象と耳鳴り
- 本格ミステリ (563)
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「六番目の小夜子」のドラマ再放送を見てからまた原作を読みたくなり、その後、「小夜子」の登場人物に会いたくなってこちらを再読しました。この連作集の主人公は関根秋の父親で判事を引退した関根多佳雄です。他にも奥様の桃代、秋の兄の春、姉の夏、他、いとこや姪も登場します。 1999年作品。当時リアルタイムで読んだと思います。今回、内容はすっかり忘れていて2度楽しめました(苦笑)。 あとがきで恩田さんが書いておられますが、「読者として一番好きなのは本格ミステリである」(←意外でした)、「自分は三段論法の使えない人間である」にもかかわらず「本格推理小説への憧れ捨てがたく」悪戦苦闘して数年がかりで書き上げたということ。なのでいつものような幻想ファンタジーやサスペンス寄りの話ではなく、推理がメインです。が、いかにも恩田さんらしい不穏な雰囲気は健在で、なにげない日常がある時突然ざらりとしたものに変わる瞬間にはぞくそくさせられます。 最初の2、3話は話の進行に無理を感じてしまい、あれれ、いまひとつかなと思ったのですが、後になるに従ってだんだんと奇妙な迫力が増していきました。 まず主人公ですが、粋にツイードのスーツを着こなし、文豪のような丸眼鏡をかけた長身のおしゃれなおじさま(おじいさま?)で、その飄々とした個性が際立っています。 登場人物たちは実際に出かけ、現場を歩き、動いているのですが、中心になる事件が過去のことであったり、知り合いに謎解きを持ち掛けられたりで、どこか安楽椅子探偵のような趣があります。以下、気に入った作品をあげてみると、 「給水塔」住宅地に建つなんでもない給水塔が、そこで起きた事を知るに従って不穏なものに変わる不気味さ、 「海にいるのは人魚ではない」たわいない子供の言葉と思われたものが、実は殺人事件を暗示していた、 「ニューメキシコの月」次々に担当患者を殺して埋めた医者からの絵はがき、 彼はなぜそのような犯罪を犯したのか? 「誰かに聞いた話」ちょっとしたしゃれた掌編。記憶というものの不可思議さがよく出ています。 「廃園」むせかえるようなバラの庭園、関根元判事の過去の恋、そして子供の残酷さ。 「待合室の冒険」関根春が活躍します。この本の中では唯一ちょっとした活劇になっています。 「往復書簡」関根の姪、孝子が巻き込まれたトラブル。 手紙のやり取りから人間心理と犯人を推測するおもしろさ。 「魔術師」バスの中で死んでいた男、都市伝説の赤い犬、教室から椅子だけが消えていた、 それ自体がまるで意思を持っているかのような都市、 いろんな要素がカチリと音をたててはまるように最後に真相が明らかになり、爽快な読後です。 やはり恩田さんの作品はいいですね。これから順に再読していこうと思います。 | ||||
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大好きな単行本 何度読んだかわからない 装丁と内容の世界観が合ってるのもすき | ||||
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近くの本屋で取り寄せになってたのでついでに購入。 新品を既に持っていたので中古で充分。 外装も綺麗だし、なんの問題もありませんでした。 曜変天目の夜がとにかく面白い。 | ||||
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「六番目の小夜子」の関根秋の父・元判事の関根多佳雄の日常不思議日記。 【曜変天目の夜】 曜変天目茶碗を美術館へ見に行き、10年ほど前に亡くなった友人が「今日は曜変天目の夜だ…」とつぶやいたのを思い出す。 【新・D坂の殺人事件】 渋谷のD坂で雑誌のライター風の謎の男が、ビルを見上げる老人を見て、何を見ているのか聞くと「堕天使を」と。すると急に男倒れて亡くなった。この作品は謎の男目線で、最後に老人が関根多佳雄だと分かる。 【給水塔】 前作のライター風の謎の男・時枝満と多佳雄が時々会う散歩仲間になっていて、満が「人食い給水塔」へ連れて行き話をする。 満は何がしたかったのだろう。真相を知って欲しいのか、知られるのが怖いのか。。満が出てくるのはここまで。 【象と耳鳴り】 喫茶店で老婦人が「象を見ると耳鳴りがする」と語り始める。 ラストは。。なんともいえない重さが残る。 【海にゐるのは人魚ではない】 長男で検事の春と伊東に住む元実業家の家へ行く途中、「海にいるのは人魚じゃない」という子供の会話が聞こえる。一家心中の事件と結び付けて二人で推理するが… 【ニューメキシコの月】 多佳雄は脛にひびが入り入院する。お見舞いに東京地検の貝谷毅が来て、ニューメキシコの月の写真の絵葉書を見せる。九人の男女を殺して床下に埋めた医師・室伏信夫から届いたと言う。 動機はなんともやるせなく壮大で重いかな。。 【誰かに聞いた話】 妻・桃子と夕食時に、誰かに聞いた話だか思い出せないと話し…桃子が話題を降りつなげていく。 何の話かと思ったら。。最後は。。本とうに? 【廃園】 従兄弟の結子が亡くなり、娘の結花に招待され、かつて結子が愛した薔薇の庭があった屋敷を訪れる。結花はあの時何があったのか知りたいと言う。 【待合室の冒険】 春と出かける途中電車が止まり、待合室で足止めをくう。男が携帯で話しているのを聞いて… 【机上の論理】 春と妹で弁護士の夏が従兄弟の隆一から一枚の部屋の写真を見せられ、この部屋の人物像を当てられたらおごると言われ推理する。 【往復書簡】 桃代方の姪・渋谷孝子が新聞社へ就職をし、お礼もかねて多佳雄に手紙を書き、文通をする。その文章から放火魔を推理し… 【魔術師】 貝谷が地検を辞めて宮城にある実家の農家を継いだ。多佳雄が遊びに行く。そこで、街には意思があるという話になる。 あとがきにあるように、長編を考えて短縮した話で、他のショートショートよりも長め。 主人公の年齢が高いのと、関根一家は皆インテリなので理屈が多いので、かなり落ち着いた、へたをすると暗めになってしまう。父目線でなく、息子目線で、一家総出の長編が読んでみたいかな。 | ||||
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恩田陸さんは独特の不思議な世界観で有名ですが、この作品はどれも現実的で(少し不思議な出来事は起きますが)、推理や解決に重点を置いた、ちゃんと「推理小説」といえる作品だと思います。 他の作品のような、不思議でちょっと不気味で、迷宮のような世界観はかなり抑え目ですが、不思議すぎないのでその分読者でも考察や推理がしやすく最後にはしっかり謎が解けて、読んだ後にすっきりできる良作だと思います。 この作品で関根多佳雄さんのファンになりました。別作品にもぜひ出してほしいです。 ちょっと関根さん家族が全員優秀すぎて(人としても頭脳にしても…)気後れしてしまう部分もありますが、まぁ恩田陸さんの作品にはどれも超優秀なインテリがわんさか出てくるので、まだ判事や弁護士などの現実的な職なだけリアリティがあると思います。 最近ちょっと恩田陸さんは不思議世界観が先行して、推理・解決されないまま(または超常現象・特殊能力おち)で終わり、という作品が多い気がするので、またこの作品のような推理や解決に重点を置いた推理小説書いてほしいと思います。 | ||||
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