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(短編集)
砂の女
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【この小説が収録されている参考書籍】
砂の女の評価:
| 書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.30pt | ||||||||
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全181件 141~160 8/10ページ
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| などなど、周囲の文学人間たちが両極端な評価をしていたので、 興味を持ち、読んでみました(先に「壁」を読んでいます)。 感想としては…なんだこれ、面白いじゃないか。読みやすいし。 ラスト約30ページが衝撃的かつ高密度で、もうその部分しか思い出せない。 「200ページ分も何してたっけ?とにかく喉が渇いた気はする」ていう感じ。 まぁその長い前フリがあったからこそ、最後の展開が鮮明に脳裏に焼きつくんだけども。 あと、比喩がたまらなく美しい。比喩の何たるかを知りました。 絶望的で重苦しい世界観、ジメジメと気持ち悪い空気感、男の出した結論、 それら全てを「生理的に受け付けられない」ていう人もいると思います。 最初から清々しく読める人なんて考えられないので、 嫌悪するのはある意味自然な反応であって、内容の是非を研究するというよりも、 読者1人1人が嫌悪の先に下す是非の評価理由それ自体が、1つの研究対象になりそうです。 | ||||
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| 砂の穴の中に閉じ込められて、砂の中で生活するなんて。普通の人には考え付かない発想です。 カフカ『変身』の、目が覚めたら自分が毒虫になっていた、にひけをとらないぐらいの衝撃があります。 文学本が好きな方には特にオススメです。 | ||||
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| 「孤独とは、幻を求めて満たされない、渇きのことなのである」(本文より) 「1/8mmの砂の流動」というフレーズが、奇妙に耳に残る。 いまだかつて砂をそんな風にとらえたことはなかったし、とらえた作品もなかったのではないかと思う。 砂漠だというのに砂は乾かず、人間を飲み、人間の生活を、人生を飲んでいく。 緊張するとき、嘘をつく時、水分が足りない時に、人間は口の中が乾くというが、この文学は読むだけで口が渇いてくる。 たぶん、全部の理由が当てはまるからだろう。 乾くのは、砂漠や砂ではなく人の心、渇望とは実によくできた日本語だと思う。 | ||||
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| 主人公の男ははじめのうち、少しでも自分の名を世に残したいというような野望を持っていますが、突然外の世界から孤立した場所に閉じ込められてしまいます。その閉じ込められた場所というのが、砂の中なのです。 主人公が落とされた砂穴には、古びた家に女性が1人住んでいるきりです。女性は、砂をかきだす仕事を手伝ってもらうために、主人公をいつまでもその場所にひきとめようとします。 本書は”生きる”ために必要な必要最小限のことを教えてくれているのだと思います。私は「砂の女」を読んで、たくさんの物がなくても人間はきっと幸せになれるのだということを学びました。 | ||||
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| この「砂の女」を読んで、安部公房のファンになりました。 こんなに独創的で面白い物語を書ける安部公房は天才だ。カフカの「変身」と同じ匂いがしました。 とにかく描写がリアルで、もの凄い臨場感で目の前にこの世界が広がります。 のどが乾いてしまいます。 | ||||
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| 閉じこめられた砂の穴の中から必死に脱出しようとしている主人公の男は、本当は外の世界も、中の世界も、嘘くささという意味では大して変わりがないということを知っている。 全ての価値が相対化した社会で、それに対して漠然とした不安に苛まれている人間が、“嘘の中にも実感は宿りうる”、という認識へ到る過程の物語。絶望的ではあるけれどもとても温かい。 ともかく、私は何より、「これはとても面白い小説だ!」と言いたい。 | ||||
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| 安部公房の砂の女は語ることがないくらい、 有名な作品だし、すばらしい作品だと思う。 文章の複線が綿密につながりあっているように見えて、 実はそれらに、どれほど意味があるのかわからない。 結局主人公の教師にしても、脱出をいろいろ試みたり、 様々な砂の穴から外の現世的なことを、考えたりする。 しかし、彼が行方不明者として死亡者認定を受けることは、 最初の冒頭で語られる。 ひかれものの小唄でしかないのかもしれない。 しかし読者は、彼が脱出するのではないかと、一抹の希望を抱きながら 小説を読み進める。 | ||||
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| なんでもとことん追求する安部公房の性格が、ありありと作中に出ています。 人間の性質を的確にとらえています。 また文体がそこいらの作家とは異質です。天才的です。 僕はあと、人間そっくり、もおすすめします。こちらもそうとう素晴らしいです。 | ||||
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| 個人的には箱男のほうが面白かったが、安部公房の中ではいちばん有名な作品か。現代でも通じそうな傑作、やっぱり世界文学レベルの人は違う。 現代社会はくりかえし。毎日会社を往復、そこに「出口」はないし、まるできりがなく砂を掻くかのような生活。しかし、やがてその閉塞の中でも満足(閉ざされた自由の中での満足)を見つけて、その生活に安心しちゃう。 という、現代のメタファになぞらえてしまうととても陳腐になってしまうけれど、この砂の中のサスペンス性と、あまりにも乾ききった砂の描写がすごすぎて、そういうものを凌駕する。傑作。 | ||||
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| 純文学作品の中では読みやすいほうだし、結構面白い。物語としても良くできていると思う。 現実にはない少し「異常」な世界の話。だけどそれは僕らの世界も同じで、とても似ているのかもしれない。 | ||||
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| 読み終わったその日から、のどがかわいてしょうがない。 夏でもないのに。 ところで、きのう、米櫃に、新しく買った米をあけていたところ、一方に米が寄ってしまったので、均等にならしたが、そのとき、この弾力、砂に似ている、と思った…… | ||||
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| スリルとサスペンスと思想がそろった本物の小説だ。読むと心が千千に乱れる。揺さぶられる。 政治性、社会性を多分にはらんだ作品であるけれど、安部公房はいつも人間の業にまで問題を深く掘り下げ、安易なべき論にしない。この態度が保たれているからこそ、前半に見られた砂と女の衝撃的なまでの官能性が観念的考察に覆われてしまった後でも作品が生命力を維持できている(小説という形式を借りたエッセイで人気を得ている某ベストセラー作家と大違い)。 風土と風習に蹂躙される人間の姿。思想、主義の無力。今日の問題を連想した。 たとえば雪村落の雪降ろしの問題。21世紀にもなってなぜ人間が命がけで屋根に上って雪を下ろさなければならないのか。雪降ろしが不要な屋根や雪降ろしを自動的に行う装置を普及させることはできないのだろうか。 サービス残業と称するどれい労働の問題。21世紀にもなってなぜ人間が粗悪な「いっとう安上がり」な方法に縛り付けられているのか。 ──女が一言の弁明もせず、薄気味のわるいほどの素直さで、易々として生け贄の沈黙に甘んじていることも、事態の危険性を裏づけていると考えられはしまいか? 風土は変えられなくても風習(社会システム)は現代においては対象化し変えることができる。まず「壁」の冷静な分別が求められる。 「砂の女」が半分だけ風化する日はやがて訪れるのだろうか。 | ||||
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| 手立てはいくらでもあるのだ……あせっていては相手の思うツボじゃないか……じっくりと手段を考え……抜け出せばよい。 あせっちゃあいけないんだ!……この無理な平常心が、いずれ訪れる思考の終点に結び付けたのか。 | ||||
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| ‘罪がなければ、逃げる楽しみもない’ この作品の核心をつくテーマは、「自由」だ。 「自由」とは遠いほど憧れの対象で、いざ、目の前に存在すると、恐怖の対象というのか・・・? この作品は、ザラザラとした‘乾き’を感じさせるが、同時に、汗と分泌物のなかにまどろむ‘湿り気’も感じさせる。 こちらを生理的に訴えかけてくる文体だと思う。 ‘砂の女’は、勅使河原監督によって映画化されている。 カンヌで審査員特別賞を受賞している。 | ||||
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| 安部公房と言えば、いわゆる寓話といわれるジャンルに属する作品を多く上梓しており、本作もそのカテゴリーに属する。したがって、作品のストーリーそのものよりも、その裏側にある意味やメッセージを読み取るべきなのであるが、本作は作品そのもののパワーが強大すぎて、こんな状況設定があるわけもないのに、読者はどんどん砂穴の中の生活に引き込まれてしまう。 作品が発表されてから40年以上経過しているので、時代背景を多少は勘案して読む必要があるかもしれない。当時は、まだまだ戦後の焼け跡を思い起こすことのできる時代である。 しかし、その点を除けば、読者一人一人が自分の生活との共通点を何か感じるはずだ。感じるポイントは人それぞれ違うと思う。主人公そのものに自分の姿を重ね合わせる人、前半の主人公の焦りに共感を覚える人、砂穴の家に自分のすまいをシンクロさせる人、「女」に自分の付き合っている女性を投影させる人・・・・。 スケールの大きい作品なので、読者それぞれがいろんな思いを巡らせると思う。また、同じ読み手であっても、読み直すたびに新たな発見をするだろう。 | ||||
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| 20年以上ボロボロになるまで繰り返し読んだ特別の作品です。内容はすっかり覚えてるのにそれでも読みたくなるこの心境を伝えるのは難しい。 砂に埋もれた集落、一般社会から切り離されたこの世界に迷い込んだ男は砂に囲まれ囚われの身となり日々脱出を夢見て砂と格闘する。一緒に暮らすのは砂しか知らない孤独で無知な女。 安部さんの作品は解釈を考え込むと難解な所が多いと思いますが、私はそんな事無視、ただ単に面白くて独特の世界に惹き込まれる感覚がクセになってるんです。 | ||||
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| 砂の女の住む砂穴の一軒家に閉じ込められた男が、実感する人生の閉塞。「生きがい」とは何だろうか・・・エゴイズムにも似た「生きがい」を見つけて生きている人間の滑稽さや愛らしさ。何故かホッとする気分を味わえる不思議な作品。 | ||||
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| ――罪がなければ、逃げるたのしみもない―― まず冒頭から公房さんのセンスを伺える。 そういえば、これはレビューだから深く語れないないのか。残念自重しよう。 比喩の正確さ、幅の広さ。地の文の軽快さ。最高である。グングン読者をひっぱていく。 そして男の色々な意味での"あつい"思考。 純文学が苦手な人――勿論、どんな読者でも楽しめること請け合いであることは間違いないことだが――是非読んでみることをおすすめします。 | ||||
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| 今、目の前にある状況に意義やよい面、生きがいを見つけること。それはつまり自分の生きる意味を知ることであり、幸せを感じることである、というテーマかな? 砂に囲まれ、日々砂から身を守り抜くことだけを考える中で、他にもっとよい環境があるはず、と考えるとき、どうやって逃げ出すかだけを人は考える。この「他にもっと」という感覚が悪いとは思わない。それがよい結果に結びつくことだって大いにある。 教訓めいてはいるが、ここに書かれているのは一つの生き方であり、教科書ではない。 | ||||
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| 日常の生活の中で、なんとはなしに不平や不満、満たされない日々の中で、非日常の何かを捜し求めて私たちは旅に出るのだと思います。 そして、そんな旅先で突然、自由を奪われ不条理な世界にほうり込まれたなら、あなたはどうしますか? あきらめの中で、何か日々の目的・目標となるものを探すことができたなら? ぜひ読んでみてください。 | ||||
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