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涙香迷宮
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涙香迷宮の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点2.46pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全28件 1~20 1/2ページ
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この作品がこのミス1位であり、その栄誉をもって今後も継続して読者を誘い、金と時間を浪費させることに怒りを表明したい | ||||
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言語遊戯に徹した労作であることは認めるが、小説としてはリアリティに乏しく、失敗作の部類に入ると思う。 たとえば、殺人事件の被害者となる女性の名前は「榊美沙子」で、「四十代にはいったばかりということだが」「ずいぶん若く見える」とあるところで、この小説の作品内世界での現在時点はいつなのか、と疑問を感じた。 というのは、「沙」や「紗」は、1976年7月30日付で「人名用漢字追加表」に追加されたのであり、それ以前には、戸籍名としては使えない漢字だった。女優の紺野美沙子の「美沙子」は芸名で、本名の漢字表記は「美佐子」だ。山村美紗も筆名だったから「紗」の字が使えたのだ。 『涙香迷宮』の初版発行は2016年3月9日だから、作品中の事件は2015年8月に起こったのだろうか。それとも近未来の2016年8月に起こるとの想定で書かれたのだろうか。 「美沙子」という名前が戸籍名として使えるようになったのは1976年7月30日からなのだから、2015年8月の時点では、「四十代にはいったばかり」は成立しない。 2016年8月に起きた事件なら、ギリギリのタイミングである。「四十代」というより「四十歳になったばかり」と書かねばならない。 てっきり私は、「ずいぶん若く見える」が伏線で、「榊美沙子」を名乗っている人物の実年齢がもっと若いのではないか、それが真相となにか結びついているのでは?と考えた。違っていた。 作者は黒岩涙香については色々調べたのであろうが、「人名用漢字追加表」などには無頓着だったのではあるまいか? そして、こうした点には無頓着な執筆態度なればこそ、リアリティに乏しく説得力のない小説に終わってしまったのではないか? | ||||
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私は囲碁愛好家で竹本氏の「囲碁殺人事件」がとても面白かったので本書も手に取ってみた。 また囲碁に関する蘊蓄が色々読めるのかと思って楽しみにしてたのだが、本書では囲碁についての記述はほとんどなく連珠についての話が中心だった。 他のレビュアーの方で 「囲碁のルールの知識がないとわからない」とか「囲碁に関する部分がつまらなくて読み飛ばした」とかの意見が散見されるが、それは囲碁と連珠を混同している意見。 本書では囲碁についてはほぼ書かれていない。ゲーム殺人事件シリーズ風のタイトルをつけるなら「連珠殺人事件」である。 私のような囲碁愛好家でない普通の読者にとってみれば囲碁も連珠も同じに見えるんだなという事がわかったのは収穫。 私も連珠に関する知識は皆無に等しく、本書では連珠に関する膨大な蘊蓄が語られるのだが、それでもその部分は楽しく読めた。 ま、こういうボードゲームに全く興味がない人には読むのが辛いとは思うが…。 黒岩涙香に関する蘊蓄も楽しく読めた。 私は江戸川乱歩の大ファンなので、乱歩作品の元ネタの小説を多数書いてる(翻案してる)涙香にも興味を持っていた。 問題はいろは歌だ。 いろは歌に関する歴史だとか蘊蓄はまだいい。 しかし、作者自作の大量のいろは歌を長々と書き連ねるのはいただけない。 暗号に関わる部分ではあるのだが、さすがに私もこれは読み飛ばした。 大半は小説のストーリー進行上全く必要がなく、作者の自己満足にすぎない記述だと思う。 この部分が私の本書への評価としては大きなマイナス部分である。 それと、本書が読みづらかったもう一つの理由は登場人物のわかりづらさもある。 事件が起こる涙香の隠れ家には多くの人間が集まるのだが、人物の区別がつきづらかった。 よりわかりづらくさせているのは、地の文で主人公以外の男は苗字で書いてるのに女はなぜか名前で書いている点。 例えば、榊美沙子という女性は会話では「榊さん」と呼ばれてるのに地の文では「美沙子」と書かれているし、菱山弥生という女性は会話では「菱山さん」なのに地の文では「弥生」と書かれている。 だから、余計にややこしくなって誰が誰やらわからなくなる。 男は主人公の智久以外は地の文でも会話でも全て苗字なのに女は名前で書くって何か合理的な理由があるのだろうか? 登場人物の区別がしづらいので、登場人物の一覧表が欲しかった。 評価が分かれる作品だと思う。 これを高く評価する人もいるとは思うが、私は面白くなかった。 | ||||
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このミステリーがすごいの一位だからこの本を手にとった人は多いでしょう。私もそうです。先日、購入して三年近く経って読了。理由は何度も挫折し、読み終えられなかったから。いろは歌を絡めた頭脳戦、暗号ミステリーを期待したが、なんと肝心の事件とは全く無関係…。いろは歌も囲碁のくだりも面倒で読み飛ばしたが全く影響なし。殺人の動機やトリックはお粗末そのもので、むしろ不要。古典やいろは歌、囲碁に興味がなければ厳しい作品。退屈。 | ||||
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好きな人には、唯一無二の名作になるかもしれませんが、私にはいまひとつでした。 黒岩涙香の残した暗号を解読するというのが話の核で、恐らくそれだけではミステリ小説として弱い(売れない)ので殺人事件とその犯人探しを付けた足したのではないでしょうか。そう思うくらい暗号の提示と謎解きにかける熱量と、殺人事件に関するそれとの差が激しいように思います。 肝心の暗号も作者の努力と工夫には頭が下がりますが、根本的に暗号への興味が薄く、”ゑ”だの”ゐ”が出てくる文章になじみも興味が無いので、残念ながら楽しむことができませんでした。 また、嵐で閉じ込められた中で殺人が。。。という点も取って付けたような感じが強く、サスペンスに乏しく、ほとんど区別がつかない登場人物たちとあいまって、ミステリとしても面白く読めませんでした。 暗号や古文が好きな人には、類例の無い名作になるのかもしれないのですが、私には合いませんでした。 | ||||
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推理小説を読んでいるというよりも、黒岩涙香という人物に関する研究結果を聞かされているような気分でした。 著者自身が涙香のファンなのか、それとも今作を書くにあたって研究したのかはわかりませんが。 どちらにしろ、涙香についてかなりの時間と体力をかけて調べたのは伝わります。 でもこれが小説か?と言われると…。 正直『黒岩涙香について』みたいな研究本を出版された方がよかったのでは?と思うほど。 よく小中学生向けの歴史漫画や資格漫画であるじゃないですか。 登場人物達がある題材に関して、一応キャラクター設定もありつつ、紹介していく。 あれを難しい小説にしたような感じですね。 とにかく、登場人物達が涙香について意見交換や知識披露する場面が多く、また台詞も長い。 最早学会で論文発表しているレベルです。 作中に出てくるいろは歌も、いろは歌だけで何ページあるの?ってくらいのページ数。 そして囲碁。 この作品は囲碁のルールがわからない人が読んでも、全く面白くないと思います。 私もその一人です。 囲碁の細かいルールがどんどん出てきて、これ事件に関係ないよね?と思うようなルールまで。 この小説を読みながら推理をしようと思うと、紙とペンを引っ張り出して来て、いろは歌や囲碁について書いて熟考しながらじゃないと無理だと思います。 それもかなりの時間を要するかと。 正直この本は、作者が「涙香についての研究結果と、囲碁についての知識を、誰かに披露したかったが為に書いた」ようなものでは? 登場人物に魅力が無く、作者が「動かしている」感がすごい。 それと、いかにもシリーズもので前作から登場人物が同じような雰囲気で書かれてるのですが…これシリーズものなんですかね? それにしても…この作者『狂い壁狂い窓』の人だったのか~!! 狂い壁~を読んだ時に、随分哲学的な言い回しばかりする作家さんだなぁ…苦手。と思ったんですよねぇ…。 私は読書記録なるものをつけているのですが、面白かった本は水色、面白くもつまらなくもなかった本は白、つまらなかった本はベージュで欄を色分けしてるんですよ。 狂い壁~は、ベージュで塗ってますね…。 作家さんの名前を覚えておらず、またもやこの作家さんの作品に手を出してしまった…。 でももうさすがに覚えました! もう二度とこの作家さんの本は読まない。 | ||||
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綾辻行人、恩田陸、京極夏彦絶賛! 空前絶後の謎解き!暗号ミステリの到達点! このミス1位!!本格ミステリ大賞!文春ミステリ3位! 天才から天才への挑戦状! …ジャロ?ジャロに連絡すればいいですか?? ちなみに付録の冊子には、「ぼくのかんがえたちょうかっこいいてんさいたんてい(あいきゅー208 !)」が「ぼくのかんがえたちょうぜつぎこうのあんごう(いっぱい!)」を解く、「ぼくのかんがえたちょうおもしろいほんかくみすてり」が収録されていました。 ミステリとか本格ミステリとか言える厚顔無恥さに☆1つです! 綾辻先生や京極先生がどのように絶賛されたのかが、読後に残る極上の謎です。 | ||||
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皆様で、もう「暗号はすごいんだけど…」的なレビューは出揃っているので、それ意外でキツいと思った点を。 主人公の17歳の天才少年を、周りの大人がよいしょし続けるのが、たまらなく虫酸が走る。 「さすが天才!!」 「いやいやそれほどでも…」 「まったくご謙遜を!あなたと一緒の空間にご一緒出来て感動です!!」 このようなやりとりが全編に渡って延々と続きます。 昔いた会社の、社長の息子にへーこらする役員達を思い出しました。 | ||||
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この蘊蓄は展開できるでしょう。もう少し命の大切さを考えてください。 くそみたいな しようせつや 糞みたいな 小説や これがこのミスで高評価? この国の読書力は、想像力は、羞恥心は、この程度の小説で喜ぶ恩田陸は、大丈夫か? | ||||
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牧場智久本因坊が主人公のミステリ。 直前に智久くんの恋人、類子ちゃんが主の"せつないいきもの"を読んだばかりだったので、これは... あちらはライトな推理ものだったのに対し、こちらは... 必要以上に黒岩涙香の功績がずらずらずらずら...いろは歌も盛り沢山で、何ページ使った? ミステリに必要あるのかこれは...と言った内容盛り沢山。 途中から飛ばし読みを開始。 匣の中の失楽を読んだ時を思い出した... ゲーム三部作、狂い咲く薔薇を君になどはまぁ良かったのだが。 純粋にミステリを楽しみたい人は止めておい方が良いかも知れません。 いろは歌、あれだけ作った労力には感嘆しますが、ミステリに対しては申し訳ないが徒労と言わざるを得ない。 文学作品、伝記を読みたいわけではない、ミステリのスリル、謎解きを楽しみたくて買ったのだから。 そして、確かに智久くん賛美が過ぎてシラケる。 匣の中の失楽を読み終えたときは、某かの達成感があったが、これはそれもない。 最後には謎を残して終了。 すっきりしない。 "この○○がすごい"シリーズはすごくないものが多いのか? 少し前にも別の作品でそんなレビューを書いた覚えがある。 あれは、このマンガがすごいだったか... | ||||
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匣の中の失楽といいウロボロス三部作といい、この人の小説は衒学趣味的なところが持ち味の一つなんだけど、 今作はそれが独りよがりで空回ってる印象を受けた。 自作のいろはかるたや複雑な暗号は確かに凄いけど、そんなものは誰も求めていないって分からないのだろうか。 主人公が一言喋るたびにやたら周囲に持ち上げる気味の悪いノリにもちょっとついていけない。 | ||||
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2015年度「このミス」のベストミステリーで、解説は恩田陸、書店でも平積みになっているので読んでみた。とにかく圧巻なのは、本書に出てくる暗号である。とくに、作者が暗号となるいろは歌をあれだけ作るには、どれだけの労力がかかったのか気が遠くなる。その意味で、本作は労作と言うに相応しい。 ただ、いろは歌や連珠の暗号、暗号、暗号に、食傷気味になったのは事実である。だから、いろは歌も10首もいかないうちに読み飛ばしたし、連珠が絡む暗号も読む気力がなくスルーした。暗号で埋め尽くされた「迷宮」の舞台設定はあまりに非現実的なので、作者がこの舞台づくりに並々ならぬ意気込みなのはよくわかったが、正直なところウンザリした。それに、中盤以降山の中にある「迷宮」は、荒天のために孤立した状況に置かれるわけだが、そうした設定にも、いかにも昔のミステリに出てきそうな古めかしさだとしか感じなかった。 本作の最大の問題点は、ミステリーの本筋であるべき殺人事件とその解明が、話の傍流にすらなっていないことである。一応なぞ解きはあるが、殺人事件の犯人の動機に現実味がまるでなく、トリックも貧弱そのもの。おまけに、読者が犯人を見つけるための十分な材料も提供されていない。要するに、天ぷらの大きな衣(迷宮)の中にあったのは貧相なエビ(殺人事件)だった、そんな感じがする。 人物描写も問題が多々ある。周囲の人間に深みはまるで感じられず、主人公の描写もほとんど完全無欠のスーパーマンである。作者自身が作った暗号を、これまた作者自身が作った主人公に解かせておきながら、その主人公をこれでもかと周囲の人間が称賛するのには、読んでいて辟易とした。 以上のことから、読んでいて感じるのはとにかく作者の自己満足である。もちろん、小説家として名を成す人は多かれ少なかれナルシストであるということは否定しないが、それがあまりに露骨になれば、ただ読者を閉口させるだけである。そうしたことから、ハッキリ言って本作は駄作であり、読んだのは時間のむだだったと思うので、作品の出来は☆1つである。ただ、作者が精魂込めた舞台づくりに敬意を表して、☆を1つ追加しておいた。それが、☆2つの理由である。 | ||||
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「このミス」では2015年のベストミステリーなんですよね、これ。期待して読みました。で、感想としては、「うーん、これが1位か」と。 確かによく出来てます。でも、所詮はパズルとしての面白さ。一応、小説なんですからね、ミステリーとはいえ。 囲碁にも連珠にもさして興味のない私は、パズル的な部分を逆にかなり飛ばし読みしました。そうすると、あとはスカスカ。 最後に犯人が特定され、登場人物たちの前で自ら嬉々と告白するなんていうシーン。余りに古臭くて。探偵小説か! ただ、涙香さんの色んなことを知ることが出来たのは収穫。いわゆる万能人だったんですね、彼。その点だけで星ひとつ+です。 | ||||
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買った本は必ず最後まで読むようにしていましたが、初めて挫折して途中から読みとばしました。しっかり読了していないのにレビューするのは心苦しいのですが、あまりにも読むのが辛すぎました。このミス1位ということで平積みされていたのを購入しましたが、正直がっかりです。 ・主人公礼賛が過ぎる。不自然なほど知識があったり観察力がある主人公を周りが持ち上げてる ・会話の言葉遣いが不自然すぎる。特に若者の言葉は年配の作者が無理してる感じが強すぎる。 ・一人のセリフが長すぎるのが多い。平気で10行以上のセリフを一気にしゃべってるところが多く出てきますが、普通そんなに一気にしゃべるか?と気になってしまう。 などなど、主に文体の面から全く好みに合わない作品で、ミステリ的な本題に行きつく前にギブアップでした。 このミス1位は必ずしも面白いわけじゃないということを教えてくれる本でした。 | ||||
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遅ればせながら、このミステリーがすごい!1位だったので読み始めましたが、囲碁の定石やいろは歌の著者自作が続くところは読み飛ばし、なにか素晴らしいストーリー展開を期待してエンディングまで。何じゃ、これ?自作のいろは歌の数に感心しなけりゃならないの?そこが書き上げて出版したポイント?暗号も難しすぎてつまらん。殺人事件の方も、犯人が殺意を覚えるのが探偵役と会ってから身の危険を感じたから殺意を覚えたはずなのに、じゃ毒薬を何のために持ってきてたの?等、説明がつかないところが多数。おまけに、会話が続く場面では誰のセリフかわからない箇所も多く、しかも口に出して「ひええ、ぶるぶる」なんて言う日本人いますか?高校生が活躍し大人に敬語で感心されてばかりというストーリーの少年少女向け小説かっ。なんでこれがこのミス1位?もうこのミスは当てにならないです。 | ||||
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ミステリのようですが、実際はそうではないので、ミステリを期待する人には勧められません。 | ||||
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初めての作家の初めての作品を読了。暗号ミステリーとのことですが、最初から最後まで、パズルやコトバ遊びや暗号をこれでもかって紹介して、結局、殺人事件の動機やトリックに斬新さは無く、作者の自己満足のような作品でした。残念。 | ||||
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破格のデビュー作「匣の中の失楽」以降、これと言った作品の発表がなかった作者の久々の傑作という噂を聞いて手に採ったのだが、全くの期待外れだった。一応、暗号解読を中心としたミステリなのだが、自作の<いろは歌>を創作した作者の労力は買えるものの、ミステリと言うよりは"パズル雑誌"と言う趣きが強く、無味乾燥という他はない。 日本における暗号ミステリと言えば、柿本人麻呂論(ただし、梅原猛氏「水底の歌」からの借用が多い)及び(本作同様)<いろは歌>の謎に迫って歴史ロマンを感じさせる井沢元彦氏「猿丸幻視行」がまず想起されるが、本作の対象の黒岩涙香と柿本人麻呂とでは格が違い過ぎて(涙香が近代人という影響もあろう)、物語に求心力がない。また、本作において、(涙香が残したとされる)暗号を解く事が大した意味を持っていない点も本作のインパクトを弱くしている。また、暗号ミステリにおいては、暗号を提示する側の作家が圧倒的に有利で、読者はどのようなポイントが暗号解読のキーになるのか予測する術がなく、ただでさえ求心力が落ちがちである。そこを読ませるのが作者のテクニックなのだが、この点でも工夫が見られない。語られる薀蓄の何処かにキーがある点は分っても、上述した通り、具体的に予測する術がない上に、何の工夫もなく解決を提示されても読者が感心・感動する訳がない。ミステリとしての体裁は初期の「囲碁」シリーズと同様だが、暗号解読を抜きにしても、ミステリとしての出来もお粗末である。 本作を読んで改めて思ったのだが、作者は破格のデビュー作「匣の中の失楽」でミステリ作家としての能力を使い果たしてしまったという感が強い。本作に関しては期待値が高かっただけに誠に残念である。 | ||||
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「このミス一位」と「いろは歌に掛かるトンでもない暗号ミステリ!」との前宣伝に魅かれ読破。 感想として…ほとんど読み飛ばした斜め読み…。 端的に言って「暗号部分は凄いと思うんだけど絶望的なまでに話が面白くない」。 むしろ読んでいてイライラしてくる始末。 前半はミステリオタクたちが集まっての黒岩涙香談義(何でもこの人は日本ミステリの先駆けらしい)。 薀蓄全開でオタクは読んでて嬉しいのかもしれないが、一般人は黒岩なんとかなど興味ないのでは? 自分もそれほど黒岩某に興味が惹かれなかったので、この人物の薀蓄を何百ページも最初から読まされてまず辟易。 中盤は真夏に茨城県の山中の地下で中年男達が集まっての「暗号読解会」。字面だけで頭が沸騰しそう。 この中盤の何が凄いって「いろは歌」が五十首以上ダラダラ書いてあること(マジに書いてある)。 自分は、あの有名な「いろはにほえど~」の歌に重大な暗号が隠されていて、それでお宝とか重要機密とか 探して日本全国を回ったりするのかな?面白そう!と読む前は思っていたのだが、全然違った。 マジで山中の地下で会話するだけ。しかもこの五十首全部について…。 そもそも暗号解読の対象が多すぎて、暗号もこじつけ気味で専門知識が無いと絶対に解けない。 まともにこの本読んで謎解きしてる人は居るのだろうか?って思うくらいダラダラダラダラ…。この辺からもう斜め読み開始。 後半になって取ってつけたような殺人事件勃発。事件が遅すぎんよ。しかも雑。 だって発生から解決まで百ページくらいしかない。これじゃ短編やん…。 何より読んでいて苦痛だったのが執拗なまでの「主人公上げ」「天才イケメン高校生棋士探偵上げ」。 この作品は天才高校生イケメン囲碁棋士(笑)が主人公兼探偵役なのだが、何が可笑しいって この主人公が発言するたびに、周りが「流石天才!」「こんなこと私達では思いつかない!」「考える姿に華があるわ!」と ヤンヤヤンヤと持ち上げまくる。冗談ではなく、一つの台詞を喋るごとに誰かが太鼓持ち発言をする様式美! まるでどこかのライトノベルのようだ。流石お兄様! さらに何が酷いって、これを70近いおじいちゃんが書いているって事! 作中には主人公のイケメンだけでなく美人女子高生(主人公の彼女)笑 が出てくるが、この女の口調がもうだめ。笑える… 若者を描こうと「スマホ」や「ツイッター」なんかの今時言葉も出てくるが、それがまた無理してる感出しすぎ。 最後に何が言いたいかって、「創作の評価はまず第一に面白さ」でしょ! トリックが凄い、ギミックが凄い、薀蓄が凄い、世界観がすごい どれもミステリ創作に大事な要素だけど、その各要素が個別に優れていても作品全体が面白くなければ何の意味も無い。 この基本に立ち戻って、大御所にこびへつらうのではなく、本当に面白い作品を今後選んでください 「すごい」だけで「面白くない作品」ばかり選んでいくと、どんどん信頼されないランキングになるよ >このミス選出に携わっている人達 | ||||
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このミスで1位だったので購入しましたが、ホント買わなきゃ良かった。 ただの作者の自画自賛。 ミステリーとしては布石もトリックも動機もひどいものです。 物語の〆も釈然としない。 暗号が好きな人なら楽しめるかも… | ||||
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