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長いお別れ



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長いお別れの評価: 4.36/5点 レビュー 290件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.36pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全241件 161~180 9/13ページ
No.81:
(4pt)

男の友情に惹かれる

推理展開はそれ程、スリリングではないけど、ラストの主人公との友情のシーンは痺れる。マーロウの生き方がいかしてる。
長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集)Amazon書評・レビュー:長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集)より
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No.80:
(4pt)

男の友情に惹かれる

推理展開はそれ程、スリリングではないけど、ラストの主人公との友情のシーンは痺れる。マーロウの生き方がいかしてる。
長いお別れ (1958年) (世界探偵小説全集)Amazon書評・レビュー:長いお別れ (1958年) (世界探偵小説全集)より
B000JATSCW
No.79:
(4pt)

主人公の好みが左右する

洋書であるロング・グッドバイをここまで違和感を感じずに読むことができたことを感謝するとともに秀逸な翻訳本として評価したいです。
内容はハードボイルドな私立探偵を営む主人公フィリップ・マーロウが不可解な自殺の謎に迫ります。彼が行動で示唆する男気溢れる信念は齢30にして心の奥底に眠る男心を否応無しに擽ってきます。
春樹氏による「あとがき」でチャンドラー自身、「彼(フィリップ・マーロウ)は実在し得ない」と語られていますが、これがフィリップ・マーロウを言わずもがな語っているかと。本書の好みは主人公への思い入れが特に大きく左右しそうです。
ロング・グッドバイAmazon書評・レビュー:ロング・グッドバイより
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No.78:
(4pt)

読んでいるとムラカミさんオリジナルの文章みたいな気が

読んでいるとなんかこう、ムラカミさんオリジナルの文章みたいな気がしてくる。とくに持って回ったような比喩なんかは・・・。
ムラカミさん自身も書いてるけど、彼の文章はチャンドラーの文体の影響を受けているワケで、そのチャンドラーをムラカミさんが訳すんだから、そりゃムラカミさんの文章っぽくなるわな。
また、「グレート・ギャツビー」みたいな雰囲気も感じるんだよね。
で、「あとがき」には、「『ロング・グッドバイ』という作品は、ひょっとしてスコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』を下敷きにしているのではあるまいか」という説が披露されている。
ナルホドそれじゃ、雰囲気が重なるはずだ。ムラカミの文章なのか、フィッツジェラルドを翻訳した文章なのか、チャンドラーのそれなのか?エライ重層的ですな。
元祖「長いお別れ」が同じ早川書房(ハヤカワ文庫)から1976年に清水俊二訳で出ているが、こちらの方は、ムラカミ「あとがき」によると「細部を端折って」訳されている由。
僕は10年ほど前に読んでいるのだが、中身については忘れてしまっている。改めて本書と読み比べてみようと思っている。
ハードボイルドの「古典」。ヘミングウェイやムラカミの文体(似てるかな?)が好きな人にはオススメして良い1冊。
ロング・グッドバイAmazon書評・レビュー:ロング・グッドバイより
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No.77:
(5pt)

村上春樹の文才を認める。

村上作品は3冊ほど完読し自分の性に合わない事が分かっているから、たとえ女性ファンが多く何かにつけアドバンテージを得ると知りつつも無視を続けてきた。私はミステリファンではなく、ハードボイルドの支持者である。ハードボイルドとは自己規範を貫徹することの美学を描いた作品のこと。簡単に言って西洋人であれ日本人であれ、武士道に則っているかどうかが、ハードボイルド作品であるかどうかの私の基準である。
村上氏は相対主義的価値観を超えていない思想にある。その思想はモダニズムと言っても良い。ゆえに超現実的描写を良しとする。三島由紀夫がモダニズムを仏教的相対主義にアレンジして作品にした手法と同じである。
しかしながら、ハードボイルドの世界にはシュールな世界は存在しない。なぜなら、自己規範を貫くという事は、絶対性を表現することだからである。このことを村上氏はどうお考えなのか。絶対性に憧憬、あるいは希求、飢餓感でも持ちながらオリジナル作品において絶対性を表現せず、あるいは出来ずと言うのは。
旧訳の「ぼく」を「私」に変えるだけでもずいぶんとマーロウらしくなる。翻訳の仕事はお見事でした、村上さん。
余談ですが、チャンドラーもパーカーも武士道を知っているはず。民族文化に関係なくハードボイルドとは武士道哲学で極められた事は、論理的な帰結として証明できる。西洋の作家は武士道に勇気を得てハードボイルド作品を創作したに違いない(笑)。
ロング・グッドバイAmazon書評・レビュー:ロング・グッドバイより
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No.76:
(4pt)

村上春樹の小説の「タフさ」と「寂しさ」、ライフスタイルの源泉

 村上春樹の小説やライフスタイルが好きで、愛読しております。今回、レイモンド
チャンドラーの作品を翻訳したと知って、早速購入しました。途中から、「これは村
上春樹の小説では?」と思ったほど、村上氏が影響を受けた本だと感じました。
 村上小説に出てくる「僕」のタフな発言やコーヒーやカクテルのこだわりなどのラ
イフスタイルも、チャンドラーから受け継いだような気がしました。また、村上小説
の「鼠」のような影と寂しさを持ったキャラクターは、ロンググッドバイのテリー・
レノックスを思い出されます。
 訳者あとがきが最後についています。
一部、引用します。
チャンドラーは、
「作家を職業とするものにとって重要なのは、少なくとも一日四時間くらいは、書く
ことのほかには何もしないという時間を設定することです。別に書かなくてもいいの
です。もし書く気が起きなかったら、むりに書こうとする必要はありません。ただ何
かを読むとか、手紙を書くとか、雑誌を開くとか、小切手にサインするといたような
意図的なことをしてはなりません。(中略)ルールはふたつだけ、とても単純です。
(a)むりに書く必要はない。
(b)ほかのことをしてはいけない。」
 上記のチャンドラーの言葉に対して、村上氏も「彼のいわんとすることは僕にもよ
く理解できる。(中略)たとえ実際には一字も書かなかったとしても、書くという行
為にしっかりとみぞおちで結びついている必要があるのだ。それは職業人としての徳
義に深くかかわる問題なのだ。おそらく。」と答えています。
 確か村上氏の他の著作でも同じようなことが書かれていました。それは、作家とい
う職業に対する心構えのようなものであり、仕事の根幹、好きを仕事にする代償のよ
うな気がしました。
 私も自分の進む道がこれだと決めたのであれば、とりあえずその道を極めるための
「時間」を確保して、それに集中する努力を「継続」することが大切だと感じました。
ロング・グッドバイAmazon書評・レビュー:ロング・グッドバイより
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No.75:
(4pt)

あの1文を語らせるために

作家には「この1文のために」という作品があるようですが、この小説もまさにそう。終盤に出てくる「ギムレットにはまだ早すぎるね」の1文を語るために、チャンドラーは壮大なミステリーと人間模様を構築したのでした。それ以前のストーリーは、この言葉に重みを持たせるための伏線に過ぎません。マーロウの生き方は非常に男っぽく不器用で、効率優先の現代社会では通用しないでしょう。それだけに、どことなく憧れを抱いてしまうのです。
長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集)Amazon書評・レビュー:長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集)より
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No.74:
(4pt)

あの1文を語らせるために

作家には「この1文のために」という作品があるようですが、この小説もまさにそう。終盤に出てくる「ギムレットにはまだ早すぎるね」の1文を語るために、チャンドラーは壮大なミステリーと人間模様を構築したのでした。それ以前のストーリーは、この言葉に重みを持たせるための伏線に過ぎません。

マーロウの生き方は非常に男っぽく不器用で、効率優先の現代社会では通用しないでしょう。それだけに、どことなく憧れを抱いてしまうのです。
長いお別れ (1958年) (世界探偵小説全集)Amazon書評・レビュー:長いお別れ (1958年) (世界探偵小説全集)より
B000JATSCW
No.73:
(5pt)

マーロウのかっこよさ

チャンドラーは映画の脚本執筆もしていたということなので、セリフが粋な感じで、読んでいるうちにその状況が映画のように頭に浮かびました。とにかくマーロウがかっこよく、描写もオシャレでノスタルジックで話に引き込まれて楽しめました。シャーロック・ホームズのように架空の人物ですが、実在するような妙な気持にさせられました。
長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集)Amazon書評・レビュー:長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集)より
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No.72:
(5pt)

村上春樹訳が出ているが清水俊二訳で十分

村上春樹訳の「ロング・グッドバイ」が話題になったようだが、私は清水俊二訳のハヤカワ文庫版の「長いお別れで十分」である。私にとっての表題は「ロング・グッドバイ」ではなく「長いお別れ」なのだ。確かに今、初めて読む人にとっては、村上の新訳が今風で良いかもしれないが、昔からのチャンドラー・ファンの者にとっては、清水訳を支持するのではなかろうか。両者の訳に多少違いがあるようだが、瑣末な問題に過ぎない。昔の作品であるし、時代背景を考慮すれば、むしろ清水訳の方がノスタルジーがあっていいと思うのだが。つまらいこだわりかもしれないが、ミステリは文庫がいいのだ。「ロング・グッドバイ」の装丁画もマンガ的で気に入らない。ま、しかし、村上春樹の新訳が出たことによって、若い読者にチャンドラーの名作が見直されることになったことは良いことかもしれない。また、いつの日か購入することになっても、私は文庫版の「長いお別れ」を選ぶだろう。
長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集)Amazon書評・レビュー:長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集)より
4150002606
No.71:
(5pt)

村上春樹訳が出ているが清水俊二訳で十分

村上春樹訳の「ロング・グッドバイ」が話題になったようだが、私は清水俊二訳のハヤカワ文庫
版の「長いお別れで十分」である。私にとっての表題は「ロング・グッドバイ」ではなく「長い
お別れ」なのだ。確かに今、初めて読む人にとっては、村上の新訳が今風で良いかもしれない
が、昔からのチャンドラー・ファンの者にとっては、清水訳を支持するのではなかろうか。
両者の訳に多少違いがあるようだが、瑣末な問題に過ぎない。昔の作品であるし、時代背景を
考慮すれば、むしろ清水訳の方がノスタルジーがあっていいと思うのだが。つまらいこだわり
かもしれないが、ミステリは文庫がいいのだ。「ロング・グッドバイ」の装丁画もマンガ的で
気に入らない。ま、しかし、村上春樹の新訳が出たことによって、若い読者にチャンドラーの
名作が見直されることになったことは良いことかもしれない。また、いつの日か購入すること
になっても、私は文庫版の「長いお別れ」を選ぶだろう。
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No.70:
(4pt)

何重にも重なった結末

この作家の作品は初めてだったが フィリップ・マーロウの名前は 聞いていた。あ〜この作家が生みの親なんだ。やっと巡り合えたと思った。ハードボイルドはあまり読むこともなく、この作品もそのジャンルに入るらしいことから、最後まで読めるかと懸念していた。が・・・取り越し苦労に終わったし、それどころか結構な厚さの文庫はあっという間に最後のページにたどり着いた。単なる殺人事件ではない。男の友情が絡んだ事件。これが結末か・・いや違う。本当に奥が深かった。
長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集)Amazon書評・レビュー:長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ 260 世界探偵小説全集)より
4150002606
No.69:
(4pt)

何重にも重なった結末

この作家の作品は初めてだったが フィリップ・マーロウの名前は 聞いていた。
あ〜この作家が生みの親なんだ。
やっと巡り合えたと思った。

ハードボイルドはあまり読むこともなく、この作品もそのジャンルに入るらしいことから、
最後まで読めるかと懸念していた。
が・・・取り越し苦労に終わったし、それどころか結構な厚さの文庫はあっという間に最後
のページにたどり着いた。
単なる殺人事件ではない。男の友情が絡んだ事件。
これが結末か・・いや違う。
本当に奥が深かった。
長いお別れ (1958年) (世界探偵小説全集)Amazon書評・レビュー:長いお別れ (1958年) (世界探偵小説全集)より
B000JATSCW
No.68:
(5pt)

血の通ったマーロウに会える

私の知っているマーロウはこんなくだけた男ではなかった気がする。初読は十代で読んだ記憶は曖昧だが、なんだか小説に温度があるというか、人間臭さがあるというか、読んでいくうちにタイトルの「ロング・グッドバイ」もしくは「長いお別れ」が胸に沁みてくるようだった。なによりマーロウとそれぞれの会話が新鮮だった。私は、テリーよりもリンダとの会話が好みだった。
マーロウが深入りしなければ真相はわからなかったし、なぜ踏み込んではいけないのかの謎も読者側に提示しつつ、クエスチョンマークがついた部分を最終的に答えてくれる。読み深めていくうちにマーロウの悲しみが伝わってくるそんな村上版の訳だったと思う。
ロング・グッドバイAmazon書評・レビュー:ロング・グッドバイより
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No.67:
(5pt)

読後100%ギムレットが飲みたくなります

大学生の時にハヤカワ文庫の「長いお別れ」を読んだ後にもギムレットを飲みたくなりましたが、
この「ロング・グッバイ」を読んでもやっぱりギムレットが飲みたくなりました。当たり前ですが。
で、実際にギムレットを飲むと、すこしだけ大人になったような気がするのです。
そういう本です。
ついでに書くと、文章もプロットも完璧。村上訳も悪くない。
時間がある人は読んで損はないです。
ロング・グッドバイAmazon書評・レビュー:ロング・グッドバイより
4152088001
No.66:
(4pt)

お勧め

恥ずかしながらこの本でチャンドラーを知った人間です。
この本を知らなかったのが「(本好きとして)恥ずかしい」と思える一作です。
まだよんだことのない人はこれが機会、読んでおきましょう。
読んだことがある人も、思い出すのを含めて悪くありません。あとがきの春樹解説読むと、春樹小説の理解がいっそう深まるかもしれません。
今私は清水さん訳の「高い窓」を読んでおります。全部読み終わるまでは当分マーロウ漬けの日々を送りそうです。
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No.65:
(4pt)

あとがきは後から読みましょう

ギャツビーの時もそうだったが、はじめの数十ページは文章の重厚さと直訳具合に違和感を覚えたがだんだん慣れていった。「ロールズ・ロイス」でまず洗礼を受け、「ぐさりと刺さって背中から十センチは突き出そうな視線」など過激な比喩の数々は村上ワールドのデジャヴュのようだ。10代の頃、当の村上が薦めるがままに清水訳を読み、原書も手にして、あらすじは概ね頭に入っていたつもりだったが、村上訳ではマーロウの印象はちょっと変わり、村上が「仮説的」というのも納得がいくようなエキセントリックなほどに挑発的に感じた。「ハードボイルドワンダーランド」の「私」が、僕にとってのマーロウに置き換わっていたからかもしれない。また作品の長さも「こんなに長かったっけー」という印象。村上の言う「寄り道エピソード」がまた長い長い。確かに「思い切って削りましょう」と言いたくなりそうだ。でも一番驚いたのはエンディング。村上訳になっているからなんだろうけど、「まんま『羊をめぐる冒険』じゃん!」 当時両方読んでたのに、ぜんぜんそんなふうには思わなかった。それにしても締めの文句はクールだねぇ。絶品です。
(その後、清水訳を読み直した。ひっかかりなくすらすら読めるし、マーロウが良い人のように見えてしまう。村上はあえて直訳調にしごつごつとしたひっかかりを加えることで、小説のテンポを抑えようとしている。たぶんそれは小説家としての村上がチャンドラーから読み取ったものなのだろう。その抑えたテンポが最後に効いてくる。ラストのしみじみした味わいは、清水訳からはでてこない)
ロング・グッドバイAmazon書評・レビュー:ロング・グッドバイより
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No.64:
(5pt)

古典的作品だからこそ読んで欲しい

 ロング・グッドバイは、フィリップ・マーロウという探偵が主人公のハードボイルド小説です。村上春樹さん翻訳にさきだって、清水俊二さんという方の名翻訳版が長年あり(そちらでのタイトルは「長いお別れ」)、長い年月の間に110万部も売れている有名な一冊です。とはいえ、イメージ先行で読んだ事がないという方も若い年代の方には多いと思いますので、あえて改めて紹介します。
 ストーリーは、マーロウという探偵が、とある夜の酒場でテリーレノックスという青年と出会うとろから始まります。泥酔した彼を家まで運ぶマーロウ。なぜそんなところまで面倒をみたのかわからない彼ですが、数ヶ月後、マーロウのもとに再び現れた彼は、国境の外へ逃げだす車の運転を彼に依頼します。時をおいてマーロウには、別口の依頼でアル中になっている有名作家のボディガード(といっても誰かに狙われるのではなく自殺しようとする作家自身から)の依頼があります。
 二つの事件は思いがけないところで絡み合って、予想しない結果へと繋がっていきます。
 さて。ストーリーの方はそこまでとして、この小説、シーンシーンや台詞、行動が極めてかっこ良く、ダンディズムに溢れています。とにかく、気障であったり、洒落すぎているのですが、それが鼻につかず板についている感じで魅力的です。有名な、「男はタフでなければ生きていけない 優しくなければ生きている資格がない」という台詞も、このマーロウの台詞です。
 また、この小説が長く語り継がれている理由の一つには、ストーリーや、台詞まわしもさることながら、描写や比喩の多さ巧みさがあげられます。ある意味、古典文学作品の域にまで高まっている作品です。いい悪いではなくて、向いている向いていないでいうと、そういう高め方の難しいミステリ小説でここまで完成された小説も珍しく、間違いなく傑作だと思います。
 村上春樹さん訳のこの「ロング・グッドバイ」も、清水俊二さん訳の「長いお別れ」もどちらもいい作品ですので、訳の読み比べをする楽しみもあります。
ロング・グッドバイAmazon書評・レビュー:ロング・グッドバイより
4152088001
No.63:
(4pt)

作家として…

翻訳家・村上春樹氏には頭が下がる。
同時代にいてくれて「ありがとう」という思いが強い。
チャンドラーやフィッツジェラルド、サリンジャー、カポーティもそうだけど、
レイモンド・カーヴァーやポール・セロー、
ティム・オブライエン、ジョン・アービングなどの
これまで知らずにいた優れた作家を紹介してくれた。
思い入れのある丁寧で素晴らしい仕事をしているし、
それについては文句のつけようがない。
しかし、氏は創作が本業であるはず。
翻訳なんかしていていいの?そんな時間あるの?
という気がしないでもない。
比較すべきではないかもしれないが、
どうしても“翻訳作品>村上作品”ということになってしまうからだ。
翻訳作品は歴史に燦然と輝く名作ばかりではあるけれど…
どこかで、
「翻訳はオードブルをつくるようで楽しい。
冷蔵庫のありものをテキパキと調理するようなもの。
メインディッシュ(創作)はそうはいかない…」
というような事を述べていた。(あやふやですが)
村上ファンとしては「メインディッシュ頑張らんかいっ!」と言いたい。
頑張っても出来ないのかも知れないけれど…
素晴らしい翻訳が出る度に
氏の作家としての炎が小さくなっていくようで、
少々寂しい気分になる。
ロング・グッドバイAmazon書評・レビュー:ロング・グッドバイより
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No.62:
(4pt)

さよならを言うのは・・

このところ通勤電車の中でしか本を読めなかった者にとってあのぶ厚さは殺人級で、
発売直後に買ったは良いものの、ずっと本棚に放置していました。
やっと本日読了です。
フランクフルト空港といえば「ノルウエイの森」を思い出しますが、
フランクフルトから成田に戻る機内で読み始めたら止まらなくなって、
トイレにも行かず一気に読んでしまいました。
正直、チャンドラーは初読でして、原文も清水訳も読んでいません。
だから村上訳の巧拙はサッパリなのですが、とにかくチャンドラーの文章力に
衝撃を受けました。明らかにミステリの範疇を超越しているというか・・、
昔フィリップ・k・ディックの「ヴァリス」を読んだときのような、強烈に個性的な
世界観への吸引力を感じます。面白い。
ただし、幾つか難点もあるかと思います。
物語の内容に関して言えば、本来終わりにするべき地点は
もう少し早かったほうが良いのでは?なんて思いました。
あるいは、51章の後に49、50章を入れる構成のほうがカッコ良かったかも、なんて。
村上訳について言えば、概ね素晴しいと思いますが、「新訳を問う」という割には
少しばかり古めかしさが残りすぎている気もします。
まあそんなに気にはならない程度ですけど。
そもそも新訳が必要かどうかはケースバイケースですよね。
ヘミングウエイなら大久保康雄訳のままが良いと思うし、
カラマーゾフなんかだと光文社が出した新訳があることで、
旧訳をギブアップした人には助かるし。
最後の難点は、装丁が比較的ダサいことでしょうか・・。
物語としては☆5つですが、そんなわけで☆4つにしておきました。
ロング・グッドバイAmazon書評・レビュー:ロング・グッドバイより
4152088001

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