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訣別



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
【この小説が収録されている参考書籍】
訣別(上) (講談社文庫)
訣別(下) (講談社文庫)

訣別の評価: 4.42/5点 レビュー 24件。 Sランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.42pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全20件 1~20 1/1ページ
No.20:
(4pt)

面白い。

面白い。
訣別(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:訣別(上) (講談社文庫)より
4065123100
No.19:
(4pt)

面白い。

面白い。
訣別(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:訣別(下) (講談社文庫)より
4065123119
No.18:
(5pt)

引き離された恋人たち、果たされなかった夢、ある家族の歴史

ボッシュ・シリーズ19弾。
縁あって新たな警察署における無給(!)非常勤の刑事としての仕事、再取得した私立探偵としての仕事の、またもや事件は”2本立て”。
2本立ては前々作『燃える部屋』に続いてだが、私が慣れたのか、今回のふたつの職務に応じているためか、前回ほど違和感を覚えなかった。
刑事として取り組む連続レイプ事件は本シリーズらしい。詳細は伏せるが内容はとてもひどいものだ。
私立探偵として取り組む富豪の子孫探しに関しては、悲しみと情緒を感じた。第2次世界大戦後~ヴェトナム戦争時代は、現在よりもまだまだ家族のしがらみやヒスパニック系への差別があった。
ボッシュの生い立ちと共通するところがあり、さらにヴェトナム戦争も経験していることから、彼がその背景をより理解し共感できるようすが伝わった。
結末に向けての細々としたいきさつの記述は(あえて)ないが何となく想像つくし、エピローグはよかった。

ボッシュの加齢に伴い、シリーズの内容もそれに応じて変遷している。
まず体力的な衰えを自覚している。
孤独なアウトローだったボッシュが、途中からイクメンになり、最近は気難しい思春期にある娘マディの顔色伺いとご機嫌取りに終始していてちょっと呆れる面もあったが、本作では言うべきところでちゃんと言っている。
加えて、何かと同僚の中に敵を作ってきたボッシュだが(これは相手がクソ野郎だからだが)、本作ではボッシュの仕事ぶりで、ふたりも見直させたところも良かった。

翻訳者の古沢氏はあとがきで次作の紹介を記述しすぎだ。何作か前のレビューで同様の意見があったが、今回は私も思い知った。前作『贖罪の街』で、今作の下巻前半の内容まで記述されていた。ありえん…。
ミステリ研究家の霜月蒼氏は#10『天使と罪の街』で「コナリー作品を最大限に楽しむコツは、何の予備知識もなく読むことだ」と解説し、#11『終決者たち』で古沢氏もあとがきで裏表紙のあらすじ紹介も読まないことを勧めているのに。自分が書いたことを忘れたのか?実は本質的おしゃべり男か?
読者によっては予め先を知りたいタイプもいると思うが、私は霜月氏と同様の考えだ。
訳者は今作でも、またもや長々と次作紹介をしているようだが、もうその部分は読まないことにした。
訣別(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:訣別(上) (講談社文庫)より
4065123100
No.17:
(5pt)

環境は変わってもますます元気なハリー・ボッシュ

ボッシュももう65歳を超え、今は私立探偵の免許を持ちながら、一方では無休の非常勤刑事として
勤務している。彼にとって無給でも、刑事のバッジが限定的とはいえ、それなりに捜査上役に立つ
ことがうれしい。さて、この作品では、まさに今のボッシュの二つの顔、私立探偵と刑事、両方に事件が
起き、特に私立探偵として、大富豪より自分の子どもや孫の居所を探るように依頼を受ける事件が、この
作品の主流となる。だが、そこはマイクル・コナリー、刑事としてのボッシュにも非常にハードな仕事もやらせる
ことになる。それは連続婦女暴行事件。これは、富豪の子孫探しとは色合いもことなり、アクションも出て
来て派手だ。どちらのストーリーも基本クロスすることはないが、希代のストーローテラーであるコナリーは見事な
プロットを練り上げ、最後は意外性のある結末も用意してくれている。いつも思うが、コナリーはこれだけ
たくさんの作品を書きながら、「はずれ」が一切ないと言っていい。すべての作品でわくわくさせてくれる。
ボッシュもまだまだ元気そうだ。当分、ボッシュシリーズが終わる心配はする必要がないだけでもうれしい。
訣別(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:訣別(上) (講談社文庫)より
4065123100
No.16:
(5pt)

疾走感

久々と、言うと失礼かもしれないが
焦って読みすすめてしまう内容でした
2度3度とくる疾走感がとても好きです
訣別(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:訣別(下) (講談社文庫)より
4065123119
No.15:
(5pt)

ハリー・ボッシュ・シリーズ最高傑作。

本書の巻末でコナリーは以下のように「謝辞」のなかで語っている。
 「あらゆる小説は調査と経験の産物であるが、なかにはそれだけではすまないほかの要素もある。本書はほかの要素である人々の協力に多く拠っている。筆者は彼らの貢献と、彼らの記憶をわかちあってくれたことに心から感謝する。」
 このあと病院船サンクチュアリ号で実際にその体験をしたベトナムで兵役を務めた元海軍衛生兵に聞き取ったことをボッシュの体験として著者はこのストーリーのなかに挿入している。
 他にもこのストーリーのなかでボッシュが無給の嘱託刑事として務めていたサンフェルナンド市警の協力を得て取材してストーリー・イメージに生かしている。
 ディテールを疎かにしないコナリーならではの徹底した情報取集があってこそこのような傑作を生みだすのだと、納得してしまったのです。
 ベトナム戦争中の輸送用ヘリがベトナム兵狙撃手の銃弾をタービンのカウリングに命中して墜落し、一人のアメリカ兵が「ビビアナ・・・・・・」と叫びながら死んでいったプロローグで上巻は始まり、同じ名前のビビアナの制作したジオラマの序幕式の情景を描き、その彫刻の土台になっているのは、傾いて横たわっているヘリコプターのめちゃくちゃに壊れた機体だった、というアメリカ兵士たちの最後を描くエピローグで下巻を終えている。
 コナリー29作目の長編小説にしてこのような洒落た構成で書ききる才能と取材や情報取集などに重きをおく作家としての矜持を知ることができる作品であった。
 どこかの国の小説家たちへ「コナリーの爪の垢でも煎じて飲め!」と言いたくなりながら本書『決別』の下巻を読み終えたのです。
訣別(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:訣別(下) (講談社文庫)より
4065123119
No.14:
(5pt)

ボッシュの衰えない刑事魂を見事に描いている。

ハリー・ボッシュ・シリーズ19作目『決別』(2016年:原題「The Wrong Side of Goodbye」)の上巻を読み終えた。
 ロス市警を退職したボッシュは、旧知のサンフェルナンド市警本部長のアンソニー・バルデスの要請を受けて無給の嘱託刑事の仕事に就いていた。
 嘱託刑事の要件として毎日勤務に就かなくてもよいから、私立探偵免許も再度取り直して個人的な仕事も受けていた。
 そんなとき、かってロス市警副本部長だったジョン・クライトンから呼び出された。
 市警を退職したあとトライデン・セキュリティ社の重役をしていたクライトンは、ロス市警時代嫌われ者の代表のような男で呼出しを受けたボッシュも会いに行くことに気が乗らなかった。
 クライトンから言われのは、トライデン・セキュリティ社のクライアントである大富豪ホイットニー・ヴァンスがボッシュご指名で仕事を依頼したいから会いにいってほしいというものであった。
 興味をもったボッシュは、翌日大邸宅に住まうヴァンスに会い極秘の仕事を依頼された。
 サンフェルナンド市警では、メキシコ系女性刑事のベラ・ルルデスと連続強姦犯事件(網戸切り)を捜査している。
 著者コナリーは、大富豪ホイットニー・ヴァンスの後継者探しと連続強姦犯事件捜査をパラレルで描く手法で物語を進めていく。
 66歳になったハリー・ボッシュの衰えを見せないベテラン刑事の姿を、相変わらずの緻密なプロット構成で物語を紡いでゆく。
 ベトナム戦時の病院船サンクリチュアリ号で慰問に来たボップ・ホープやコニー・スティ―ヴンなどのエピソードもコナリーらしいディテールで興味を添えている。
 マイクル・コナリーの衰えを見せない創作意欲を感心しながら本書『決別』上巻を読み終えた。
訣別(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:訣別(上) (講談社文庫)より
4065123100
No.13:
(5pt)

スピード感があり面白い

海外ミステリーが好きなのですが、この作者は知らず初めて読みましたが、とても面白くてほかの作品も読みたいと思っています。
訣別(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:訣別(上) (講談社文庫)より
4065123100
No.12:
(5pt)

さすがボッシュシリーズ

おもしろい、翻訳が自然ですばらしい
訣別(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:訣別(下) (講談社文庫)より
4065123119
No.11:
(5pt)

【一部ネタバレあり】クビになってもボッシュはボッシュ

安定して面白い、マイクル・コナリーのボッシュシリーズ最新作。
本作もとても楽しめた。
前々作でまたもロス市警を辞める羽目になったボッシュ。前作では『リンカーン弁護士』ことミッキー・ハラーの調査員という短期アルバイト的な活躍だったが、本作ではいくらか刑事らしい立場に戻り、サンフェルナンド市警に(なんと無給の)予備警官としてパートタイムで勤務するかたわら、探偵としても活動するという、二足のわらじを履いた状態に。

物語も、探偵としては大富豪の遺産相続にまつわる調査、刑事としては連続レイプ犯の追跡と、ふたつの案件が並行して進む。両者は何か関連があるのかと思いきや、結局最後まで交差しなかったのだが、不満は覚えなかった。むしろわざとらしさが無くていいし、ボッシュの元軍人という経歴を生かした人捜しの課程や、新しい相棒ベラ・ルルデスと組んでの事件捜査はともに読み応えがあった。
また、本作では凄惨な殺人事件が起こらない(正確に言うと殺人はあったのだが)。これはこのシリーズでは珍しく、それでも充分なサスペンスを味わえたのは作者の腕だろう。終盤にはちょっと胸に迫る展開や、微笑ましいエピローグもある。
なにより、長期シリーズならではの連続性がちゃんと生きているのが良い。ミッキー・ハラーはシリーズの垣根を超えた共演者として今回も大きな役割を演じているし、ロス市警当時の相棒ルシア・ソトも、優秀な若手としてボッシュが育てている途中で引き離されたのは残念だったので、ちらっと再登場したのがうれしかった。大学生になった愛娘マディの成長もさりげなく描かれる。

マイクル・コナリーは初期の作品では主人公に格好つけさせすぎて鼻につくことがあったのだが、近年は円熟味が出て読みやすくなり、かつ面白さも増しているように思う。
本作の最後で、晴れてフルタイム(一時離職者の補充だけど)の刑事として勤務することが決まったボッシュが、次作ではどんな活躍をするのか、今から楽しみだ。
訣別(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:訣別(下) (講談社文庫)より
4065123119
No.10:
(4pt)

公私混同がひどい

レイプ犯に辿り着くのが少々強引だったけど、作品はまあまあかな。気になるのは、ボッシュに魅力がなくなってきたこと。心身は衰え始めているのに、絶頂期を忘れられずいつまでもプライドだけは高いという公務員OBにありがちな症状が顕著になってきた。加えて、仕事中に娘にメールを送ったり、探偵業務を優先したため同僚がレイプ監禁されたり、大きなヘマをやる前に警察業務からは引退すべき時期ではないかな。
訣別(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:訣別(下) (講談社文庫)より
4065123119
No.9:
(5pt)

ボッシュの原点を回帰させる傑作

『ナイトホークス』で始まったハリー・ボッシュ・シリーズも、主人公が60代後半に差し掛かった今、終盤を迎えつつある感がある。LA警察を退職し、サンフェルナンド市警の非常勤職員として細々と警官業を続ける一方、私立探偵の免許を再取得し、警察の事件と探偵の事件の二つを抱え込む。警察の事件は連続レイプ事件、探偵の事件は遺産相続のための古い血縁者の捜査依頼。

 探偵の一件では、長らく追想されることのなかったヴェトナムでのトンネルネズミ時代が、事件とのかかわりによってボッシュの心に帰ってくる。ヴェトナムで心身共に傷を負ったボッシュは、初期作品では戦場の暗い影をひきずった刑事でもあった。そのことが書かれなくなって久しいにも関わらず、まさにシリーズ終盤を思わせる今になって、老齢に達したボッシュの前にヴェトナム時代が蘇る。

 今になってボッシュという人間像の一部を象ることになったヴェトナムを、改めて当人に振り返させることになるこの事件。主人公とそのシリーズをより深部まで理解させるために重要なポイントとなり得る一冊。蘇るヘンドリックス、クリーム、ストーンズ、ムーディ・ブルース。『青春の光と影』。まさにぼく自身も、日々ギターと長髪とベルボトムで送って過ごした1970年の日々。

 さらに、病院船にヘリで慰問に訪れたボブ・ホープとコニー・スティーヴンスの挿話。強風で一旦は着艦を諦めながらも、引き返して強引に船に着け、五か月前に月面を歩いたアームストロングとともに彼らが降り立った昔日のエピソード。その後、コニーとLAのシアターで再会した時の追想を共有する一瞬。心にずんと来る情感に満ちたこれらのシーンは、本書における追憶の名シーンである。

 以上のことだけでも本書はシリーズにとってとても重要な意味を成すことのように思う。ましてや大学に通う娘マディとの時間の中ですら、ヴェトナムの時間が登場するようになるのである。そしてリンカーン弁護士ミッキー・ハラーとの重要な共同作業に取り組んでゆく点も含め、最新のオールスターキャストで臨む本書で、ボッシュは非常に困難な二つの事件に取り組んでゆく。

 さて本作は、タイトルも重要だ。チャンドリアンである作者は、この作品に『ロング・グッドバイ』へのオマージュとも取れる名をつけた。"Tre Wrong Side of Goodbye"。矢作俊彦の二村刑事シリーズ『ロング・グッドバイ Wrong Goodbye』を想起する人もハードボイルド・ファンであれば、少なくないに違いない。

 LA市警を追われたからのボッシュの今後が気になる。一作毎に急変を遂げつつ、それらのバリエーションのなかで、一歩も譲ることなくハイレベルのストーリーを編み続けるコナリーの手腕に市警の仲間たちとともに、高らかなスタンディング・オベーションを送りたい。
訣別(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:訣別(上) (講談社文庫)より
4065123100
No.8:
(5pt)

ボッシュの原点を回帰させる傑作させる傑作

『ナイトホークス』で始まったハリー・ボッシュ・シリーズも、主人公が60代後半に差し掛かった今、終盤を迎えつつある感がある。LA警察を退職し、サンフェルナンド市警の非常勤職員として細々と警官業を続ける一方、私立探偵の免許を再取得し、警察の事件と探偵の事件の二つを抱え込む。警察の事件は連続レイプ事件、探偵の事件は遺産相続のための古い血縁者の捜査依頼。

 探偵の一件では、長らく追想されることのなかったヴェトナムでのトンネルネズミ時代が、事件とのかかわりによってボッシュの心に帰ってくる。ヴェトナムで心身共に傷を負ったボッシュは、初期作品では戦場の暗い影をひきずった刑事でもあった。そのことが書かれなくなって久しいにも関わらず、まさにシリーズ終盤を思わせる今になって、老齢に達したボッシュの前にヴェトナム時代が蘇る。

 今になってボッシュという人間像の一部を象ることになったヴェトナムを、改めて当人に振り返させることになるこの事件。主人公とそのシリーズをより深部まで理解させるために重要なポイントとなり得る一冊。蘇るヘンドリックス、クリーム、ストーンズ、ムーディ・ブルース。『青春の光と影』。まさにぼく自身も、日々ギターと長髪とベルボトムで送って過ごした1970年の日々。

 さらに、病院船にヘリで慰問に訪れたボブ・ホープとコニー・スティーヴンスの挿話。強風で一旦は着艦を諦めながらも、引き返して強引に船に着け、五か月前に月面を歩いたアームストロングとともに彼らが降り立った昔日のエピソード。その後、コニーとLAのシアターで再会した時の追想を共有する一瞬。心にずんと来る情感に満ちたこれらのシーンは、本書における追憶の名シーンである。

 以上のことだけでも本書はシリーズにとってとても重要な意味を成すことのように思う。ましてや大学に通う娘マディとの時間の中ですら、ヴェトナムの時間が登場するようになるのである。そしてリンカーン弁護士ミッキー・ハラーとの重要な共同作業に取り組んでゆく点も含め、最新のオールスターキャストで臨む本書で、ボッシュは非常に困難な二つの事件に取り組んでゆく。

 さて本作は、タイトルも重要だ。チャンドリアンである作者は、この作品に『ロング・グッドバイ』へのオマージュとも取れる名をつけた。"Tre Wrong Side of Goodbye"。矢作俊彦の二村刑事シリーズ『ロング・グッドバイ Wrong Goodbye』を想起する人もハードボイルド・ファンであれば、少なくないに違いない。

 LA市警を追われたからのボッシュの今後が気になる。一作毎に急変を遂げつつ、それらのバリエーションのなかで、一歩も譲ることなくハイレベルのストーリーを編み続けるコナリーの手腕に市警の仲間たちとともに、高らかなスタンディング・オベーションを送りたい。
訣別(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:訣別(下) (講談社文庫)より
4065123119
No.7:
(5pt)

あらゆる面で凄い

ボッシュシリーズはずっと読み続けていますが、それぞれに惹きつけられ、飽きることがありません。作品ごとにさらに面白くなります。
訣別(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:訣別(上) (講談社文庫)より
4065123100
No.6:
(5pt)

さすがはコナリー

無給(!)の警察官としての連続強姦事件と、私立探偵としての資産家の隠し子捜しが並行して進行。
素晴らしく面白い。
訣別(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:訣別(上) (講談社文庫)より
4065123100
No.5:
(5pt)

極上のハードボイルド

連続強姦事件と資産家の隠し子捜しもハリーの機転で後味の良い終結に。コナリーは流石である。
ただ、前回もコピー機に忘れ物をする致命的ミス。今回もプリントアウトしっぱなしであやうく解雇されそうになるハリー。やはり齢60を超えて衰えは隠せない。
今後、新キャラでの新作が(日本では)続くらしいが、ハリー・ボッシュが主人公の作品をもう少し読みたい気がする。
訣別(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:訣別(下) (講談社文庫)より
4065123119
No.4:
(5pt)

上巻の一節

(ボッシュが)やっと口にできたのは「1969年クリスマス・イブ。病院船」だけだった。
 スティーヴンスは、一瞬ボッシュを見つめ、理解すると、ボッシュを引き寄せてハグした。耳元で彼女は囁いた。「サンクチュアリ号。あなたは故郷に帰ってきたのね」
訣別(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:訣別(上) (講談社文庫)より
4065123100
No.3:
(5pt)

刑事ボッシュシリーズ最近刊。主人公の生き方は、日本の警察官・公務員・サラリーマンにも深い共感を以て読んでもらえるだろう。

(注:恐縮ながら、上巻と同じ内容を投稿した)

滅私奉公で、一途なボッシュの生き方は、日本の警察官・公務員・サラリーマンの大半にも、共感を以て読んでもらえるだろう。 

コナリーに限らないが、アメリカのサスペンスを読むと、アメリカ人と日本人は、勤労意欲が旺盛であること、誠実さを重視すること(つまり人としての生き方全般)について、かなり分かり合える国民性と感じることが多い。 人種と宗教が違い、太平洋を挟んで物理的距離も遠い国であるが、半世紀を超えても日米軍事同盟が実効性をもつ所以で、距離が近いのに人生観が分かり合えない北東アジアの儒教圏と、対照的である。

コナリーの邦訳を全部読みつくした後、未訳が4作品あるのを知ってTHE WRONG SIDE OF GOODBYEのペーパーバックを、この邦訳発売から1ヵ月ほど前に購入した。
 原書を本文20ページかそこら、四苦八苦して読んだところでアマゾンから本書(邦訳上下巻)が届いたので、ペーパーバックを放り出し、1日半で日本語版を読了した。

ボッシュシリーズは、犯罪被害者の変死体から物語が始まるケースが多いが、「訣別」はそうではない。 兼業している私立探偵として、生きている人がクライアントである(途中で変死してしまうが)。

苦労しながら、妨害を受けながら、半世紀前に遡って人の動きを追っていくボッシュの手法、そして要所要所で事件を解決に導く閃き(そして意外な真犯人像)、複線が絡み合うストーリー展開は、「同じパターンの、水戸黄門だなあ」と思いつつ、読み手の私(昨春まで、1/3世紀以上を保険調査員として奉職した)を興奮させ、魅了せずにはおかない。
 勿論、ストーリーそのものはフィクションだが、カリフォルニア州を中心とした地理歴史、アメリカ人の日常生活(特にヒスパニック人口・文化の著しい拡張)、司法をはじめとする公的制度、警察官の捜査・調査手法は、ほとんど100%実際のそれに基づいたものだ。

カリフォルニア州の貧乏な小規模自治体警察に、人件費削減を目的とした無給のパートタイム捜査官という職制があるのも、多分本当だろう。 時給3ドルどころかタダ!、究極のコストカットだ(但し、実際には、人一人雇えば、間接経費が年間100万円や150万円はかかる)。 治安分野での無給パートタイム公務員制度(都道府県警の刑事さんに限らず、自衛隊、海上保安庁なども含む)は、人手不足なのに定年退職者が無聊をかこつている我が国でも、取り入れていいのではないだろうか。

【蛇足:間違い探し】
浅学な私の拙訳は省略するが、邦訳下巻で2ヵ所、読み手のリズムを阻害する不自然な訳がある、と私は思う。原書を当たって、やっとストーリーが呑み込めた。

1)第40章後半 下巻p.283(原書p.401)
 訳:「住み込みの医官がいたんだ」ポイドラスは言った。「用語をいい加減に使っている。(以下略)」
 原文:"They had a house medical officer," he said. "I use that term loosely. ..."

※レビュアー私見:「医官」が、次の文(警備担当者が救急治療の研修を受けていたこと)に素直に繋がらないし、「用語をいい加減につかっている」のが誰なのか、邦訳だけでは主語が誰なのか暫く考えないと見えてこない。 「医官」ということばをポイドラス刑事が使ったのを、自分自身ですぐ不適切だったと訂正した、ことが原文をみるとわかる。
 
 どんな翻訳でも(口語の通訳でも)言えることだが、外国語を1:1で別の言語に言い換えることはできないことは、外国語を学べば学ぶほどわかる。 だから、翻訳で文芸書を読むときは原書を傍らにおいて、引っ掛ったところを確かめながら読む、というスタイルは案外いいかも知れない。

2)第42章後半 下巻p.310(原書p.418) ハラー弁護士の発言
 訳:「・・・そのときは、財産からかなりの和解金を交渉で引き出し、テーブルに金と会社を置いたまま立ち去る」
 原文:"・・・Then we negotiate a nice settlement from the estate and we go away,leaving money and the corporation on the table."

※レビュアー私見:ここも邦訳だけ読んでいると意味がとりにくい流れである。 邦訳と原書を30分見比べて、古沢氏がThenを「そのときは」と訳した理由がやっとわかったが、ここは大幅に意訳しないと翻訳の読者は話の筋を見失ってしまうのではないだろうか。

【補足】
 本国で出版されているのに、現時点で邦訳されていないボッシュシリーズ作品が、本書を除いてもまだ2~3冊あるという。 サスペンスを英語でストレスなく読める人(5%もいるのだろうか?)なら、ペーパーバックを取り寄せて読んだほうが安いし早いが、私を含めておおかたの日本人のために、出版社は邦訳を急いでいただきたい。
訣別(下) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:訣別(下) (講談社文庫)より
4065123119
No.2:
(5pt)

破綻のない、もう一つの"大いなる眠り"

マイクル・コナリーの旧作「ブラック・アイス」、「ブラック・ハート」を再読した直後、この「訣別(上・下)("The Wrong Side of Good Bye")」(講談社文庫)を読む。
 多くの読者が指摘することになるのでしょうが、これはコナリーの"The Long Goodbye"、"The Big Sleep"であり、そのタイトルはまた、ロス・マクドナルドの「ドルの向こう側"The Far Side of the Dollar"」をも暗示しています。
 ボッシュはサンフェルナンド市警察の予備警官として勤務しながら、新たに私立探偵免許を取り直しています。そして、大富豪ヴァンスから(彼は終生独身でしたが)若き日の恋人、或いは二人の間に出来た子供を見つけてほしいと依頼されます。莫大な遺産。相続。ドルの向こう側。一方、彼はサンフェルナンドで発生している連続婦女暴行事件もまた一警官としての使命感を持って無給で追跡することになります。私立探偵と警官。二足の草鞋。まあ、書けるのはここまででしょうね。上巻が終わる間際、共に事件が動き出します。そして、リンカーンに乗ったもう一人のボッシュが現れることになります(笑)
 前半は、フィリップ・マーロウのようなボッシュがヴェトナム戦争というアメリカの「現代史」の中でリュー・アーチャーの「血」の物語を丹念に辿り、特に(ボッシュの忘れがたい思い出にも重なる)zippoとヘッセの「荒野の狼」が入った小型トランクが再読した二つの過去の作品を引き寄せながら、ボブ・ホープとコニー・スティーヴンスが登場する件(くだり)で心が震えました。警官としての最高の日は、一読者に「最高のパセティックな歓び」を与えてくれることでしょう。
 DNA、GPS、ドローンの存在は時の警察小説を大きく変えてしまったかもしれないと思いながら、そしてそれらが1960年代にも存在していたとしたら西海岸ハードボイルドは果たしてあり得たのだろうかと疑問を呈していたにもかかわらず、マイクル・コナリーはこの物語に於いてもその明らかな答えを速やかに指し示してくれたのだと思います。ミステリという名のカテゴリーにおいて、常に読者はWrong Sideに押しやられながら最後の最後で正しい道筋に押し戻してくれるキックがあることを望んでいるのだと思います。そういう意味では、いつものようにリーダビリティ、マックスのストーリーとハメットの昔から変わらない「正統ハードボイルド」の粋がここにはあります。この小説は破綻のない、もう一つの"大いなる眠り"なのだと思います。
 ボッシュはもはや恋愛からは遠く置いていかれ、娘マディのご機嫌に左右される初老の男として描かれながらも、いつまでもその警官の血は熱く、煮え滾っています。
訣別(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:訣別(上) (講談社文庫)より
4065123100
No.1:
(5pt)

ボッシュの生き方は、日本の警察官・公務員・サラリーマンにも深い共感を以て読んでもらえるだろう。

滅私奉公で、一途なボッシュの生き方は、日本の警察官・公務員・サラリーマンの大半にも、共感を以て読んでもらえるだろう。 

コナリーに限らないが、アメリカのサスペンスを読むと、アメリカ人と日本人は、勤労意欲が旺盛であること、誠実さを重視すること(つまり人としての生き方全般)について、かなり分かり合える国民性と感じることが多い。 人種と宗教が違い、太平洋を挟んで物理的距離も遠い国であるが、半世紀を超えても日米軍事同盟が実効性をもつ所以で、距離が近いのに人生観が分かり合えない北東アジアの儒教圏と、対照的である。

コナリーの邦訳を全部読みつくした後、未訳が4作品あるのを知ってTHE WRONG SIDE OF GOODBYE(邦題:訣別 上下)のペーパーバックを、この邦訳発売から1ヵ月ほど前にに購入した。
 原書を本文20ページかそこら、四苦八苦して読んだところで邦訳上下巻が届いたので、ペーパーバックを放り出し、1日半で日本語版を読了した。

ボッシュシリーズの物語は、変死体から始まるケースが多いが「訣別」はそうではない。 無給の刑事と兼業している私立探偵の依頼仕事として、生きている人がクライアント(途中で変死してしまうが)だ。

苦労しながら、妨害を受けながら、半世紀前に遡って人の動きを追っていくボッシュの手法、そして要所要所で事件を解決に導く閃き(そして意外な真犯人像)、複線が絡み合うストーリー展開は、「同じパターンの、水戸黄門だなあ」と思いつつ、読み手の私(昨春まで、1/3世紀以上を保険調査員として奉職した)を興奮させ、魅了せずにはおかない。
 勿論、ストーリーそのものはフィクションだが、カリフォルニア州を中心とした地理歴史、アメリカ人の日常生活(特にヒスパニック人口・文化の著しい拡張)、司法をはじめとする公的制度、警察官の捜査・調査手法は、ほとんど100%実際のそれに基づいたものだ。

カリフォルニア州の貧乏な小規模自治体警察に、人件費削減を目的とした無給のパートタイム捜査官という職制があるのも、多分本当だろう。 時給3ドルどころかタダ!、究極のコストカットだ(但し、実際には、人一人雇えば、間接経費が年間100万円や150万円はかかる)。 治安分野での無給パートタイム公務員制度(都道府県警の刑事さんに限らず、自衛隊、海上保安庁なども含む)は、人手不足なのに定年退職者が無聊をかこつている我が国でも、取り入れていいのではないだろうか。

【蛇足:間違い探し】
浅学な私の拙訳は省略するが、邦訳下巻で2ヵ所、読み手のリズムを阻害する不自然な訳がある、と私は思う。原書を当たって、やっと呑み込めた。

1)第40章後半 下巻p.283(原書p.401)
 訳:「住み込みの医官がいたんだ」ポイドラスは言った。「用語をいい加減に使っている。(以下略)」
 原文:"They had a house medical officer," he said. "I use that term loosely. ..."

※レビュアー私見:「医官」が、次の文(警備担当者が救急治療の研修を受けていたこと)に素直に繋がらないし、「用語をいい加減につかっている」は、邦訳だけでは主語が誰なのか暫く考えないと見えてこない。 「医官」ということばをポイドラス刑事が使ったのを、自分自身ですぐ不適切だったと訂正したことが原文をみるとわかる。
 
 どんな翻訳でも(口語の通訳でも)言えることだが、外国語を1:1で別の言語に言い換えることはできないことは、外国語を学べば学ぶほどわかる。 だから、翻訳で文芸書を読むときは原書を傍らにおいて、引っ掛ったところを確かめながら読む、というスタイルは案外いいかも知れない。

2)第42章後半 下巻p.310(原書p.418) ハラー弁護士の発言
 訳:「・・・そのときは、財産からかなりの和解金を交渉で引き出し、テーブルに金と会社を置いたまま立ち去る」
 原文:"・・・Then we negotiate a nice settlement from the estate and we go away,leaving money and the corporation on the table."

※レビュアー私見:ここも邦訳だけ読んでいると意味がとりにくい流れである。 邦訳と原書を30分見比べて、古沢氏がThenを「そのときは」と訳した理由がやっとわかったが、ここは大幅に意訳しないと翻訳の読者は話の筋を見失ってしまうのではないだろうか。
訣別(上) (講談社文庫)Amazon書評・レビュー:訣別(上) (講談社文庫)より
4065123100

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