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赤朽葉家の伝説
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赤朽葉家の伝説の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.77pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全107件 101~107 6/6ページ
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内容には触れない。 この本に記されたのは、ただの物語ではないからだ。 同じ日本という国に住んでいながら、大人は子どものことがわからない。 子どもは大人にわかってもらえなくて、不貞腐れている。 どうしてだろうと不思議に思い続けていた私に、 この本が教えてくれた真実。 「わたしたちは、その時代の人としてしか生きられないのだろうか。」 「変わるって難しいことだ。成長するって、大変なことだ。」 生まれ育った時代が違えば、考え方だって自ずと違う。 だから、ぶつかり合うし、理解できない。 それでも、頑張って共存しなければならないのだ。 当たり前のことなのに、どうして理解できなかったのだろうか。 | ||||
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私は 1961年から 36年間鳥取県の田舎の研究所につとめた.この本で懐かしい鳥取言葉に出会って感無量である.鳥取言葉は知られざる大方言(中国四国方言)に属し,固有の語彙を持つ.この作品で語られる "..だが" がその例で,"..だよ" を意味する.さてこの作品は今の若い人達がどのように大人になるのかを文学的に固定するのに成功したもので,風俗的な意味に於いて画期的な意義があるし,なによりもまず途方もなく面白い傑作である.特に話し手の母 毛毬 の凄絶な生涯は比類を絶しているだろう.総てが終わってしまったようなこの時代に,これほどの凄まじい造形を目撃するのは歓びと言わずして何だろうか.著者の壮健を祈る. | ||||
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本書は製鉄タタラで財を成した、赤朽葉一族の盛衰を三人の女性をとおして描いたものです。 作者は、鳥取の山間の閉鎖的な村、そこに住む人々、何代も続く一族の支配などを効果的に描くためでしょう、超常的能力をもつ女性を配しておどろおどろしさを演出しておいでです。 が、その道具だてに必然性がまったく感じられないのです。 また、時代背景をしめすために随所にその当時のニュースが盛り込まれています。 例えば、「ビートルズがやってきた」等。 これが、かえって小賢しく、物語りを寸断してしまうのです。 今、現在も、島根の山中にタタラを10数代まもった一族「田辺家」が実在しておいでです。 見渡すかぎりの山々が田辺家のもので、村中が今も田辺家につかえています。広大な敷地には10棟以上の蔵が立ち並び、村民が交代で夜中その蔵を守っています。 作者は本書を一ヶ月で書き上げられたとの事ですが、田辺家に綿密な取材をされたのだろうかと、読み進むうちに思ってしまいました。 当主と使用人が簡単に口を聞けるなど考えられないのです。 入念に取材をなされば登場人物に超能力などあたえなくとも充分に奥深い読み物になったのにと思います。 書きいそがれ、いろんなものをテンコモリされたなあと残念に思う本です。 | ||||
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時代の変化とともに、神話のエネルギーは特別な人の下から離れた。行き場のなくなったそれは多くの人たちを流れに乗せ、それにのれなかった者たちは波間に消えていってしまった。 そして辿りついた静かな浜辺。一見すると何もないように見える。それまで自分達を運んでいたものはどこかへ消え去り、残ったものは不安だけ。しかし、良く考えてみると、何も考えずにただ流されていれば良い時代にだって、それぞれの人々は同じように不安を抱えていたのだと思う。 そんなことを考えさせられました。 | ||||
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ハードカバーであれば普通かもしれませんが、比較的ページが多いので、読破には結構時間を費やす必要があると思います(ライトノベルと比較すればですが)。人によって、非常に読みにくい文章かもしれませんので、一度は目を通してから購入を検討することをお薦めします。 著者のその他の作品を読んだ方なら、新しい魅力が発見できるかもしれないという点でも、一度は目を通してみる価値はあると思います。 僅かな推理要素があるところもポイントです。 初めのほうは、現代の神話のようなお話ですが、それだけでは終わりません。 人生の儚さと生きることの大切さ。 自分達の生きる世界について、少しは考えるにきっかけになるのではないかと思います。 | ||||
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や、やられた。ついしみじみと読んでしまっていました。まさか瞳子の時代になってこんな展開が待っているなんて。話の矛盾を探しましょう。 帰省して家族のあれやこれやを見たり聞いたりした後に読み始めましたので、祖父母や両親の生きてきた時代を思い浮かべながら余計にしみじみ読みました。三者三様の時代背景を持った女達の肖像、印象的なシーンの数々と三代に渡る謎。カタカタと流れるモノクロの映画からだんだんと現代の映画に近づいていくのを見ているようでした。そして過去から今、未来に連なり物語は終わりを迎えます。老若問わず、昔は良かった、と言う人は沢山いますが、昔は昔で大変で、今は今の面白いことがある。瞳子と同世代の人間としては、この生きていくことへの前向きさと不安は体の一部のように感じます。 最後に小説の筋も好きですが、文章全体の彩り豊かなところも好きです。赤朽葉や溶鉱炉の赤、髪や肌や製鉄所の煙の黒など、その色からするりと場面場面に入っていきました。これからの桜庭一樹先生の作品も楽しみです。 | ||||
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鳥取の旧家で、製鉄で財を成してきた名門・赤朽葉家の本家に生きた3代の女たちと 彼女たちを取り巻く人々の神話のように語られる物語。 どこかファンタジックでもあり、しかしリアルな昭和の風俗も挿入されているという どっちつかずさが心地よく、他のどの小説にも似ていない独特の味わいがある1冊でした。 山奥の異端の民の娘でありながら跡取りの嫁として輿入れし、予知能力を持つがゆえに 「千里眼奥様」として慕われるようになる万葉の物語(第1章はスケールが大きい。 万葉の娘で、中国地方の暴走族を取り仕切り、その後はヤンキー時代を描いた漫画で 売れっ子作家になる毛毬の物語(第2章)は、暴走族から少女漫画の世界へ、という飛躍が おもしろく、裏でこっそり彼女の男を寝取る百夜(ももよ)の存在がスリリング。 そんな祖母や母に比べて平凡なニートである自分をもてあましぎみな瞳子は、赤朽葉家の 女たちの物語を紐解き、祖母の残した「私は人を殺した」という遺言のミステリーにも挑む。 この推理小説仕立ての第3章まで、途中で止まらないくらいおもしろかった。 2段組でそれなりのページ数がありますが、最後まで止まらなかったです。 旧家の女性3代の物語というとドロドロと濃厚な愛憎劇(昼ドラ風)をイメージして しまいがちですが、もっと大きな視点で作家はこの女たちの運命を描いている気がして 暗いエピソードもちまちまあるのですが爽快な読後感が心地よい1冊です。 | ||||
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