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川は静かに流れ
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川は静かに流れの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.41pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全14件 1~14 1/1ページ
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一人称の自分語りで始まった瞬間に、面白さを確信した。 ミステリー小説というより、 サイダーハウスルールとか、 ガープ世界のような成長物語に近い。 ミステリのトリック的な部分は、ぶっちゃけ適当だけど、 そんなものはどうだっていいんですよ。 物語の面白さは人間同士の感情のやりとりと成長なんすから。 惜しむらくは、殺人犯を掘り下げなくてさらっと終了しちゃったこと。 もっとエグ&バイオレンス&大爆発させてくれれば、 さらにスッキリさわやかな読後感だったかも。 でも、このあっさり感もお茶漬け的でステキ。 | ||||
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決して、明るい気分になれるお話ではありません。 登場人物、それぞれにやるせない人生があり、思いがある。 主人公も、決して「事件を解決するヒーロー」ではない。 それでも、この小説は面白いと思うし、最後のさいごで、パンドラの箱の小さな希望のような描写があるのに救われます。 事件自体は、なんとなく先が読めたりするのですが、それでも「読めたからいいや」とはならないのが作品の力かもしれません。 個人的には、(理由があるにせよ)主人公の継母に最後までイラッとしてしまいました。 それだけ、のめりこんで読めたせいかもしれません。 違う意見の方も多くいらっしゃるでしょうが、同作者の「ラスト・チャイルド」より私は好きです。 | ||||
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ジョン・ハートの作品を残念ながら読む機会が無く最新作の「ラスト・チャイルド」から読みはじめたのだが、今回読んだ「川は静かに流れ」と「ラスト・チャイルド」を、どうしても比較してしまった。訳者の東野さやか氏は、「ラスト・チャイルド」の後書きで「川は静かに流れ」を高く評価していたようだが、私としては「ラスト・チャイルド」のほうを評価したい。「ラスト・チャイルド」には、ストーリーのテンポの良さや意外性なども含めて読者を飽きさせない緊張感があり、人物描写、背景の設定なども優れていたように思える。今作は、物語の半ば頃になると何か冗漫なストーリー展開になっていたように感じたのは、私の個人的な趣味なのかも知れないが読んでいて少し退屈になってしまった。何よりも事件の舞台である大農場の描写が少ないことにも違和感を感じたのは否めない。物語の結末への展開は興味深かく退屈もしなく面白く読みすすむことが出来た。氏の新作から第二作の今作を読んだのだから第一作の「キングの死」も読むことにした。まー、「キングの死」も読もうと書いてしまったのは、嫌いな作家でないのだろう。 | ||||
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ジョン・ハートの「川は静かに流れ」を読了。作者の最新作「ラスト・チャイルド」の出来に惚れ惚れして、さかのぼって前作を読んだ次第。期待通りの面白一気読み本でした。 なんといっても読みやすい。物語の世界に入りやすい。映画的な作品です。 最新作もそうですが、本作も現代アメリカの家族、それも負の部分に焦点を当てている。その家族の秘密を主人公が薄皮をはがすように、突き止めていく。世界観は私の大好きな、ロス・マクドナルドと共通します。そのある種の冷たさの中で、主人公は苦悩するのです。家族という、最も自分に近い集合体で起こる悲劇の数々を。その要素について、受け入れられるか、受け入れられないかで本作の評価は大きく変わります。私は受け入れることができました。 本作のタイトルにもなっていて、作品上も重要な位置を占める「川」。そうなのです、川沿いで生活したことのある人間ならわかると思いますが、川沿いの生活は素敵なのです。水のある生活、その水面をみているだけでも、自分の悩みも流れて行ってくれるようです。それだけでなく、単純に身体的にも気持ちいい場所です。流れる風、水の音。あーいいなー。 そんなところも、心に響いた一因でした。 | ||||
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確かにこの小説はミステリー小説なのですが、その「ミステリー」と言うこともさることながら、「家族」を、「人間」を扱った小説として圧倒されました。 物語は、5年前に有らぬ容疑をかけられ無罪となったもののいたたまれなくなり、故郷を後にした主人公のアダムが友人のダニーの懇願に一端は断ったものの帰る所から始まります。 その5年間を経てなお、彼を巡る事態は変わっていず、逆に原子力発電所の誘致の問題で、彼の一家も周りから反発を食らっていました。 そんな中で、彼の周りには襲撃事件や殺人事件など様々な事件が起こり、5年前の経緯から彼も容疑者の一人として疑われます。 こうした「ミステリー」としての「謎」を追ってゆく楽しさも文句なしです。 しかし、それ以上に、一人一人の登場人物の心理描写が素晴らしく、その人と人の関係の「どろどろ」具合が何とも言えません。 そのバックには、美しい田舎の状況が見え隠れし、その「人間」と「自然」と言う対比も素晴らしいし、「人間」と「人間」(ここでは家族であり、友人であり、恋人であったりします)の関係の表現も見事です。 そして、そこでは人間のつく「嘘」の後ろにあるものや、隠されたものの意味合いが、実に微妙な意味合いを持って登場します。 作品が「ミステリー」であると言うことで、具体的に表現は出来ないのですが、素晴らしい小説だと思います。 | ||||
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本作品は、2008年度 アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長編賞を受賞した作品です。 物語は主人公の<僕>、20代後半のアダム・チェイスが ニューヨーク州・マンハッタンから、 ノース・カロライナ州・ソールズベリに向けて 車を走らせているところから、幕を開けます。 きっかけは、友人のダニー・フェイスから 町に戻ってきてほしいとの電話があったから。 じつは、アダムは5年前に殺人事件の濡れ衣を着せられ、 故郷を追われたという過去があったのです。 この冒頭で、読者は、 【謎1】友人ダニーが、アダムを呼び寄せた真の目的は何か、 【謎2】5年前の殺人事件の真犯人は誰だったのか、 という2つの謎を提示されたことになります。 本作品の展開が巧いのは、 これらについて読者が考える時間を与えず、 次々と不穏な出来事が発生し、 遂には新たな殺人事件が発生してしまうところ。 以後、この【謎3】新たな殺人事件の真犯人は誰か、 という点を主軸に物語は展開していくのですが、 作者が冒頭の「謝辞」で述べているとおり、 本作品は、家族を巡る物語であり、 アダムが5年前に関係を絶った 家族(父、継母、義理の弟・妹)や、 家族同然のドルフやグレイスとの 人間関係がどうなっていくのかについても、 絶妙の筆さばきで綴られていくのです。 570頁ほどの長さではありますが、 読者は物語に引きずり込まれ、 あっという間に結末を迎えるのではないでしょうか。 ただ、最後には、 【謎3】の真相は解明されるのですが、 ここでひとつ残念な点が。 それは、【謎3】に押されて、 【謎1】や【謎2】が付け足しのような 感じになってしまったことです。 特に【謎1】は、モヤモヤ感が抜けないまま。 私は冒頭の謎がスッキリ解明されるミステリが好きなので、 ちょっと減点かもしれません。 また、題名の意味についても、 せっかく冒頭で美しい川の描写をしていたのに、 結末であまり活かされていなかったようで、 残念な気がしました。 | ||||
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ミステリーが好きだ。ミステリーの「話を終盤にむけてまとめていかなければならない所」が好きだ。もちろんそうじゃないミステリーもあるけれど、私が好きだと思うのはそういう本が多い。 川は静かに流れは、久しぶりに読んだ長編ミステリーの中でも心に残るものとなった。 この話は、家族という鎖が話の肝になっている。 家族の仲が話をつくりだしているから、ミステリーとしてより良い意味で「面倒」になっている。 家族がこんなに複雑に絡まっていなければ、この話はミステリーとして成立していない。逆に家族が複雑に絡まっているからこそ、面白いミステリーだ。 人間には立場があって、気持ちがあって動いている。 意味がない行動なんて、きっと何一つないのだ。「なんでこんなことしたんだろう」と思うような行動にも絶対「気持ち」がある。そんなの分かってて、でもうまくいかないから面白いのだ。 この話はたくさんの事件が次から次におこらない。人間を真ん中にもってきている話の場合、それが一番だと思う。テレビドラマのように暇なひとが離れてしまう場合は3分に一度なにか起こるべきだけど。一つの事件をたいせつに、根っこにもって進む話。そしてたぶんだけど、和訳が上手な気がする。海外の小説であらすじを読むと面白そうなのに実際読み進められない本が私には多くあります。そんな中でこの本はとても読みやすかった。 旅行にいく前にかった本だったけど、旅先でお酒のみながらゆっくり読むには最適な本でした。 | ||||
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無罪になったとはいえ、5年前に殺人の嫌疑をかけられたアダムは事件の後に故郷を逃げるように離れた。親友のダニーからの突然の電話に懇請されて帰郷した彼を待ち受けていたのは、自分を勘当した父や昔の恋人である女性警官、そして新たな殺人事件であった。 私は普段3冊前後の本を並行して読むのが常ですが、本書は他の書を脇に置いて黙々と読み続けてしまうほど魅力的な書でした。 巻頭で著者が遠慮がちに注意を促すかのように記していますが、これは正攻法のミステリー小説というより、まさに「家族をめぐる物語」以外のなにものでもありません。だからこそ、この物語はひょっとしたらあなたの、そして私の物語であるかもしれない、という思いを心の底に生む展開を見せるのです。 登場人物たちは物語の至るところで厭世的なセリフを吐露します。 「人間とはそういうものだ。さっさと決めつけ、いつまでもねちねちと覚えている。」 「歳を取れば取るほど背負うものが増える。押しつぶされるほどの重荷がな。」 「人生は苛酷だ。…いろいろ大変だぞ。いいことも悪いことも、そのあとのことも。」 5年前の事件以後もかさぶたのまま残ってしまった傷跡をさらにほじくり返すかのように、家族や友人たちは新しい事件を追う途上で鋭く切り結んでいきます。既に生きることに疲れてしまった人々をさらに完膚無きまでに打ちのめす新たな事件。 それでもアダムの元恋人ロビンはこう語ります。 「人生は短いのよ、アダム。心から大切だと思える人にはそうたくさん出会えない。だから、出会えた人を手放さないためには、どんなことでもするべきよ。」 「なんの話だ?」と訝るアダムに対してロビンはこう言葉を継ぎます。 「人間は誰でも過ちを犯すと言っているの。」 だからこその赦しの物語と取るのか、それとも戒めの物語と取るのか、この570頁の小説に対する判断は読者に委ねられるでしょう。 | ||||
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著者が冒頭の謝辞で書いているとおり、この小説は「家族をめぐる物語である」。いくつかの殺人が物語の中核をなすため、スリラーやミステリーに分類されるのでしょうが、話の中心はそこにはないと思われます。あくまで、血のつながった、または血のつながらない大きな意味での家族・友人をめぐる物語と感じました。そのため、犯人探しやタネ証しはサイドストーリーにしかすぎないと思います。 ミステリー好きの方には「犯人すぐわかっちゃったよ〜」ってことなのかもしれないので、犯人探しに重きを置く方や、トリックに重きを置く方には不向きな小説だと思います。私が鈍いだけかもしれませんが、私はかなり後半まで犯人すらわからず、ただ主人公に感情移入してあっという間に読み進んでしまいました。 | ||||
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さして面白いとも思われず、物語途中で読むのを止めてしまったのですが、本作は「週間文春」が5★を 付けていたので、騙されたつもりで読み始めたところ、一気読みとなって しまい、うれしい誤算でした。詳しく書くとネタばれなので止めますが、なぜ嘘の証言を していたのかなど、後半の驚きの展開は、前半のそれそれの人生を鑑みて、納得の出来る ものでした。 読後感も良く、今年読んだ中では<ミレニアム1&2>と並んで5星です。 そんなわけで、途中でやめた<キングの死>もう一度読み直してみます。 次回作が待ち遠しいです。 | ||||
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殺人の容疑をかけられ、故郷を去ったアダム。旧友の切迫した電話を受け、5年ぶりに故郷ノースカロライナの農場に帰ったが、そこでは新たな事件が待ち受けていた…。 ストーリーはミステリ仕立てだが、これは家族の絆、しがらみを問う物語でもある。重厚なストーリー展開はずしりと重く、大人の小説である。じっくり読ませる。 | ||||
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ジョン・ハートの、デビュー作『キングの死』に次ぐ第二作の本書は、アメリカにおけるミステリーの最高峰、「MWA(アメリカ探偵作家クラブ)賞」ベスト・ノヴェル(最優秀長編賞)の’08年度受賞作である。 殺人の濡れ衣を着せられてノース・カロライナの農場をあとにした‘僕’ことアダムは、5年ぶりに帰郷する。しかし、待っていたのは戸惑う家族や知人、昔の恋人だった。そして、決して歓迎されない‘僕’はまたしても新たな殺人事件の渦中に巻き込まれてゆく・・・。ストーリーは、幼い頃、母親が自殺するという辛い過去や、今なお5年前の事件の影を抱える‘僕’が、もがきながらも事件の真相を追う形で進行してゆく。最後の最後まで真実は明らかにならないが、その間にも‘僕’の周りで次々と動きがあり、‘僕’の心象風景を中心とした、結末までの話の持って行き方が実にうまい。 謝辞で著者ジョン・ハートが述べているように、この小説は、ミステリーの形をとりながら、実は、‘僕’自身や‘僕’を取り巻く人々の友情や恋愛、そして兄弟や親子の絆を哀しくやるせなく描いた、謎解きは二の次といってもいい、家族をめぐる物語である。 翻訳ものながら、読んでいて、その文章の一語一句がこれほど胸に染み入る物語はなかなか出会えないという気がした。 本書は、さすがはエドガー賞の栄誉に輝いた、味読に値する傑作である。 | ||||
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殺人事件そのものも面白いが、親子を巡る心理描写や情景描写が物凄く良く、一文一文を堪能しながら読める。最後のページの意味深さにほとほと満足して余韻を残したまま、しばらくぼーっとする時の心地よさ。たまにこういう本に出会うから本を読むのはやめられない。 | ||||
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本書の舞台はアメリカ南部で、主人公のアダムは広大な敷地を所有する大地主の跡取りだったが、 5年前に殺人事件の容疑者となり裁判では無罪となったものの疑いが晴れぬまま故郷を追われ、 ニューヨークで暮らしていた。 ある日アダムは親友に頼まれて故郷に戻ってきたが、新たな殺人事件に巻き込まれてしまう。 本書は父親との確執など人間関係の描写が秀逸で、自然に物語に引き込まれる。 また舞台となった地方は著者の故郷でもあり、アメリカ南部の雰囲気が実に見事に描写されている。 南部は最初の入植者たちによって切り開かれた、アメリカ人にとっては心のふるさととも言える場所であり、故郷とか親子関係をテーマにした小説には非常にマッチしていると思われる。 ミステリー自体は比較的シンプルかと思われるが不可解な動機や無理なトリックも無く、 本書が米国アマゾンのレビューで非常に評価が高いのも頷ける。 | ||||
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