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火星の人



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火星の人の評価: 4.46/5点 レビュー 282件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.46pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全282件 281~282 15/15ページ
No.2:
(5pt)

「見て見て! おっぱい!->(.Y.)」に尽きる

『月は地獄だ!』『渇きの海』『アポロ13』「日の下を歩いて」『ゼロ・グラビティ』に続く、宇宙サバイバルものの傑作登場!

この手の物語は、最後は助かるのがわかっているものの、人間を完全に拒絶する宇宙という環境、限られた物資、救助隊が絶対に期待できない状況を知識と工夫でどうやって生き延びるのか、という構成要素だけで出来ているから、ドラマチックにならないはずがない。
食料は? 水は? 空気は? 通信は? と問題山積で、その問題解決自体が物語の推進力となる。
この手の物語は危機また危機がお約束だけど、作者の言葉にもあるように、主人公を苦しめるためだけに挿入される危機ではなく、一つの問題を解決することによって副産物として危機が生まれてしまう。わかり易い例では、水を作るために水素燃やして爆発させちゃうとか。
物語は、基本、人間関係(政治力学)による危機はなく、あくまで火星サバイバルだけに特化している。

しかし、一番の特徴は、

見て見て! おっぱい!->(.Y.)

かなw
これだけで、今年のベストは揺るぎないものになった。

マークの一人称(ログ)パートと、ヒューストンなど彼を見つめる人々の三人称パートに分かれている。
この一人称パートのユーモラスさがあまりに魅力的すぎて、最初はサバイバルを味わうために読んでいたのが、彼の発言を追っていることに気づく。
個人的には、ハードSFの印象が全くなくて、こんなに笑ったハードSFは初めてかも。
宇宙飛行士なんだからエリートなのに、かなりのアホキャラw
それなら、全編一人称にすればいいじゃないかと思われるかもしれないけど、コントなら、三人称パートはネタ振りの役割になっていて、マークがそれに答えるようにボケる。
例えば、物語前半ヒューストンは監視衛星で彼の様子を確認することしかできず、「彼は何を考えているんだろうな……」とシリアスな場面から一転、マークはその時アクアマンの超能力の不条理を考えている、という塩梅。
ヒューストンがやるなということをやっちゃって危機を脱する(陥る)というのはパターンとしてあるけど、本作の場合それが完全にギャグ方面に傾いている。マークには、交信が「押すなよ押すなよ」と聞こえているに違いないw

作者は火星人など、今現在確認できない要素は入れず、リアルな火星の状況とそこから導き出される危機で物語を構築している。
リアルを売りにしたハードSFは、ともすれば、キャラクターは二の次で、状況を動かすためだけの無味乾燥な人物造形になりがちだけど、その代わりに投入されているのが、マークのオタクネタと皮肉とブラックジョークと愚痴に溢れたひとり語り。これがこの上もなく物語と主人公を愛すべきものにしている。正直、上記した過去作のキャラクターって、直近の『ゼロ・グラビティ』以外覚えてないんだよね。
リアルな火星サバイバルだけだったら、ここまで好きにならなかっただろうなぁ。

映画化の話があるようだけど、単なる宇宙サバイバルもので終わらないことを祈る。
火星の人 (ハヤカワ文庫SF)Amazon書評・レビュー:火星の人 (ハヤカワ文庫SF)より
4150119716
No.1:
(5pt)

これまでありそうでなかった、主人公の魅力が心に残る「軽い」ハードSF

火星調査隊の植物学者兼エンジニアのマーク・ワトニー、全6名の調査隊が事故に巻き込まれ、彼は死亡したと判断されて他5名は火星脱出。火星に置いてけぼりとなった主人公、そこから、知恵と能力とひたすら前向きな精神で、絶望的な火星生存計画を実践していくが・・・

 読みやすい、主人公の魅力が飛び抜けてる、そして何よりも文系の人間にも分かりやすく説得力のあるハードSF。
 生存のためのハードルをあらゆる方法を使って飛び越えたともったら絶望的な課題が突きつけられ、これも飛び越えたらまた新たな課題が、という繰り返しなのですが、その過程がとにかく面白いのと、科学的な考証がどこまで正確なのかは分かりませんが、説得力が凄い。救出計画については、やり過ぎ感もありますが。
 特に、導入から最初の危機を乗り越える辺りがめちゃくちゃ面白いので、のめり込んで巻を措くに能わず。
 ゼロ・グラビティの火星版ではあるのだけど、どのような状況でもユーモアと希望を失わない主人公の魅力のため、絶望的状況であるにもかかわらず、悲愴感がありません。
 若干ネタバレですが、NASAは主人公の生存を確認したため、世界中が彼の一挙手一投足を注視することになります。
 そして、世界中が彼の生存と帰還を願うように、読者も彼のことを応援したくなる。この点、本書は非常に映画向けです。
 主人公とNASAのやりとりなどは、にやけっぱなしです。
 ユーモアパートと言っていい主人公の一人称パートもいいけど、主人公の生存と帰還を願う地球側パートも泣かせるんだ。

 中盤以降、少し描写がくどくなる部分がある反面、もっと読みたいNASAとのやりとりなどが端折られてる点で、少し不満はありますが、この長さ、あっという間でした。ハードSFという概念を再認識させられました(ちっともハードっぽくない)。
 軽いっちゃ軽いけど、そこのどこが悪いんだ。オススメです。
火星の人 (ハヤカワ文庫SF)Amazon書評・レビュー:火星の人 (ハヤカワ文庫SF)より
4150119716

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