姑をはじめ、公園・保育園・仕事先・・・と女が集まれば悪口ばかりで、いつも誰かが仲間はずれにされるというパターン。とにかく女同士のイヤな部分についてがこれでもかと続くので、どんどん気が滅入ってきました。心温まる内容を勝手に期待していたので星2つです。 | ||||
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