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(短編集)

砂の女



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砂の女の評価: 4.31/5点 レビュー 226件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.31pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全186件 141~160 8/10ページ
No.46:
(5pt)

安部公房の最も高評価を受けた純文学小説です。

「際限なく砂掻きを強いられる世界」とは「現代社会」を比喩的に表現したもので、単純化すれば、「アイデンティティの持てない空虚な現代社会の中に居ながら、なおも人間らしく生きるには、どうすべきか」というような事がテーマの、安部文学の頂点と評価される作品です。おもに、この作品を評価されて安部はノーベル賞候補になったと言えます。レビューを見ていて誤読している方が多いようですが、本当の純文学小説なので、比喩の意味を考えながら読んでみると面白いと思います。なお、より詳しく理解するには「増補 安部公房論」(高野斗志美)などの研究書をお勧めします。「部落」の意味を「村意識」や「部落問題」などと勘違いしないで下さい。また、ドナルド・キーン氏のあとがきは無視して下さい。彼は安部公房を最も誤解した研究者の一人です。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
410112115X
No.45:
(5pt)

奇抜な小説

安部公房は大江健三郎氏もカフカやフォークナーと並ぶ世界的作家としてあげているらしく、また国内・海外ともにとても評価が高い作家だったので氏の代表作であり出世作でもあるこの作品を手に取ってみた。今まで日本文学の傑作級の作品をちらほら読んできたが、確かに、安部氏の評価の高い理由が分かったような気がする。解説もドナルド・キーンが書いていて本自体も豪華だと思う。
 生徒に希望を語りながら、結局その生徒達の踏み台となっていく憂鬱で欺瞞に溢れた教師の生活から一度離れるため、主人公は休暇を利用し自身の趣味である昆虫採集を目的に砂に埋もれかかった部落に向かう。日が暮れて宿を部落の責任者に頼むと、三十半ばの女が住むすり鉢状に砂に埋もれた家に案内される。最初はもてなされていると感じていたのだが、家が埋もれない様にするための重労働に理不尽にかり出されていると知って男は苦悩し、様々な手段を用いて脱出を試みる……
 あらすじはこんな感じ。一見荒唐無稽の様で実際読む前からそう思っていたのだが、解説にもあるとおり、読んでみると常識から外れた展開をしながらも全く気にならずに主人公の一挙一動に気を取られてしまう。ミステリーというか、文学を読んでいてこれほどハラハラさせられたことは無いような気がする。筆者の独特の比喩やシャープな文体で見事に文学性とスリリングな展開の両立が出来ていると思う。
 全体的に見ても良くできた小説だと思う。筒井康隆のもっと暗いイメージと言ったら分かりやすいかも。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
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No.44:
(5pt)

シュールな作品

あらすじは他のレビュアーの方々が既に上手に書かれているので割愛します。

本作で描かれる、部落のあまりにもべったりとした土着体質には、私個人としては生理的な嫌悪感を感じてしまうタイプですが、逆に学校の教師という社会的日常を保障される存在から、そういう特異な部落の環境に貶められた主人公は、人間にとって必要最低限なものだけで生活する彼らの生活環境に、最終的に一片の真理を見出してしまったのでしょう。「今まで脱出出来た人は一人もいない」というのは、裏を返せば、みんな最後は主人公と同じく、精神的な変容を犯され、脱出する意味自体を失くしたからだということなのかもしれません。書かれているエクリチュール自体は極めて平易なのですが、本書の中で安部氏が真に何を言わんとしたのかを捉えようとすると、一読しただけでは把握し切れないものがあります。もしくは筋としての面白さを追求した作品で、観念的な意味はそれほど含まれていないのかもしれません。この曖昧さは、やはり凄くカフカ的…だとは思いますが、この『砂の女』執筆時には、安部氏はまだカフカと遭遇していなかったというのだから驚きです。

読み終えてすぐの時は、あの結末や作品全体の閉塞感にあまり満足しなかったのですが、時間が経つにつれ、妙に良い印象が濃くなっていくタイプの、不思議な作品のひとつです。

余談ですが、この部落の狡い戦略、知り合いの部落の家庭を想い出してしまいました。「自分で金を稼げば、お前は何でも好きなことして暮らしていけば良い」と父に言われ育てられたらしいのですが、やはり実は初めから父は、その田舎の山奥の部落の職人家業を息子になんとしても継がせる気だったらしく、その父と結婚して苦労を味わった母親が、自分の二の舞だけは避けさせたいために、幼少時からこれ以上ないほどのスパルタ教育を施して、有名大学に行かせたのに、やはり息子の深層心理には父の邪念というか怨念というか執念が常にこびり付いていたらしく、脳裡からいつも離れずに、内定を頂いた二社を蹴ってしまったらしいのです。そういう部落の人は、直接的に言葉で「継げ」と言わないまでも、言葉にせずに間接的に闇の奥へ後継者を引き込もうとするらしく、どう足掻いても逃れ得ない世襲が悪循環と存在しているらしいのです。要するに、彼は生まれた瞬間から既に「罠」に掛けられていたのです。長々すいません、この『砂の女』の描写で想起したまでです。身近な知り合いの話です……。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
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No.43:
(5pt)

時代を感じさせない、圧倒的クオリティの高さ

新幹線の中で一気に読んでしまった。

村上春樹にしろ安部公房にしろ、言語の壁を越えて世界中に読まれる作品

というのは、やはりストーリー自体の骨格というかクオリティが

とにかく圧倒的にすばらしい。

時代的古さを感じさせないところもお見事で、

陳腐な表現だけれど、そこらへんの小説とは違うなーと感服。

どうやったらこんなものが書けるのだろう。

「自由が保障されたとたん、自由への欲求がしぼむ」という

ことをこんな風に描くなんて、尊敬の一言に尽きる。

直接的暴力のみならず、「無気力」とか「無反応」も、

立派な「卑怯」の一種だと感じた。

うーん、、、「砂の女」みたいな人って、皆さんの周りにもいませんか??
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No.42:
(5pt)

「現実的」

圧倒されたというか、違うものを見せつけられたなと。非現実的な空間だが、非現実的な空間を読者の中に想像させるためには、現実的な要素によって構成させないと浮かび上がらず、説得力も、圧倒させる魅力も持ち得ない。現実的な要素というのは、繊細な情景や物質の描写であり、読者が共有し得る登場人物の感情の描写でもある。飛び道具のように安易に非現実性を呈示する低俗な作品とはわけが違う。
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No.41:
(5pt)

「これはすごい」「気持ち悪い」「読みやすい」「読みづらい」

などなど、周囲の文学人間たちが両極端な評価をしていたので、

興味を持ち、読んでみました(先に「壁」を読んでいます)。

感想としては…なんだこれ、面白いじゃないか。読みやすいし。

ラスト約30ページが衝撃的かつ高密度で、もうその部分しか思い出せない。

「200ページ分も何してたっけ?とにかく喉が渇いた気はする」ていう感じ。

まぁその長い前フリがあったからこそ、最後の展開が鮮明に脳裏に焼きつくんだけども。

あと、比喩がたまらなく美しい。比喩の何たるかを知りました。

絶望的で重苦しい世界観、ジメジメと気持ち悪い空気感、男の出した結論、

それら全てを「生理的に受け付けられない」ていう人もいると思います。

最初から清々しく読める人なんて考えられないので、

嫌悪するのはある意味自然な反応であって、内容の是非を研究するというよりも、

読者1人1人が嫌悪の先に下す是非の評価理由それ自体が、1つの研究対象になりそうです。
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No.40:
(5pt)

発想が素晴らしい

砂の穴の中に閉じ込められて、砂の中で生活するなんて。普通の人には考え付かない発想です。

カフカ『変身』の、目が覚めたら自分が毒虫になっていた、にひけをとらないぐらいの衝撃があります。

文学本が好きな方には特にオススメです。
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No.39:
(5pt)

渇望

「孤独とは、幻を求めて満たされない、渇きのことなのである」(本文より)

「1/8mmの砂の流動」というフレーズが、奇妙に耳に残る。
いまだかつて砂をそんな風にとらえたことはなかったし、とらえた作品もなかったのではないかと思う。
砂漠だというのに砂は乾かず、人間を飲み、人間の生活を、人生を飲んでいく。

緊張するとき、嘘をつく時、水分が足りない時に、人間は口の中が乾くというが、この文学は読むだけで口が渇いてくる。
たぶん、全部の理由が当てはまるからだろう。
乾くのは、砂漠や砂ではなく人の心、渇望とは実によくできた日本語だと思う。
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410112115X
No.38:
(5pt)

必要最小限に必要なこと

主人公の男ははじめのうち、少しでも自分の名を世に残したいというような野望を持っていますが、突然外の世界から孤立した場所に閉じ込められてしまいます。その閉じ込められた場所というのが、砂の中なのです。

主人公が落とされた砂穴には、古びた家に女性が1人住んでいるきりです。女性は、砂をかきだす仕事を手伝ってもらうために、主人公をいつまでもその場所にひきとめようとします。

本書は”生きる”ために必要な必要最小限のことを教えてくれているのだと思います。私は「砂の女」を読んで、たくさんの物がなくても人間はきっと幸せになれるのだということを学びました。
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No.37:
(5pt)

砂感

この「砂の女」を読んで、安部公房のファンになりました。

こんなに独創的で面白い物語を書ける安部公房は天才だ。カフカの「変身」と同じ匂いがしました。

とにかく描写がリアルで、もの凄い臨場感で目の前にこの世界が広がります。

のどが乾いてしまいます。
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No.36:
(5pt)

傑作

閉じこめられた砂の穴の中から必死に脱出しようとしている主人公の男は、本当は外の世界も、中の世界も、嘘くささという意味では大して変わりがないということを知っている。

 全ての価値が相対化した社会で、それに対して漠然とした不安に苛まれている人間が、“嘘の中にも実感は宿りうる”、という認識へ到る過程の物語。絶望的ではあるけれどもとても温かい。

 ともかく、私は何より、「これはとても面白い小説だ!」と言いたい。
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No.35:
(5pt)

砂の女いいですね

安部公房の砂の女は語ることがないくらい、

有名な作品だし、すばらしい作品だと思う。

文章の複線が綿密につながりあっているように見えて、

実はそれらに、どれほど意味があるのかわからない。

結局主人公の教師にしても、脱出をいろいろ試みたり、

様々な砂の穴から外の現世的なことを、考えたりする。

しかし、彼が行方不明者として死亡者認定を受けることは、

最初の冒頭で語られる。

ひかれものの小唄でしかないのかもしれない。

しかし読者は、彼が脱出するのではないかと、一抹の希望を抱きながら

小説を読み進める。
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No.34:
(5pt)

砂漠の思想

なんでもとことん追求する安部公房の性格が、ありありと作中に出ています。

人間の性質を的確にとらえています。

また文体がそこいらの作家とは異質です。天才的です。

僕はあと、人間そっくり、もおすすめします。こちらもそうとう素晴らしいです。
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No.33:
(5pt)

個人的には箱男のほうが面白かったが、安部公房の中ではいちばん有名な作品か。現代でも通じそうな傑作、やっぱり世界文学レベルの人は違う。

 現代社会はくりかえし。毎日会社を往復、そこに「出口」はないし、まるできりがなく砂を掻くかのような生活。しかし、やがてその閉塞の中でも満足(閉ざされた自由の中での満足)を見つけて、その生活に安心しちゃう。

 という、現代のメタファになぞらえてしまうととても陳腐になってしまうけれど、この砂の中のサスペンス性と、あまりにも乾ききった砂の描写がすごすぎて、そういうものを凌駕する。傑作。
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No.32:
(4pt)

逃避執着特に逃避その他その他

純文学作品の中では読みやすいほうだし、結構面白い。物語としても良くできていると思う。

現実にはない少し「異常」な世界の話。だけどそれは僕らの世界も同じで、とても似ているのかもしれない。
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No.31:
(5pt)

読み終わったその日から、のどがかわいてしょうがない。
夏でもないのに。

ところで、きのう、米櫃に、新しく買った米をあけていたところ、一方に米が寄ってしまったので、均等にならしたが、そのとき、この弾力、砂に似ている、と思った……
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No.30:
(5pt)

風化を許さない今日的意義

スリルとサスペンスと思想がそろった本物の小説だ。読むと心が千千に乱れる。揺さぶられる。
 政治性、社会性を多分にはらんだ作品であるけれど、安部公房はいつも人間の業にまで問題を深く掘り下げ、安易なべき論にしない。この態度が保たれているからこそ、前半に見られた砂と女の衝撃的なまでの官能性が観念的考察に覆われてしまった後でも作品が生命力を維持できている(小説という形式を借りたエッセイで人気を得ている某ベストセラー作家と大違い)。
 風土と風習に蹂躙される人間の姿。思想、主義の無力。今日の問題を連想した。
 たとえば雪村落の雪降ろしの問題。21世紀にもなってなぜ人間が命がけで屋根に上って雪を下ろさなければならないのか。雪降ろしが不要な屋根や雪降ろしを自動的に行う装置を普及させることはできないのだろうか。
 サービス残業と称するどれい労働の問題。21世紀にもなってなぜ人間が粗悪な「いっとう安上がり」な方法に縛り付けられているのか。

──女が一言の弁明もせず、薄気味のわるいほどの素直さで、易々として生け贄の沈黙に甘んじていることも、事態の危険性を裏づけていると考えられはしまいか?

 風土は変えられなくても風習(社会システム)は現代においては対象化し変えることができる。まず「壁」の冷静な分別が求められる。
 「砂の女」が半分だけ風化する日はやがて訪れるのだろうか。
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No.29:
(5pt)

世界観がすごい

手立てはいくらでもあるのだ……あせっていては相手の思うツボじゃないか……じっくりと手段を考え……抜け出せばよい。

あせっちゃあいけないんだ!……この無理な平常心が、いずれ訪れる思考の終点に結び付けたのか。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
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No.28:
(5pt)

自由とは何ぞや?

‘罪がなければ、逃げる楽しみもない’
 この作品の核心をつくテーマは、「自由」だ。

 「自由」とは遠いほど憧れの対象で、いざ、目の前に存在すると、恐怖の対象というのか・・・?

 この作品は、ザラザラとした‘乾き’を感じさせるが、同時に、汗と分泌物のなかにまどろむ‘湿り気’も感じさせる。
こちらを生理的に訴えかけてくる文体だと思う。

 ‘砂の女’は、勅使河原監督によって映画化されている。
カンヌで審査員特別賞を受賞している。
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No.27:
(5pt)

寓話でありながら、作品そのもののパワーが強大

安部公房と言えば、いわゆる寓話といわれるジャンルに属する作品を多く上梓しており、本作もそのカテゴリーに属する。したがって、作品のストーリーそのものよりも、その裏側にある意味やメッセージを読み取るべきなのであるが、本作は作品そのもののパワーが強大すぎて、こんな状況設定があるわけもないのに、読者はどんどん砂穴の中の生活に引き込まれてしまう。

 作品が発表されてから40年以上経過しているので、時代背景を多少は勘案して読む必要があるかもしれない。当時は、まだまだ戦後の焼け跡を思い起こすことのできる時代である。

 しかし、その点を除けば、読者一人一人が自分の生活との共通点を何か感じるはずだ。感じるポイントは人それぞれ違うと思う。主人公そのものに自分の姿を重ね合わせる人、前半の主人公の焦りに共感を覚える人、砂穴の家に自分のすまいをシンクロさせる人、「女」に自分の付き合っている女性を投影させる人・・・・。

 スケールの大きい作品なので、読者それぞれがいろんな思いを巡らせると思う。また、同じ読み手であっても、読み直すたびに新たな発見をするだろう。
砂の女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:砂の女 (新潮文庫)より
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