(短編集)
熱帯魚
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熱帯魚の総合評価:
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全1件 1~1 1/1ページ
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2000年前後に雑誌掲載された3作品を収めた短編集。3作とも「青春小説」というくくりに入るのかもしれないが、全編に行き場のない、やるせない、重苦しい雰囲気が横溢し、読後感はあまりよくない。それでも一応は読ませるのは、吉田修一ならではの独特な視点が効いているからか。 | ||||
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退屈な内容の本でした。 何処かに書いてあったらすみません。 時代背景が昭和なのでしょうか? 5~60代の人が若かった頃にありがちな映画を見た様なぐったり感です。 それこそカラーになりたての頃のフィルムカメラのざらざらした様な荒い画質の、俳優のくぐもった声が聞こえてきそうな感じでした。 決して若くなく、イマドキでもなく、どんより、煮えきらず、かっよくもなく、素敵でもありません。 各所に“昭和”がちりばめられていて、それが物凄く悪目立ちしており、没入感や感情移入は皆無でした。 強いて言うなら、“グリンピース”が一番若い時代設定なのかな?と感じましたが、 著者さんの書く“主人公の癖”なのか、著者さんの“思考の癖”なのか、 “熱帯魚”以外の主人公の性格、性質が似ている様に感じ、 3作品に共通する事は、“主人公は何も成し遂げない”事です。 どの話も何も解決せずに、ただただ気怠く終わります。(それを“リアリティ”だと表現するなら、まぁ“現実味のあるお話達”ではありますが…) 丁寧な表現と言うのか、生々しい表現と言うか、一言多い表現と言うか、“別にこの文書かなくても良くないか?”と言う、そういった言葉が、物語の気持ちの悪さを演出しています。 この方の作品を他にも触れたことがあるのですが、こう言った“どんより”、“煮えきらない”、“暗い”表現が得意と言うか、 同じ様な思考の雰囲気ばかりの作品なので正直退屈です。 個人的に、今まで情緒不安定になるくらいキツくて、暗くて、考えたくもないグチャグチャドロドロの目を背けたくなる様な酷い現実を味わって生きてきたので、こういった“明けない夜”、“降り止まない雨”の様な“暗い小説”はお腹いっぱいで。 トラウマを撫でられる様な雰囲気の作品達でストレスしか溜まらないので、今後は彼の作品は余程の事が無い限り触れない様にしようと思いました。 (※私の知人は、親にすんなり感謝出来る様な幸せな家庭の育ちで、心も安定している方なのですが、この方の書く“暗い物語”が、全く現実味の無いフィクションにしか思えないそうで、逆に“暗さ”を楽しむ様に、興味があるみたいで、こう言った作品が気になる様でした。) 私も“暗さ”を楽しめるぐらい、幸せかつ安定した心で本を楽しみたかったなぁ…なんて思う程、 私にとってはこの作品は、何処をとっても100%テンションが下がる、ある意味天才的作品です。(気分が最悪なので、★2つですみません) | ||||
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吉田修一の描く男をみていると なぜか ささくれ立つ。 なんとも言えないほどの頼りなさ。 そして、自分中心なのだ。それに愛想を尽かすオンナ。 いつの間にか ドロドロの関係になって、すすめなくなり 結果として 別れるしかないみたいだ。 この三つの短編も、底流は 似ている。 「熱帯魚」 大工さん。大輔。ある程度任せられるけど、任せきれないところがある。 吉田修一の男主人公としては、めずらしく 高給取り。 大工さんに、ボーナスで プーケットに4人が行けるほど出るのだろうか? 大輔は、ちょっと、おせっかい。『オレについてこい』系。 大家は 時先生で いつもむつかしいことを考えている先生。 歳をとっているが、ちょっとゲイっぽい。 大家から借りたマンションに、真実とその子供 麦子と一緒に住む。 真実は 天真爛漫系。何となくイメージがわく。 大輔の親はつれ子同志の結婚で、義理の弟 光男がいるが、 これは、箸にも棒にもかからない感じ。吉田修一が好きなタイプ。 ちょっとのろまで、しかし 羅生門の演劇をしたいと思っている。 熱帯魚を 見つめて ぶらぶらしていて、熱帯魚の顔のちがいまで分かるようになった。 光男も 転がり込んで居候となる。 4人の疑似家族ができ上がる。 大輔のついてこい系で、まわりは、それをどちらかと言うと 迷惑がっているが、 気がついているようで、気がつかない。 その光男が プーケットの代金と真実の貯めた50万円を盗んで 逃げた。 大輔は 家をつくっている家主の娘14歳とねんごろとなり、ぼやを起こす。 これは、完全に 淫行条例違反 ですね。ロリコンですまされない。 大輔は、棟梁に ボコボコにされるだけで、まわりは 簡単に受け止めている。 普通は クビ でしょう。 なぜか、読んでいると 気分がささくれ立ってくる。 余っている エネルギーと その扱い方が分からない青年たち。 吉田雄一の 男たちは なぜか そのような雰囲気をまとっている。 「グリンピース」 僕と千里。鷹野と椿。 カップル同士のつきあいで、鷹野と椿は マジメ。 千里は 冗談の分かる女。 僕は 失業中。千里が すきだけど、どうも気に食わない。 千里がカレーを作っているときに グリーンピースをぶつけ始める。 それで、千里が 家出する。そこから 物語は 奇妙になる。 吉田修一の『どろどろ』が始まる。 『許す』ことは、分かるが、『許さない』とは どうすればいいのか? 本来ならば 別れるという方向に行くはずだが、別れないで許さないを考える。 真っ白な雪が 降って すべてを覆い隠す。 「突風」 新田は どうも いい会社に勤めているが、休暇で 海辺の民宿でアルバイト。 民宿の 奥さん すみれさん。ふわふわと浮かんでいる女。 それに、ちょっかいを出す 新田。 吉田修一的ワールド。不安定な状態での不安定な感情。 | ||||
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「熱帯魚」、「グリーンピース」、「突風」の三作が収録された作品集。 作品そのものに関連性はないのだが、表向き優しさをまといながらも、芯のところで冷え冷えとしている男性主人公のキャラクターが共通しているように思う。自分本位とも違うし、わがままとも違う。なんとなく、イヤなヤツなんである。僕自身にもどうやら同じ部分があるらしく、同族嫌悪というに相応しい気分にさせられる。 「熱帯魚」の大工の大輔は、子連れの女性と同棲しながら、引きこもり気味の義弟光男の面倒を見始める。家族にも友人にも同僚にも愛想のいい憎めない男。日がな一日熱帯魚を見て暮らす光男は、そんな大輔に心を許さない。押しつけがましくもある大輔の優しさに信を置けないのではないか。後に大輔は、ちょっとした事故を起こすのだが、その顛末を含めて黒い部分を見てしまう。 「グリーンピース」の草介は喧嘩の挙句、浮気をしたカノジョの千里を持て余している。人を”許さない”方法を見いだせないでいる。心をどこかに置いてきたような草介の行動。千里にグリーンピースを執拗に投げつけるという、草介の怒りの表現にはいごこちの悪さを感じてしまう。 「突風」の新田は、ふと立ち寄った民宿の奥さんと、つかの間の逃避行を実行に移す。都会と郊外では、別の顔をもつ新田。何気ない行動で波紋をおこし、それが意図したものでないゆえに、その結果を振り返ることをしない。感情があらわにならない男の寒々しさが淡々と描かれる。 吉田修一さんは、何考えているのかわからん奴を書くのが上手いね。 | ||||
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冒頭からねっとりとした嫌な空気感を醸し出している その印象だけで、楽しい話ではないということは分かるのだけれど、なんだかそのまとわりつくような気持ちの悪い煮え切らない感じがずーっとつきまとう もやもやと燻っている 悪人にも善人にもなりきれず、豪快さがあるわけでもなく自信家でもない、少し狡獪さを持っている普通のひと この普通のひとというのが自分とオーバーラップするようでもあり、否定したくもあり… そういうところがこの何とも言えない気持ち悪さに繋がっている気がする… なんとも消化できない嫌悪感が残る このひとの作品はどれも新鮮で読みやすく手が止まらない 抽き出しの多さに驚かされる | ||||
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本書は『熱帯魚』『グリンピース』『突風』の三部で構成されている。 印象的だったのは、『グリンピース』で「僕」が千里にグリンピースを投げて喧嘩?(というか一方的なDV)をするシーンかな…。 「僕」みたいな人間は大嫌いで、千里は、どうして結局は「僕」から離れようとしないかも不思議だ(これも被DV女性の代表っぽい行動だ)。 後味も良くないし(途中味はもっと悪い)、読むのに少し疲れた。 他のレビューを見てもあまり評価が高くないのがすごく頷ける。 前回読んだ『横道世之介』が最高に良かった分、期待していたけれど、特に溜飲が下がる作品はなかったかな…次に読む吉田修一に期待したい。 著者:吉田修一(『最後の息子』で第84回文學界新人賞を受賞) 発行:2003.6.10~2004.8.10 第3刷 読了:2015/04(048/12)★3.1 | ||||
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