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赤朽葉家の伝説



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【この小説が収録されている参考書籍】
赤朽葉家の伝説
赤朽葉家の伝説 (創元推理文庫)

赤朽葉家の伝説の評価: 3.77/5点 レビュー 107件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.77pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全107件 61~80 4/6ページ
No.47:
(3pt)

桜庭流昭和文化論。こういうのもありかと思った。

桜庭作品の中では、推理作家賞をとったということで、直木賞受賞作とともに有名な作品。ミステリかとおもいきや、山陰地方につたわるサンカという謎の人々をモチーフに、主人公が自分のルーツをかたるというスタイルをとっている.祖母・母・主人公の時代背景は戦中戦後から復興、高度成長期、バブル期そしてその崩壊後、斜陽化してゆく現在の日本へと流れていゆく。その中で変わりゆく人々の、特に若者の価値観、人生観を考察した論文のような作品。もちろん、推理小説でもミステリでもなく、伝説というより、歴史程度だろう。サンカの末裔である万葉の千里眼、未来予知能力で激動の昭和をのりきってゆく赤朽葉家だが、千里眼の視点が作者の都合のいいように設定されていて、違和感を感じた.どの未来視もどこの誰の視点で見たのかわからないもので、だれも見ていないものがなんでも見えるのであれば、何でもありになってしまう.その時点で話は論理破綻をきたして嘘、作り話になる.主人公の彼氏が言うように、結局は万葉の作話だと言われても反論できない.昭和の人間なので、ああこういうこともあったなとおもいながら読めたが、初期の作品に比べるとレベルが落ちていると思う.
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4488023932
No.46:
(4pt)

舞台、設定は魅力的なのだが…

始まりは神秘的。山陰の山中という舞台を生かした、謎めいたオープニングにはとてもそそられた。…のだが。神秘のベールは、すぐ破れる。その後の展開は何と言うか…、別に漫画家になる話が出てくるからというのは関係なく、少女マンガっぽいと思ったのは私だけだろうか?文章能力自体は水準以上のものがあると思うのに、人物の内面の描写が、文学という媒体じゃないと表現出来ないというものになっていない。徹底して心理描写を排することで、逆に読み手の想像力を掻きたてる手法もあるが、それを狙っている訳ではなさそう。世相やニュースを織り込み、時代の空気感を巧みに再現する筆力を前に、「それでなぜこういう話なのだろう?」と残念に思えてならなかった。恐らく作者が書こうとしたものは、書けていると思う。書こうとするものに、筆力が及ばないのではない。もっと書くに値するものを、書いて欲しい。話自体、読んでて退屈はしないが、一番強く感じたのはそのことだ。
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4488023932
No.45:
(5pt)

非常におもしろかったです。

読んでみて、非常におもしかったです。赤朽葉家の三世代に渡る親子(女性三人)のストーリーですが、時代背景の描写といい、主人公の描写といい、非常に上手に描かれています。読んでみるまで作者(桜庭一樹)のことは知らなかったのですが、読んだ後で興味を持ち、ウィキペディアで調べたところ、とても読書をしている方だと分かりました。私の好きな作家として留めておきたいと思います。次なる作品に期待致します。
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No.44:
(5pt)

物語の希薄さ

すごいと思いました。
すごい小説です。
桜庭さんの作品の中では、
間違いなくベストだと思います。
裏ベストは『私の男』です。
すでに物語になってしまった、
時代と、せかいと、人と、
そして物語になりえない、
現在。
だから、
世代が進むにつれて加速しながらも、
希薄になっていく物語の密度は、
計算されたものなのだろうと思います。
祖母、母、二代の物語を共に味わうことで、
鮮烈に現れる”わたし”と私の「現在」。
それを受け入れたとき、
この小説とせかいのかたちが見えてきた気がしました。
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No.43:
(4pt)

読ませる小説

超能力者の祖母、漫画家の母、現代っ子の自分という3代の女性のお話。
続きが気になって一気に読んでしまった。
おそらく意識的に、年号の記述を少なくしている。
1年2年の違いは問題ではなく、
それぞれの時代を描きたかったということだろうか。
祖母と母の話はいろいろとあり得ない設定になっているが、
現代の瞳子になって急に現実味を帯びている。
その理由は瞳子が平凡であるということに帰着しているのだが、
現代まで現実離れした伝説を読みたかったようにも思う。
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No.42:
(4pt)

力作だとおもいます。

ファミリーポートレイトもよいですが、こちらもなかなかの力作。さすが、著者が鳥取出身だけあり、
いろいろな資料を読み解いてかかれているのに好感がもてます。
個人的には、わたしのおとこより数段品がよく好きな作品ですが。
現代の場面(孫の瞳子の時代)になったあたりから、少しまのびした感じ、かったるいかんじは否めません。
まあ、かったるい時代に生きている子たちを描いているからしょうがないでしょうが。推理していく
過程に読み手まで一緒になって、どうなるんだろう?という高揚感が得られませんでした。
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No.41:
(5pt)

現代の最高のエンターテインメントクロニクル作品

「私の男」を読んで、直木賞受賞作家の桜庭一樹って、こんなもんか、、と思ったのもつかの間、「赤朽葉家の伝説」を読んで、桜庭一樹最高っ!となってしまうほどの作品。佐々木譲の「警官の血」が警官の男三代記なら、こちらは名家の女三代記。現代の最高のエンターテインメントクロニクル作品である。これで直木賞受賞であれば文句もあるまい。あ、ちがうのか。。
第1部、最後の神話の時代。戦争終結後の朝鮮特需による、高度経済成長期に差し掛かる時代の物語である。製鉄所を経営する名家、赤朽葉家の奥方であるタツに見出された万葉。主人公であり、語り手である瞳子の祖母である。赤朽葉家に嫁いだ万葉には「未来視」ができるという不思議な力があり、それゆえ千里眼の奥様と呼ばれることになる。彼女は、泪、毛鞠、鞄、孤独という4人の子供、そして夫の愛人の子供、百夜を育てながら、変わりゆく激動の時代、それでいて幻想的なその「最後の神話の時代」を歩んでいく。第2部、巨と虚の時代。高度経済成長期から、バブル景気の時代の物語である。山陰地方を牛耳るレディース「鋼鉄エンジェル」の頭を占める毛鞠。万葉の長女であり、語り手、瞳子の母である。毛鞠、中高生の時。総中流家庭の時代、巨の時代。彼女はレディースの総長として、カリスマ性を発揮する。高校卒業後、バブル景気にさしかかる時代、虚の時代。彼女は自伝的少女漫画「あいあん天使!」でデビュー、漫画家としてカリスマ性を発揮する。そして、「自由」となるはずだった語り手、瞳子を産むのである。第3部、殺人者。この部のタイトル、殺人者とは、万葉のことである。万葉が死の直前に、殺人をしたと告白。現代の時代を生きる、夢も目的もなく生きる瞳子は、その真相を求め始める。
全体の物語の背景を戦後昭和史〜平成史と重ね合わせ展開、しかし、物語そのものは現実離れした幻想的なものである。そのバランスがすばらしく、なんとも懐かしくおもしろい。なによりもおもしろいのは、過去からはじまり、現代まで戻ったときの、私と同世代である瞳子が主人公になったときの心情である。とても共感してしまうのである。
ようこそ、このどうしようもなく、不安に満ち、未来が見えず、混沌としたこの世界、そして美しいこの世界へ。
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No.40:
(5pt)

ミステリー? という批判はやめましょう。

なんだか最近、ミステリーというジャンルが広義なものになっているようで・・・
謎がほとんどないような小説なんかも、ミステリーとして出版されています。しかし「ミステリーじゃないからダメ!」という批判は、個人的にどうかと思います。この作品も推理作家協会賞や「このミス」2位をとってしまったために、「こんなのミステリーじゃない!」という批判を多々目にしました。でも、その批判ってどうよ?小説の価値って、やっぱり「面白さ」でしょ?どんなに素晴らしい文学性や謎解きがあっても、面白いと思えなければ、やっぱりそれは面白くない小説なわけで・・・
作者や出版社がミステリーだと言えば、それはミステリー作品になってしまうのです。早い話が境界線が曖昧なのです。そんな所をつつくよりも、もっと小説としての「面白さ」を評価しましょうよ。そうでしょ? そうじゃないのかなあ。 
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No.39:
(4pt)

それぞれの時代の女性の生き様

祖母、母、わたしと、3代に渡る女性が描かれている作品です。
「色」を使った表現を多用するなどし、その背景描写の美しさを感じます。
また、祖母や母の波乱万丈の一生に比べると、「わたし」の章では本人も言っている通り、「語るべき新しい物語はなにもない。」のですが、ここで、祖母、母の一生に潜む「謎」を解決するべく、「わたし」は奔走します。
その謎を解く「手がかり」は、膨大な祖母、母の一生の記述に含まれているごく小さなものであるため、最初読んでるときは「手がかり」とも思わず完全に見落としていました。
ミステリー小説として手ごたえがあるかどうかと言えば、「わたし」の章でミステリー色が出てくる程度のスケールなのですが、それよりも私は、この3人の女性が苦難の中、それぞれの時代を必死に生きている様子の描かれ方に非常に好感を持ちました。
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No.38:
(5pt)

長いのにちっとも厭きないとこがスゴイ

いやー、びっくり。凄く面白かったです。
旧家の女3代ということでドロドロ系を想像してたのですが、
大間違いのアッケラカン系でした。
端的に言ってしまえば、1代目は電波系で、2代目はヤンキーで、
3代目はニートなんですが、全く違うタイプの3代に共通してるのは、
ウソをつけない女たちってことです。
この点がこの小説に妙な爽快感を与えているのではないでしょうか。
自分を過大評価も過小評価もしない正直な女たちに、周囲の
人々が度肝を抜かれ続けるお話です。
こんな家なら田舎の旧家に生まれるのもいいなあ、と思います。
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No.37:
(3pt)

母娘女三代それぞれの生き方

題名とテーマからしてもっと暗いそして民俗学的な作品かと思った。
祖母の万葉の時代には少しはそんな重さがあったし、そのように進んでいくのだと思ったら、全く異なり、テンポも早く、あっという間に山奥の町が現代に飲み込まれていく様を軽妙にテンポよく描いている。
作者が山陰の出身だからかえって日常の生活をそれほどミステリアスに描くのは難しかったのかもしれない。
万葉の時代の「千里眼」や嫁入りそのほか、古き時代の不思議な出来事、民族的な小説がが途中からまったく別物になってしまった。
しかし作者は十分力量がある。テーマとして「山の民」など民俗学的な伝説の方が面白いかもしれないが、むしろその娘毛鞠や瞳子の物語の方がイキイキと描かれていた。
そういった感性的な文学を今の作者に、若くて様々な事を吸収しているこの時期に描いてもらいたい、と思った。
題名からすれば祖母の物語がもっとウエイトを占めるのを期待してしまうが、むしろそれよりもその後に続く二代の物語の方が作者の良さが出ていた。
特に行き場のない瞳子のつぶやきや地方の就職事情など、世代が違う若者の心の中が垣間見れた。
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No.36:
(4pt)

他では体験しがたい不思議な世界

この小説がもつ何とも表現し難い雰囲気というか世界というか、これは読んでみないと分からないように思います。1冊の本がまるで1年分のドラマを見たような気になります。おそらく読者が自分の中でそれぞれのキャラクターや”だんだんの上の真っ赤なお屋敷”をイメージしていくからでしょう。
この小説の大変重要な鍵になると思いますので書きませんが、私はこの作品の最大の魅力は登場人物の名前だと思います。このネーミングがかもしだす独特の世界は他に類が無いでしょう。実に上手いと思いました。中でも黒菱みどりのキャラは最高ですね。
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No.35:
(5pt)

戦後から未来へ貫く烈女の系譜

女性にとっての自由とは何か。自由を手に入れることができたのか。
三代を経て、ようやく好きな男と寄り添うことを許された。この小説は50年がかりの恋愛の歴史だと、私は感じた。
近代から現代に移り変わる時代を、駆け足で著者は追う。そのスピードにいささかたじろいだ。
自分にとってあっという間に感じるとしても、それ相応の年月を要して経験を積み重ねてきた。その時間が、限られた紙数の中に折り畳まれて、ほんの数行で片付けられていく。
自分の生きている時代が、いつか未来において歴史として語られるときには、こんな風になると未来視させられたような体験だった。
淡々と描く文章は、古めかしく堅苦しく見せておきながら、人を食ったような表現をさらりと含み、どきりとさせられたり、笑わせられたり。
読み応えがあり、反省も込められつつ、けれども希望の残される、よい本だと思った。しばらく余韻をゆっくり噛み締めていたいと思う。
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No.34:
(5pt)

語るべきことが無いのに共感してしまった

 推理とかミステリーとかそういった先入観は不要。(というか厳密にはそういうジャンルじゃない気がする)勝手に登場人物や人間関係、時代背景が飛び込んでくる。それにそういったこと関係なく面白く読める。読んでいて圧倒されるというのはこういうことだと思った。
 物語は現代に生きる赤朽葉瞳子による語りを中心に時系列順に進行。ただその時系列というのが瞳子の祖母、万葉の幼き頃からだというから壮大。祖母、母、そして娘と時代は変わる。戦後やバブル景気といったそれぞれの時代背景の細やかな描写が輪郭を持ち浮き上がる。様々な人が抱く、もしくは抱いてきた気持ちや思いを作者は言葉に直しきってしまったともいえる。時代の変化、人々の心の移り変わり。それらを丁寧に描いたからこそ最後のあの静かな問とその答えがすんなりと読者の心に落ちてきたのだろう。
 祖母、母、わたしの三つの章に分かれているが、一番面白くないのはわたしの章だった。本当に語るべきこと無いのだろう。でも私自身が現代に生きる人間だからか一番共感できたのもわたしの章だった。
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No.33:
(3pt)

これってミステリなの?

「このミス」第2位ということで、桜庭一樹『赤朽葉家の伝説』(東京創元社)を読む。やけに鳥取に詳しいな、と思ったら鳥取出身らしい。年はいくつなんだろう?
千里眼の祖母万葉、漫画家の母毛鞠、そしてニートの書き手である瞳子の鳥取の旧家に生きる3代の女たちを描く大河小説。毛鞠はぼくの一コ上なので、時代背景は懐かしかった。
読み応えはあったが、これってミステリなの?
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No.32:
(2pt)

万葉・毛毬・瞳子の赤朽葉三代記

章は3つ、「最後の神話の時代」、「巨と虚の時代」、「殺人者」であり、それぞれの
章ごとにメインキャラクターが万葉、毛毬、瞳子と移ります。
万葉の時代は良かったです。千里眼を持つ「サンカ」の万葉こそ、現代では失われた諸々の
風習や伝承の最後の世代でした。そこから、毛毬が成長し、今の「嘘」と大量消費の時代となり、
その後、瞳子が生まれます。そこを読む頃には万葉の時代は遠い昔に感じられます。
なぜ瞳子の章が「殺人者」なのかはさておき、個人的には、もっと山陰らしさが表現されて
いたらなあって思いました。せっかく舞台が作者の故郷の鳥取なのに。
あとは、坂の上が赤朽葉家、坂の下が黒菱家って対比が安直だというのと、紅緑村って
名前ももっと普通っぽいのでよかったのではって思いました。
内容的には1章が星4.5くらい。2章は1.5くらい。3章は3くらいですかね。
1章だけでまとめることもできたんではないでしょうか。
キャラクター的にはタツ・万葉・百夜がずいぶん記憶に残りました。
ウィキペディアでも紹介されてます。
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4488023932
No.31:
(2pt)

どこを取っても中途半端

『少女七竈と七人の可愛そうな大人』『私の男』に続いてこの作品を読みました。
上記の2作品と比べ、自分の中で盛り上がりに欠けるものでした。
『少女七竈〜』も『私の男』も淡々と話が進んでいくことには変わりはないのですが、
『赤朽葉家の伝説』は、上下2段で300ページを読ませるにはあまりにも冗長に思います。
一応ミステリーの名を冠しているようですが、ミステリーとしては浅すぎると思います。
最初の伏線をすっかり忘れた頃に「ああ、ミステリーなのかそうなのか」と思い出しますが、
「このミス」2位というのは正直どうかと思います。
昭和から平成にかけての日本の地方都市を舞台にしているのは良いと思います。
しかし万葉〜毛鞠〜瞳子にかけて女三代のストーリーを書くには、バックグラウンドとなっている昭和史は重すぎた感があります。
主人公が動く度に「この時代は○○があった」とか「この時代の若者は□□だった」とか書いているので、ストーリーが進まないことに苛立ちを覚えました。
赤朽葉家が十分に特殊な環境なので、昭和史はもっと軽くてもストーリーは成立したのではないかと思います。
繰り返しになりますが、ミステリーとして書きたいのならば
昭和史を差し置いてでも赤朽葉家の話をもっと濃く書くべきだったのではないでしょうか。
正直、ミステリーっぽさを出した第3章の後半より第1章の万葉の話が一番面白かったです。
ライトノベル出身の桜庭先生っぽいキャラ付けなんかも、そろそろ変わっていくべきなのか、とも思います。
今後の桜庭先生の成長を期待して、辛口の☆2つです。
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4488023932
No.30:
(4pt)

評価が難しい。

第一章は確かに伝説ではあるかなと思いましたが、
第二章は伝えたいことがなんだかよくわからないまま終わってしまいました。
第三章では第一章の万葉にだけスポットライトが当たっていて、
いったい第二章はなんのためにあったの?という感じ。
語り手は三代目である瞳子ですが、
主語が「祖母は」とあってすぐ「万葉は」というようにころころ変わるので、
第三者の目から見て話しているのか、瞳子自身が見聞きしたことなのかがよくわからなくて、
頭の中がごちゃごちゃしました。
絵があればわかるのにと思いました。
そういう意味で、これはマンガの原作っぽいですね。
以前「少女には向かない職業」を読んだときも思ったのですが、
絵があれば映えるかなと言うストーリーです。
単なる”小説”と言うジャンルだと思うと少し疑問が残りました。
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4488023932
No.29:
(3pt)

雰囲気を味わう本ですね

桜庭一樹の新作ということで期待して読んだのですが、感想は当たりだったような気もするし、外れだったような気もします。
雰囲気自体は良いんですよ。
私は20代で高度成長期やバブル、ましてや戦前の時代の空気など想像の上でしか知りませんから特に問題なく楽しめました。
むしろこんな時代だったのかなぁとおおざっぱな想像ができて楽しかったです。
ただ瞳子の時代がねぇ・・・。
あんなまとめ方をされて涙を流しちゃう瞳子は相当乙女と見えてちょっとついていけなかったです。
どうせなら万葉の波瀾万丈人生期にした方がすっきり纏まったような気がします。
時代が下るにつれて知っていることが増えて粗が見えてくるというか。
いっそのこと架空世界の家系の物語にしてしまえば粗も見えなかったんでしょうけれども・・・。
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4488023932
No.28:
(4pt)

女たちの視点

女系家族の物語を借りて、戦後の男たちの苦闘をこそ描いているようにも読める。
女は弱く愚かしく見えてもその実しなやかに強いが、男たちは時代の要望の容赦ない変化に時にぼっきりと折れてしまう。
それだけに、時代を過敏に反映するのはこの物語の中では実は男の方だ。
それぞれの時代があまりに典型的に描かれすぎている観もあるが、それもまた計算の内だろうか。
万葉を描いた民話的世界、それ自体少女漫画であるかのような毛毬の武勇伝、語り手であり等身大の現代女性である瞳子の平凡な憂鬱、どの物語にも繊細な情感が織り込まれている。
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4488023932

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