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プレイバックの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.20pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全50件 1~20 1/3ページ
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まだ読んでる最中なんですが、「タフで優しい男」大谷翔平さんの噂を聴いて、一度読んでみたいと思って、この本を手に取ってみました。アメリカ人の描く「タフで優しい男」を。 | ||||
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大学時代、最初に読んだチャンドラーの作品です。懐かしくなり購入しました。今読んでも、カッコいいですね。 | ||||
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田口さんが訳した「ロング・グッドバイ」がとても格好良くて、初めて紙と電子両方で購入して読むほど好きになったので、本作も購入しました。 正直、お話の内容は非常に退屈だったのですが、マーロウの考えていることやセリフがとてもユニークですし、言い回しが格好良くて、文体の面白さみたいなところで楽しむことができました。 物語が自分に合わなくても、文体で楽しめるというのは新鮮な体験でした。 マイナーだったり名作扱いされていなかったりして、まだ訳出されていないチャンドラー作品があれば、田口さんの訳でぜひ読んでみたいと思いました。 あと、この翻訳シリーズのカバーデザインがエドワード・ホッパーのナイトホークスをトリミング違いにしただけというのも無骨で好きです。レタリングが格好いいので、なんか良い肉に塩振っただけみたいな感じがします 笑。 | ||||
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いわば手作りの訳です。現代人、しかも日本人には絶対分からないチャンドラーが仕掛けた伏線についてはさりげなくヒントをくれてます(でも分らないけど。種明かしが実に面白い、一杯食わされる快感)例の名文句も辞書を見ても絶対出てこない言葉で登場。しかもちゃんと会話として成り立ってるんです。全体の会話は軽快で笑える、だけどシリアス。マーロウがエスメラルダを忙しく動き回わる、さらにロスを往復する、その様子がまるで映画みたいに浮かんできます。いくらAIが進んでもこんな風に訳すのは無理じゃないかな。 | ||||
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主人公の私立探偵の元に、弁護士からある女性を尾行する様な依頼があり・・・というお話し。 以前、清水さんの訳をもっていて、読んだ記憶がありますが、今そのエディションは所有しておらず、読んだのも大分前なので、うろ覚えですが、最初とか終わりとかこういう風でしたっけ、と思う所があり、何となく違和を感じてしまいました(村上さんの訳も持っているかと思ったらなかったです。すいません)。もしかしたら、以前の訳が全訳でなく抄訳だった可能性もありますが、比較できないもので、知っている方に教えて頂きたいです(私の方の記憶違いの可能性が大ですが)。 熱心なファンからも駄作、愚作という評価を得ていた作品ですが(その為人生の貴重な時間や金を無駄にする覚悟が必要でしたが)、今回読み直して意外に面白かった印象でした。訳の田口さんがハードボイルド/私立探偵小説の翻訳で定評のある方なので、それで大分得をしているかもしれません。 ただ、出版社の宣伝で名作という言葉が使われていて、それは流石に・・・という感じでした。 有名な台詞は、田口さん風にアレンジされており、波紋を呼ぶかもしれませんが、それでも、田口さんの訳でまたチャンドラーの作品が読めたのは僥倖でした。他の物もお願いしたい所です。 チャンドラーの遺作の、新訳で人によっては決定訳になるかもしれない、読みやすいエディション。機会があったら是非。 蛇足ですが、田口さんの「長い別れ」が出たあとに、市川さんの「ザ・ロング・グッドバイ」も出ましたが、版元があまり有名ではなく、市川さんも著名とは言い難い為、黙殺された印象で、読んだら結構いい訳だとおもいましたがね。 | ||||
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地図とイラスト、時系列表を見ながら読むとすんなり話が頭に入り、その分余裕で楽しめる。特にホテルの構造など、想像も出来ないものだった。イラストなしには到底誰がどこに何しているかわからなかった。訳自体も明快で分りやすかった。会話がとにかく面白い。例の名文句も会話の流れに溶け込み、一番自然で一番しっくりすると思えた。さらにあとがきが面白かった。あとがきを読むとチャンドラーのすごさがわかる。とにかく一ページの無駄がない、クラレンドンの話も重要ファクターだとわかる。タクシー運転手の一言の重みに驚く。チャンドラーファンだけでなく、だれでも楽しく読めるのではないかと思う。 | ||||
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他の長編と比べると、ページ数も少なく、プロットがシンプルで、最後もしっかり締まって終わります。この前に読んだのが「リトルシスター」だったので、少し心配していましたが、そこは改善されていました。 ただし、シンプル過ぎて(死ぬのは一人)ミステリーとしては、予想通りの展開という、どんでん返しなしの決着です。犯行の動機も、途中でほぼ誰にでも分かる形で明かされます。 そこを抜きにしても、チャンドラー節というか、マーロウ節は相変わらずで、存分に楽しめました。 でも、私はこれくらいすっきりしたプロットの作品が好きですね。 あとは、あまり必然性のないベッドシーンがあったり、例によってマーロウが警察署に出頭したのに、警官からどやされることなく、無傷で署を後にしたり、という部分をどう評価するかですね。 いつもの様に影響力をもった大物が登場しますが、州が違うという理由で警官に追い返されたりして、今までと全く違った展開を見せます。 また、ハードボイルド物は、探偵がある人に会って話をし、そこから得たヒントを元に次の人に辿り着いてまた話を訊く、ということを繰り返します。今回、すこし気になったのが、ホテルのロビーで向こうから爺さんが話しかけて来て、マーロウにあれこれ教えるところですね。少し、著者が楽をした感じがします。年齢のせいかな。 そんなこともあり、★4つとしました。これで、マーロウシリーズはコンプリートしました。次は、ロスマク、リューイン辺りを読もうと思います。 | ||||
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翻訳によりフィリップ・マーロウが台無しだ。 | ||||
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「そんなものは忘れてしまえ、家でおとなしくしていろと常識は告げる。関わっても一文の得にもならないのだから。しかし常識の声はいつもあとになってから届く。常識というのは、今週車をどこかにぶっつけた人に向かって「君は先週のうちにブレーキの調整をしておくべきだったね」と忠告するようなやつだ。常識というのは、自分がチームに加わっていたら、週末のゲームなんて楽勝だったのにと言う、月曜日のクォーターバックのようなやつだ。しかし彼がチームに加わることは決してない。そいつはいつもポケットにウィスキー瓶を入れ、スタンドの高いところに陣取っている。常識というのは、決して計算間違いなぞしない、グレーの背広を着たちっぽけな男だ。しかしその男が計算しているのは常に他人の金だ。」 われながらお人よしと分かっちゃいるけど・・・といつものマーロウ。 | ||||
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前作『長いお別れ』から4年半を経て、1959年に刊行された本作は、レイモンド・チャンドラーの七作目にして、最後の長編である。 私立探偵のフィリップ・マーロウが、朝っぱらからかかってきた電話で叩き起こされるところから物語は始まる。 電話の主は非道く高飛車な弁護士であった。その用件はワシントンから到着する特急電車に乗っている女を尾行し、落ち着き先を報告することだった。 理由について一切の説明は無く、一方的ではあったが、依頼を引き受けたマーロウは女を尾けて特急電車に乗り込み、サン・ディエゴのエスメラルダに辿り着く。そしてマーロウは、敢えて自分から女に接触をしていく。 『長いお別れ』がかなりのページ数だったのに対し、本作は最もページ数が少ない作品となっている。そして、その内容はこれまでの作品と大きく異なるところが多々有り、面食らってしまったというのが正直な感想だ。 まずは舞台。チャンドラーの作品は、これまで一貫してハリウッドやロサンゼルスであった。しかし、本作では殆どがサン・ディエゴで展開されている。 これは、チャンドラー自身がロスの変わりように嫌気が差し、1946年にサン・ディエゴ近くのカリフォルニア州ラ・ホヤに引越していたからだ。チャンドラーにとって、ロサンゼルスはもうマーロウが活躍するにはふさわしい場所ではなくなっていたのだ。 そして現地の警察について取材を行なった際に、紳士的な警官の態度に感銘を受けたチャンドラーは、サン・ディエゴの警官たちを非常に立派な者たちのように描写している。ロスやベイシティの警官たちに対するものとは大違いだ。 また、何故このようなことを書いたのかと、頭を捻らざるを得ないような奇妙なエピソードが非常に多い。 例えばそれは、突然登場した老人がマーロウに神の存在や人生について長々と話して聞かせるところだったり、別な老人から昔聞いたことのあるエスメラルダに関する見解を不意に差し込んでみせたりなどである。 そして、一番の違和感を覚えたのは、登場する女たちとマーロウが続けざまにベッドを共にし、しかも、これにしても物語には殆ど関わりはないのである。 さらには、エンディングではマーロウが結婚でもするのではないかと匂わせたところで、プッツリと幕が引かれるのであった。 このような作品になった背景としては、1954年に18歳年上の妻を亡くし、落ち込み、酒におぼれ体調を崩したことが挙げられるのかもしれない。 翌1959年に『プードル・スプリングス物語』を執筆し始めたチャンドラーは、本作に於いて本当にマーロウを結婚させてしまった。 しかし、第4章まで書いたところでチャンドラーは亡くなってしまい、その後をロバート・B・パーカーが引き継ぎ完成させている。 だが、私は読む気になれず未読のままである。 | ||||
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題名はリンダ・ローリングとの思い出のプレイバック。 マーロウはロンググッドバイでのリンダとの関係が忘れられない。だから、ヴァ−ミリアもその事情を理解する。 そのためにマーロウ小説として何処かに違和感がある。 タフであることは探偵に必要な事だが、男は優しくなければ生きている資格はない。 リンダが忘れられないのに無理矢理避けるのはマーロウが男女間の金銭的な差は男を堕落させるものと知っているから。 | ||||
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生き方が魅力。 「厳しい 心 を 持た ず に 生きのび ては いけ ない。 優しく なれ ない よう なら、 生きる に 値し ない」 「誰 も 求め ない、 何 も 求め ない という 硬い 心 を 持つ ほか に、 治癒 らしき もの は ない。」 | ||||
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相変わらずのチャンドラー節で、読んでいて楽しいが、ミステリーとしては最低。 すべての謎が最後の数ページで明かされるが、おいおいそんな伏線どこにあったの。なんでヘリコプターが出てくるんだと思えるほど、後出し。これはないわ。最後まで何が起こっているのかわからず、分かった時には終わりで、えっ!と言う感じ。おそらく遺作と言うから締め切りなのか体力なのか、最後で、いきなり丸めちゃった感たっぷり。 | ||||
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まずはゆーめーなセリフですが 浴室から出てきたベティーは開いたばかりの薔薇の花のように見えた。化粧は完璧で、瞳は輝いており、髪はあるべき位置にぴたりと収まっていた。 「ホテルに連れて帰ってくれる?クラークに話があるの」 「彼に恋しているのか?」 「私はあなたに恋していたつもりだったんだけど」 「そいつは夜の求めの声だったのさ」と私は言った。「ただそれだけのことにしておこうじゃないか。キッチンにはもっとコーヒーがあるよ」 「いいえ、もうけっこうよ。朝食まではね。あなたはこれまでに恋したことってある?私の言うのは、その人と毎日、毎月、毎年ずっと一緒にいたいと思うくらいってことだけど」 「さあ、もう行こう」 「これほど厳しい心を持った人が、どうしてこれほど優しくなれるのかしら?」彼女は感心したように尋ねた。 「厳しい心を持たずに生きのびてはいけない。優しくなれないようなら、生きるに値しない」(3073/3510) When Betty came out of the bathroom she looked like a fresh-opened rose, her make-up perfect, her eyes shining, every hair exactly in place. "Will you take me back to the hotel? I want to speak to Clark." "You in love with him?" "I thought I was in love with you." "It was a cry in the night," I said. "Let's not try to make it more than it was. There's more coffee out in the kitchen." "No, thanks. Not until breakfast. Haven't you ever been in love? I mean enough to want to be with a woman every day, every month, every year?" "Let's go." "How can such a hard man be so gentle?" she asked wonderingly. "If I wasn't hard, I wouldn't be alive. If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive." 他の訳は しっかりしていなかったら、生きていられない。やさしくなれなかったら、生きている資格がない。(清水俊二訳) 男はタフでなければ生きて行けない。優しくなれなければ生きている資格がない。(生島治郎訳) です。 hardとgentleはことば遊びになっています。hardは「厳しい」だけでなく、風呂上りの美女を見て「勃〇している」という意味です。 gentle - Wiktionary en.wiktionary.org gentle (comparative gentler or more gentle, superlative gentlest or most gentle) 1. Tender and amiable; of a considerate or kindly disposition. Stuart is a gentle man; he would never hurt you. 2. Soft and mild rather than hard or severe. quotations ▼ I felt something touch my shoulder; it was gentle and a little slimy. 3. Docile and easily managed. We had a gentle swim in the lake. a gentle horse 4. Gradual rather than steep or sudden. The walks in this area have a gentle incline. 5. Polite and respectful rather than rude. He gave me a gentle reminder that we had to hurry up. 6. (archaic) Well-born; of a good family or respectable birth, though not noble. gentleにはたくさんの意味があります。この小説では「優しいtender」以外に、hardとの対比でsoft、美女に従順でdocile、すぐ手を出さないからgradual、礼儀正しくpolite、誇り高いからwell-bornと、すべての意味が重ねられており、フィリップ・マーロウの人となりを一単語であらわしています。この多義性が文学の本質なのです。訳すときに一度でも辞書を引けば、気づくと思うんですがね。 矢作俊彦氏は 「タフでなければ生きてはいけない。やさしくなければその資格もない」 私は前回、そう書いた。これは誤訳である。あえて誤訳を書いた。何故なら、今、日本でハードボイルドというとき、それは全く誤訳のコンセンサスを避けて語ることができないからだ。「タフ」も「やさしさ」も月賦屋や工員相手の自動車ディーラーのコマーシャル・コピーに堕している。自分を最も気に入ろうとし、つまり、自分が自分であることを何より誇りとしたハードボイルドのディックたちが「資格」なんておごそかな言葉は舌をかんでも使うまい。資格なんかなくても生きていける。 「ハードでなければ生きてはいけない。ジェントルでなければ生きて行く気になれない」 これが正解なのだ。(『複雑な彼女と単純な場所』、p.138) と書きました。ディックには「探偵」以外に「お〇ん〇ん」という意味があります。hardとgentleは本質的に翻訳不可能なのです。 If I wasn't hard, I wouldn't be alive. は、「湯上りの美女を見て勃〇しないなら、男として生きているとはいえない」という意味なので、矢作氏もちょっと違います。また If I couldn't ever be gentle, I wouldn't deserve to be alive. このeverをみんなスルーしています。たしかに難しいのですが、「生まれてこのかた、これほどまでに」という意味です。 この部分の、日本語はともかく意味的にもっとも正しい訳は ハードでないとしたら、生きているとはいえない。これほどジェントルになれないとしたら、生きていてよかったとは思えない。 です。マーロウは「いい女と出会えない人生はつまらん、お前は最高の女だ」と言っています。 "How can such a hard man be so gentle?" she asked wonderingly. ハード&ボイルドな男がいい女の前でgentleになるのは本能なのです。マーロウが感じているのは「生きてるってカンジ」なのです。これも文学の本質なのです。 この場面は冒頭のミス・ヴァーミリアとの会話の再演(プレイバック)になっています。 「あなたに関してひとつ気に入ったところがある。あなたはみだりに人に触ったりしない。そして礼儀正しくもある――ある意味ではね」 「愚かなやり方だ。触るなんてね」 「そしてあなたに関してひとつ好きになれないところがある。なんだかあててごらんなさい」 「すまないが、わからないな。世間には私が生きているというだけで、頭に来る連中もいるみたいだけれど」 「そういうことじゃなく」(80/3510) "There's one thing I like about you. You don't paw. And you have nice manners-in a way." "It's a rotten technique-to paw." "And there's one thing I don't like about you. Guess what it is." "Sorry. No idea-except that some people hate me for being alive." "I didn't mean that." ミス・ヴァーミリアが言うには There's one thing I like about you. / You don't paw. And there's one thing I don't like about you. / Guess what it is. ですが、上のone thingと下のone thingはおなじものを指します。マーロウがpawしないのが彼女が気に入ったところであり、不満でもあるのです。 Definition of PAW www.merriam-webster.com 2: to feel or touch clumsily, rudely, or sexually ミス・ヴァーミリアは出会ってすぐ、マリリン・モンローのパクリでマーロウを挑発しています。 「クリスチャン・ディオール」と彼女は言った。私の心を読むのはさぞや簡単だったに違いない。「それしか身につけないの。火をお願いできる?」(39/3510) "Christian Dior," she said, reading my rather open mind. "I never wear anything else. A light, please." a lightは煙草の火ですが、いわゆる、キラッ☆となるやつのことでもあります。 ミス・ヴァーミリアは最高級のキャディラックに乗っています。 私は彼女のあとから階段を降り、車のドアを開けてやった。安物の車だった。ただのキャディラック・フリートウッドだ。(81/3510) I followed her down the steps and opened her car door for her. It was a cheap job, a Fleetwood Cadillac. cheap jobは(この小説によく出てくる)反語ではなく、ミス・ヴァーミリアのためにドアを開けることです。cheap jobはあとでまた出てきます。 私は頭の中で、ミス・ヴァーミリアを彼女の隣に置いてみた。彼女は決してやわで気取った澄まし屋には見えなかったが、その隣にあっては、かのヴァーミリア嬢はただのお手軽な街の娘だった。(106/3510) Mentally I put Miss Vermilyea beside her. She didn't look soft or prissy or prudish, but she made the Vermilyea look like a pick-up. 定冠詞のついたthe Vermilyeaは最高級のキャディラック・フリートウッドのことですが、これがピックアップトラックにしか見えないということです。ピックアップトラックの荷台には天井がなく、荷物を簡単に載せることができます。つまりミス・ヴァーミリアはだれでも乗せる、だれとでもヤるという意味です。マーロウがpick upすることと、ミス・ヴァーミリアがpick upすることが多義的ですが、後者がよりおもしろいという意味で正しいです。 フリートウッドとピックアップトラックの画像をネットで調べると、たしかに似ていると思えるでしょう。 原文にはこの手のエッチなダジャレが頻出しますが、もう一か所だけ挙げると 私は夕刊の早刷りを持ち、その背後に顔を隠して彼女を観察し、彼女についての知識を増やしていった。確かな事実と呼べるほどのものは得られなかったが、それでも暇は潰せる。(156/3510) I had an early morning edition of the evening paper and behind it I watched her and added up what I had in my head. None of it was solid fact. It just helped to pass the time. マーロウは美女を盗み見ながらエッチな妄想をしました。お〇ん〇んがsolidになりましたが、妄想なのでfactではありません。とてもいい時間を過ごすことができました。 あと、プレイバックには「バックでヤる」という意味もあります。 | ||||
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老人の言葉はチャンドラーの言葉だったんだろうと思う。優しいチャンドラーは最後に、優しいマーロウに愛しいひとと幸せになって欲しかったのだろう。まるでチャンドラー自身に重ねるように。 | ||||
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大いに楽しんでいます。 | ||||
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本書は私立探偵マーロウ・シリーズの七作目にしてチャンドラーの遺作となりました。 いつもながらのマーロウ節には、永遠の若さを書き留めようとする作者の想いも感じられます。 【前半部】 私立探偵マーロウは、弁護士のアムニーなる人物から半ば強引に依頼を請けた。 機知と偶然が織りなす追跡劇。二つの名前を持つ女。死体の消滅。 彼は全てが想定された筋書きのなかで、自分がおとりの役割を担っていたことを知らされる。 ここまでの前半部で『羊をめぐる冒険』に描かれていたのとよく似た場面が登場することに気づきました。後半部に入るとますます頻発することから、どうやらその関係性は意図的なもののようです。 【後半部】 美人秘書ヴァーミリアとの一夜のロマンスを経て、マーロウは真相の解明に再び取り掛かる。 老紳士おおいに語る。エスペランザの町の誕生と発展。木賃宿の中でみつけたもの。 金と権力が支配する裏社会を読み解いた彼は、何も受け取らずに日常へ戻って行く。 村上春樹は最初の長編作品となる『羊をめぐる冒険』に本書のプロットを大胆に導入しているようです。それは敬愛するレイモンド・チャンドラーへのオマージュと同時に、遺作でもある本書の系統を引き継ぐという意味を込めたのかもしれません。(訳者あとがきではその辺のことについて一切触れていませんので、自明過ぎることなのかもしれませんが) 推理小説の形式を採りながら新しい文芸を志向した彼の最期の作品である本書は、エスペランザの建設に携わった父と娘の挿話にも見立てられる壮大な試みの到達点とも言えます。 謎を謎のまま突き放す乾いた文体に、成熟した男の姿を求め続ける独自の世界観。軟弱者を寄せつけない、顎の強さを要する本格派。これぞハードボイルド! | ||||
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原尞の小説を読み尽くしてしまったので、原尞が影響を受けたというレイモンド・チャンドラーに手を出したという次第だ。はっきり言って、期待外れもいいところだ。物語の作りもつまらないし、惹きつけられる場面もない。拍子抜けの事件だしね。村上春樹の翻訳もなんだか統一感のない分かりにくいこなれていないものだ。「彼女をピックアップして」だって?ちゃんと日本語にしろよな。「タフ」というカタカナも頻発していて、鬱陶しい。あの有名なセリフ「タフでなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない」も、確かに小説の中では浮いているなあ。出てくるさまざまな人物模様は楽しめるところがあった。原尞の小説のほうがはっきり、きっぱりと言うが、面白い。 | ||||
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「大いなる眠り」は村上春樹氏の翻訳版しか購入できず、こちらでは村上春樹氏の翻訳ではない旧翻訳の本を入手できて読みましたが、比較するとかなり滑らかで雰囲気が出ていてやはりこちらの方がいいなと思いました。 登場時の人物像と話が進んで行くについて変わっていく重要人物と、最初から変わらない本筋に関係のない人物の対比が面白いなと思いました。 ただ、「大いなる眠り」の後で読むとマーロウが別人物かと思えるほど女性にだらしなく、依頼人も抱くというところにブレを感じました。 昔自己啓発書で読んで気になっていた「男は強くなければ生きていけない。優しくなければ生きていく資格がない」が少し異なる翻訳で「しっかりしていなかったら、生きていられない。やさしくなれなかったら、生きている資格がない」と出てきますが、出てくる文脈が、依頼人の女性と一夜を共にした後で女性から皮肉気に「なぜそんなにしっかりしているのにやさしくなれるの?」と聞かれた時の返答という想定外にナンパな下りで驚きました。先にこの本を読んでいたら特に頭に残らない言葉だったかもしれません。 | ||||
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村上さん翻訳のチャンドラーは全部読んでいます。今回もシチュエーションとマーロウの小粋な台詞回しは健在です。 ただ、他のチャンドラー作品よりも登場人物の思考回路についていけない点が多く感じられました。特にホテルにいる老紳士がマーロウに語る部分が何ページもあるのですが、必然性を感じられずただただ苦痛でした。。。 総じていうと、チャンドラー節は健在ですので他のシリーズ読んだ方にはおすすめです。 | ||||
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