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家守綺譚
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家守綺譚の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.52pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全148件 101~120 6/8ページ
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四季の情景などが、感覚的に描かれていて、本書を眼ではなく、感覚で読んだ。 あくまで理屈ではなく、感覚だ。 季節感豊かな、この作品の情景に、自然と入ってゆける。 サルスベリとの会話、まるで乾物の様な河童の話、花鬼などに違和感を感じない。 そして、季節は盛夏からススキ、啓蟄、満開の桜へと移りゆく。 すぐに、それらの季節に同化出来る。 読む度に新しい発見がある。 物語は題材別に短く区切られているので、読み返しやすい。 そして、読む度に、季節感豊かな情景に浸る事が出来る。 心が洗われる。 | ||||
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文庫の表紙もすてきですがこちら雰囲気。装丁買いした一冊。「えらばれた」家守の身のまわりにおきる不思議な出来事。淡々としていていながらどこかゆらゆら。たくさんのなかから掬いだしたほんの短い文章が活きています。 | ||||
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風景の描写、季節感など、ストーリーも素晴らしいが何よりそっちに夢中になってしまいました。目をつぶったらありありとその景色を思い描けるし、澄んだ空気も感じられそうなほどです。キャラクターも個性的で、なんとなく可愛らしい。夕暮れ前に縁側で読みたくなるような一冊です。 | ||||
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亡くなった友人の家の家守をする主人公に、庭の前栽、里山の草木や動物たちが、懸想をし、悪戯をし、語りかけてきます。 一編ずつは数ページの短いものですが、それらは互いに関連し合い、大きな一幅の作品となっています。 身近な自然との交歓を、ほとんど散文詩のような文体で織りなしてゆくさまは、幻想的な水彩文人画を思わせます。 色彩はあくまでも淡く、それでいてまなざしはあくまでも瑞々しく、その上死者さえも活き活きと描かれています。 一編ずつ慈しむように手の中で転がして鑑賞したくなる作品です。 | ||||
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ハードカバーをもう持っていたのですが、綿貫の随筆を読みたかったのと外出先でも読みたかったので文庫版も購入しました。文庫が出て、人にすすめやすくなったのも嬉しいです。綿貫の随筆には溜め息をつかせる物がありました。いい意味での溜め息です。ちゃんと最後に読んでもらいたい。連作なので、通勤通学の間に読んだりするのにいいかもしれないが、不思議と次々と読みたい気持ちにさせる。ただ穏やかな空気ただようこの物語に、どうしてそんな力があるのか上手い説明は出来ない。どこか愉快で温かみがあり、惹かれるものを感じてしまう、物語の中に息づく人々。時代も曖昧な中でさも当然な顔をして存在する不思議。純粋なエンターテイメントとしても申し分なく、美しい日本の風景の描写は、美しい。けれど、それ等だけで終わらせたくない何かがある。安易なエンターテイメントとして終わらせたくない。好き、何度もページをめくってしまう、感慨深い一冊。 | ||||
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とても面白く読めました。 書店に平積みされており、何気なく手に取り購入し、電車の中で読みました。 これがなかなかいいんです。 ぶらぶらしている小説家がいて、 自宅に友人が遊びに来たり、 季節の移り変わりの度に花鳥風月を愛でるという、 志賀直哉のような日本の私小説的エッセイのフォーマットを使いながら、 友人が死人だったり、物の怪だったり、動物だったり、 時代、地域をちょっぴりあざとくぼかすことで、 日本的なファンタジーになっています。 また飼い犬のゴロー、サルスベリ、ダァリアの君、和尚、隣家のおかみさんといった登場人物のキャラクターがとてもかわいらしいのです。 それらの脇役も含め、登場人物が過剰に何かを語ることがなく、 それは漫画版「陰陽師」に通じるものを感じました。 セックスや残酷さ等は上手に回避しているので、 若干の物足りなさがありましたが、 それは梨木さんという方の作風なのでしょう。 彼女のことは全く分からないのですが、 すごく才能のある作家さんではないでしょうか。 | ||||
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文学青年!!この甘美な響きが似合うお話でした。 各話に出てくる不思議な生き物もステキで、雰囲気も抜群です。 主人公がちょっとドライな感じがしたのですが、まあそういう性格なんでしょうな。 話の筋はありがちなんですが、それを感じさせない作者の文章表現はさすが!です。 個人的には犬好きの人にも読んでほしいなぁ。 作中に出てくる犬がかなり変わっていて面白いです。 | ||||
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日本語がとても美しい。丁寧な文章は読んでいて気持ちが落ち着いてくる。日常にはないはずの不思議な世界が、でも日常のすぐ隣に存在しているのだと自然に信じられる。草、木、犬、河童…さまざまな登場人物(!?)と主人公とのやりとりに、ほっと心が温められる。 | ||||
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本当に綺麗な日本語だと思いました。 亡き友人の家守をしていると、その亡き友人が掛け軸から出てきたり庭の池に河童が流れてきたりするわけですが、それを否定したり恐れたり、そういう無粋な事はしません。 文庫の解説にも書かれているように「理解はできないが受け容れる」のです。しかも難なく。 そして他の梨木さんの作品にも見られるような、植物の描写。何だかお庭の匂いが香ってくるようで、本当に和みます。 健康的な和食をおいしくいただいた、と言うような読後感でした。 | ||||
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湖畔の疎水から取り水を引き込んだ池のある亡くなった友人の家に家守として住むことになった文筆家の綿貫。 彼のぐるりをさまざまな人間・植物・動物・霊・異形のものたちが入り交じり、多層に重なる空間で彼を取りまいてうごめいている。それらのものたちとの日々の交わりが季節の移ろい中に綴られていく。 湖中の水底で暮らす優雅な理想の生活をきっぱり断った綿貫。その潔さに作者の気持ちを重ねてしまいました。 「貝母」の段の最終行など、散文とはこうあるんだろうと堪能しました。 | ||||
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亡き友人の家守を任された征四郎の、徒然の記。サルスベリに懸想されたり、河童が庭の池に流れてきたり、小鬼がいたり狸に化かされたり・・・ほんの百年と少し昔の、不思議な者たちが似合う頃の日本の物語。 「ヒツジグサ」が一番好きです・・・。思わず笑ってしまった。 文体も、昔風にしてあって、いかにも当時(明治末期?)の文筆家が記した感じになっている。でも読みやすく、無駄がない。会話文が"「 」"ではなく、"ー"になっているのがとてもいい。 四季折々の、古きよき日本。 ゆったりとした時間が流れる。 春には佐保姫、秋には竜田姫。 いろいろな怪異がありつつ、いかにも日常を徒然に記している自然さがまた素晴らしい。読んでいて、こんな時代に生きてみたいと思わせる。 現代人が忘れてしまったものが、この本の中には生きている。 一つ一つの物語が数ページずつなので、朝の10分間読書にもいいかも。 | ||||
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冒頭の「サルスベリ」が凄い、鳥肌が立った。 とにかく文章に無駄が全く無く 「静と動」を梨木独特の文体で美しく描いています。 繰り返すように言いますが、 「サルスベリ」たった6ページ、これだけでも読む価値あり。 | ||||
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装丁もあわせて、イイです。この一言に尽きます。 多くの人に読んで欲しい。 梨木さんにしか書けないものがここにあります。 最初は図書館で借り、読んだのですが、 どうしても欲しくなって買ってしまいました。 | ||||
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本屋大賞ノミネート作品にはいっていたので、手にとりました。 登場人物(河童や植物なども含む)達の不思議なやりとり、 それこそが、すごく自然なことであるように描かれています。 知らない漢字や慣用句、言い回し、植物の名前等をその都度 辞書で調べ、ゆっくりと読み進めていきました。普段なら決して しないだろうというこんなことを、やりたくさせる魅力が このお話にはあると思います。 夏の夕暮れに、早めのお風呂からでて、ゆっくりビールを飲みながら、 この本を読みたかったな。次回、読むときにはそうします。 | ||||
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表題だけ見て、藤原家守とかいう名前の平安貴族の話かな?ぐらいのつもりで読み始めた。 まさか家守=家の管理人だとは。 何か懐かしさのある、不思議な掌編連作集だが、私の知る限り、「あの本に似ている」というところのない、極めて独創的な作品である。 旧家の庭の植物や、床の間の掛け軸の鳥との「交流」。河童も出れば、鬼も出る。 とにかく突然出る、前触れも必然もない。まるで居て当たり前という描き方である。 作者は、そういう「異界のもの」とも共存していた、少し前の日本の風情を描いている。懐かしさは、そこから来るのだろう。 加えて、全く無駄のない見事な文章にも感服する。「静物」の描写には、この作者の、文体・文章力は、まことによく合う。 梨木香歩ファンならずとも、体験してみる価値はある作品だと思う。 | ||||
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大正時代前後を背景に、近代から現代へと移り変わる空間の歪みから垣間見える、幻想や異形のもの達への憧憬と郷愁の思いが、和紙の絵巻紙に薄墨で淡々と描かれてゆく様な物語の展開。作者の居住地、滋賀は琵琶湖周辺の疎水が流れる一帯、「かばた」と呼ばれる家の土間に引き込まれた井戸があるような家々が現在も点在している地域での物語だろう。 主人公が家守をすることになった友人の霊が、いかにもふらりと尋ねて登場したり、ムカデやヤスデのような異形のものを取り扱う「長虫屋」が呼吸し、疎水の周辺ではカッパやかわうそが困惑し、それを仲裁する犬が居る。周囲の山々には当然のごとく狐狸の類が生息している。そんなチョットひずんだ世界の中に、植物たちの美しさや華やかさや儚さが、時に妖しく時に優雅にアクセントを添えている。 植物の名を冠した、各々の短い章立てで一章読み切り形式で物語は紡がれている。 閉塞感のある現代のアクセントとしての息抜きに、この世界の中で泳ぐことは楽しいだろう。 | ||||
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この作品は日本がどれだけ美しい国であったかを示す記録であり、また日本が美しさを取り戻すための指南書でもある。まだあらゆる情報が人づてと書物で成り立っていたいた時代に、なんだか足早に文明を吸収していこうという日本。そんな流れに何となく足踏みしている物書き綿貫氏と四季折々の生命との交歓が鮮やかに描かれている。亡き友人の家に家守として入居した氏は、草木を愛で、愛ですぎて百日紅に懸想され、近所のおばちゃんと話し、自分の手にしているのが河童の衣だと知ったり、犬と連れだって散歩に出て、あらゆる魂魄を背負い込んで苦しんでる尼僧姿の狸を助けたり、小鬼のふきのとう摘みを手伝ったり、床の間の掛け軸から前触れなしに現れる亡友にからかわれたり…と、とにかく日々盛りだくさんの珍事を経験する。でも決して慌てず、騒がず、その出来事を美しい日本語で綴る。鮮やかな色彩をもって綴る。なんと心洗われる事か…こんなに豊かな記録を私は他にしらない。異界との扉が少しだけ開いていた時代の日本は、こんなにも、エキセントリックだったのだ。 | ||||
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のんびりとした時間・・・・こんな生活も悪くない♪ 植物に恋煩いされたり、犬に食い扶持を分けてもらったり、河童の抜け殻を発見したり、時々気まぐれに掛け軸から舟を漕いでやってくる“死んだ友達”と酒を酌み交わしながら不思議な世界を漂い、飄々と暮らす毎日。30~40代の男性への質問アンケート『将来の夢は??』に対して9割の回答が「南の島でのんびり暮らしたい」または「田舎で自然と戯れて暮らしたい」とのこと。女性に人気高い 梨木さん作品ですが、この作品はギリギリの世界でがんばって働く男性への“一服の清涼剤”としてぜひおすすめいたします。 | ||||
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梨木香歩さんの本を読むたびに思う。彼女の本は、一度目よりも二度目、二度目より三度目の方が得るものが多い。行間に隠されたもの、言葉の使い方、登場人物の思い、彼らの住まう空気。この本を読むのが二回目になる今回も、そういったものが以前よりもすんなりと自分の体に入り込み、自分は姿を消して、本の世界へといざなわれて行きます。亡き友人の生家に住まうことになった主人公が、家とその庭と、そこにある植物や掛け軸などを介してさまざまなものに出会い、交歓する様子が描かれています。日本のどこかに、いまもこんな空間が存在するのかもしれない。それは案外すぐそばにあるのかも、自分だって同じ時代に生きているのかもしれない。夫や子どもたちが、義父母たちの手入れする庭に入り込み、木のそばでじっとたたずんだり、葉を触ったり、幹に触れたりしているのは、私にはわからないそういう瞬間なのかもね。 | ||||
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梨木さんはサラリとした文章で、まるでそれが当たり前であるかのように此処と異次元を繋ぐ人だ。日本の風土だとか古き神々の世界から諸外国の文化や文学までを1冊の本で何の引っ掛かりも無く、そう、まさにサルスベリのようにつるりと書いてしまわれている。かといってまったくの異世界では無い。むしろ、この話は繋がった異世界と人の世の交わっても交わりきらない所を描いている。季節の折々にほんの少し、気持ちが遠出したい時にオススメしたい本です。 | ||||
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