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流浪の月
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流浪の月の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.10pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全598件 581~598 30/30ページ
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この著者の作品を読むのははじめてですので、本書単独での印象になりますが、まず文体が独特です。 芥川のような鋭利な文体でも、三島のような美しい文体でも、最近の作家では辻村深月さんのような 優しいけどムダのない文体(特に、かがみの孤城)でもなく、「のっそり」としたタッチで話が 進んでいきます。 ストーリーは、女性主人公を中心に展開していきますが、おそらく真に主役は、小児性愛者(と される)青年の「文」なのだと、読み終えたあと思いました。 個人的には、ラスト50ページくらいで「文」視点で書かれるところから思い切り 引き込まれました。言い換えると、それまではやや退屈です。でも、その前振りが なければ「文」の物語りは成立しません。 「文」は、主人公の更紗と出会うことで、親の価値観という「ルールブック」に縛られた 生き方をすてて、自由に生きることを選択します。それによって自分であることには 近づくものの、自由に生きることの難しさにも直面し、「生きるのはつらいだけ」という 思いで生きることになってしまいます。 自由は、孤独であり、誰ともつながれことに気づき、恐れ、傷つきながら生きていきます。 10数年後に更紗と、半ば意図的に再会することで、「文」は愛とは違うなにか、たぶん 居場所とも言えるものをようやく見つける(だろう)ところで小説は終わります。 「文」は、親の価値観という「ルールブック」からの解放を試みますが、ある事件のあとは SNSという社会の名を借りた新たな「ルールブック」に縛られてしまいます。 自由に生きることの難しさをわかったうえで、どうすれば真に自分らしく自由に 生きられるのだろうかの模索が本書のテーマだとするならば、 昔より様々なことがオープンになり、自由に生きることが容易になってきているように 見える現代において、匿名性という隠れ蓑と、記録が消えないという特性をもつSNSが、 怖いほど自由を奪っていることに警鐘を鳴らしている、現代社会の暗部への問題提起も サブテーマとしてうまく描かれています。 文体の好き嫌いはあるかもしれませんが、力作です。 | ||||
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幼女誘拐の犯人とその幼女(年の差10歳)の話。 犯人は幼女を誘拐したというよりは、保護した(幼女はいとこから性的嫌がらせを受けていた)のだけれど世間はそれを知らない。 世間の誰からも理解されなくてもいい、という関係性の二人なのだけれど、そもそも理解されようという努力はしていない。する必要はないとは思うけれど、なんだか浮世離れしている。正社員じゃないのに家賃の高いマンションに住んだり、生活感がない。 例えば、文の家庭が貧しかったら、カフェのオーナーにもなれなかっただろうし、二人は「誰からも理解されなくてもいい」なんていう美しい関係性を築けていないんじゃないかなぁ。 小説で現実とは違うからしょうがないけれど、主人公の二人に都合よく「誰からも理解されないかわいそうな二人と、善意というマウンティングを取る周囲」にお膳立てされている感があった。 どんな過去を背負っていても、平凡な人生でも、人間誰だって他人からは理解されないものだよ。 誤解されていると分かった時、人は葛藤し、闘い、理解してもらおうと踏ん張る。けれど、二人は初めから諦めてしまっている。それが悪いとは思わないけれど、周りのせいにするなといいたい。 でも、もしそんなことを言おうものなら「被害者をこれ以上傷つけるな」ってなるんでしょう。 あなた以外の人間はみんな悪なの? 傷つけられたからといって人を傷つけてもいいの? 最後まで更紗に感情移入できなかった。 | ||||
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とても読みやすい文章で、節々に表れる著者の言葉選びがとても素敵でした。飾らない文体に惹き込まれて一日で読んでしまいました。 一番の見どころは事実と真実は異なるという点。世間では誘拐犯と被害者の少女として見られてしまうが、本当の二人の関係性は二人にしか分からない。愛でもない恋でもない、友情でも劣情でもない、けれど側に居たいという気持ちを私はなんて呼んだらいいのか分からないです。 二人の関係性を表す言葉が見つからないように、世の中には名前をつけられる事象ほうが少ない気がします。 善と悪、無罪と有罪など白黒はっきりとさせることが主流になる世の中で、その中間を彷徨う事象を綺麗に描いた作品でした。 | ||||
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"わたしたちの間には、言葉にできるようなわかりやすいつながりはなく、なににも守られておらず、それぞれひとりで、けれどそれが互いをとても近く感じさせている。わたしは、これを、なんと呼べばいいのかわからない"2019年発刊の本書は、2人の姿を通じて【普通とは何か?】を揺さぶってくる。 個人的には、関わらせていただいている【読書による文学賞】の推薦図書として、すすめられて手にとりました。 さて、そんな本書は一つの"事件"の当事者である少女と大学生の"普通"とは違う特殊な2人の関係性を、それぞれの成長や変化を交えながら描いているのですが。日々起きる出来事に【わかりやすいレッテルを貼っては】決して当事者達の声には耳を傾けずに、一方では、さも当然の様な正義面をして【理解したふるまいをしがちな】現在のネットやSNSにより増幅し拡散される【無意識な悪意】を痛切に明らかにしているように感じました。(少なくとも私には強く刺さりました) また、私自身の事で恐縮ですが。結局は【他者からの承認されることを意識して】普通と言われる事を嫌悪し【特別で在りたいと】どこかで願っていた不安で仕方がなかった過去をへて。今現在ようやく、そういった【どうでもいい事】から解放された静かな心境になっている私にとって、本書の2人のセリフや行動はどこか懐かしくも痛い過去と向き合わされる様な没入感も与えてくれました。 感情を揺さぶる小説を探す誰か、マイノリティさに苦しむ誰かにオススメ。 | ||||
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読了して大いに感心した。感動に至らなかったのは、パルプフィクション的技巧が邪魔をしたせいかもしれない。 とにかく周辺人物が良く書けている。職場の同僚や店長、同棲相手に親族、名前も与えられていない警官まで、「実際にいるかも」というリアリティーがあり、そのため突拍子がない主人公2人の行動が「実際にあるかも」と思わされるレベルになっている。 唯一の瑕瑾と感じたのは、母親の退場の仕方だ。主人公の最大の理解者であったはずだのに、あまりにも、そりゃなかろうぜとの違和感がぬぐえない。これなら父母共に事故死でもさせた方が設定的によかったのでは。 ともあれ、未成年者誘拐、幼女に対する性的暴行、DV、育児放棄、デジタルタトゥーと字面を並べるだけでも胸が悪くなるような要素を全部取り込んで、書店員が感動の帯文を書くような物語に仕立てた力量に脱帽する。現実に「これが誘拐?」と思うような誘拐報道が増えていることも、追い風になっている。 | ||||
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登場人物の心情は丁寧に描かれ、感情にも訴えかけられますが、どこか少女漫画を読んでるような印象は捨てきれませんでした。終わりかたもトゥルーロマンスを意識したんでしょうか?もっと読みたい、という気持ちにはなりましたが短編の少女漫画と思えば納得です。これが本屋大賞にノミネートされるんですね、今って。文章は読みやすいですが、物足りない感もありました。 | ||||
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ヒロインは9歳の女の子。両親亡き後で引き取られた伯母宅で、毎晩伯母の息子から性犯罪被害の地獄に遭っていた。 もう一人の主人公は大学生男子。ひげや声変わりなどの第二次性徴が完全ではない症状となり、性器が正常に発達せず、女性に色気を感じられなくて自らロリコンと無理矢理思い込み、公園で小学生を眺める日々。 ひょんな事からヒロインに『うちに来る?』と声を掛け、喜んでついていったヒロインは、甥から性犯罪被害を受けない安全な生活に幸せを感じ、 ロリコンではなく全ての女性に一切色気を感じられない大学生は100%無害なので、お互い幸せ。 しかし、二人で出掛けた動物園で誘拐犯と通報され、大学生は逮捕。ヒロインは施設に。 十数年後。社会人になったヒロインは彼氏と同棲中。しかし彼氏は束縛が強く、ヒロインの事を『過去に誘拐されて酷い目に遭った可愛そうな被害者』と勘違いしている。 ある日、同僚に連れていかれたバーのマスターは、何とかつての大学生! 再び交り始める孤独な二人の未来は……。 以上、そんな内容の2020年度本屋大賞ノミネート作品です(^-^*)/ 設定が特殊なので、読む人を選ぶ作品だとは思いますが、個人的には物凄く楽しめました! かつての誘拐犯。かつての被害者となる二人は、十数年経っても勘違いされたままで、中傷や悪意に晒されながらも、それでも二人でいる事を選ぶ姿が素敵でした。 二人は恋人でも夫婦でもなく、共に時間を過ごすパートナーであり、性行為なしのパートナーですが、 僕自身も性犯罪被害と関わり、性行為なしの愛も、ありとあらゆる性行為ありの愛も、両方を経験してますが、 個人的には、性行為はオプションであり、性行為なしでも深い愛を築けると感じたので、 ヒロインたち二人にも深い愛を感じて、幸せな気持ちになりました! 一般的な恋愛作品とは異なる感じ方の作品に思うので、誰にも薦められるとは感じませんが、個人的には本屋大賞ノミネートに納得の名作であり、 読めて心から良かったです(^-^*)/ | ||||
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ページをめくるごとに、こころは揺らいでいく。 切なくて、涙がこぼれてしまう。 いくら説明しても理解してもらえないきもち。 こころのかげり。 悲しみのなかで寄り添っていく。 心の声に引き寄せられる。 世間の目はこころの中までみえてこない。 「事実と真実はちがう」 心の拠りどころを見つけてほしいと願う。 そばにいたい、その世界。 もうこれ以上、追い詰めないで。 求めていく旅は続く。 | ||||
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この話は更紗という布が1つのキーワードになるのですが、その布のように自分の弱いところを優しく包み込んでくれようなお話でした。 | ||||
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三分の一を過ぎたくらいから、ページをめくるのが止まらなかったです。二日くらいで読んでしまいました。読んで良かったなぁと思える作品でした。 ストーリーは全然違いますが、根底に流れるメッセージみたいなものが、「そしてバトンは渡された」と似ているような感じがしました。‥違うかもしれませんが‥。 | ||||
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読みやすい文章に反して内容が濃い。 話の展開、人物像が惹き付けられるのはもちろん、情景の描写も美しかった。 | ||||
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大好きだった父が病死し、破天荒な母は男を作って蒸発。 引き取られた叔母夫婦の家庭ではいとこに性的嫌がらせを受ける。 なんてかわいそうな主人公の女の子。 ・・・と同情できるのはここまで。 その後は主人公にいらいらする展開が続きます。 何といっても人に不誠実すぎるからです。 この主人公、助けてくれたロリコンが捕まっても、周囲に助けてもらったと一言も言えず大迷惑をかけます。 それは彼女が少女なので仕方ない部分もあるわけですが、その後に帰った叔母夫婦の家で再び性的嫌がらせを受けかけて相手の頭をかち割る展開が来ます。 「おっ、ここから成長して反撃か?」と思いきや、事件をもみ消そうとした叔母夫婦に対して何も言えず施設送りに。 大人に成長してからも、気にかけてくれる人は優しいけどうっとうしいと切り捨て、結婚を申し込んでくれた彼氏には確かに彼の無神経な部分もあったにしろまともに向き合わず内心で文句タラタラ。 「いや一言言えばいいだろ」 というエピソードが続いていきます。 で、そこにロリコンと再開するという流れになるわけですが、ここまでだけでも主人公が主体性を持って何も行動してないのが伝わるでしょうか。 「私の生き方は理解されず息苦しくてかわいそうなの。ほっといてほしいのだけど。」 という彼女の自分勝手な気持ちは次々と炸裂してくるんですが。 だったらそもそも人と関わるなと言いたい。 誰かと付き合うなんてもっての外ですよ。 今の彼氏の前にも付き合ってた男がいて、その彼とも別れた話がちょっとあるんですが、そりゃ前の彼も別れたくなるでしょう、こんな女。 ロリコン事件のことがちらつくから別れたいなんてセリフ、彼のお題目ですよ。 ・・・とまあ、厳しめに書いてしまいましたが文章の空気感や雰囲気は悪くありません。 主人公が不快なのもそういう人間をある意味リアルに書き上げてるからです。 私の個人的に、主人公の女の子の自分がとにかく悲劇の主人公というか斜に構えてて他人と向き合わない感じが既視感があったので何だったかなと思い返してみたんですがわかりました。 村上春樹の主人公に非常によく似てます。 村上春樹が好きな人には刺さるんじゃないですか。 | ||||
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いつももったいないと思いながら読み始めるのですが、この作品も途中で止まることができず一気に読んでしまいました。何度でも読み返す数少ない本です 沢山の人に読んでもらいたいです | ||||
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作者である凪良ゆうに関して言えば以前講談社タイガから刊行された「神さまのビオトープ」で描かれた「愛の形」に胸倉を掴まれる様なショックを受けたのだけど、今思えばあれは「愛の形」というより「関係の形」と称するべきだったのかなと思ったりもする。そしてその確信を深めたのがこの一冊。 主人公は家内更紗という一人の女性。「やばいぐらいにマイペース」な母親とそんな母親を愛する父親によって世間の枠には縛られない育ち方をした彼女が父を失い、母に捨てられた果てに息苦しい世間に放り出され「わたし」を取り上げられるのが導入部分。 「なんで晩御飯にアイスクリームを食べちゃいけないの?」「なんでお気に入りの空色のカータブルを背負って学校に行っちゃいけないの?」という「世間ではそれが普通だから」としか答えられない決まりごととそんな世間に生きる事を疑わない親戚の家で息が詰まりそうになった更紗の運命は公園で出会った青年・佐伯文の家に付いて行った事で動き始める。 この文という青年、育児書に縛られた母親によって「正しい生き方」から一歩も外に踏み出る事が出来ない性格。そんな文は奔放そのものの更紗によって少しずつ「正しい生き方」の外に踏み出し始めるのだけど、やっている事は未成年者略取。やがて二人は引き離され、親戚の家にも居れなくなった更紗は施設で育ちやがて社会へ。「少女誘拐事件の被害者」として世間からレッテルを貼られたまま息を潜める様に生きる羽目になるが、ある日同僚に連れていかれた「calico」というカフェで文と再会する事に…… 読んでいる間中感じ続けたのは「人間って空気がある所でも魂の方が窒息死しそうになるんだなあ」という徹底した息苦しさ。世間という奴が押し付けてくる善意に満ちた「レッテル」で圧し潰されそうになる「わたし」という存在の掛け替えの無さ……そんな所だろうか? 世間的には更紗は「ロリコンの変態青年に攫われて酷い目に遭った可哀そうな少女」なんだけど、更紗自身にとっての文は「つまらない世間の常識で圧し潰されそうになっていた私を取り戻してくれた人」。このどうしようもなく埋めがたい齟齬が更紗に付きまとう。その世間の象徴が同棲相手の会社員「父権主義・男尊女卑精神の象徴」DV男の亮であり、「可哀そうなお前は黙って俺に庇護されていれば幸せになれるんだ」という呆れるほどの傲慢な思いやりだったりする。 身寄りのない女性が一人で生きていくのが難しいこの日本の社会状況で更紗も否応なしにこのどうしようもない齟齬を「作り笑いばかりしている」と揶揄されながら飲み込んでいる姿が描かれるのだが、まことに遣り切れない。「ほんとうの私」を取り戻してくれた唯一の人である文を表立って肯定する事を世間が許してくれない=「ほんとうの自分」を解放した状態を肯定できない、この作品の辛さはそこにある。 「神さまのビオトープ」でも世間の理解が得られない「愛」を様々な形で描いてみせた凪良ゆうだけど、愛と言うのが世間から突き放されても、理解が得られなくても切り離すことが出来ない「私自身の形」だとするのであれば、本作も間違いなく「愛」の話なんだろう。更紗は文を求めるのだけど、文を求めた先にあるのは「そのままの自分」に対する肯定であって文自身では無い。極論してしまえば「お前はお前のままであれば良い」という存在であれば別に文でなくても良いのである。 しかし時代は厭らしいことにデジタル時代。風化しても良い筈の事件がデジタルの世界には生き続け悪趣味な「少女誘拐事件の記録」が「犯人と被害者のその後」は更新され続ける。知る権利やら社会正義という聞こえの良い「悪意」そのものが文のもとに辿り着きたい、「ほんとうの私」に居場所を与えたい更紗を世間に、「可哀そうな被害少女」に縛り付けようとする。何より不愉快な事に男と女の関係を押し付けてくる。更紗も文も性からは一番遠い存在だというのに下世話な同情を押し付けてくる……正直、この辺りを読んでいて「世間なんか滅びてしまえよ」と胸がむかつきまくって仕方がない。 ある意味更紗も最後の方まで文の真実には気付けずにいたのだけれど、その上で「噛み合った」というかやはり更紗自身にとって文の傍が一番「わたしらしく」あれるのだという救いはあった。 最終的に更紗と文が辿り着いた関係に名前は無い。少なくとも世間が認める様「恋人」やら何やらという俗な形ではない。でも世間によって押し付けられた関係や「正しい生き方」みたいな下らないものから解放されたという清々しさだけは間違いなくあった。 なんとなれば再会の過程で知り合った更紗の同僚の娘・梨花も含めて冒頭で失われた更紗の「本当に在るべき家族の形」すら取り戻せた、そんな印象すら受けた。世間は相変わらずクソ下らないし、しょうもない常識や好奇の視線ばかり押し付けてくるけど、そんな物はどうでも良いと言える「わたしの居場所」を更紗が得られた安らぎすらある。 相変わらず同調圧力からくる世間的常識という奴ばかりが幅をきかすこの社会でどうにも「ほんとうの私」に居場所を与えられない人が多く、その鬱憤を他人に「常識」を押し付ける事で晴らす風潮がまかり通る時代だけど、そんな時代だからこそ「本当に望む関係に名前は無い」と訴えるこの一冊には読む価値があるのだ、と言いたい。これはそんな下らない世間から「ほんとうのわたしの居場所」を取り戻した一人の女性の奪還の物語である。 | ||||
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昨今は本が売れなくて、こういう本は尚更売りにくいと思いますので、感想を書くのに躊躇しました。 こういう本に売れてほしいのでネガティブな事は書きたくありません。 ただ、書かずにはいられませんでした。 題材がセンシティブなものなのですが、少女漫画を読んでいるような錯覚に途中で陥りました。相手役の造形が美青年だからだと思います。生々しい題材で性的な問題も扱っているのに、世界観がとてもはかなげで美しいです。 この世界観を是とするか非とするかで評価も分かれそうですし、自分は非と感じてしまったので、★をひとつ減らしました。 | ||||
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著者の力量に唖然としてます。読んだ後の読了感は本当に凄いです、こんなに余韻が抜けなかった作品は他に無いです。今まで読んできた小説の中で間違いなく五本の指に入ります…。次回作が本当に楽しみです。 | ||||
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小児性愛を軸に物語が綴られる小説としたら、同じくBL出身の実力派作家で他作品もありますよね。 一括りには出来ませんでした。さすがは凪良ゆうです。醜悪でもなく悲嘆過ぎず、世間の酷さを押し付けがましく描いてもいない。静かに希望が胸に拡がる…、良作です。 | ||||
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久しぶりにページをめくる手が止まらなかった作品だった。 彼女と彼の両視点で綴られる物語は、穏やかながらも気がつけばじわじわと小さなトゲが刺さってくる。 あらすじを読んでもよく分からなかったという人にこそ、真っさらな状態で出来れば1人でゆっくりと時間の取れる時に読んでほしい。 世の中の「普通」とは一体何なのか、そして彼らの関係性を正しく表す言葉が私には見つからない。 愛や恋ではない。 世間から理解されなくても、普通じゃなくても良い。ただ2人で生きて行くだけ。 読み手によって感想が異なる作品だと思う。 読後に彼らへ共感や理解が出来なくても、確実に何かあなたの中に残るはず。 今年1番の作品となりました。 | ||||
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