■スポンサードリンク
国宝
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
国宝の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.37pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全144件 101~120 6/8ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
人間を見つめる目が慈愛に満ちている。過酷な世界の中で、気がついたら悪い女が出て来ない。 と思っていたら、悪い男も出て来なかった。 芸道を極める孤独も伝わって来る。 何でも書けるのだという感じ。読者を楽しませるプロの技を堪能する。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
文句なしです。芸を極めることの業をすべて大河小説として娯楽小説として昇華しきっていると思います。言葉になりません。ここ10年でいちばんおもしろい小説でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
(ネタバレあり)関西人なので方言口調が一切苦にならなかったのが良かったです。冒頭は893の抗争で「歌舞伎と結びつけて美談にするんじゃないだろうな~」と不快な予感を覚えましたが杞憂でした。読み進めるうちに喜久雄の感情があまり理解できませんでした(俊介の復帰に悪役やらされたのに憎まないとか)が、「俊介は喜久雄と同じあちら側にいく感性をもつ唯一の理解者であり歯止めだったのだ」と気づきました。映画を撮ってからしばらく歌舞伎から離れていましたが、あれは引き返す最後のチャンスだったのかと思いました。でも、戻ってきた以上ラストは喜久雄の必然だったのでしょう。父親の仇の告白に「親父を殺したのは俺かも」と言った時「もう、現実と舞台との境がなくなったんだ」と感じました。父親が殺された悲劇も舞台になれば「美」になれる。誰も憎まなくてすむ。舞台の上では自分は「美の世界」の一部になれる(現実の娘にさえ憎まれている喜久雄は消える)芸術家とは本当に魂を削り、狂気の中で作品を生み出すのだな~とつくづく感じました(ムンクが療養して精神の安定を得たら描けなくなったみたいに)国宝になるだけの芸術家になる為にはこれ程の苦しみを味わわなければならないのか、と思いました。残酷だけどそんな芸術家を普通の人達は求めてしまう。「999人の凡人がその人一人を天才かどうか決定する」という言葉を思い出す小説でした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
『怒り』を戦慄と興奮をおぼえながらひきずりこまれるようにして読んだ。その体験からいうと『国宝』はなぜか最後まで没頭できなかった。極道出身の天才女形を中心とした歌舞伎三代物語という強烈な題材を扱いながら意外と単純な話の展開になっている。そのわりに上方風のねっとりとした語りのクセが強すぎてすっと入ってこない。相当な勉強をして書いたのだと思うが、歌舞伎の解説が多すぎて煩く感じた。最後まで読みとおしたが、ワイドショーを途切れ途切れに見ているような印象しか残っていない。因果がめぐるサーガ系の小説で昨今面白いものに出会わないので期待していただけに残念。新境地にチャレンジしたのだと思うが、あまりよさがでていないと思った。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
戦後の匂いが残る1950年の長崎。愚連隊あがりの極道の息子喜久雄が、父を抗争の挙句に無くし、縁を伝って歌舞伎の道に入り、女形として芸の道を究めていく。 上方歌舞伎の名人二代目花井半二郎の部屋子に入り、その実子俊介と競い合って芸を磨く。 長崎の女春江、ともに悪さをする徳次、大阪での遊び仲間弁天ら歌舞伎の外の人々、半二郎、その妻幸子、女形の名人万菊、鶴若、江戸歌舞伎の大御所千五郎、歌舞伎の家の中で役者を支える黒衣、女たち。そうしたキャラクターのいちいちが素晴らしい。 父である権五郎を撃って長崎のヤクザたちのトップに立った辻村と喜久雄の関係、歌舞伎界での養い親である半二郎の跡目をめぐる喜久雄と俊介の関係が物語の焦点なのだが、およそ下巻のあたまにはこのヤマを越えてしまい、ゴールを見失ってしまう。 半二郎の跡目を喜久雄が襲名し、春江を伴って逐電した俊介がドサ廻りから復活してくる辺りで終わればよかったと思うのだ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
主人公の立花喜久雄は、任侠の親分の長男として生まれるも、父親が抗争で殺された後は歌舞伎の女形として、その奥の深い世界に足を踏み入れる。 本書では、師匠の息子の俊介との友情とライバル関係、一旦光が当たってもスキャンダルなどでほされる浮き沈みの激しさ、そんな中でも常に女形として芸道を追求する一途さなど、歌舞伎の世界の奥深さと複雑な人間模様が絡みあう様子が見事に描かれており、一気に最後まで読んでしまった。ストーリーとして素晴らしいだけでなく、随所で描かれる喜久雄たちが演じる舞台の描写も素晴らしいものだった。 最後の終わり方には意表をつかれたが、芸の道を追求した喜久雄にとっては、この世界が幸せなんだと感じた | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
長崎のヤクザの家に生まれながら、歌舞伎の世界に飛び込んだ喜久雄。 その壮絶かつ波乱万丈の人生を、彼を取り巻く人々らとともに描く。 喜久雄が弟子入りした家の御曹司・俊介、喜久雄の兄弟分・徳次、 喜久雄の幼馴染・春江、胡散臭い手配師の弁天らが 挫折を味わいながら成長していく。 周りで見守る大人たち、喜久雄の父親代わりの半次郎とその妻・幸子、 喜久雄の父の弟分の辻村らの描き方も見事。 講談のような語り口調は、最初違和感があったが 読み進めるうちに心地よいものとなった。 歌舞伎に興味のない人間が読んでも 楽しめる内容だ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
素晴らしい。 読んでいて涙が出る場面が多々あり、読み応えあります。歌舞伎には詳しくありませんが、描写が見事としか言いようありません。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
歌舞伎については、数人の役者さんの名前と顔を知っている程度で、歌舞伎自体がどういう物か知識と呼べる物を持ち合わせていません。しかし、歌舞伎に関する知識が無くても、登場する人の生き様に引きつけられました。(上)から一気に読みました。良い作品だと思いました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
これまで歌舞伎の世界に全く知らなかった私だが、物語の展開に惹かれて寝る間も惜しんで一気に読了した。歌舞伎とこの世界に関わって生きる役者が芸事に賭ける生きざま、その家族、周辺人たちの遣り取りと駆け引きなどもしっかり書き込まれており、新しい展開をわくわくしながら読み進んだ。最後の章では、芝居の展開と主人公 喜久雄 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
歌舞伎界の在り方について、知らないことばかりだったので面白く読みました。膨大な物語なので ついていくのに困難な部分もありましたが、主人公二人の行くざまに興味が持てました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
美しくて残酷で艶やかなラストシーンに、改めて読書のカタルシスを味わいました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「旦那」に敬称つけたら「だんさん」。「社長」に敬称つけたら「社長さん」。「はん」は基本、目上には使わない、など制約の多い敬称で、上方でも使用頻度はそう高くはない。「旦那はん」「社長はん」とは申しまへん。上方では女形は「おんながた」て言います。「おやまさん」言うたら娼妓・女郎衆(芸妓は含まない)淫売さんのことだっせ(失笑)。ほかにも色々あってなんかもう生理的にムリ!新聞小説やったけど、途中で読むのんやめました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
もっと歌舞伎を知ってから、再読したい、 と読みながら思った。 演目を理解していたら、この場面をもっと深く味わえるだろうと。 折も折、玉三郎演じる 阿古屋を観劇することが決めた時に手に取った。 入門のつもりで読み始めたが、 役者として生きる人々、 そこに関わるさまざまな立場の人、 物語の展開と、 勉強として読むより、 とにかく物語の世界に入り込んでしまった。 主人公の喜久雄、そして俊介、の数十年を追いながら、 役者の魂のすさまじさに、ただただ感服した。 終わりのシーンは、歌舞伎座の幕間に読み、 観劇のあとに、最後の最後の場面を読んだ。 たまたまそのようになったのだが、興奮冷めやらないタイミングで 読めた、なかなかない経験だった。 忘れられない作品となった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ありきたりな表現だけど波乱万丈という表現が一番合う大河小説。芸を極めたいという役者の執念が周囲の多彩な人物群を巻き込んで一気に読ませる。歌舞伎を見たこともない自分等がこれだけ引き込まれるのだから観劇の経験がある人はさらに凄みのあるイメージが湧くのだろう。ただタイトルの国宝は、ひたすら歌舞伎の芸の高見を目指す主人公とうまくつながらなかった気がして少しモヤモヤが残った。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
2007年の「悪人」の後、吉田修一は長期低迷に入ったように私には思えた。「路」「怒り」を除けば平凡な作品で、この2作さえ「悪人」の感動には及ばなかった。しかし、考えてみれば「悪人」のような高い完成度の作品を次々に発表するのは無理というものだ。だが、10年たってようやく「悪人」を凌駕する作品が現われた。「国宝」は、歌舞伎界という設定もユニークなら、そのストーリー、構成、文体にも凝った作者渾身の作品である。何より、上下巻700頁を一気読みの面白さなのだ。これは吉田修一の新たな代表作であり、現代日本の小説のなかでひときわ光彩を放つ傑作である。 任侠一家に生まれた少年・喜久雄が歌舞伎界に入り、稀代の女形として芸に生き抜き、歌舞伎の頂点を極め人間国宝になるまでを描いた小説である。喜久雄は長崎を出て、大阪を経て東京へと移り、歌舞伎俳優の息子の俊介と切磋琢磨しながら、次々に襲い掛かる苦難を乗り越えてひたすら芸の道を極めようとする。悪魔と取引してでも、世俗の欲や幸せに背を向けてひたすら芸に打ち込み、だれも見たことのない世界へと歩を進める。そして、極めるほどに喜久雄は孤独の境地へ向かう。芸を極めるとは何と業の深いことか。挑戦し続ける狂気のような役者心理が見事に描かれている。ラストの花吹雪舞い散る中に閃光を浴びながら花道を行く喜久雄の姿の妖しいほどの美しさに、私は胸が震えた。 当然ながら舞台の場面が多い。演目ごとに解説が入り、役者の踊りと演技が描写されるが、舞台や衣装、身のこなし、役者の顔つきまでの詳しい説明は臨場感にあふれ、役者の踊りを髣髴とさせる。この作品の取材のために作家は黒子として舞台を務め、全国を廻って200演目を観たという。物語は喜久雄と俊介を中心に進んでいくが、彼らの親、子、友人、師匠、ライバルたちの人生も並行して語られる。どの登場人物にもドラマがあり、各々の人物像がくっきりと描かれていてこの小説を重厚なものにしている。また、東京オリンピック以降の時代の変化もしっかり書き込まれていて、作家の視界の広さと目配りの確かさに感嘆する。 すでに指摘されていることだが、この小説の特徴は「語り」にある。一人称でも三人称でもなく、講談風の語りがこの小説の案内人になって読者を導くのだ。それが時間と空間を超えて、自由自在に物語を運んでいく。演目の解説もこの語りが受け持つことで自然な流れとなっている。「国宝」の成功は講談風語りの発見によるところも大きいはずである。 本作は、身を削るようにして芸道を極めた役者の怒涛の人生を描いた作品である。吉田修一も同様の決意をもってこの小説の執筆に臨んだのではないか。その労苦の末に彼の最高傑作が生まれた。新しい手法を駆使して、自分の限界を打ち破り頂点をめざして孤独な作業を続ける作家の姿を私は読みながら思い浮かべた。この小説に出会えたことを喜ぶとともに、本作が多くの人々に読まれることを私は願っている。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
言葉は「力」であるという。がこの作品にはその力を超えた何かがある。敢えて抑制された筆致が読者に その何かを伝えているように感じる。芝居だけに生きてきた男の、完璧を超え「神の域」に達した姿をどの 様な切り口でレビューしようと言葉を用いている限り虚しさを覚えてしまう。ただ「凄い!・・・」としか 言いようがない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
生まれつきの美しさが周りの世界や自分自身の経験によって磨かれていくのがよくわかります。どの時間断面をとっても、その時の美しさが見える生き方。 波瀾万丈という言葉が相応しい。一気に読みきりました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ヤクザの息子が故郷を追われ、都会で新たな人生を歩む・・・という割とシンプルな物語です。内容はというと 粗筋を述べただけで人間の深い内面が描かれておらず、残念ながら心には響いてきません。肝心な場面ではいつ もスルーして逃げている様に思えます。主人公であるヤクザの息子という精神年齢に合わせて描写しているんで しょうか?例えば「白虎」と「三代目半二郎」襲名のシーンです。最も集中し力を入れ言葉を尽くして描写すべ き場面だと思うのですが、なぜかスルー。どんな意図があるのでしょうか?あくまでも上巻だけの評価ですが、 大人のためのライトノベル作品です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
語り手の丁寧な言葉遣いが新鮮。まるで生き字引のような、歌舞伎の舞台の精のような、俯瞰した視点からの語り。 歌舞伎を観に行きたくなった。 主人公とその周りの人びとの、性格や姿が目に浮かぶよう。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!