■スポンサードリンク
ユージニア
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
ユージニアの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.64pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全119件 101~119 6/6ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
表紙は割とジミですが、開いてビックリ、なんておしゃれな装丁!読み進めていっても夏の暑さがじりじり迫ってくるような、ドキドキする本でした。ただ、結末が??? 正直いって、よく分かりませんでした。途中まではホントに一気に読んだだけに、ラストが理解できなかったのは自分でもショックで、もう一度読み直してみたのですがやはり納得がいきませんでした。”そこが恩田陸の世界だ!”と言ってしまえば簡単なのですが。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
第133回直木賞候補作品。20年以上前におきた大量毒殺事件の真相が、当時の事件の関係者のインタビューを中心に明らかになっていくという、昨年出版されたQ&Aに近い作品。非常によく構成された作品であり、遠い昔の事件が、当事者達に臨場感を持って語られながら犯人像が明らかにされていく過程は、圧巻であった。一方で、犯人の名前を明らかにしない作品の終わり方についてはすっきりしない。もちろん狙っていがあってそうしているのであろうが、「そこまで書いたなら名前まで書けよ」と叫びたくなるくらいすっきりしない終わり方だった。(この点でもQ&Aに近いが・・・)。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ある名家で起こった大量毒殺事件。その後、それぞれの道を歩き始めたそのときの関係者たち。その人たちのインタビュー(告白?)形式で話がすすんでいきます。面白かったのですが、最後のほうがちょっと退屈でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
中身の濃さと、入り組んだ人間関係に全部読むのに他の本の2倍はかかった。さらっと読むには、もったいない。ねっとりした夏の暑さと、生き残った青澤家長女の冷静さが対象的であとをひく。真夏に読む1冊だと思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
恩田陸は小説漫画映画TVドラマ、媒体を問わず、先行する良質な物語に対する(あからさまなまでの)リスペクトを創作上のモチベーションとしているが、また同時にいわゆるメタフィクション(ミステリ)にも、相当な関心を持っている作家でもある。初期の傑作『三月は深き紅の淵を』から、近作『夏の名残りの薔薇』まで、様々な手法上の試みを実践しているが、こうしたことも含め、本作は恩田陸の現時点での集大成的作品と言うことが出来る。 北陸の資産家当主の還暦祝いで起きた大量毒殺事件。唯一、生き残った一家の盲目の娘。――そして、十年以上の時を経て、当時事件から危うく難を逃れた子どもであった女子大生が、事件のルポルタージュを発表する――ところが、本作品が非凡であるのは、過去の惨劇のほかにも、この「忘れられた祝祭」と題されたルポの作者の真意をもミステリアスに扱っている点にある。いわば謎という中心点がある正円から、二つの焦点のある楕円形に探偵小説空間を仕立てあげているのだ。――さらにこのルポの作者を取材する、という体裁をこの『ユージニア』はとっている。楕円の外に大文字の作者は立っている。 この執拗なまでの重層的設定は何を意味しているのか。――私は、メタミステリへの欲望ということであると思う。何故、メタミステリは書かれるのか、ということだ――このことは、『三月――』のテーマとも呼応する。いわば、メタ「メタミステリ」ミステリー――それが、本作品の位置づけだ。このことは、現代本格シーンに対する恩田陸の回答でもあるのだろう。――某賞のせんせー方には難し過ぎるって。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
旧家の祝い事の席で起きた、無差別大量毒殺事件。生き残った盲目の少女。精神を病んだ男とほとんど偶然のような親交を結んでいた。 これだけのことが、関係者が証言する形でくりかえしなぞられていく。動機はあいまいなまま。虐待がほのめかされてはいる。 読み初めから、もったいぶって延々とひきずり回されている気がした。プラスアルファの何かがありそうで、実はない。思い切って、超自然的な力を存在させてしまったほうが、作品に力強さが出たのではないだろうか。 中途半端な印象を受けた。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
大量毒殺事件を題材にしたミステリー小説です。各章インタビュー形式で話が進んでいき、恐るべき事件の全容が分かってきます。プロローグと詩は最初見た時、何のことか意味不明でしたが、最後まで読んで、所々読み返してやっと分かりました!パズルが上手くはまっていくような感じの文章に引き込まれましたねー(^O^)犯人の動機には納得できませんが、心の奥底の暗い部分には悲しくなりました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
大量毒殺事件発生。生き残った盲目の少女。執念の捜査。実行犯若者の自殺。事件は終結へと向かおうとしていた・・・、がそれから月日は流れ、当時少女だった満喜子によって、また歯車は動き始めた。ゆっくりと、そして確実に。奇跡の少女、緋紗子を中心に回る世界に身を寄せる人々。いったんは解決したかに見えたこの事件に想いを駆け巡らせる人々によってそれは少しずつ疑惑という器からだんだんと遠のいていく。周りでは一体どのような事が起き、そして何がそうさせたと言うのか?現場に残されたメモ。青い部屋。紅い百日紅の花。白い百日紅の花。全ての事象が真実という1点に集約された瞬間、それはおのずと現れるだろう。真(まこと)の真実はたやすく表に姿を現さない。しかし、それを熱望しさえすれば必ず一筋の光は見えてくるはずだ。結果が出たらそれで終わりなのだろうか?むしろ、そこから探索、追求する事こそが必要なのではないだろうか。僕はこの本を読んで本当の意味での終焉に備え日々努力しようと思った。人生日々精進。まさにそれに尽きると思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
凝った造りの本だ。中身も装丁も。「ユージニア、私のユージニア」。そんな詩から始まる物語。古い町の旧家における無差別大量毒殺事件がベースではあるけれど、推理小説ではない。まっしぐらに純文学だ。美しい手触りがする。大いなる存在を感じさせ、小さく日常にしぼんだと思ったら、また膨らんで、ぼうっと消えた。そんな読後感だ。「ユージニア、私のユージニア」。本を閉じたら、目を閉じて、一人つぶやいてみたくなる。耳を澄ませてみたくなる。どこか女性的な物語でもある。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
恩田陸の小説の魅力は、読者に想像する余地を十分に与えているところだと思う。それは一方で、はっきりと種明かしされるわけではないから、奥歯に何かが挟まっているような、もどかしい感じがするかもしれない。この小説は、説明ということを一切しない。固有名詞でさえあまり登場しない。指示語も多いし、序盤だとわからないことだらけだから、最初は少し混乱するかもしれない。「彼女って誰?」とか「この人とこの人はどういう関係?」とか、あれこれ憶測しながら読み進んでくのだ。私の場合、一つ、また一つとあらたな事実が浮かび上がるたびに、ドキドキしながらページをめくった。最初わけがわからなかったことも、終盤になると、その意味がわかるようになって、それがすごく楽しかった。ただ、ラストは例によってあまりすっきりしなかったけれど、臭わす程度の種明かしが、余韻たっぷりで想像力を十二分に掻き立てられる。下手に真実を明かされるより、はっきりしないほうが、作品全体の神秘的な雰囲気に仕上げていると思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
推理小説として読むとかなり違和感があると思います。結末で謎が完全に解きほぐされ、名探偵に「実は何の不思議もなかったんだよ」と言ってもらうことで読者が緊張から解放されるというような物語ではありません。逆に、これは「何が謎なのか」を見つけてゆく物語であり、「この世界のあらゆる場所で不思議に立ち会うことになるのだよ」と言われて、読者は薄ら寒い不安に取り残されるという結末になっています。その意味でこれはよくできた「反推理小説」です。確かに、ある章では登場人物の名前に対して他の章とは別の表記が与えられており、このあたりの仕掛けは中井英夫さんや竹本健治さんの諸作を思わせます。この小説の不思議さは、公式な記録を個人の記憶をもとに構築し直す時に生じるゆらぎに起因しているように思います。「他人の世界と自分の世界は異なっている」と言ってしまえばずいぶんありきたりなのですが。ただし、この小説の魅力の大半は、そういった仕掛けや方法論にあるのではないことは強調しておきたいところです。金沢を思わせる地方の街に生活している人々に直接会っているような懐かしさが、この本を一気読みさせてしまうのです。本当に読書は楽しいわと思わせてくれるところは、確かに「夜のピクニック」の作者です。お勧め。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
事件が、いろいろな人たちの証言で立体的に見えてくる。だが、さまざまな角度からどんなに語られようと、誰にも真相は分からない。見えてくるのは個々の人間の思惑ばかり。それは喜怒哀楽さえも超えた、もっと本質的なドロドロとしたもののように思える。忘れ去られようとした事件は、1冊の本になったことで犯人の姿が見えてくる。そして新たな悲劇を生んでいく。犯人にたどりついたとき、触れてはいけないものに触れてしまったような恐怖を感じた。恩田陸の独特の世界を充分に堪能できる作品だった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
まず、装丁が美しい。その、装丁に負けずその内容は美しい色彩とあの夏の日をひとりひとり鮮明に描いている。ただし、その鮮明であり不確かな物語は記憶とは、個人にしか持ちえないものなのだと再確認させられる。犯人は「あのひと」であると共に、確証はなく、とてももどかしい。それぞれの登場人物が少しずつ、語ることで明かされていくあの夏の日・・・。ユージニアとは誰なのか。ユージニアとは何なのか。読み終えてじわじわと溶け出す物語でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
夏に生き、夏に殺され、また夏に謎を追う人達がループを描くように一夏から抜け出せない、そんな熱帯夜のような粘っこい世界を、清涼な文体や装丁で具現化した作品。第1章から会話だけの文章。会話といっても、質問を投げかけている人間の発言は一切無く、相手の言葉だけがまるで独り言のように連なる。取材を受けている人間は様々な視点から事件のことを見ている。捜査した刑事。事件があった青澤家の近所の子供で、後に事件について本を刊行した主婦。その主婦が事件について調査していたとき協力していた後輩。犯人の近所に住んでいた男。事件は、夏に暗い影を落としただけでなく、周囲を取り巻いていた人間達の永遠の夏に、暗澹とした感情や思考を植え付けた。余談かもしれないが、フォントが美しい。タイトルに凝ったフォントを使用する文芸書はあるが、この本は本文まで普通の書体とは違う書体を採用している。しかし読書に不快なほど奇抜な書体ではなく、反対にいつまでもこの本を大事にしたくなる愛らしさがあるのだ。「フォントディレクター」という役職の人間が、文芸書の書体の概念を崩していくのだろう。装丁も凝っていて、表紙の裏には何処かの夜景の写真。プロローグは捲るに連れて小さな紙が段々大きくなっていく。読み応えがあり、さらに愛着を持てる一冊である。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ある夏に起こった大量毒殺事件。それに関わった人たちが事件について語る回想録のような形で進んでいきます。みんな真実を語っているのだろうけど、個々の視点や記憶の曖昧さから微妙にずれてくる真実。真犯人は誰なのか?誰が嘘をついているのか?誰が隠し事をしているのか?読んでいるうちに「犯人はこの人だ」とわかってくるのに、決定的な確証がなく、名指しできないもどかしさ。じりじりと照りつけるような夏の暑さ。噎せ返るようにかぐわしい花の香り。神秘的な美少女の魔性の微笑み。感覚がぎりぎりまで刺激され、押しつぶされそう。装丁がとても凝っている点も特筆しておきたいです。この小説、字が微妙に「斜め」に印刷されてあるのです。これが作品全体に漂う妖艶さ、不可思議さを表現するのにとても効果的。こういった細かい点にも手が込んでいる作品なので、装丁も深く味わってほしいと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
巧みな比喩が随所にちりばめられた文章に、ときには共感を覚え、ときには驚愕させられる。そうした比喩を生み出す作者・恩田陸の視線の鋭さの上に、20年前に犯人とされる男の自殺で終わりを告げたかに見えた、ある一家毒殺事件について語られる様々な視点からの記憶が、真相への想像力をかき立て、ストーリーから目をそらさせない。 事件のさなか見つけられた、ユージニアへ捧げられた謎めいた詩。唯一生き残った盲目の美しい少女。誰なのか分からない、私、に向かって語られる記憶。事件から10年後に書かれた、ある本の存在。通り過ぎる天使と潮騒。夏の終わり。果たして真相は…。 幾重にも重ねられた薄いヴェールのような時間の流れに深く覆い隠されたものに、章ごとに視点をがらりと変えながら徐々に迫っていく。その過程に充ち満ちた緊張感が、読み手を捉えて放さない。そして、同じ事象を見ていながらも違う形で表される事実の群れが導く真実とは何だろうか、それを自分なりに考えるのも、この本の楽しみ方の一つだと思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
『Q&A』『夏の名残の薔薇』といった流れがこの作品にも流れていたように思います。過去に起きた惨事を調べることによって再び浮かびあがってくる「一般によく知られた事実」との齟齬。帝銀事件+通り魔殺人のようなやるせない大量毒殺事件が、自殺した犯人の遺書によって解決してから十年ほど後、事件に関わった少女の手によってなされた聞き取り調査……の、さらに十年ほどもあと、このインタビューそのものを再び調べ直す誰かの物語。『Q&A』とは違って、この誰かも、犯人も、作中で明確にされてゆき、主題を見失うことはありません。この作者は、似たような主題をリプライズする、とは以前別の本の書評で書きましたが、焦点はどんどん明確になっていってるように思いました。そして時事を絡めた主題もどんどん、なんというか、不適切スレスレになってきているような気がします。そこは恩田さんですから、不快な描写は巧みに避けて、かつて起きた大事件の、読者の記憶をうまく揺さぶってくるのですけれども。それにしても視点の移動による、親しんだ語り手のハッとするような意外な側面の出し方が巧い作者だなぁと思いました。読み進むうちに魅力的な登場人物がどんどん増えていくのは読者としては歓迎です。最後はちょっと、犠牲者の多さに改めて、何ともいえない気持ちになりました。エンタティメントとして充分面白かったです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
『ユージニア。私のユージニア。』殺人現場に残された謎の詩。一体誰が、何のために、誰へ宛てて残したのか。事件から20年以上たった今も、残された街の人々の中では、まだ事件は終わってはいなかった。事件にあらゆる方向から関与した人々の、回想録でストーリーは進行します。果たして真実に一番近いのは、どの証言なのか。また、何をもって真実とよべるのか。断片的な記憶をつなげたその先に見えてくるものは?毎回思いますが、恩田さんの描く神秘的な少女像は、本当に美しく、そしてとても生々しい。全体を通して、非常に色彩の与えるイメージが鮮烈です。五感に訴える表現によって、各場面が、目の前に音や風や匂いをもって浮かび上がってくるようです。装丁も大変凝っていて、物語のイメージによく合っています。真実とは、人の数だけあるのかもしれない。ありふれた言葉だけど、そんなことを思わせる、恩田陸の新たな傑作の誕生かな?といった作品でした。とても切なくて、忌々しくて、いとおしい、夏の記憶の物語です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ある夏の日に起こった名家の大量毒殺事件。唯一の生存者は盲目の少女。そして現場に残された不思議な詩「ユージニア」その過去の事件を巡って沢山の人たちが過去を連れて語り始める。皆が皆真実への鍵を少しずつ握っているのに踏み込むことができない境界線の前に立っているようなそれは読んでいる自分も同じで。真犯人が目の前に見えているのに手を伸ばすことは許されない。遺書を残して自殺した男の存在により一応の解決を見たその事件だけれど、時を経てさまざまな人間によって過去のその事件が再構築されていく、そのたびに早く次のページに!って思ってしまう。その現場に残されていた「ユージニア」という詩冒頭にそれが書かれているんだけどその詩の雰囲気がまるごとその世界を包んでいるようで私は好きでした。まるで自分もその場所にいて話を聞いている気持ちになってしまうこの本は、蒸せかえるような夏の日にもう1度読みたい。そして私の真実に辿りつきたい。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!