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訣別
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訣別の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.42pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全24件 1~20 1/2ページ
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面白い。 | ||||
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面白い。 | ||||
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ボッシュ・シリーズ19弾。 縁あって新たな警察署における無給(!)非常勤の刑事としての仕事、再取得した私立探偵としての仕事の、またもや事件は”2本立て”。 2本立ては前々作『燃える部屋』に続いてだが、私が慣れたのか、今回のふたつの職務に応じているためか、前回ほど違和感を覚えなかった。 刑事として取り組む連続レイプ事件は本シリーズらしい。詳細は伏せるが内容はとてもひどいものだ。 私立探偵として取り組む富豪の子孫探しに関しては、悲しみと情緒を感じた。第2次世界大戦後~ヴェトナム戦争時代は、現在よりもまだまだ家族のしがらみやヒスパニック系への差別があった。 ボッシュの生い立ちと共通するところがあり、さらにヴェトナム戦争も経験していることから、彼がその背景をより理解し共感できるようすが伝わった。 結末に向けての細々としたいきさつの記述は(あえて)ないが何となく想像つくし、エピローグはよかった。 ボッシュの加齢に伴い、シリーズの内容もそれに応じて変遷している。 まず体力的な衰えを自覚している。 孤独なアウトローだったボッシュが、途中からイクメンになり、最近は気難しい思春期にある娘マディの顔色伺いとご機嫌取りに終始していてちょっと呆れる面もあったが、本作では言うべきところでちゃんと言っている。 加えて、何かと同僚の中に敵を作ってきたボッシュだが(これは相手がクソ野郎だからだが)、本作ではボッシュの仕事ぶりで、ふたりも見直させたところも良かった。 翻訳者の古沢氏はあとがきで次作の紹介を記述しすぎだ。何作か前のレビューで同様の意見があったが、今回は私も思い知った。前作『贖罪の街』で、今作の下巻前半の内容まで記述されていた。ありえん…。 ミステリ研究家の霜月蒼氏は#10『天使と罪の街』で「コナリー作品を最大限に楽しむコツは、何の予備知識もなく読むことだ」と解説し、#11『終決者たち』で古沢氏もあとがきで裏表紙のあらすじ紹介も読まないことを勧めているのに。自分が書いたことを忘れたのか?実は本質的おしゃべり男か? 読者によっては予め先を知りたいタイプもいると思うが、私は霜月氏と同様の考えだ。 訳者は今作でも、またもや長々と次作紹介をしているようだが、もうその部分は読まないことにした。 | ||||
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ボッシュももう65歳を超え、今は私立探偵の免許を持ちながら、一方では無休の非常勤刑事として 勤務している。彼にとって無給でも、刑事のバッジが限定的とはいえ、それなりに捜査上役に立つ ことがうれしい。さて、この作品では、まさに今のボッシュの二つの顔、私立探偵と刑事、両方に事件が 起き、特に私立探偵として、大富豪より自分の子どもや孫の居所を探るように依頼を受ける事件が、この 作品の主流となる。だが、そこはマイクル・コナリー、刑事としてのボッシュにも非常にハードな仕事もやらせる ことになる。それは連続婦女暴行事件。これは、富豪の子孫探しとは色合いもことなり、アクションも出て 来て派手だ。どちらのストーリーも基本クロスすることはないが、希代のストーローテラーであるコナリーは見事な プロットを練り上げ、最後は意外性のある結末も用意してくれている。いつも思うが、コナリーはこれだけ たくさんの作品を書きながら、「はずれ」が一切ないと言っていい。すべての作品でわくわくさせてくれる。 ボッシュもまだまだ元気そうだ。当分、ボッシュシリーズが終わる心配はする必要がないだけでもうれしい。 | ||||
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久々と、言うと失礼かもしれないが 焦って読みすすめてしまう内容でした 2度3度とくる疾走感がとても好きです | ||||
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本書の巻末でコナリーは以下のように「謝辞」のなかで語っている。 「あらゆる小説は調査と経験の産物であるが、なかにはそれだけではすまないほかの要素もある。本書はほかの要素である人々の協力に多く拠っている。筆者は彼らの貢献と、彼らの記憶をわかちあってくれたことに心から感謝する。」 このあと病院船サンクチュアリ号で実際にその体験をしたベトナムで兵役を務めた元海軍衛生兵に聞き取ったことをボッシュの体験として著者はこのストーリーのなかに挿入している。 他にもこのストーリーのなかでボッシュが無給の嘱託刑事として務めていたサンフェルナンド市警の協力を得て取材してストーリー・イメージに生かしている。 ディテールを疎かにしないコナリーならではの徹底した情報取集があってこそこのような傑作を生みだすのだと、納得してしまったのです。 ベトナム戦争中の輸送用ヘリがベトナム兵狙撃手の銃弾をタービンのカウリングに命中して墜落し、一人のアメリカ兵が「ビビアナ・・・・・・」と叫びながら死んでいったプロローグで上巻は始まり、同じ名前のビビアナの制作したジオラマの序幕式の情景を描き、その彫刻の土台になっているのは、傾いて横たわっているヘリコプターのめちゃくちゃに壊れた機体だった、というアメリカ兵士たちの最後を描くエピローグで下巻を終えている。 コナリー29作目の長編小説にしてこのような洒落た構成で書ききる才能と取材や情報取集などに重きをおく作家としての矜持を知ることができる作品であった。 どこかの国の小説家たちへ「コナリーの爪の垢でも煎じて飲め!」と言いたくなりながら本書『決別』の下巻を読み終えたのです。 | ||||
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ハリー・ボッシュ・シリーズ19作目『決別』(2016年:原題「The Wrong Side of Goodbye」)の上巻を読み終えた。 ロス市警を退職したボッシュは、旧知のサンフェルナンド市警本部長のアンソニー・バルデスの要請を受けて無給の嘱託刑事の仕事に就いていた。 嘱託刑事の要件として毎日勤務に就かなくてもよいから、私立探偵免許も再度取り直して個人的な仕事も受けていた。 そんなとき、かってロス市警副本部長だったジョン・クライトンから呼び出された。 市警を退職したあとトライデン・セキュリティ社の重役をしていたクライトンは、ロス市警時代嫌われ者の代表のような男で呼出しを受けたボッシュも会いに行くことに気が乗らなかった。 クライトンから言われのは、トライデン・セキュリティ社のクライアントである大富豪ホイットニー・ヴァンスがボッシュご指名で仕事を依頼したいから会いにいってほしいというものであった。 興味をもったボッシュは、翌日大邸宅に住まうヴァンスに会い極秘の仕事を依頼された。 サンフェルナンド市警では、メキシコ系女性刑事のベラ・ルルデスと連続強姦犯事件(網戸切り)を捜査している。 著者コナリーは、大富豪ホイットニー・ヴァンスの後継者探しと連続強姦犯事件捜査をパラレルで描く手法で物語を進めていく。 66歳になったハリー・ボッシュの衰えを見せないベテラン刑事の姿を、相変わらずの緻密なプロット構成で物語を紡いでゆく。 ベトナム戦時の病院船サンクリチュアリ号で慰問に来たボップ・ホープやコニー・スティ―ヴンなどのエピソードもコナリーらしいディテールで興味を添えている。 マイクル・コナリーの衰えを見せない創作意欲を感心しながら本書『決別』上巻を読み終えた。 | ||||
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海外ミステリーが好きなのですが、この作者は知らず初めて読みましたが、とても面白くてほかの作品も読みたいと思っています。 | ||||
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おもしろい、翻訳が自然ですばらしい | ||||
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安定して面白い、マイクル・コナリーのボッシュシリーズ最新作。 本作もとても楽しめた。 前々作でまたもロス市警を辞める羽目になったボッシュ。前作では『リンカーン弁護士』ことミッキー・ハラーの調査員という短期アルバイト的な活躍だったが、本作ではいくらか刑事らしい立場に戻り、サンフェルナンド市警に(なんと無給の)予備警官としてパートタイムで勤務するかたわら、探偵としても活動するという、二足のわらじを履いた状態に。 物語も、探偵としては大富豪の遺産相続にまつわる調査、刑事としては連続レイプ犯の追跡と、ふたつの案件が並行して進む。両者は何か関連があるのかと思いきや、結局最後まで交差しなかったのだが、不満は覚えなかった。むしろわざとらしさが無くていいし、ボッシュの元軍人という経歴を生かした人捜しの課程や、新しい相棒ベラ・ルルデスと組んでの事件捜査はともに読み応えがあった。 また、本作では凄惨な殺人事件が起こらない(正確に言うと殺人はあったのだが)。これはこのシリーズでは珍しく、それでも充分なサスペンスを味わえたのは作者の腕だろう。終盤にはちょっと胸に迫る展開や、微笑ましいエピローグもある。 なにより、長期シリーズならではの連続性がちゃんと生きているのが良い。ミッキー・ハラーはシリーズの垣根を超えた共演者として今回も大きな役割を演じているし、ロス市警当時の相棒ルシア・ソトも、優秀な若手としてボッシュが育てている途中で引き離されたのは残念だったので、ちらっと再登場したのがうれしかった。大学生になった愛娘マディの成長もさりげなく描かれる。 マイクル・コナリーは初期の作品では主人公に格好つけさせすぎて鼻につくことがあったのだが、近年は円熟味が出て読みやすくなり、かつ面白さも増しているように思う。 本作の最後で、晴れてフルタイム(一時離職者の補充だけど)の刑事として勤務することが決まったボッシュが、次作ではどんな活躍をするのか、今から楽しみだ。 | ||||
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娼婦の母を何者かに殺され、そしてベトナム戦争で「トンネル鼠」として、狭く長いトンネルでいつ現れるかわからないベトコンの恐怖と直面してきたボッシュ。この二つのトラウマがシリーズ初期の作品には色濃く影を落とし、独特の陰鬱なムードをつくりだしていた。だが、最近の作品は、独特の陰鬱なムードは影をひそめ、なにやら普通の探偵小説になっていた。 本書は、冒頭、ベトナム戦争のシーンから始まり、昔の雰囲気に戻るのかな、と思って期待して読んだ。大富豪の財産の相続人を探す探偵としての仕事をしながら、連続レイプ犯を追うボッシュ。だが、ストーリーは単純で、ひねりもなく、レイプ犯はすんなりとつかまってしまう。レイプ犯を捕まえるシーンはちょっとトンネル鼠になったみたいだけど、傑作『エコー・パーク』での同じようなシーンにははるかに及ばない。 また、タイトルがチャンドラーの‘The Long Goodbye’とロス・マクドナルドの’The Far Side of the Dollar’ を連想させるけど、大富豪一家の腐敗が描かれるわけでもなければ、妖艶な悪女も出てこない。 普通の探偵小説としては及第点かもしれないけど、このシリーズの読者にはものたりない。おまけに、謎はすべて解決されて終わるわけでもない。遺産相続をめぐって遺伝子鑑定を依頼した会社が放火される事件も起こるのだが、こちらは犯人がつかまらないままに事件は終わり、ちょっと消化不良。 つまらないなぁ、と思いながら読み進めていくと、最後にベトナム戦争にからむ彫刻の展示の話で終わる。ああ、そうか、コナリーは冒頭と最後にベトナム戦争にからむエピソードを入れたかったのか、と納得。だったら、こんな長編にせずにもっと短くすればいいのに、と思った。 | ||||
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娼婦の母を何者かに殺され、そしてベトナム戦争で「トンネル鼠」として、狭く長いトンネルでいつ現れるかわからないベトコンの恐怖と直面してきたボッシュ。この二つのトラウマがシリーズ初期の作品には色濃く影を落とし、独特の陰鬱なムードをつくりだしていた。だが、最近の作品は、独特の陰鬱なムードは影をひそめ、なにやら普通の探偵小説になっていた。 本書は、冒頭、ベトナム戦争のシーンから始まり、昔の雰囲気に戻るのかな、と思って期待して読んだ。大富豪の財産の相続人を探す探偵としての仕事をしながら、連続レイプ犯を追うボッシュ。だが、ストーリーは単純で、ひねりもなく、レイプ犯はすんなりとつかまってしまう。レイプ犯を捕まえるシーンはちょっとトンネル鼠になったみたいだけど、傑作『エコー・パーク』にははるかに及ばない。 また、タイトルがチャンドラーの‘The Long Goodbye’とロス・マクドナルドの’The Far Side of the Dollar’ を連想させるけど、大富豪一家の腐敗が描かれるわけでもなければ、妖艶な悪女も出てこない。 普通の探偵小説としては及第点かもしれないけど、このシリーズの読者にはものたりない。おまけに、謎はすべて解決されて終わるわけでもない。遺産相続をめぐって遺伝子鑑定を依頼した会社が放火される事件も起こるのだが、こちらは犯人がつかまらないままに事件は終わり、ちょっと消化不良。 つまらないなぁ、と思いながら読み進めていくと、最後にベトナム戦争にからむ彫刻の展示の話で終わる。ああ、そうか、コナリーは冒頭と最後にベトナム戦争にからむエピソードを入れたかったのか、と納得。だったら、こんな長編にせずにもっと短くすればいいのに、と思った。 | ||||
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著者の本は初めて読みました。 大富豪の跡継ぎ探しと、連続レイプ犯を追うというのが筋ですが、展開に何の意外性もなく、主人公に特段の感情移入も出来ず。 これがアメリカ随一のストーリーテラーの作品とはにわかに信じがたいです。 これを機にハリー・ボッシュシリーズを、と思いましたが、出鼻を挫かれました。 あと、300ページ強の厚さで上下巻約2000円は痛い。じゅうぶん一冊にまとめられる内容の薄さです。 | ||||
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レイプ犯に辿り着くのが少々強引だったけど、作品はまあまあかな。気になるのは、ボッシュに魅力がなくなってきたこと。心身は衰え始めているのに、絶頂期を忘れられずいつまでもプライドだけは高いという公務員OBにありがちな症状が顕著になってきた。加えて、仕事中に娘にメールを送ったり、探偵業務を優先したため同僚がレイプ監禁されたり、大きなヘマをやる前に警察業務からは引退すべき時期ではないかな。 | ||||
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『ナイトホークス』で始まったハリー・ボッシュ・シリーズも、主人公が60代後半に差し掛かった今、終盤を迎えつつある感がある。LA警察を退職し、サンフェルナンド市警の非常勤職員として細々と警官業を続ける一方、私立探偵の免許を再取得し、警察の事件と探偵の事件の二つを抱え込む。警察の事件は連続レイプ事件、探偵の事件は遺産相続のための古い血縁者の捜査依頼。 探偵の一件では、長らく追想されることのなかったヴェトナムでのトンネルネズミ時代が、事件とのかかわりによってボッシュの心に帰ってくる。ヴェトナムで心身共に傷を負ったボッシュは、初期作品では戦場の暗い影をひきずった刑事でもあった。そのことが書かれなくなって久しいにも関わらず、まさにシリーズ終盤を思わせる今になって、老齢に達したボッシュの前にヴェトナム時代が蘇る。 今になってボッシュという人間像の一部を象ることになったヴェトナムを、改めて当人に振り返させることになるこの事件。主人公とそのシリーズをより深部まで理解させるために重要なポイントとなり得る一冊。蘇るヘンドリックス、クリーム、ストーンズ、ムーディ・ブルース。『青春の光と影』。まさにぼく自身も、日々ギターと長髪とベルボトムで送って過ごした1970年の日々。 さらに、病院船にヘリで慰問に訪れたボブ・ホープとコニー・スティーヴンスの挿話。強風で一旦は着艦を諦めながらも、引き返して強引に船に着け、五か月前に月面を歩いたアームストロングとともに彼らが降り立った昔日のエピソード。その後、コニーとLAのシアターで再会した時の追想を共有する一瞬。心にずんと来る情感に満ちたこれらのシーンは、本書における追憶の名シーンである。 以上のことだけでも本書はシリーズにとってとても重要な意味を成すことのように思う。ましてや大学に通う娘マディとの時間の中ですら、ヴェトナムの時間が登場するようになるのである。そしてリンカーン弁護士ミッキー・ハラーとの重要な共同作業に取り組んでゆく点も含め、最新のオールスターキャストで臨む本書で、ボッシュは非常に困難な二つの事件に取り組んでゆく。 さて本作は、タイトルも重要だ。チャンドリアンである作者は、この作品に『ロング・グッドバイ』へのオマージュとも取れる名をつけた。"Tre Wrong Side of Goodbye"。矢作俊彦の二村刑事シリーズ『ロング・グッドバイ Wrong Goodbye』を想起する人もハードボイルド・ファンであれば、少なくないに違いない。 LA市警を追われたからのボッシュの今後が気になる。一作毎に急変を遂げつつ、それらのバリエーションのなかで、一歩も譲ることなくハイレベルのストーリーを編み続けるコナリーの手腕に市警の仲間たちとともに、高らかなスタンディング・オベーションを送りたい。 | ||||
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『ナイトホークス』で始まったハリー・ボッシュ・シリーズも、主人公が60代後半に差し掛かった今、終盤を迎えつつある感がある。LA警察を退職し、サンフェルナンド市警の非常勤職員として細々と警官業を続ける一方、私立探偵の免許を再取得し、警察の事件と探偵の事件の二つを抱え込む。警察の事件は連続レイプ事件、探偵の事件は遺産相続のための古い血縁者の捜査依頼。 探偵の一件では、長らく追想されることのなかったヴェトナムでのトンネルネズミ時代が、事件とのかかわりによってボッシュの心に帰ってくる。ヴェトナムで心身共に傷を負ったボッシュは、初期作品では戦場の暗い影をひきずった刑事でもあった。そのことが書かれなくなって久しいにも関わらず、まさにシリーズ終盤を思わせる今になって、老齢に達したボッシュの前にヴェトナム時代が蘇る。 今になってボッシュという人間像の一部を象ることになったヴェトナムを、改めて当人に振り返させることになるこの事件。主人公とそのシリーズをより深部まで理解させるために重要なポイントとなり得る一冊。蘇るヘンドリックス、クリーム、ストーンズ、ムーディ・ブルース。『青春の光と影』。まさにぼく自身も、日々ギターと長髪とベルボトムで送って過ごした1970年の日々。 さらに、病院船にヘリで慰問に訪れたボブ・ホープとコニー・スティーヴンスの挿話。強風で一旦は着艦を諦めながらも、引き返して強引に船に着け、五か月前に月面を歩いたアームストロングとともに彼らが降り立った昔日のエピソード。その後、コニーとLAのシアターで再会した時の追想を共有する一瞬。心にずんと来る情感に満ちたこれらのシーンは、本書における追憶の名シーンである。 以上のことだけでも本書はシリーズにとってとても重要な意味を成すことのように思う。ましてや大学に通う娘マディとの時間の中ですら、ヴェトナムの時間が登場するようになるのである。そしてリンカーン弁護士ミッキー・ハラーとの重要な共同作業に取り組んでゆく点も含め、最新のオールスターキャストで臨む本書で、ボッシュは非常に困難な二つの事件に取り組んでゆく。 さて本作は、タイトルも重要だ。チャンドリアンである作者は、この作品に『ロング・グッドバイ』へのオマージュとも取れる名をつけた。"Tre Wrong Side of Goodbye"。矢作俊彦の二村刑事シリーズ『ロング・グッドバイ Wrong Goodbye』を想起する人もハードボイルド・ファンであれば、少なくないに違いない。 LA市警を追われたからのボッシュの今後が気になる。一作毎に急変を遂げつつ、それらのバリエーションのなかで、一歩も譲ることなくハイレベルのストーリーを編み続けるコナリーの手腕に市警の仲間たちとともに、高らかなスタンディング・オベーションを送りたい。 | ||||
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ボッシュシリーズはずっと読み続けていますが、それぞれに惹きつけられ、飽きることがありません。作品ごとにさらに面白くなります。 | ||||
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無給(!)の警察官としての連続強姦事件と、私立探偵としての資産家の隠し子捜しが並行して進行。 素晴らしく面白い。 | ||||
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連続強姦事件と資産家の隠し子捜しもハリーの機転で後味の良い終結に。コナリーは流石である。 ただ、前回もコピー機に忘れ物をする致命的ミス。今回もプリントアウトしっぱなしであやうく解雇されそうになるハリー。やはり齢60を超えて衰えは隠せない。 今後、新キャラでの新作が(日本では)続くらしいが、ハリー・ボッシュが主人公の作品をもう少し読みたい気がする。 | ||||
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(ボッシュが)やっと口にできたのは「1969年クリスマス・イブ。病院船」だけだった。 スティーヴンスは、一瞬ボッシュを見つめ、理解すると、ボッシュを引き寄せてハグした。耳元で彼女は囁いた。「サンクチュアリ号。あなたは故郷に帰ってきたのね」 | ||||
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