エンドゲーム 常野物語
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常野物語の第三弾。タイトルを見ると、シリーズもこれで終わりか、と思わせますが、その真偽たるや如何に!? ・・・ で内容ですが、今回はどちらかというとモダンホラー的な風合い。 「私たち、誰かに狙われている?」「あいつらが出てきたら、「裏返す」の。分かった?」 みたいな会話がなされたかどうかは分かりませんが、主人公の時子とその母暎子は常野の血を引く特殊能力を持つ家系。 常に「あれ」と戦うことを余儀なくされた血を受け継ぐ母暎子とその娘時子。失踪した夫は「裏返」されたのか、それとも・・・。 失踪した夫の真実とは、夫の残したメモの先はなにか、「洗濯屋」の正体は、夫の家系と結婚に潜む謎等々が次第明らかに。 因みに、「光の帝国 常野物語」所収の「オセロゲーム」からのスピンオフという位置づけ。 ・・・ 今回も恩田氏のモダンホラー的ストーリーテリングにやられて、一気に一日で読了。 常野物語は、通底するテーマが超能力、超常現象、こうした能力の混合や遺伝等々。これは私の大好物分野の一つです。 でも、本作はどちらかというと、もう一つのテーマとして「不条理」みたいなものがあるように思えます。 なぜ、夫は失踪してしまったのか。なぜ我々は「あれ」と戦わなくてはならないのか。なぜ我々は常野の一族と距離を置いているのか。 不条理と併せて、語られない細部にヤキモキするのですが、これを少しずつ、気持ちよく埋めていく語りの作法が気持ちよいです。 能力の持ち主暎子と娘時子に迫る危機。否、これは救いなのか? 「洗濯屋」は味方なのか敵なのか。 最後の大団円ではモダンホラー的要素はすっかり抜けて、むしろファンタジー的なテイストでありました。 ・・・ ちなみにですが、本作で「特殊能力をすっかり失い、そして記憶も失う。だけどその後は普通の人生を生きていける」というような選択についてのくだりがありました。 能力を持った暎子と時子の母子は、その提案に逡巡するのですが、それを読んで感じたこと。 「記憶とはアイデンティティそのもの」 自分を失うという事は具体的にどういうことか。つまりは記憶を失うということなのでは、と思います。 それまでの良いこと悪いこと、頑張ったこと悲しかったこと等すべてひっくるめて今の自分が形成されているのですが、それを「はい、リセットしまーす」と言われて即座に「賛成!」といえる人は少ないと思います。やはり自分の自我・自己に愛着が少なからずあるのではないでしょうか。でも、この自我の記憶が無くなったら、どう感じるのでしょうか?不安じゃないですか? ・・・ そういうことを考えると、痴呆や認知症というのはどういう状況かと。 自我・自己の記憶が辺縁から崩れつつあるのを、時に認識しながらも、何とか生きていく、そういう状況なのかな、と。 ビーカーという「自己」に水という「記憶」が入っており、割れたビーカーの底から水が漏れている。水が漏れるに従い、ビーカーのイメージがどんどん消えてゆき、水が無くなった瞬間に暗転。そういう状況なのでしょうか。 あるいは記憶喪失。記憶喪失はビーカー「自己」に傷も割れ目もないのに、水が一滴も入っていないようなイメージなのでしょうか。 痴呆が進み過食が進行中の父親。彼に思いを馳せつつふと考えた事柄でした。 ・・・ ということで常野物語の第三弾でした。 モダンホラー、超能力系が好きな方でしたら楽しんで読める作品だと思います。 | ||||
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不思議な能力が現代に受け継がれる一族の『常野物語』を3作続けて読んだ。シリーズものなのに全然テイストが異なっていて面白かったです。 3作目『エンド・ゲーム』は長編サスペンス・ファンタジー・ミステリー小説。薄気味悪いけど、謎解きや結末が気になる物語展開で一気読み。人それぞれの視点の違いや、見たいものを見る、見たくないもののイメージをすり替えるといったテーマ性も好みです。 | ||||
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読者に相当な根気、執着心がなければ作者の妄想についていけない。今年百冊以上読んでいるが、最もつまらなかった。ダンピングで買ったが損した。 | ||||
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「光の帝国」(でしたか)、常世物語の第一作を読みながら色々引っかかるところがあり、「これはゼナヘンダーソンのピープルシリーズの設定にスティーブンキングの『ファイアスターター』のイメージと描写を取り入れたもの」というところですごいモヤモヤしましたが、久しぶりに「ファイアスターター」読み返したら、章題までパクってる(「エンドゲーム」)のは、キングファンとしてちょっとひどくないかと | ||||
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常野物語3部作の最終章の本作は、他の2冊よりも一気に読み上げ、読後、まるで早朝の肌寒く緊張感が漂う空気の中に佇み、身体が引き締まる感覚を覚えた。 記憶を誘う匂いの表現がいいアクセントになり、記憶の世界の往来がまるで映画マトリックスを想起させた。恩田陸氏の細やかな表現世界は、物凄いエネルギーの引力をもっている。素晴らしい作品に出会えた喜び、著者に改めて御礼申し上げます。 | ||||
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