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涙香迷宮
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涙香迷宮の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点2.46pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全46件 41~46 3/3ページ
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確かに他の方が驚嘆されているポイントは確かにすごいな、と思います。 ただ、それがメインであり、殺人事件はオマケ、それも「そんなもんか…」と(個人的には)物足りなすぎる殺人動機とトリック… ミステリーではなく、言葉の神秘、的なカテゴリーなら良かったのかもしれませんね。 | ||||
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12月に入り読もう!と思う人が増える作品だと思いますがこれは完全に人を選ぶ。自分には難しくて面白いとは感じませんでした。それでも最後まで読めば何か見えるかと意地で読みましたが特にはw | ||||
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竹本健治氏の作品は、久しく読んでいなかったのだが、たまたま手にした近作の『かくも水深き不在』が一気読みの面白さだったことに勢いづいて、本作にも触手を伸ばしたら、これがさらに感嘆させられずにはいられない傑作だった。 かつて土屋隆夫氏が、事件÷推理=解決、という数式で推理小説をあらわして見せたのはよく知られているところだが、確かに普通のミステリは、おおむねこの式に当てはまるのだろうが、竹本作品の場合、代表作とされる『匣の中の失楽』や『ウロボロスの偽書』など、本質的にこの式には嵌まりにくいものが多い。あえて同じような数式であらわせば、推理×推理=∞ とでもなるだろうか。推理に推理、思考に思考を重ねるほど、無数の解答の連鎖に見舞われ、唯一の答には永遠にたどり着けない迷宮にはいり込むような作品といった趣がある。本作なども、タイトルからしてそれを語っているようだ。 読み始めるや間もなく、囲碁や歌に関する蘊蓄に目くらましをかけられるよう。そして勃発する殺人事件と、発見される黒岩涙香の隠れ家。涙香の家は、子、丑、寅…十二支の名がついた部屋に分割され、それぞれの部屋に四首ずつ掛けられたいろは歌がある。ページにはさまれた見取り図が、まるで星座の輝きに彩られた天体図を見るようでワクワクさせられる。作中のいろは歌が、すべて竹本氏の自作というだけでも驚倒ものなのに、それがさらに暗号をも秘めているという、まさに超絶的な職人技を見せつけられる。囲碁の盤面、殺人事件の犯人捜し、そしていろは歌の暗号―。それらが折り重なった思考の宇宙に、精妙巧緻な論理のアラベスクが織りあげられる様に、陶然とさせられる傑作である。 江戸川乱歩や横溝正史などに影響をあたえた、日本ミステリの始祖ともいえる黒岩涙香に関する、伝記的な興味で読んでも楽しめる作品だ。ただ、論理をじっくりと詰めていく推理小説が好きな人にはいいが、スピーディーなストーリーを右に左に大胆にひっくり返してゆくようなミステリが好みの読者には、いささかしんどい作品かもしれない。そういう方には、同じ竹本作品なら、前述の『かくも水深き不在』の方がオススメ。 本作の紹介文を目にした時、暗号ものということで泡坂妻夫氏の『掘り出された童話』を、作中の歌が作者の自作だということで連城三紀彦氏の『戻り川心中』を思い出していた。同じ『幻影城』出身のこの両氏も、練りに練り、凝りに凝った職人技に傑出した作家だったが、本作にも、それに負けず劣らずの名工ぶりが発揮されている。同門の名匠が相次いで鬼籍に入られた後、竹本健治氏には、さらなる傑作を生みだすべく、より息の長い健筆を期待したい。 | ||||
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読んでいる途中から興奮が止まらない。 竹本先生がついったー上で新いろは歌を作っているのは知っていた。すごいな~と思いつつ、自分も1個くらいなら作れるかなとか思っていたら・・ いやいやまさか、それがこんなに無尽蔵に出てきて、しかも暗号としても素晴らしい出来になっているなんて!!!! いい意味で変態的です。非常に変態です。 しかも暗号ものとしてとてもフェアに作られていますね。作中に、囲碁や将棋は「完全情報ゲーム」で、麻雀とか手札が隠されているものは「不完全情報ゲーム」だという会話が出てくるのですが、この暗号に就いては完全に完全情報ゲームです! 解きがいがあるし、素晴らしい。(ただ、ある部分だけは自分で調べものしないと解けないでしょう) ミステリ史上に残る傑作だと思います!! | ||||
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暗号もののミステリは、あまり傑作が多くないと思っていました。暗号ものや、ダイイングメッセージものは、何通りでも何とでも解釈できるので、解答が示されて感心したことは数えるほどしかありません。しかし、この『涙香迷宮』は…暗号ものとして、異次元の域です。ここまで日本語の神秘を体現出来るものなのか!?『同じ文字を二度使わず、すべての文字を使って意味の通る歌を作る』といういろは歌は、二個くらいしかできないんだろうな、だって何通りも作るなんて不可能だもん、と考えていた私の脳天が割れるほどの衝撃です。まさか…こんなにいろは歌の奔流が存在していたとは…。その奇跡に彩られたいろは歌を味わい、ちょっとコミカルな事件パートを味わい、連珠の神秘を味わい、驚愕と爽快を感じて読み終わることができました。 漫画『入神』の続きも描いて欲しい! | ||||
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「面白い」などというありふれた言葉の対象とはならない、脅威の一書。 小説は「面白くなければならない」というのは、俗説である。 実際、人が何を面白いと思うかは千差万別であり、面白さとは実質的に内容規定など出来ず、せいぜい「知的に快感を惹起する特性」というくらいのことしか言えない。したがって、昨今流行の「通俗的娯楽性」だけが面白さではない。人によってはピカソも面白いし、別の人にとってはホーキングが面白い。 そうした意味でなら本書も「面白い」のだが、その面白さは「超人的に圧倒的なもの」として、「面白い」という言葉を超えてしまっているところがある。 ここに差し出されたものは、名匠の超絶技巧によって造られた精妙巧緻・至微至妙な、七色に変幻する言葉の螺鈿細工、つまり「いろは歌」暗号による驚異の匣である。 読者は、本書を手にとって、ただただ圧倒されるといい。 「こんなものを書ける人が存在したのか」と、目眩をともなう溜息を禁じ得ないであろう。 本書は間違いなく、日本の本格ミステリ史に残る、暗号ミステリの歴史的傑作である。 | ||||
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